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リードナーチャリングとは?重要性と効果的な施策例

リードナーチャリングとは?重要性と効果的な施策例

リードナーチャリングとは、「リード(見込み顧客)」を「ナーチャリング(育成)」する活動のことを指します。しかし、その重要性や具体的な取り組み内容については、十分に理解されていない方も多いかもしれません。

ここでは、リードナーチャリングの概要をはじめ、その重要性が高まっている背景、具体的な手法や効果的な施策、さらに成果を上げた実例までをわかりやすく解説します。

リードナーチャリングとは?

デマンドジェネレーションにおけるリードナーチャリングの位置づけを示した図。顧客の購買意欲を段階的に高めていくためにリードナーチャリングは重要な役割を果たす。

リードナーチャリングとは、自社の製品やサービスに興味を持つ見込み顧客に対して、段階的に購買意欲を高めながら育成していくマーケティング活動です。

この活動は、見込み顧客を獲得・育成・選別していく一連のプロセス「デマンドジェネレーション(※1)」の一環として行われます。見込み顧客は、製品やサービスへの関心度合いによって、次のような検討段階に分けられます。

  • 情報収集をはじめたばかりの段階
  • 他社製品と比較検討している段階
  • すぐにでも導入を検討している段階

リードナーチャリングでは、これらの各段階に応じて、メールやコンテンツなどを通じた情報提供やコミュニケーションを行い、見込み顧客に次の段階へと進んでもらうためのさまざまな施策を実施します。

※1 デマンドジェネレーション(需要創出)とは、営業案件を創出するための一連の活動です。リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの各段階を経て、受注確度が高まった見込み顧客を営業部門へ引き渡すことが目的です。

リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)

リードジェネレーションとは、自社の将来的な顧客となる可能性のある見込み顧客を獲得するための活動です。デマンドジェネレーションの初期段階として位置づけられます。

具体的な手法としては、WebサイトやSNSの運営、広告出稿、展示会への出展、イベント・セミナーの開催などがあり、これらを通じて自社に関心を持つ見込み顧客の個人情報を収集します。

関連記事:【わかりやすい】リードジェネレーションとは?具体的な手法と事例も紹介

リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)

リードクオリフィケーションとは、獲得・育成した見込み顧客のなかから購買意欲の高い見込み顧客を絞り込むための活動です。選別された見込み顧客の情報は、営業部門へと引き渡されます。

具体的には、リードナーチャリングによって育成された見込み顧客に対し、属性や興味・関心、行動内容などに基づいて点数を付与し、その点数を基に購買意欲を評価する「スコアリング」などの手法が用いられます。

関連記事:【わかりやすい】リードクオリフィケーションとは?効果的な手法を紹介!

なぜ、リードナーチャリングが重要なのか?

デマンドジェネレーションを構成する3つの活動はいずれも重要なものですが、近年、特にリードナーチャリングの重要性が高まってきています。
その背景には、以下のような事情があると考えられます。

1) 購買プロセスの長期化・複雑化

BtoB企業の購買プロセスは、社内の複数のステークホルダーが関与し、意思決定に時間がかかることから、もともと複雑で長期化しやすい傾向があります。

近年はインターネットの普及により、担当者が事前に複数の候補企業を比較検討したうえで問い合わせるケースが一般的となり、複数の企業と並行してやり取りを行うことで、購買プロセスの複雑化と長期化がさらに進んでいます。

このような状況下では、見込み顧客の検討段階に応じて適切な情報を提供し、最適なタイミングでアプローチすることが欠かせません。そのため、リードナーチャリングは、特にBtoBマーケティングにおいて重要性を増しているのです。

2) 検討期間を通じたコミュニケーションが必要

リードジェネレーションで獲得した見込み顧客の多くは、「自社サービスを知ったばかり」の段階にあります。この状態でいきなりアプローチしても、購入や契約に結びつく可能性は低いでしょう。

インターネットによる情報収集が一般化したことで、見込み顧客獲得の間口は広がった一方で、獲得時点での購買意欲は相対的に低下しています。

ある調査(※2)によると、企業が獲得する見込み顧客のうち50%は将来的に購入や契約に至る可能性があるものの、多くはその時点では購買意欲が十分に高まっていないとされています。

