Marketing Blog

2016.07.20

メールマーケティングの基本~シナリオ設計・メール原稿・効果測定~

メールマーケティングの基本

メールマーケティングの基本を学びたい方に、全体をイメージするためのファネル・シナリオを図解し、今すぐ取り組める実践法やメールの種類、KPI設定(開封率・クリック率など)まで幅広く解説します。

メールマーケティングの担当者には、インバウンドから最終目的(成約や資料請求)までのシナリオを設計するスキルと、コミュニケーションのスキルが求められています。
これからメールマーケティング・メルマガを始めたい方、見直したい方は必見です。

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メールマーケティングの基本情報

メールマーケティングでは、自社の商品やサービスに関する情報をお客様に配信し、お客様とより深いコミュニケーションをとっていくことで、商談や購入、資料請求などのビジネス上のゴールを実現することを目標とします。今回は、メールマーケティングの基本として、メールアドレスの獲得方法から、メールを通じたリードナーチャリング(お客様に行動を促す手法)について解説していきます。

関連記事:メールマーケティングとは?効果は?具体的な手法と流れ・コツを紹介

まずはメールアドレスの獲得から

メールアドレス獲得がメールマーケティングの起点です。お客様にメールを届けていくためには、まずはメールアドレスを登録していただく仕組みをつくりましょう。

オンラインから

商品の購入・お問い合わせをいただいたお客様には、メールマガジンを配信する許諾をとりましょう。また、コンテンツマーケティングなどでWebサイトにアクセスを集めているなら、サイト上にメールマガジンの登録用ページをつくって、関心をもった方との接点をつくりましょう。
いずれにしても、メールマガジンを見られるようにしたり、解除方法がわかるようにしたりすることで、安心感を与え、登録を促進しましょう。

オフラインから

オンライン以外で接点のあったお客様にも、メールを配信する手段はあります。代表的なのが名刺です。法人向けビジネスの場合、イベントや営業先などで名刺交換した方のメールアドレスに、メールマガジンを配信するのも有効です。新しく交換した名刺を社内のデータベースに登録する業務フローをつくるとともに、社内に眠っている名刺が無いか探してみましょう。名刺交換したお客様に、各種情報を送らせていただくのであれば、下記のように名刺に記載しておくとよいでしょう。

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メールの種類を知っておこう

続いて、「誰に向けて」「どのようなコンテンツ」のメールを配信するかを具体的に見ていきましょう。

「全員」に向けて

まずは同じ内容のメールを多くの顧客に配信する手法から見ていきましょう。個別のニーズには対応できませんが、ブランディングや認知されるのに役立つコミュニケーション方法です。

■「定期的な情報提供」コンテンツを配信する(通称:定期メルマガ)

登録をしてくれた多くのお客様との関係性を築き、コミュニケーションを深めていく第一歩として、お客様に役立つ情報を定期的に配信するものです。
基本的には、同じ内容を定期的に一斉配信することになりますが、情報提供の内容は自由度が高いため、何かしらの直接的なコンバージョンにつながることはそれほど多くはないかもしれません。そのため、目標設定が難しいという側面があります。
しかしながら登録済みのメールアドレスの存在確認や、お客様の閲覧履歴を把握するためにも定期メルマガは必須の活動となります。
まずはファン作りと思って、読み手の立場を考えながら、お客様に役立つ情報を根気よく配信していきましょう。

「見込み顧客」および「既存顧客」に向けて

次に、「見込み顧客」や「既存顧客」に対して、何かしらの行動を促す(リードナーチャリング)ためのメール配信を見ていきます。必要としている顧客に、必要としている内容を送ることでそれを実現するため、顧客の抽出から、顧客ごとのコンテンツ作成まで、多くの手間を要しますが、とても効果的なコミュニケーション方法です。

■「お客様の行動をサポートする」コンテンツを配信する(通称:ステップメール)

お客様のウェブ上の行動に応じて、そのサポートを行ったり、次のアクションを促したりするために、自動的に連続したメールを配信するものです。
たとえばECサイトから化粧品のトライアルセットを購入すると、以下のように連続してメールが届くことがあります。

  • 3日後:「商品が届いたら、○○をして使ってください」(正しい使い方)
  • 7日後:「1ヶ月使ったら、肌悩みが解消しました!」(お客様の体験談)
  • 14日後: 「△△△という成分が働いているんです」(成分の効果効能)
  • 21日後:「こんな想いで、化粧品をつくりました」(開発者の想い)
  • 28日後:「これからも続けて、使ってみませんか?」(定期コースのご案内)

