情報発信の手段が多様化する一方で、「せっかくWebサイトを訪れてくれたユーザーと、どのようにして継続的につながればいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。そうしたなかで注目を集めているのが、ユーザーとの関係を維持しながら再訪を促す「Webプッシュ通知」です。
ここでは、Webプッシュ通知の仕組みやアプリ通知との違い、主な活用例、メリット・デメリット、効果的に活用するためのポイントまでをわかりやすく解説します。

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Webプッシュ通知とは?

Webプッシュ通知とは、ユーザーの許可を得たうえで、Webブラウザを経由してパソコンやスマートフォンの画面に最新情報やキャンペーン、イベント告知などを配信する機能です。通知を受け取ったユーザーは、メッセージ内のリンクをクリックするだけでWebサイトにアクセスできるため、購買行動の促進やサービス理解の向上につながります。
近年では、アプリを開発せずに導入できる手軽さから、メールマーケティングやSNS運用に次ぐ再訪促進施策の1つとして注目されています。特にオウンドメディアやECサイトでは、「離脱ユーザーへの再アプローチ」や「限定セールの告知」などを目的に活用が進んでおり、デジタルマーケティングにおける重要な手段として注目度が高まっています。
通知が届く仕組み
Webプッシュ通知が実装されたWebサイトにアクセスすると、ブラウザ上に「このサイトからの通知を許可しますか?」というダイアログボックスが表示されます。ユーザーが「許可」を選択すると、ブラウザはそのサイトからの通知受信を許可し、以後そのサイトからの通知を受け取れるようになります。
一方、配信者側は通知内容(タイトル・本文・画像など)を作成し、配信時間や対象ユーザーを設定します。配信ツールなどを利用してデータをブラウザへ送信すると、ユーザーのパソコンやスマートフォンに通知が表示されます。ユーザーがその通知をクリックすると、あらかじめ設定されたリンク先へ誘導される仕組みです。
スマホアプリのプッシュ通知との違い
スマートフォンアプリのプッシュ通知は、アプリをインストールしているユーザーにのみ配信できる仕組みです。一方、Webプッシュ通知はブラウザ上で「通知を許可」するだけで利用でき、アプリをインストールする必要がありません。
両者の主な違いを以下にまとめます。
| 項目 | スマホアプリのプッシュ通知 | Webプッシュ通知 |
|---|---|---|
| 配信対象 | アプリを利用しているユーザー | Webサイトを訪問し、通知を許可したユーザー |
| 制約 | OS(iOS/Android)やアプリストアの制約を受けやすい | Webサイト運営者の判断で自由に配信できるため制約が少ない |
| 導入・運用の手間 | アプリの開発や更新が必要でコストが高い | 導入が容易で、運用コストも低い |
| 通知内容の表現 | 画像や動画、ボタン操作などのリッチな表現が可能 | 画像やボタンなどに制限があるため表現は比較的シンプル |
| 適した活用例 | ブランディング訴求や複雑なメッセージ配信 | 記事更新や商品入荷などのシンプルな情報通知 |
スマートフォンアプリのプッシュ通知は、アプリを利用しているユーザーとの関係を深めたい場合に有効です。一方で、Webプッシュ通知は、即時性が求められるシーンに適しています。目的に応じて使い分けるか、併用することでより高い効果が期待できます。
Webプッシュ通知の主な活用例
Webプッシュ通知は、情報発信や販促、リピート促進などさまざまな目的で活用できます。以下に、代表的な活用例を具体的に紹介します。
| 活用例 | 概要 |
|---|---|
| 新着ニュースのお知らせ | ニュースサイトや情報サイトが速報や重要ニュースを素早く届け、閲覧機会を逃さないようにする |
| 新着記事など更新のお知らせ | オウンドメディアの最新記事をタイムリーに知らせ、リピーターの再訪やPV数の増加を促す |
| キャンペーンやセールの告知 | 限定セールや割引キャンペーンをリアルタイムで配信し、短期間での集客や購買促進につなげる |
