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マーケティングとは?意味や定義、手法を初心者向けにわかりやすく解説

マーケティングとは?意味や定義、手法を初心者向けにわかりやすく解説

マーケティングとは、簡単に表現すると「(製品・サービスなどを通じて)価値を創り、浸透させること」です。
2024年に日本マーケティング協会でマーケティングの定義が刷新されました。
ここでは、その内容とマーケティングの具体的な活動・戦略・手法について初心者にもわかりやすく解説します。

従来、マーケティングとは「市場創造のための総合的活動」、つまり製品やサービスを売るための活動と位置づけられていました。主体は企業側であるニュアンスが強かったと感じます。

2024年に34年ぶりに公益社団法人日本マーケティング協会が定義を刷新し、共創的で持続的な視点が追加されています。

ここでは、マーケティングの従来の意味と新しい意味を比較しながら、具体的なマーケティング活動や、主流のマーケティング施策についても解説していきます。

マーケティングとは

マーケティングとは、2024年に日本マーケティング協会が刷新した新しい定義を用いて簡単に表現すると「製品・サービスなどを通じて価値を創り、提供し、浸透させること」です。

従来のマーケティングの定義

公益社団法人日本マーケティング協会の従来のマーケティングの定義は、1990年に制定した以下のようなものでした。

マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。

1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。

出典:公益社団法人日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新

これを簡単に表現すると「売れるための仕組みづくり」といえます。

2024年に刷新された定義

公益社団法人日本マーケティング協会が2024年に刷新した定義は以下のとおりです。

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

注 1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注 2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注 3) 構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。

出典:公益社団法人日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新

この定義のなかで「価値」とは、製品・サービスそのものだけに留まらず、体験なども含む総体的なものとして位置づけられており、企業と顧客と社会、それらの持続的成長など、主体や参加者、時間軸などさまざまな面でより幅広い意味を包含するものとなっています。
両者を比べてみると、以下のように変化しています。

  1. 製品・サービス提供側主体の活動から、顧客・社会との共同の活動に
  2. 「公正な競争」から「価値の共創」に
  3. 社会貢献や持続可能性など近年注目されているトピックの追加

マーケティングの意味が、製品・サービス提供側における「市場創造のための活動(=売れるための仕組みづくり)」から、企業・顧客・社会が共同で行う「価値の創造」による「ステークホルダーとの関係性醸成」へと大きく変化したことが分かります。

※ステークホルダーとは、株主・顧客・取引先・経営者・従業員など、あらゆる利害関係者のこと。

今後マーケティングは、製品・サービス提供側から顧客に向けて行う活動にとどまらず、ステークホルダーとの関係性構築や社会への貢献も含めた活動に及ぶこととなるでしょう。

セールスとマーケティングの違い

前述の定義に示したように、現代においてマーケティングは製品やサービスを介して顧客と価値を共創していくための一連の活動を指すものとなっています。これには、製品・サービス開発から販売戦略、広告、効果検証までの一貫した計画と管理が含まれます。つまり、価値創造のプロセスに顧客の参加を促す仕組みを構築することがマーケティングの目的です。

一方で、セールスは製品やサービスを積極的に売り込む行為を指し、しばしば個人の努力に依存します。マーケティングと異なり、セールスは直接的な販売活動に重点を置きますが、効果的なセールス戦略ではマーケティングの考え方を一部取り入れることがあります。

マーケティング(活動)は具体的に何をやるの?

では、マーケティングは具体的にどのような活動を指すのでしょうか?製品やサービスを通じた顧客との価値共創に向けた実際の活動の流れは以下のとおりです。

(1)市場調査(マーケティングリサーチ)

はじめに、顧客や社会に価値を提供するためには、「求められているもの」を知るのが大切です。そのために行われるのが、「市場調査(マーケティングリサーチ)」です。

モニターへのアンケートや政府が出している統計データを調べたりしながら、定量的なデータを把握します。お客様の年代や性別に近い方々を集めて、座談会を行ったり、商品・サービスを使ってもらい意見を募ったりして、定性的な情報も把握します。

関連記事>> 【基本】マーケティングリサーチ(市場調査)とは?調査方法と手順

(2)マーケティング戦略設計

(1)の市場調査で得た定量的なデータや定性的な情報を元に、どのような製品やサービスを誰に対して、どれくらいの価格でどのように提供するのか?の戦略を立てるのが、マーケティング戦略設計です。