トライアルセットを購入したお客様に、商品の良さを実感してもらったり、その結果リピートして買ってもらったりするため、自動的にメールで訴求をしているのです。
「21日間感動プログラム」といって、お客様は商品を購入した後に、21日間で3回感動するとファンになる()、といった理論もあり、適度な接触が信頼感や親しみを生み、リピート購入や商談など次のステップに移行してもらいやすくなります。

出典:「もっとあなたの会社が90日で儲かる!―感情マーケティングでお客をトリコにする 」神田昌典(フォレスト出版)

メールを受け取るお客様の立場から見て、「どのようなサポートを必要としているか」「どのようなコンテンツがあれば次の行動を促すことができるか」を考えて、メールの内容を決めていきましょう。

■「お客様に行動を促す」コンテンツを配信する(通称:ターゲティングメール)

お客様に、購買や来場など、自社が求める特定の行動を促すために、特定の条件に合致するセグメントだけを抽出して恣意的に送るメールです。具体的な方法や事例については、「ターゲティングメールの基礎知識と配信方法」も参考にしてみてください。

お客様一人ひとりに合わせた内容を差し込んで送るため、「One to Oneメール」とも呼ばれます。「One to One メール」については、「きちんと開封される魅力的なOne to Oneメールの作り方」も参考にしてください。

<セグメンテーションの例>

  • 時期:誕生月に割引クーポンを発行
  • 住所:セミナーの案内を首都圏居住者に送付
  • 年齢:シニア向けにイベント(体験会)の案内を送付
  • 行動:メールマガジン内の特定リンクをクリックしてくれた方に、より詳しい情報や関連性のある事項を案内

<ターゲティングメールのタイトル例>

  • 「△△△を購入いただいた、○○様に重要なお知らせ」
  • 「ご宿泊した××はいかがでしたか?レビューを書いてください」
  • 「○○様 資料にご不明点はございませんか?無料サポート実施中」

ステップメールと同様、メールを受け取るお客様の立場から見て、「どのようなコンテンツがあれば次の行動を促すことができるか」を考え、メールの内容を決めていきましょう。

「休眠顧客」に向けて

ここ最近「ウェブアクセスが無い」「購買が無い」「メール開封が無い」などのお客様に、再度アプローチをしていく手法も紹介しておきます。

■「お客様に意外な」コンテンツを配信する(通称:休眠発掘メール)

「ウェブアクセスが無い」「メール開封が無い」お客様を「休眠」と定義して、メールを送ります。「アクションの無いお客様」という意味では、ターゲティングメールともいえます。

休眠顧客に対してアクションを促すには、メールのタイトルに気を配るなど、普段とは違った切り口での情報提供が必要になります。

このブログを運営するSATORIでは、休眠顧客として、過去180日間にメールの開封やWebへのアクセスの無かった読者のみを抽出。メールのタイトルから内容まで、普段とは切り口を変えた「ウェブ集客セミナー」の案内を送りました。 その結果、セミナーの申込は即日満員となり、2件の商談、1件の受注を獲得できました。

特にBtoB営業では、この事例のように、休眠顧客へのアプローチとして切り口を新たにすることで、商談につながることがあります。ぜひチャレンジしてみてください。

メールのシナリオ設計について知っておこう

メールアドレスを獲得する方法と、メールの種類を知ったうえで、具体的なシナリオ設計について説明しておきます。

メールを通じてお客様とコミュニケーションを行う目的は、あくまで自社にとって「お客様に行動を促す」ためのものです。その一連の流れをシナリオ設計と読んでいます。

<シナリオの例>

  • 例1

Webサイトで、事例レポートのダウンロードをオファーとして、メールアドレスを獲得。ステップメールやターゲティングメールでセミナーの参加へと誘導。参加した担当者との商談につなげる。

  • 例2

展示会や飛び込み営業などで名刺交換した方のアドレスに、メールマガジンを配信。業種ごとのターゲティングメールで、活用事例を送付。実機のデモの問合せを獲得する。

最終的に、お客様にどのような行動をしてほしいか。
そのためには、どのようなプロセスを踏んでもらえばよいか?
最終目的から逆算してメールマーケティングのシナリオを設計しましょう。