| イベントやセミナーの告知 | 開催日時や参加受付をスピーディーに周知し、参加率を高める |
| 新商品や在庫入荷のお知らせ | 人気商品の入荷や新商品のリリースを通知し、購買意欲の高いユーザーを逃さずアプローチする |
| ECサイトのカゴ落ちリマインド | 商品をカートに入れたまま離脱したユーザーに通知を送り、購入完了を後押しする |
| 離脱ユーザーへの再アプローチ | サイトを離脱したユーザーに特典やおすすめ情報を配信し、再訪やCVR(コンバージョン率)の改善を図る |
これらの活用方法に共通しているのは、リアルタイム性と再訪促進効果です。メールやSNS投稿と違い、ユーザーがサイトを閲覧していない状態でも通知を届けられるため、ユーザーの興味・関心が高いタイミングを逃さず行動につなげやすいのが最大の特徴です。
活用するメリット
ここでは、Webプッシュ通知を導入することで得られる主な4つのメリットを紹介します。
1)ユーザーにアプローチする障壁が低い
Webプッシュ通知は、アプリのインストールやメールアドレスの登録といった手間が不要で、ユーザーにとって心理的・操作的なハードルが非常に低い点が特徴です。
また、近年は個人情報の取り扱いがより厳格化していますが、Webプッシュ通知は個人情報を取得せずに配信できるため、情報管理の手間やリスクを抑えられます。そのため、プライバシー意識の高いユーザーにも受け入れられやすく、企業にとっても導入しやすい手法といえるでしょう。
2)他のプッシュ型施策と比べて目に留まりやすい

プッシュ型施策にはポップアップ、メールマガジン、SNSなどがありますが、Webプッシュ通知はそれらと比べて通知が目に留まりやすいという強みがあります。これは、Webプッシュ通知がユーザーの行動に依存せず、直接視認されやすいからです。
一方で、他のプッシュ型施策には次のような制約があります。
- ポップアップ:ユーザーがWebサイトを閲覧している間しか表示されない
- メールマガジン:「メーラーを開く」「件名を読む」「該当メールをクリックする」といった複数のステップを経なければ内容が閲覧されない
- SNS:投稿がタイムライン上に流れる形式のため、ユーザーがアプリを開くタイミングによっては情報が埋もれてしまうことがある
実際にどれほど効果に差があるのか、Webプッシュ通知とメールマガジンのデータを比較してみましょう。
- Webプッシュ通知の平均表示率:35〜60%(※1)
- メールマガジンの平均開封率:39.64%(※2)
なお、Webプッシュ通知の平均表示率とは、通知の配信数に対する閲覧率を指します。このデータからも、Webプッシュ通知は即時性が高く、閲覧率も優れていることがわかります。
出典:
※1 Gravitec.net「15 Must-Know Web Push Notification Statistics」
※2 GetResponse「2024 Email Marketing Benchmarks」
関連記事:
事例で理解!SNSマーケティングとは?具体的な手法と成功のポイント
3)サードパーティーCookieに依存しない
Webサイト上のユーザー行動を追跡するサードパーティーCookieの規制が進むなか、Webプッシュ通知はCookieに依存せずユーザーと接点を持てる数少ない手段です。
従来のようにCookieを用いたリターゲティング広告やトラッキングが難しくなった現在、ユーザーの明示的な許可を得て再度アプローチできるWebプッシュ通知は、プライバシーに配慮した施策として再び注目を集めています。
このように、プライバシー保護の流れが強まる「Cookieレス時代」においても、Webプッシュ通知は企業が継続的に成果を上げるための有効なマーケティング手段といえます。
4)費用対効果が高い
Webプッシュ通知は、導入コストが比較的低く、運用もシンプルな点が大きな特徴です。メール配信や広告運用のようにリスト管理や入稿作業が不要で、ブラウザを通じて簡単に配信を開始できます。
さらに、通知からサイトへの誘導が1クリックで完結するため、CVR(コンバージョン率)が高く、結果としてROI(費用対効果)にも優れています。低コストで始められるうえに成果を実感しやすいことから、企業だけでなく個人でも導入が進んでいます。
デメリットと注意点
