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2019.09.13

「キラーコンテンツ」2つの意味、作り方と使い方(コンテンツマーケティング)

コンテンツマーケティングにおける「キラーコンテンツ」は、球技の「キラーパス」のような意味が込められていて、契約・コンバージョンに強い影響を与えるコンテンツのことを指します。従来からさまざまな業界で使われていた「キラーコンテンツ」という言葉は「人気コンテンツ」という意味だったので、少しニュアンスが変わっています。ここでは、マーケティングにおけるキラーコンテンツの意味、どんなコンテンツがキラーコンテンツに当たるのか、作り方・使い方をわかりやすく説明します。

キラーコンテンツの意味とは?

コンテンツマーケティングで使われる場合は「キラーパス(得点につながるパス)のようなコンテンツ」という意味で、コンバージョンに大きく貢献するページを指します。ただ単にコンバージョンの通り道というわけではなく、戦略的にキラーコンテンツを設計・配置し、コンバージョンへのクロージングを行う役割を持たせて活用しています。

TOPIC:キラーコンテンツのもう一つの意味
従来からよく使われている「キラーコンテンツ」は人気コンテンツをいう意味。お笑い芸人が言うと「絶対笑いを取れるネタ」、飲食店で言うと「絶品の人気メニュー」…このような文脈で使われています。この記事で解説する、マーケティングにおける「キラーコンテンツ」とは意味や活用の背景が全く違うのでご注意ください。

キラーコンテンツと広告LPとの違い

キラーコンテンツと広告ランディングページ(LP)との違いは、ターゲット。ランディングページは新規ユーザーをも想定していますが、キラーコンテンツは今まで何度か接触しているユーザーを主なターゲットにしています。キラーコンテンツは、育成フェーズで使われるクロージングコンテンツの一種で、特にコンバージョンへ貢献するページとなります。
キラーコンテンツは、育成フェーズで使われるクロージングコンテンツの一種である
クロージングとは「完了させる」という意味で、コンテンツマーケティングではコンバージョンさせていくシーンで使われます。このクロージングの中でも、特に有力で成果に貢献するページとしてキラーコンテンツを配置し、ふさわしいタイミングでユーザーに閲覧させて資料請求・商品購入などのコンバージョンページへ遷移させていきます。

どんなページがキラーコンテンツにあたるの?

BtoBとBtoCにわけてキラーコンテンツになりそうなコンテンツをまとめてみました。

  コンテンツ例
BtoB、BtoC高額商品 ● 他社自社比較ページ
● プラン比較ページ
● 活用事例インタビュー
● 導入の流れ
● 見積シミュレーション
BtoC(ECなど) ● 口コミまとめページ
● ユーザーインタビュー
● 使い方動画
● カスタマーサービス(返品保証や購入後のサービス)

本気で契約や購入を考えるときのユーザー心理を考えてみると、どのような機能のページが「必ず確認しておきたいページ」で「買いたい気持ちの最後の後押し」になるか見えてきます。BtoBや金融商品・不動産などのBtoC高額商品などは比較ページや費用詳細、契約後をイメージできるものがキラーコンテンツになりそうです。気軽に買えるBtoC商材は口コミページなどユーザーの評価や感想は購入直前に必ず確認するページですね。SATORIでは、比較ページや事例ページをキラーコンテンツと位置づけしています。

SATORIのキラーコンテンツである比較ページや事例ページのイメージ

キラーコンテンツの作り方

キラーコンテンツはやみくもに作るより、しっかり分析を行い、自社のサービスにとってどのような内容がキラーコンテンツに向いているのかを理解することが大切です。以下のような手順で進めてみてください。

1CVユーザーの多くが経由しているページをあぶりだす

日々コンバージョン(CV)は起こっているので、共通の経由ページをあぶりだすことで、キラーコンテンツの大きなヒントになります。例えばGoogleアナリティクスでは、このような見方をします。
1.メニュー: 行動 > サイトコンテンツ >すべてのページ
2.セグメント: コンバージョンに至ったユーザー
コンバージョンしたユーザーが経由したページが一覧で表示されます。その中からサービス紹介ページではないコンテンツ型のページでどこが見られているか確認しましょう。

キラーコンテンツを作るためCVユーザーの多くが経由しているページをあぶりだす方法

サービスページでは「料金体系」ページが最もよく見られていますが、コンテンツ型ページでは、導入後の利用イメージである「導入事例」「課題別利用シーン」と他社のMA※ツールと何が違うのか比較する「他社との比較」「ブログのMA比較コンテンツ」、そして「ブログのMAに関するコンテンツ一覧(カテゴリページ)」がよく見られていることがわかります。

※MA:マーケティングオートメーションの略語

2)経由ページからCV直前の悩みを推測

SATORIのコンバージョンページは「資料請求完了」や「セミナー申し込み完了」なのですが、そのコンバージョンに至るユーザーが気にしていることは先ほど1)で分析した結果以下のことだとわかりました。
1.契約によって課題解決するイメージが持てる具体的な実例
2.他のマーケティングオートメーションと何が違うのか
3.マーケティングオートメーションの基礎知識やセミナー情報
この「知りたいこと」を解決するコンテンツを作ると「キラーコンテンツ」になります。