3C分析やSTP分析、4P分析(マーケティングミックス)などのフレームワークを活用して戦略を設計していきます。

関連記事>> マーケティング戦略とは?立案の手順・わかりやすい事例解説

(3)実施

(2)で設計した戦略にしたがって、マーケティング活動を実施します。マーケティング活動には大きく分けて2つの活動があります。

  • 製品・サービス企画
  • プロモーション活動

製品・サービス企画では、提供できる価値を最大化するために、製品・サービスの名前や機能、価格などを決定して開発します。できあがったサービス、そしてサービスが提供する価値を浸透させるためにプロモーション活動を行います。プロモーション活動は多岐にわたるので、後述の「今主流のマーケティング手法」で詳しく解説します。

これらの活動は常に「ステークホルダーとの関係性の醸成」に意識を置いて実施します。たとえば、株主や顧客に対しては大きな価値を提供できるが、従業員にとっては大きな不利益となるサービスの場合、持続的成長が期待できないことは明白でしょう。すべてのステークホルダーに高い価値が提供できているか、という視点を持ってマーケティング活動を行いましょう。

(4)評価

(3)のマーケティング活動に対し、成果を得られたかを検証します。定められたKPI(重要業績評価指標)に対して成果を検証し、施策を評価し、課題のあるプロセスを発見して調整を行う「PDCAサイクル」を回していきましょう。単なる費用対効果ではなく、長期的視点で定量的な評価を行うことが重要です。

マーケティング戦略とフレームワーク

マーケティング戦略を考えるフレームワークはいくつかありますが、ここでは代表的な「3C分析」と「4P・4C(マーケティングミックス)」を紹介します。

3C分析

3C分析

3Cとは、「市場/顧客」(Customer)「競合」(Competitor)、「自社」(Company)のことです。まずは「市場」、つまりお客様が何を求めているか?を調べるため、上述したような市場調査(マーケティングリサーチ)を行います。

続いて、競合サービスの特徴を洗い出します。競合サービスのWebサイトやカタログなどをチェックするほか、商品・サービスを実際に使ってみると良いでしょう。そのうえで、自社の「強み」や「弱み」を書き出していくのです。お客様と接している営業やカスタマーサービスの社員に聞いてみると、良いヒントが得られるでしょう。

このように、市場・競合・自社の3つの観点をバランス良くとらえ直したうえで、「私たちのサービスを本当に喜んでくれるお客様は誰か?」「サービスの特長をどのように表現すれば、お客様に響くのか?」「そのためには、どんな方法をとるのか?」について考えを深めていくのです。

関連記事>>マーケティングの3C分析とは?目的・やり方と実践例(テンプレート付き)

4P・4C(マーケティングミックス)

マーケティングの4Pは製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)の4つの要素を指し、企業が価値を提供するために調整すべき重要な要因です。

これに対し、4Cは顧客価値(Customer Value)、費用(Cost)、便益(Convenience)、コミュニケーション(Communication)を顧客視点から見たマーケティングの要素です。

マーケティングミックスとは、複数の観点を組み合わせて、ステークホルダーとの関係性を作り上げ、サービスの価値を感じてもらえる環境を作ることです。

関連記事>>マーケティング の4P・4Cとは?戦略を事例でわかりやすく解説します

具体的な方法論については、マーケティングの分析手法・フレームワークについての解説記事も参考にしてみてください。

今主流のマーケティング手法

マーケティングの手法について

「マーケティング」の活動の1つ、プロモーションにおいては、インターネットやIT技術の発達によって大きく変化し、デジタルマーケティングの役割が大きくなってきています。

オンラインとオフラインの行き来を想定した「オムニチャネル施策」にも注目が集まっています。スマートフォンの普及によって「書店で面白そうと思った本を、Amazonで買う」や「価格.comで調べたお店で実物を見て買い物する」、BtoBビジネスでも、「メールで届いた案内からイベント会場へ足を運び、手に取ったパンフレットからネット検索をしてWebサイトに訪問する」など、インターネットとリアルをまたいだ購買行動は珍しいものではなくなってきました。コロナ禍の影響から、こうした購買行動は高齢層への拡がりもみられるようになっています。

このような消費者の動きにともなって、店舗や会場とWebサイト、PCとスマートフォンなど、複数の環境をまたいで行動するお客様をスムーズに購入へと導く手法が盛んに研究されています。

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、マーケティングのなかでもインターネットやIT技術など「デジタル」を活用してステークホルダー、主に顧客との関係を築き、製品・サービスの理解を促進する手法です。ビッグデータの利用が広まる中、企業は膨大な顧客データを収集・分析し、その洞察をマーケティング戦略に活かす「データドリブンマーケティング」が可能になりました。
近年では、顧客の行動や嗜好を基にした予測マーケティングや、個々の顧客に合わせたパーソナライズマーケティングが主流になりつつあります。