Webプッシュ通知は、手軽で効果的な施策である一方で、運用方法によってはユーザー離れやブランドイメージの低下につながるリスクもあります。ここでは、導入前に押さえておきたいデメリットと注意点を紹介します。
1)ユーザーに拒否されるリスクがある
Webプッシュ通知は、ユーザーに直接視認されやすい施策である反面、不要な情報を頻繁に送ると「うるさい」と感じられ、通知を解除される可能性があります。たとえば、興味のないキャンペーンや、毎日のように大量配信を行うと逆効果になることもあります。
このリスクを防ぐには、配信頻度と内容のバランスを意識することが重要です。「週に1〜2回程度」に抑える、あるいは「ユーザーが自ら選択したジャンルの通知のみを受け取れる」ように設計することで、解除率を下げることができます。
2)ユーザーの利用環境により送信できない場合がある
Webプッシュ通知は、ブラウザやOSの仕様に依存するため、すべてのユーザーに確実に届くとは限りません。たとえば、古いバージョンのブラウザでは通知が正しく動作しない場合があるほか、iOSでは特定の条件下でのみ通知が許可されるケースがあります。
また、Webプッシュ通知は基本的に「通知を許可したブラウザや端末」に紐づく仕組みのため、ユーザーがスマートフォンを買い替えたり、別のブラウザに乗り換えたりした場合には通知が届かなくなることもあります。運用時には、主要ブラウザやOSごとの仕様を事前に確認し、配信対象範囲を把握したうえで施策を設計することが重要です。
3)コンテンツ設計の難しさ
Webプッシュ通知は、表示される文字数やデザインに制限があるため、限られたスペースでユーザーの関心を引く工夫が求められます。タイトル(約30文字程度)と本文(約100文字程度)の短い文面で、価値を的確に伝えなければなりません。
そのため、「セール開催中!」といった抽象的な表現ではなく、「本日限定30%OFF|人気アイテムの再入荷のお知らせ」のように具体的かつ行動を促すメッセージを意識することが重要です。
また、表現のトーンを誤ると、過剰広告のような印象を与え、ユーザー離れにつながる恐れがあります。クリエイティブの質とユーザー体験の両立を意識したメッセージ設計こそが、Webプッシュ通知を継続的に活用するための鍵です。
Webプッシュ通知の設定・解除方法
ブラウザや端末の設定によっては、通知が届かない場合や、誤って通知をブロックしてしまうケースがあります。ここでは、通知がうまく届かない場合の設定方法と、受信をやめたい場合の解除方法をそれぞれ解説します。
うまく受信できない場合の設定方法
通知が届かないときは、まずブラウザの通知設定を確認しましょう。Google ChromeやMicrosoft Edge、Safariなどの主要ブラウザには、Webサイトごとに通知を「許可」または「ブロック」に切り替えられる設定項目が用意されています。
【例:Google Chromeの場合】
- 画面右上のメニューアイコン「︙」をクリックし、「設定」を選択
- 左側のメニューから「プライバシーとセキュリティ」を開く
- 「サイトの設定」→「通知」をクリック
- 通知を受け取りたいサイトURLの右側にある「︙」から「許可する」を選択
ブラウザ側の設定を確認しても通知が届かない場合は、セキュリティソフトやOSの通知設定が原因となっている可能性もあります。その際は、端末やセキュリティソフトの通知許可設定も併せて確認してみましょう。
解除方法
通知を受け取りたくない場合は、ブラウザの設定から対象のWebサイトをブロックまたは削除することで、簡単に解除できます。
【例:Google Chromeの場合】
- 上記の設定手順1~3を実行
- 一覧から対象のサイトを見つけ、「削除」または「ブロック」を選択
スマートフォンの場合は、ブラウザの設定だけでなく端末本体の通知設定にも依存します。iPhoneやAndroidの設定画面で「サイトからの通知」をオフにすれば、すべての通知を一括で停止することも可能です。
効果的に活用するためのポイント
Webプッシュ通知を導入するだけでは十分な成果は得られません。重要なのは、ユーザーが「通知を受け取りたい」と感じる設計と、継続的に成果を高める運用です。
ここでは、効果的にWebプッシュ通知を活用するためのポイントを紹介します。
ユーザーが通知を許可しやすい情報を提供する