3)悩みを解決するコンテンツを作成

コンバージョンする前に見ているページの1つが「事例」でした。現在SATORIではもうすでにたくさんの事例ページがありますが、新たなキラーコンテンツを作る前提で考えてみます。なぜ事例を見るのか、閲覧ユーザーの心理を考えてみましょう。

契約したら、どんな使い方ができるんだろう。似たような企業はどんな機能を使って成果を上げているんだろう。

サービスページの「機能」「使い方」と、「事例」の大きな違いは「具体的かどうか」ではないでしょうか?つまり、「使い方」の一歩先である「実在の具体的な使い方」が求められているわけです。それなら架空でも問題なく、実際にありそうなケース・使い方から成功までのストーリーをマンガで読めるようなコンテンツもキラーコンテンツとして良さそうです。閲覧ユーザーが契約後の成功イメージを強く持てるようになるとコンバージョンしそう、つまり、良いキラーパスになるということです。

キラーコンテンツの効果的な使い方

キラーコンテンツを作ったら、効果が見込めるユーザーをターゲットに閲覧させコンバージョンを増やしてゆきましょう。

有効なリンク誘導を行う

集客コンテンツ・育成コンテンツにおいて、似たような言及を行っている部分からリンクを貼って誘導を行いましょう。例えば、事例コンテンツならMAの使い方・導入に関するコンテンツ、MA最新情報などがおすすめです。このようなページを多く見ているユーザーをMAツールで抽出し、ポップアップを使って誘導していくこともおすすめです。

リターゲティング広告で再訪を促す

Cookieデータから、複数回訪問しているユーザーにキラーコンテンツへの広告を出して再訪を促すことも有効です。上記の誘導リンクと違い、Webサイトに来てくれていないユーザーにも接触することが可能です。
キラーコンテンツの効果的な使い方であるリターゲティング広告のイメージ

意欲の高いリードにターゲティングメールで案内する

MAツールを使っている場合は、スコアが高いユーザーや特定のセグメントに絞り込んで、キラーコンテンツへの誘導を盛り込んだメールを配信することができます。
キラーコンテンツの効果的な使い方である意欲の高いリードにターゲティングメールで案内するイメージ

【事例】SATORIにおけるキラーコンテンツ活用法

SATORIではキラーコンテンツを活用して商談へつなげています。キラーコンテンツを閲覧したユーザーにはインサイドセールスメンバーがすぐに架電するよう業務フローを設計しています。キラーコンテンツ閲覧ユーザーへの架電による商談化率は、セグメントなしの全ユーザーより格段に高いことがわかっています。
まずは、契約直前によく閲覧されるページから仮設を立てて洗い出しました。
「比較」「契約の流れ」「導入の流れ」「サポート」「運用保守」「事例ページ」などがあり、どれが向いているかは各社で違ってきます。いろんなページをキラーコンテンツとして利用し、CVR(コンバージョンレート)などから精査していったところ、SATORIの場合は
● 自社サイトのMA比較ページ(キラーコンテンツ)
● 検索上位表示される比較系外部メディア
の両方を閲覧しているユーザーが最も「契約直前である」と考えられました。この条件をトリガーにセットします。

SATORIにおけるキラーコンテンツ活用事例(トリガーの設定)
このトリガーにより、インサイドセールスに通知が送られ、すぐに電話で商談への案内が行われます。

キラーコンテンツを閲覧するとインサイドセールスに通知する仕組みのイメージ

「他社との比較」という内容のコンテンツをSATORIサイト内、比較サイト両方で閲覧しているユーザーの意欲の高さは以下の数字が物語っています。

キラーコンテンツを閲覧したユーザーと総リード商談化率の違い
キラーコンテンツを閲覧したユーザーの商談化率は約14.5%と驚異的で、総リードの商談化率に対して約8.5倍になります。キラーコンテンツを活用することで、架電に対する商談化率を格段に上げ、非効率な電話営業のコストを抑えることが可能です。
▶参考記事:インサイドセールスとは?基礎知識と特徴やメリットを解説します!

このように、キラーコンテンツの活用でコンバージョンへのクロージング力を上げるだけでなく、無駄な活動をカットしてコストを削減し、そして何より「嫌われない営業活動」を行うことができるようになります。キラーコンテンツを使った施策は難しいことではなく、先ほど解説した「あぶりだし」「CV直前の悩みを特定」「解決ページの作成」で簡単に始めることができます。これを機に、自社に合うキラーコンテンツは何かを考えてみませんか?

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白砂ゆき子
A-can(エイカン) Webマーケティング・コンサルタント

映像コンテンツプロバイダー・化粧品メーカーECでのWebディレクション・マーケティング担当を経て、コンサルタントに。20社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計を行った経験を持つコンテンツマーケティング専門家。2018年5月に独立。検索ユーザーに寄り添うコンテンツ設計を得意とする。