関連記事>> 【わかりやすい】デジタルマーケティングとは?基礎と手法を事例付きで解説!
パーソナライズとは?仕組み・具体例やメリット、活用方法と事例

Webマーケティングとは

Webマーケティングとは、Webサイトに特化したマーケティング手法のことを指します。デジタルマーケティングと混同されがちですが、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部です。

Webマーケティングの施策としてはWeb広告やSEO、SNS運用などがよく知られています。最終的にユーザーを自社Webサイトへ誘導するのを目的とすることが多いです。Webサイトに訪問したユーザーの行動データを基に、ユーザーが求めているものは何かを突き詰めながら改善を繰り返すことで、提供・共創可能な価値へのユーザーの理解を深め、参加を促していきます。

関連記事>>Webマーケティングとは?種類・やること・始め方をわかりやすく解説

SNSマーケティングとは

SNSマーケティングとは、ソーシャルネットワーキングサービスを活用したマーケティング手法のことを指します。LINEやFacebook、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、TikTokなどがSNSの代表例です。

その拡散力の強さから、個人のみならず企業にとっても重要なWebマーケティング手法の一つとなっています。

関連記事>> 事例で理解!SNS マーケティングとは?具体的な手法と成功のポイント

MA・CCCMでの効率化

主にBtoBビジネスでは、見込み顧客の獲得から育成、商談までのフェーズを自動化・効率化するMA(マーケティングオートメーション)の導入が増えてきています。BtoCビジネスでもWeb接客ツールやCCCM(クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント)を導入して、自社Webサイトや広告出稿サイトに訪問したユーザーに対して、適切なタイミングで最も価値のあるオファーを出す仕組みを構築する企業が増えてきました。

いずれも、最適な情報を最適な相手に最適なタイミング・手段で伝えることを目的としたとても有効な手法です。それらをすべて人力で行うことは不可能で、シナリオどおりにオートメーション化することで叶える施策です。

関連記事>> マーケティングオートメーション(MA)で何ができるの?基本と機能・導入をわかりやすく解説

他にも、「コンテンツマーケティング」や「動画マーケティング」、「インフルエンサーマーケティング」など、Webマーケティングの分野を中心に、技術革新によって新しい考え方が次々に登場しています。

社会的課題の解決を目指す注目のマーケティング

新定義にも含まれる「社会的貢献」「サステナビリティ」を目指すアプローチとして定義されているマーケティングについても解説します。

ソーシャルマーケティングとは

ソーシャルマーケティングとは、社会的な問題を解決することを目的としたマーケティングのことです。環境保護や公衆衛生の改善、教育の促進、社会正義の推進などに焦点を当てた活動を行います。

近年では、企業においてもSDGs(持続可能な開発目標)を経営に取り入れる動きがあり、社会貢献への意識を持つことが求められています。マーケティングの原理を応用して、人々の行動や態度を変えることを目標とし、より良い社会を実現するための戦略を策定・実行します。

ソサイエタルマーケティング

ソサイエタルマーケティングとは、企業が利益追求と同時に社会全体の利益を考慮し、社会的責任を果たしながら行うマーケティング活動のことです。製品やサービスが、消費者の欲求を満たすだけでなく、環境保護や公衆衛生の改善、教育の促進など、長期的な社会的価値の創出を目指します。たとえば、再利用可能な素材を使ったパッケージなどがそれに当たります。

企業の社会的責任(CSR)が問われ、SDGsへの取り組みが広く求められる中、ソサイエタルマーケティングの必要性もまた高まっています。多くの消費者は、製品やサービスの価値だけでなく、そのサービスが社会に悪影響を与えないかも意識しながら購入を決定しています。ソサイエタルマーケティングを取り入れることは、企業・団体のイメージ向上や社会との信頼関係の構築、長期的なブランドロイヤルティ(Loyalty)の確立といった、企業・団体の持続可能な成長に不可欠な成果に寄与するものといえるでしょう。

顧客や社会に対して真摯に向き合っていくのがマーケティング

定義が変わったとしても、マーケティングの根底にある考え方は変わりません。顧客や社会に提供・共創できる価値への理解を深め参加を促す仕組みはどうやってつくれるか?そのために必要な活動は、どのようなものがあるか?個々の施策の元になる戦略をどうやってつくっていけばよいか?の問いに対して真摯にひたむきに向き合っていく必要があります。

この記事は奥深いマーケティングという体系のほんの入り口にすぎません。これをきっかけに、いろいろな分野に興味をもってマーケティングについて学び、成果を上げる方法を自ら実践していただければ幸いです。

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