通知を許可してもらうためには、ユーザーが「どんな情報を受け取れるのか」を明確に理解できることが重要です。そのため、許可を求める際には、ユーザーにとっての具体的なメリットを提示しましょう。
たとえば、次のような文言を添えることで承諾率を高められます。
- 「限定セール情報をいち早く受け取れます」
- 「新着記事や人気特集をすぐにお知らせします」
- 「イベント開催のお知らせをお届けします」
また、通知許可を求めるタイミングも成果を左右する大切な要素です。初回訪問時にすぐ表示するのではなく、ユーザーが一定時間サイトを閲覧した後や、特定ページを閲覧したときに表示するなど、サイトへの信頼や興味が高まった段階で依頼すると効果的です。
適切な頻度とタイミングで配信する
Webプッシュ通知の魅力は即時性にありますが、配信頻度が多すぎるとかえって逆効果になることがあります。一般的に、週1〜2回程度の配信が最も効果的とされています。
また、配信のタイミングも重要です。以下のように、ユーザーの行動や利用時間に合わせて配信することで、閲覧率の向上が期待できます。
- 朝の通勤前や昼休みなど、スマホ操作が増える時間帯
- ECサイトのカゴ落ち後やコンテンツ閲覧直後など、購買意欲や関心が高まるタイミング
- イベント前日やキャンペーン開始時などのリマインドタイミング
このように、「いつ」「どのユーザーに」通知を送るかをデータに基づいて最適化することで、押しつけではなく自然に届くアプローチが可能になります。
パーソナライズされたメッセージを作成する
すべてのユーザーに同じ内容の通知を送ると、興味や関心に合わない情報が増え、ブロック率の上昇につながる恐れがあります。そこで、ユーザー一人ひとりの属性や行動に合わせて内容を最適化するパーソナライズ配信が効果的です。
たとえば、次のような配信方法によってユーザー体験を高められます。
- 閲覧履歴に応じた通知:「あなたが見た記事の続編を公開しました」
- カゴ落ちユーザー向け通知:「カートに残っている商品がセール中です」
- 地域別配信:「福岡限定イベントのご案内」
このように、ユーザーの属性や行動データに基づいたメッセージは、閲覧率やCVR(コンバージョン率)の向上につながります。特にECサイトでは、個別対応型のメッセージ配信が購買完了率を大きく改善する有効な施策となります。
関連記事:パーソナライズとは?仕組み・具体例やメリット、活用方法と事例
ツールを活用して効率的に運用する
Webプッシュ通知を継続的に運用するには、配信ツールの活用が欠かせません。ツールを導入することで、少人数のチームでも運用負荷を抑えつつ、効率的に配信を行い、成果改善のPDCAを回すことができます。
具体的には、Webプッシュ通知専用ツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールを利用することで、次のような機能を簡単に活用できます
- セグメント配信:ユーザー属性や行動データに基づいてターゲットを細分化
- 自動配信:特定の条件をトリガーとして自動的に通知を配信
- ABテスト:文面や配信タイミングを比較・検証
- 配信結果の分析・レポート化:データに基づく改善を支援
特にMAツールを活用すれば、Webサイト訪問後の見込み顧客の行動を可視化できるため、Webプッシュ通知に限らず、他のチャネルでもパーソナライズされた情報発信や効果的なマーケティング施策の展開が可能になります。
関連記事:マーケティングオートメーション(MA)とは?基本とツールの選び方をわかりやすく解説
Webプッシュ通知を活用して成果につなげよう
Webプッシュ通知は、ユーザーとの再接点を増やし、Webサイトへの再訪や購買行動を促す強力なマーケティング施策です。メールやSNSなどに比べてユーザーの目に留まりやすく、Cookieレス時代にも対応できることから、これからのデジタルマーケティングに欠かせない存在といえるでしょう。
効果的に活用するためには、ユーザーの属性や行動に合わせた最適なタイミングとメッセージ設計、そして継続的なデータ分析と改善が欠かせません。その際、MAツールを活用すれば、運用の効率化とパーソナライズ施策の自動化が可能になり、より高い成果を生み出せます。
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