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2021.04.08

【わかりやすい】リードナーチャリングとは?具体的に何をやるの?手法を事例で解説

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングとは「リード(見込み顧客)」の「ナーチャリング(育成)」という意味ですが、具体的に「何をやること?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?この記事では分かりやすい事例を取り入れつつ、リードナーチャリングの概要や具体的な手法やリードジェネレーションとの関係を解説します。

リードナーチャリングの意味と概念

リードナーチャリングは、リードジェネレーション(見込み顧客創出)という活動の中で行われる施策の一つです。リード(Lead)は見込み顧客、ナーチャリング(Nurturing)は「育成」という意味を持つ言葉で、文字どおり顧客を育成する活動を指してリードナーチャリングと呼んでいます。
リードとは自社の顧客になる可能性のあるターゲットのことですが、製品・サービスの購入に対する温度感、言い換えると「購入したい」と考えている度合いはまちまちです。「まだ検討を始めたばかり」という段階にある人もいるでしょうし、「すぐにでも導入したい」と考えている人もいるでしょう。
リードナーチャリングではそうしたリードの検討段階を踏まえて、次の段階へと一歩進んでもらうために様々な施策を行います。

リードジェネレーションとは?
リードジェネレーションとは、自社の顧客となりうる見込み顧客=リードを獲得するための施策で、デマンドジェネレーション(需要創出)※と呼ばれる一連の活動の初期段階に行います。
リードジェネレーションにより獲得した見込み顧客は本記事で解説するリードナーチャリングを通じて育成され、後述するリードクオリフィケーションのプロセスに引き渡されます。
※デマンドジェネレーション(需要創出)とは、ひとことで言えば、営業案件を作り出す一連の活動です。リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの三つの段階を経て、受注確度の高まった案件を営業部門に引き渡すのが、デマンドジェネレーションの目的です。

リードクオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーションはデマンドジェネレーションの後半に行う活動で、リードナーチャリングにより育成された顧客をスコアリングなどの手法を用いて絞り込みを行います。リードクオリフィケーションの過程を経た見込み顧客は、「受注確度の高い見込み顧客」として営業部門に引き渡されます。

リードナーチャリングのポジションイメージ

なぜ、リードナーチャリングが重要なのか?

デマンドジェネレーションを構成する3つの活動はいずれも重要なものですが、近年、特にリードナーチャリングの重要性が高まってきています。その背景には、以下のような事情があると考えられます。

① 購買プロセスの長期化・複雑化

一般にBtoB企業の購買プロセスは長期に渡り、かつ社内の様々なステークホルダーが関与するため複雑化しがちです。加えて、近年になってインターネットで手軽に情報収集が行えるようになったことを受け、この傾向がさらに加速しています。というのも、かつての企業担当者は製品・サービスに関する情報の大部分を営業担当者から得ていましたが、現在ではまずWebで情報を収集した上でしかるべき企業にアプローチし、そこから営業プロセスが開始するという流れがスタンダードになってきているためです。

入手できる情報が増えたことに加え、事前の情報収集段階で「あたり」をつけた複数の企業とやりとりすることが一般的になったため、検討プロセスが複雑化し、結果として検討期間が長期化の傾向をたどっているのです。昨今のテレワークの普及も、こうした流れに拍車をかけているといってよいでしょう。

このように長期化・複雑化する購買プロセスのもと、見込み顧客に対して適切なタイミングで適切なアプローチをかけていく上で、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。

② 検討期間を通じたコミュニケーションが必要

展示会やセミナー、Web広告などを通じて獲得したリードは、大半が「まだ自社のサービスを知ったばかり」という段階にある人たちだと考えられます。こうしたリードに対していきなり営業活動を仕掛けても、スムーズに受注に繋げることはできません。
Webでの情報収集が一般化したことを受け、Web経由でのリード獲得の間口は広がりましたが、その分、獲得したリードの成熟度(購買に対する興味・関心の高さ)が低くなってきていることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。

ある調査(※1)によれば、企業が獲得するリードのうち50%がクオリティの高いリード、つまり受注確度の高い見込み顧客であるにも関わらず、その大半が獲得した時点では実際に商品を購入する段階に至っていないといいます。

リードナーチャリングのリード獲得時の確度のイメージ

既に述べた通り、BtoB企業の購買プロセスは一般に長期に渡ります。そうした中で、実際に契約や購入に至るまでの期間、見込み顧客と適切なコミュニケーションを取り続けるのも、リードナーチャリングの重要な役割の一つです。
リードナーチャリングを行うことで、その時点では受注確度の低い顧客を繋ぎ止めることができるとともに、継続的にコミュニケーションを取り、関係性を構築していくことができます。

また、リードナーチャリングによって長期的にコミュニケーションを取り続けることで、リード側でも自社の製品・サービスに関する認知が進み、いざという時に思い出してもらえる可能性が高まります。

※1 出典:110 Sales and Marketing Statistics

③ 不要なアプローチは企業担当者に響かない

前述の通り、リードジェネレーションによって獲得したリードの大半は、獲得した時点では当該商品・サービスに対する理解が十分に進んでいないことが一般的です。このような段階で闇雲にアプローチをかけても顧客の関心を喚起するのは難しく、最悪の場合、将来、受注に繋がるかもしれない有望な見込み顧客を取り逃がすきっかけにもなりかねません。

