BtoB企業でMAを導入する場合、主な導入目的を「リードナーチャリング(見込み客の育成)」に置く企業は多いのではないでしょうか。本記事では、リードナーチャリングを目的としたMAの運用についていくつかのアイディアをお伝えします。
MA導入によりできるようになること
Webサイトを開設し、問い合わせを受け付けていただけ、という企業がMAを導入すると、これまでは難しかった以下のようなことができるようになります。
- フォームの量産
- メールの自動送信
- 獲得したリードリストの管理
- 獲得したリードリストへのメール配信
- ユーザー別のアクセス履歴や接点履歴の管理
- アクション履歴に応じた個別のタイミングでメールを自動で配信する
- アクション履歴に応じてウェブサイトをパーソナライズする
上記を組み合わせて、MAを利用したリードナーチャリングを行っていきます。
リードナーチャリングのゴール
リードナーチャリング=見込み客の育成と訳されることが多いため、「お客様の導入意欲を育てること」と考えている方も多いかもしれません。しかしBtoB取引のうえでは、担当者の導入意欲が高まっても必ずしも導入検討に至るわけではありません。ある施策の会社としての優先順位が高まるまでに時間がかかることもありますし、何かをきっかけにそれまで優先順位が低かった施策の優先順位が高まることもよくあります。重要なのはそうした時に自社を思い出してもらえることです。
ですから、リードナーチャリングのゴールは「タイミングが来た時に思い出してもらえること」といえます。
ではそのゴールに向かって、MAを利用してどんなことができるでしょうか?ここでは3つのアイディアを紹介します。
1.ホワイトペーパーなどダウンロード資料をWebサイトに設置
MAを導入すると、フォームの量産やWebサイトへの設置が簡単に行えるようになります。そうした機能を利用し、社内に眠っている様々なネタを資料へ書き起こし、見込客向けにお役立ち資料として提供しましょう。これが、ホワイトペーパーです。
ホワイトペーパーの内容は、例えば以下のようなものが考えられます。
商材・サービス | ターゲット | ホワイトペーパーの内容 |
---|---|---|
組織コンサルティング | 企業の経営者、人事担当者 | 評価面談のレポートテンプレート集 |
広告計測ツール | 企業のデジタルマーケティング担当者 | Google Analyticsの必須設定ポイント |
アンケートシステム | 企業の広報担当者 | 調査リリースネタカレンダー |
他にも、お客様や見込み顧客からよく聞かれる質問や、これまで商談を進める中で資料の提出を求められた内容などがホワイトペーパーに適しているといえます。
ホワイトペーパーを設置することで、「今すぐに製品の導入を検討したいわけではないが、その資料に掲載されている情報に興味がある」という「そのうち客」のリードリストを獲得できるようになります。このリストが、リードナーチャリングの対象です。
また、「そのうち客」にダウンロードしてもらうホワイトペーパーのネタとして、導入事例、製品資料、比較表などもおすすめです。ここがマーケターの腕の見せ所。ぜひ、このコンテンツ制作に多くの時間を割いてください。
2.メールマガジンを送信
「そのうち客」のリードリストを獲得できたら、メールマガジンを送信していきます。 メールマガジンでは、Webサイトに設置したホワイトペーパーへの誘導を行っていきましょう。このとき、多くのユーザーにメールを読んでもらい、さらに誘導先のページへ遷移してもらうために以下のような点に留意します。
- マルチパート(HTML形式とTEXT形式の両方を送る形式)のメールを制作する
- コンテンツはなるべく少なくする。目安は3点程度
- はじめに目をひく写真や画像を入れる
- 「詳しくはこちら」などのリンクボタンを大きく目立たせる
- 誘導リンクはMAの機能で計測可能なURLに変換する
- 件名にこだわる
またメールマガジンの配信頻度ですが、コンテンツがどんなに豊富にあっても一週間に一回程度を限度に考えましょう。検討タイミングが来た時に思い出してもらうにはメールマガジンを読み続けていただく必要があり、そのためには嫌がられないことも重要です。
BtoB企業の場合、月1回程度のメールマガジン配信でも十分ということも多いようです。但し、2か月に1回以下の頻度での配信では忘れられてしまう可能性も高く、思ったほどの効果は得られないかもしれません。あまりに頻度が低く忘れられてしまった場合、メールが届いても「不要」と判断し配信解除が増える要因にもなります。
関連記事:メルマガとは?配信の基礎知識・効果的な作り方と成功事例
3.見込み顧客が特定のページを閲覧したら社内へ通知
MAが一般的なメール配信システムと大きく違う点に、ユーザーがWebサイト内でどんなページを見たのか、どんなメールを受け取って開封し、どのリンクをクリックしたのか、などの履歴情報をユーザー別に管理することができる、という点があります。
これらの情報を分析すると、過去に成約したユーザーや訪問アポイントを獲得できたユーザーがどんなページを閲覧していたのか傾向をつかむことができます。この傾向を元に「このページを閲覧したユーザーはアポイント獲得のためのコールを行った方が良いのではないか?」といった仮説を立て、そのページを閲覧したユーザーの情報を社内向けに通知するようMAで設定します。
「SATORI」ではこうしたページを「キラーコンテンツ」と呼んでいます。キラーコンテンツは、成約可能性の高いページから順番に複数設定することをお勧めします。なぜなら、確度の高いページのみを選定すると、既に訪問に至っているユーザーが多く含まれることなども多く、通知メールの数=コールリストの数が足りなくなってしまうことがあります。第一優先群、第二優先群といった形で、優先順位をつけながら通知メールの設計をすると良いでしょう。
リードナーチャリングが成功しているかの計測
最後に、MAを使ったリードナーチャリング施策が成功しているかを計測するために使われることの多い指標をあげておきます。どの指標も、他社や業界内で高いかどうか比べるよりも、施策を始めた頃より数値が改善しているか、ということを主眼において工夫を続けると良いでしょう。
リードナーチャリング施策の計測指標(KPI)
- ホワイトペーパーなどの資料ダウンロード数
- メールマガジンの配信対象数
- メールマガジンの開封率・クリック率
- キラーコンテンツ閲覧ユーザーの通知メール受信数
- キラーコンテンツ閲覧ユーザーからのアポイント獲得率/獲得数
- コール時の到達率の向上
- リード獲得から商談化までのリードタイム
以上、BtoB企業でMAを導入する場合に主な目的として設定されることの多い「リードナーチャリング」について、リードナーチャリングを目的としたMAの運用についていくつかのアイディアをお伝えしました。
MAは「導入すればバラ色の未来が待っている」という魔法のツールではありませんが、マーケターが最も集中すべき業務に集中できるよう手助けをしてくれるツールです。実際、設定には少し手間はかかるものの、計測や実行をオートメーション化でき、改善も容易です。
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