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2024.02.22

休眠顧客とは?効果的な掘り起こし方法と成功事例

休眠顧客とは?効果的な掘り起こし方法と成功事例

顧客獲得を目的として、休眠顧客の掘り起こしを検討している営業・マーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか?

休眠顧客の掘り起こしを行うことで、確度の高い見込み顧客を獲得できることはもちろん、自社のマーケティング活動の仕組み化にも繋がります。

この記事では、休眠顧客の効果的な掘り起こし方法を解説するとともに、MA(マーケティングオートメーション)の活用メリットや成功事例についてもご紹介します。

休眠顧客とは?

休眠顧客とは、かつては商談や取引等のやり取りを行っていたが現在は活発なやり取りが行われていない見込み顧客や、かつて商品やサービスを利用してくれていたが一定期間購入・利用がない顧客のことを意味します。休眠顧客の定義は企業によって異なりますが、BtoCの場合は半年~1年、BtoBの場合は1年以上やり取りがない見込み顧客を休眠顧客と定義することが一般的です。

営業やマーケティング活動を行う際、新規顧客を開拓するよりも休眠顧客にアプローチする方が費用対効果が高くなる場合も多いです。過去に取引があった休眠顧客であれば、自社の商品やサービスに対する一定の理解と知見があるため、適切なアプローチをすることで再度取引してくれる可能性があるからです。過去に取引はなく商談のみで終わっている場合でも、当時知り得た顧客情報が新規顧客開拓と比べてアドバンテージになるでしょう。

また、特にBtoBの場合はBtoCに比べてターゲットの母数が少なく、新規の見込み顧客の獲得数が限界値に達してしまう可能性があるため、休眠顧客にアプローチする必要性が高くなる傾向にあります。

休眠顧客の掘り起こしにおける重要な考え方

休眠顧客に対して、自社とのやり取りを再度行ってもらえるようにアプローチすることを「掘り起こし」と呼びます。

掘り起こしの方法としてよく挙げられるのが、休眠顧客の中から自社の商品やサービスをすぐに購入してくれそうな確度の高い見込み顧客(以下、「今すぐ客」と呼ぶことにします)をあぶり出すことです。しかし、休眠顧客は自社の商品やサービスを今すぐ必要としているわけではないことが多いため、獲得数がすぐに限界値に達してしまう恐れがあります。

そのうち客と今すぐ客の構成イメージ

そのため掘り起こしを行う場合は、今すぐ客のあぶり出しを行いながらも、すぐに購入してくれる見込みはないが将来的に購入してくれる可能性のある見込み顧客(以下、「そのうち客」と呼ぶことにします)と計画的にコミュニケーションを行い、購買意欲を育てていくこと(ナーチャリング)が必要です。そのうち客を育成しながら定期的かつ恒常的に今すぐ客を作り出し続けることが、継続的な売上を実現するための重要な考え方となります。

関連記事:リードナーチャリングとは?基本の手法と成功事例
     「そのうち客」という考え方〜休眠・低スコア顧客とどう向き合うのか

休眠顧客に効果的な掘り起こし方法4つ

ここでは、休眠顧客の「そのうち客」とのコミュニケーションを実現するための効果的な方法4つについて解説していきます。

1.メールマーケティング

休眠顧客の掘り起こしでよく使われるのがメールマーケティングです。メールマーケティングには大きく分けてメルマガ等の一斉メールと、配信相手にパーソナライズドされたOne To Oneメールの2種類の手法があります。休眠顧客の掘り起こしでは、同じ内容のメールを全員に配信するメルマガではなく、個人に合う内容やタイミングでメールを送信することができるOne To Oneメールの方が有効です。

One to Oneメールには以下の4つの種類があります。

  • ターゲティングメール・リターゲティングメール
  • フォローメール
  • ステップメール
  • リマインドメール

それぞれの配信対象やタイミング、メールの例文等は以下の記事で解説していますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。また、相手の関心に合わせた商品資料やキャンペーン情報等を郵便で送付するDM(ダイレクトメッセージ)という手法も存在します。

関連記事:メールマーケティングとは?効果は?具体的な手法と流れ・コツを紹介

2.インサイドセールス

インサイドセールスとは、多くの見込み顧客の中から今すぐ客をあぶり出してフィールドセールス(対面営業)に引き継いでいく一方で、そのうち客に対しては電話やメール等でコミュニケーションを取りながら、購買意欲を高めていくための部門のことです。

インサイドセールスは、休眠顧客と電話で繋がった際は直接会話することができるため、抱えている課題や検討状況等をヒアリングできるメリットがあります。さらに、営業担当者は休眠顧客への提案からクロージングまでの業務に集中できるようになるため、業務効率や売上の向上に繋げていくことが可能です。