ここで重要なのは、電話やメールでの営業的なアプローチのすべてがNGだというわけではないという点です。企業担当者が嫌っているのは「現時点で求めていない情報を押し売りされること」であり、今、まさに必要としている情報が適切なタイミングで提供されるのであれば、営業的アプローチは逆に好ましいものと捉えられます。
リードナーチャリングを通じて見込み顧客の検討状況を把握し、ベストなタイミングでアプローチをかけることができれば、営業活動の効率を格段に高めることが可能となります。

【事例で解説】リードナーチャリングの施策と手法

では、実際にはどのような手法でリードナーチャリングを実施すればよいのでしょう。この節ではSATORIが行っている実際の施策をご紹介しつつ、具体的なリードナーチャリングの手法について解説します。

まずは目的を明確にしよう

具体的な手法についてお話する前に、一つお伝えしておきたいことがあります。それは、リードナーチャリングには「見込み顧客とのタッチポイントを持ち続ける」「購買意欲を醸成する」という二つの軸があるという事です。

「タッチポイントを持ち続ける」とは、獲得したリードの購買意欲が十分に高まるまで適度にコミュニケーションを取り続け、いざという時に思い出してもらうための下地作りをするということです。

一方、「購買意欲を醸成する」とは、顧客の課題認識を強め、商品・サービス導入の必然性をより強く意識してもらえるように促すためのアプローチであると言うことができるでしょう。
リードナーチャリングの施策を実施する際には、上記の2軸のうちどちらを目的としている施策かを明確にしておくことが重要です。

リードナーチャリング 3つの代表的施策

以上を踏まえて、リードナーチャリングにおける代表的な施策を3つご紹介します。

リードナーチャリングのイメージ

1)定期的にメルマガを配信する

獲得した見込み顧客に対して定期的にメルマガを配信するという手法で、これは前述の2つの軸のうち、「見込み顧客とのタッチポイントを持ち続ける」ことを主な目的として実施するものです。メルマガというメディアを用いて見込み顧客とのつながりを持ち続けることで、いざという時に思い出してもらうための下地作りを行います。
ターゲットの興味・関心や成熟度合いに応じてパーソナライズされたメルマガを配信することで、見込み顧客にとって有益な情報を届け、信頼関係を構築することが可能です。

メルマガの配信にあたって留意していただきたいのは、製品・サービスを一方的に売り込むだけのメールを送信するのは避けた方がよいという点です。業界の最新情報やちょっとした知識・ノウハウの伝授など、顧客に喜ばれるようなコンテンツを盛り込むことが大切です。

2)見込み顧客のニーズに合わせたセミナーを開催する

見込み顧客のニーズに合ったセミナーを開催するのも、有効なリードナーチャリング手法の一つです。こちらは前述の二つの目的のいずれにも合致する施策です。
特に昨今は、テレワークの普及によりオンライン開催のセミナー(ウェビナー)に参加しやすい環境が整ってきていますので、無料のウェビナー開催は業種・業界を問わずお勧めできる施策です。

見込み顧客のスコアや特定の行動をもとに、適切なタイミングで最適なセミナーを提案することが可能です。たとえば、30日以内に料金や機能紹介、事例紹介などのコンテンツを閲覧した見込み顧客は購買意欲が高まっていると判断し、商品説明や事例紹介など検討度合いが高い層に向けたセミナーに誘導します。

リードナーチャリング:見込み顧客のニーズに合わせたセミナーを開催する

3)既存の見込み顧客へのフォローを行う

前段でお話したとおり、BtoB商材は検討期間が長期化する場合が多く、見込み顧客との間で長期に渡ってコミュニケーションを取り続けることが重要です。
たとえば、一度は自社のWebサイトを訪問してくれたにも関わらず、その後のアクションに繋がっていない見込み顧客に対しては、MAツール(※2)に備わるプッシュ通知を利用して再訪問を促すことで、資料請求などのコンバージョンに繋げられる可能性があります。また、既に資料をダウンロードしてもらった顧客に対してはシナリオメールを活用することで、効率よく次のステップへと誘導することが可能です。
こちらも同様に、前述の二つの目的のいずれにも合致する施策であるといえるでしょう。

リードナーチャリング:既存の見込み顧客へのフォローを行う

※2:MAツール(マーケティングオートメーションツール):デマンドジェネレーションにおける各フェーズ(リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーション)の効果的かつ効率的な実践を支援するツール。リード情報管理、スコアリング、プッシュ通知、シナリオメール作成などの機能が搭載されている

マーケティングオートメーションを使ってリードナーチャリングを快適に

以上、リードナーチャリングにおける代表的な施策を3つご紹介しましたが、このほかにも様々な施策が考えられます。また、前述の施策を自社の状況に応じてアレンジして実践いただくのもよい方法です。
たとえば、「2)見込顧客のニーズに合わせたセミナーを開催する」では見込み顧客のスコアや行動に応じてセミナーへ誘導するという施策をご紹介しましたが、この手法を応用し、十分に検討度合いが高まった見込み顧客に状況ヒアリングをかねたナーチャリングコールやメール配信をするといった施策も考えられるでしょう。自社の取り扱う商品・サービスやターゲット層の性質に応じて、適切なリードナーチャリング手法を設計してみましょう。
なお、前項の脚注※2でも少し触れたように、MAツールを活用することでこうした施策をより効果的かつ効率的に実践することが可能です。MAツールを用いたリードナーチャリングの具体的な実践方法を下記の資料で詳しくご説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。

「MAツールではじめる顧客育成」ダウンロード