お客様に行動を促す(リードナーチャリング)事例について、メールと電話を併用した「インサイドセールスの成功事例」なども参考にしてください。

メールマーケティングの効果測定

最後に、メールマーケティングの最終目標を達成するための、中間指標(KPI)の考え方に触れておきましょう。

最終目標を確認する

メールマーケティングの最終目標は、商談や購入、資料請求などのビジネス上のゴールを実現することです。
したがって、ステップメールやターゲティングメールなど、直接にアクションを促すメールは、しっかりとKPIを設定して効果を測定していきましょう。

たとえばBtoBサービスの場合なら、資料ダウンロードや名刺交換などで獲得したリストは、ステップメールやターゲティングメールを通じて、問合せや資料請求への移行率が重要なKPIになるはずです。
またBtoC向けの商品の場合、初回購入をしたお客様が2回目以降どの程度リピート購入してもらえるか?を軸に、目標を組み立てるとよいでしょう。

その一方で、メールマガジンによる定期的な情報発信には、このように直接的なKPIを定めない方がよい場合もあります。

なぜなら、購入や資料請求などの直接的なコンバージョンを増やすことを目的にして配信を続けると、セールス色が強い内容ばかりになってしまい、逆にお客様の心が離れてしまうことが多いからです。

直接的なコンバージョンにつながらなくても、有益な情報を繰り返し配信すると、お客様へ知らず知らずに好意が生まれます。これは、心理学の「単純接触効果(ザイオンス効果)」によるものですが、これにより長期的な信頼関係が築かれていきます。

また、Cookieをリフレッシュすること、無効になったメールアドレスを整理することなどで、真にアプローチするべきお客様のリストを見える化することにも役立つでしょう。

中間指標を計測する(開封率、クリック率、コンバージョン)

最終的な目標を達成するためには、配信するメールごとに次のようなKPIを設けるとよいでしょう。

開封率

メールを配信した母数のうち、届いたメールを開封して中身を読んだお客様の割合です。10,000人に配信をして1,000人が開封をしたら、開封率は1,000÷10,000=10%です。あなたも、大量に届いているメールボックスのなかから、開封すらしないメールマガジンもあるでしょう。開封率が20%にも満たないメールマガジンも多いといわれています。配信リストが一定ならば、開封率に短期的に影響を与える項目は、「件名(タイトル)」、「差出人名」、「配信時間」です。思わず読みたくなる魅力的な件名にすること、差出人を企業名ではなく個人名にして「私信風」に見せることなど、PDCAを回しながら工夫していきましょう。 平均的な開封率について、「メルマガの開封率はどれくらい?平均から見るKPI設定について」の記事も参照ください。

クリック率

開封をしたお客様のうち、原稿に載せたリンクのURLをクリックしたお客様の割合です。1000人が開封をして200人がリンクをクリックしたら、クリック率は200÷1,000=20%です。単にメールを眺めてもらうだけでなく、ブログなどの自社ウェブサイトを訪問して能動的に詳しい情報を見てもらう、ランディングページで購入や問合せを検討してもらうなどを目指しましょう。クリック率を高めるためには、リンクを載せる位置と訴求するテキストが重要です。私の経験では、最もクリックされやすいのがメールの最上部、2番目が最下部、最後に真ん中です。URLをクリックしたら、どのような情報が載っているか?を「ちょい出し」して興味を誘ったり、お客様にとってのメリットを明確に示してあげたりすると、クリック率は高まるでしょう。

コンバージョン率

クリックをしたお客様のうち、リンクのURLをたどって購入や問い合わせなど、目標とするアクションを起こしてくれたお客様の割合です。200人がクリックをして20人がアクションを起こしてくれたら、コンバージョン率は20÷200=10%です。コンバージョン率を高めるために重要なのは、ランディングページです。A/Bテストなどで、ランディングページを継続的に改善していきましょう。また、クリック率を高めるために、メール上での訴求の期待値を高めすぎると、逆にコンバージョン率が落ちてしまいます。配信結果を見ながら調整するとよいでしょう。

メールマーケティングの施策を行ううえでは、これらのKPIを確認しながら、PDCAを回していきましょう。
たとえば、メールマガジンの開封率が思うように上がらない場合には、配信の件名や書き出し、配信時間など開封者の分析をしてみると有効でしょう。

思うように数字が上がらない場合は、リストの質に原因がある場合があります。
開封率などを定期的にチェックして、未読のお客様をリストから除外する、名寄せ(重複登録のデータ結合)をするなど、リストの鮮度を保つ努力もしてみてください。

お客様に自社のファンになってもらい、購入や成約などのアクションをとっていただく。 この最終的な目標を達成するために、今回紹介した考え方やKPIも参考にして、一歩ずつ改善をしていただければと思います。

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