関連記事:インサイドセールスとは?特徴やメリット、やるべきことをわかりやすく解説

3.無料セミナー

休眠顧客の掘り起こし方法として、オフラインで開催する無料セミナーやオンラインで開催するウェビナーという手法もあります。これらは、そのうち客に対して行うことを前提とするため、自社の商品やサービスの訴求をするだけの内容では意味がなく、そのうち客にとって役に立つような内容にする必要があります。

例えば、MA(マーケティングオートメーション)ツールを提供するSATORIであれば、マーケティングに課題を感じている企業の担当者に向けて「業界別マーケティング課題を解決するオンラインセミナー」といった無料セミナーを開催しています。担当者がセミナーに足を運びやすくなるよう、タイトルや内容を工夫しています。あくまで、参加したそのうち客が「結果的に」自社の商品やサービスに興味を持ってもらえるように設計することが重要です。

関連記事:集客できるセミナータイトルとは?例文&ポイント解説

    ウェビナー(Webinar)とは?意味や開催手順、Zoomウェビナーの形式・使い方解説

4.リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、自社のWebサイトを訪問したことがあるユーザーに対して、別のWebサイト上で広告を表示する手法のことです。例えば、ユーザーが特定の商品・サービスページを訪問したが問い合わせや購入をせずにWebサイトを離れた場合、それらに関連する広告が別のWebサイトやソーシャルメディア上で再表示されます。

リターゲティング広告を行う場合の注意点としては、商品やサービスの訴求ばかりを行わないことです。無料セミナーと同様、そのうち客に迷惑だと感じられ敬遠されるリスクがあるため、そのうち客にとって役に立つコンテンツを訴求するようにしましょう。

ここまで解説した通り、休眠顧客を掘り起こしていくためには、休眠顧客の検討状況を把握しながら上記の手法を用いて最適なアプローチを行う必要があります。しかしながら、上記の手法を手動で行うとなると、業務量が膨大かつ煩雑になり担当者の負担が大きくなってしまいます。

そこで、負担を減らしつつ効率的に掘り起こしを行うために有効なのがMA(マーケティングオートメーション)の活用です。MAでは休眠顧客を育成するためのプロセスを自動化することができます。

関連記事:ーケティングオートメーション(MA)で何ができるの?基本と機能・導入をわかりやすく解説

【初心者向け】Web広告とは?種類・費用・運用方法

MAを活用した掘り起こしの手順とポイント

MAを活用した休眠顧客の掘り起こしについてイメージしやすいよう、実際の手順とポイントを解説します。

1.休眠顧客を定義する

まずは、どのような状態の見込み顧客を休眠顧客と定義するのかを決めます。

企業のビジネス形態や扱う商品・サービスの種類によって休眠状態と呼ぶ期間は異なりますが、「最終取引日から半年~1年」「最後に商談した日から1年以上」等、明確に定義した方が管理しやすいです。

2.休眠顧客の蓄積データを分析し、リスト化する

MAでは顧客の属性情報はもちろん、行動履歴や購買履歴等のデータを取得・蓄積することが可能です。これらのデータを分析し、ニーズや検討状況等に応じて顧客をグループ化する「セグメンテーション」を行います。

休眠顧客をグループに分けリスト化することで、それぞれにパーソナライズドされたアプローチが可能となります。

関連記事:【図解】セグメンテーションの概念とは?ターゲティングとの違いや分類例を解説!

3.分析データを基に、最適なアプローチを行う

作成したリストと分析データを基に、MAを活用しながら必要なタイミングで最適なアプローチを行います。具体的には、メールや電話、ポップアップやプッシュ通知、リターゲティング広告等の手法を用いて、休眠顧客の購買意欲を高めていきます。

ただし、MAを活用して成果を上げていくためには、いつ・何を実行するのかの「シナリオ」を設計する必要があります。

関連記事:MAのシナリオとは?設計方法と具体例【テンプレート付き】

MAを活用した掘り起こしの成功事例

MAの導入にはもちろんコストがかかりますが、それ以上の成果を出している企業も数多く存在します。ここでは、実際の成功事例を2つご紹介します。

ナーチャリングできている顧客が1年で2倍以上に

マーケティングや営業、事業計画の策定等を行う上で欠かせない「市場調査」を手掛けている株式会社アスマークでは、足を使った営業活動だけでは限界を感じており、まずは顧客のデータを活用したマーケティングを実施していくことになりました。

初めは自社開発のツールに顧客データを蓄積していたものの、情報の登録までしかなされておらず、そこからのデータ分析等マーケティングに上手く活用できていませんでした。Googleアナリティクスも活用しながら進めてはいましたが、「CV前後の行動履歴」と「実名顧客のあぶり出し」といったデータの取得ができないという課題も残っている状況でした。

そこで、「受注又は失注した顧客の情報と見込み顧客の情報を連携することで詳細な顧客分析を行い、施策を実施することで効率的に受注に繋げられるのではないか」と考え、営業データを蓄積するSFAツールと、サイト上の顧客データを蓄積するMAツール「SATORI」の導入を決定しました。

その結果、以前は月間でせいぜい数百件ほどだった確度の高い見込み顧客が、1年で約1,500件にまで増加しました。営業部でも以前は100件に電話して1件アポ獲得というイメージだったのが、数件アプローチすれば1件のアポが獲得できるようになったり、提案先の顧客からも「ちょうど検討していたタイミングだった」との声をもらえるようになりました。

リンク:高確度のリード件数が1年で2倍以上に!MA活用で顧客管理からウェビナー施策までを成功させた裏側

シナリオ機能の活用で、過去の失注案件から商談復活

株式会社図研プリサイト様

組立型製造業で活用されるPLMシステムや、企業内に蓄積された技術やノウハウを循環させるナレッジマネジメントシステムの開発・販売を手掛けている株式会社図研プリサイトでは、親会社から分社化された事業のマーケティング部門を一から立ち上げる必要がありました。

マーケティング経験者ゼロの中、営業とマーケティング部門を一本化し組織の体制を整えることには成功しましたが、分社化前後に誕生したばかりのナレッジマネジメントシステムにおけるマーケティング活動では何の成果も出せていない状況でした。

そこで、マーケティングの知識もなく打ち手のない状況を打破すべく、MAツール「SATORI」の導入を決定しました。1度でも自社のWebサイトを見たことがある匿名見込み客に対して、セミナー予定や新トピックス等をプッシュ通知することで、月あたりのWeb経由リード獲得数が一桁台から常時二桁を超えるようになりました。

またシナリオ機能を活用し、10年の歴史の中で溜まっていた失注案件に対して、失注顧客が現在興味を持っていることに合わせたアプローチを行うことで商談を復活させることに繋がっています。

リンク:初のMAツール導入からWEB経由のリード獲得数二桁超えを実現

もっと事例をご覧になりたい方はこちらもお読みください。

リンク:「SATORI」を活用した掘り起こしの成功事例一覧

休眠顧客を育成して営業効率を上げよう

休眠顧客を掘り起こして継続的な売上を実現するためには、そのうち客を育成しながら定期的かつ恒常的に今すぐ客を作り出し続けることが重要です。この記事で紹介した考え方や手法、もしくはMAを活用することで自社の営業効率を上げていきましょう。

なお、MAを活用した顧客育成に関する資料を以下よりダウンロードすることができます。この記事でご紹介した内容を含め、顧客育成に重要な考え方や戦略を一冊にまとめていますのでぜひご覧ください。

この記事が気になる方へ!おすすめの資料はこちら

MAツールではじめる顧客育成

見込み顧客の情報を、活かしきれていますか?
営業活動や展示会で集めた名刺情報や、広告やWebサイトで獲得した顧客情報が、なかなか受注につながらないのは、実は顧客育成に課題があるかもしれません。
マーケティングオートメーション(MA)を活用すれば、見込みの高い顧客を見つけ出し、購買意欲を高める適切なコミュニケーションが可能になります。

マーケティングオートメーションを使って、“一歩先の顧客育成”を実現してみませんか?

よくあるご質問

休眠顧客とは何ですか?

休眠顧客とは、かつては商談や取引等のやり取りを行っていたが現在は活発なやり取りが行われていない見込み顧客や、かつて商品やサービスを利用してくれていたが一定期間購入・利用がない顧客のことを意味します。

休眠顧客に効果的な掘り起こし方法にはどんなものがありますか?

休眠顧客の掘り起こしに効果的なマーケティング施策としては以下の4つが挙げられます。
・メールマーケティング
・インサイドセールスによるアプローチ
・無料セミナーの開催
・リターゲティング広告の配信
詳しくは、「効果的な掘り起こし方法4つ」をご確認ください。

休眠顧客の掘り起こしを行う上で活用できるツールにはどんなものがありますか?

休眠顧客の掘り起こしを行う場合、休眠顧客のリストアップや選別、またそのリストに対するメール施策などのアプローチが必要です。
すべての作業を手作業で行うことも可能ですが、業務負担を減らしつつ効率的に施策を進めるためにはマーケティングオートメーションの活用が有効です。
マーケティングオートメーションについては「マーケティングオートメーション(MA)とは?できること、ツール選定と導入、成功事例」をご確認ください。