獲得した見込み顧客のうち50%は将来的に購入する可能性があるが、残りの50%は十分な購入意欲がないことが調査により明らかになっている。

特にBtoB企業では購買プロセスが長期化しやすいため、リードナーチャリングを通じて継続的なコミュニケーションを行い、関係性を構築しておくことが重要です。これにより、見込み顧客の自社商品やサービスに対する理解が深まり、いざ検討フェーズに入った際に自社を思い出してもらえる可能性が高まります。

※2 出典:110 Sales and Marketing Statistics

3) 不要なアプローチは企業担当者に響かない

企業担当者に嫌がられるのは、「今は必要としていない情報の押し売り」です。検討段階に合っていないアプローチは、むしろ将来的に有望な見込み顧客を遠ざけてしまう原因になりかねません。

だからこそ、リードナーチャリングによって担当者の検討状況を把握し、そのタイミングに合った情報を提供することが重要です。適切なアプローチができれば、営業活動の効率を大きく向上させることができます。

リードナーチャリングの手法と効果的な施策

では、実際にはどのような手法でリードナーチャリングを実施すればよいのでしょうか。ここでは、SATORIが行っている実際の施策をご紹介しつつ、具体的なリードナーチャリングの手法について解説します。

1. 目的を明確にする

リードナーチャリングの目的には、「見込み顧客とのタッチポイントを持ち続けること」と「購買意欲を醸成すること」の2つの軸があります。

前者は、見込み顧客の購買意欲が高まるまで定期的に接点を持ち続け、いざというときに自社を思い出してもらえる状態をつくることを意味します。 一方後者は、見込み顧客の課題意識を高め、自社の商品やサービス導入の必要性を感じてもらうように働きかけることです。

リードナーチャリングの施策を考える際は、これら2つのうちどちらを目的としているのかを明確にし、その目的に合ったアプローチを設計することが重要です。

2. チーム体制を構築する

リードナーチャリングを効果的に進めるには、マーケティングチームと営業チームの連携体制を整え、見込み顧客を商談や受注へとスムーズにつなげる仕組みづくりが欠かせません。この連携の橋渡し役を担うのが、インサイドセールスです。

マーケティングチームが獲得した見込み顧客に対して、インサイドセールスが電話やメールなどの非対面チャネルでアプローチを行い、購買意欲が高まった段階で営業チームに引き継ぐことで、商談化の確度とスピードを高めることができます。

関連記事:インサイドセールスとは?特徴やメリット、やるべきことをわかりやすく解説

3. 施策を実践する

リードナーチャリングで実際に成果を上げていくためには、戦略に基づいた具体的な施策を継続的に実行していくことが重要です。ここでは、リードナーチャリング施策のなかでも、特に代表的かつ実践しやすい3つの施策をご紹介します。

  1. 定期的にメルマガを配信する
  2. 見込み顧客のニーズに合わせたセミナーを開催する
  3. Web行動を把握してアクションを促す(Webトラッキング)

1)定期的にメルマガを配信する

見込み顧客に対して定期的にメルマガを配信することは、「見込み顧客とのタッチポイントを持ち続ける」ための有効な施策です。継続的に接点を持つことで、自社の存在を記憶に残し、将来的な商談や受注のきっかけをつくることができます。

特に、ターゲットの関心や検討段階に応じてパーソナライズされた内容を届けることで、情報の価値が高まり、信頼関係の構築にもつながります。

ただし、注意すべき点は、一方的な売り込みにならないようにすることです。商品やサービスの紹介に偏るのではなく、業界の最新動向や役立つノウハウ、ちょっとした豆知識など、読み手にとって有益と感じられるコンテンツを意識的に盛り込むようにしましょう。

関連記事:メルマガとは?配信の基礎知識・効果的な作り方と成功事例

2)見込み顧客のニーズに合わせたセミナーを開催する

見込み顧客の関心や課題に合わせたセミナーの開催は、「見込み顧客とのタッチポイントを持ち続けること」と「購買意欲を醸成すること」の2つの目的に合致する施策です。

特に近年は、オンラインセミナー(ウェビナー)に参加しやすい環境が整ってきたため、業種や業界を問わず、無料ウェビナーの開催は取り組みやすく有効です。

また、見込み顧客の行動データやスコアを活用すれば、最適なタイミングでニーズに合ったセミナーへ誘導できます。たとえば、直近30日以内に料金表や機能紹介、導入事例を閲覧した見込み顧客は購買意欲が高いと判断できるため、商品説明や事例紹介を中心としたセミナーが効果的です。

検討度合いが高い層に向けたオンラインセミナーのイメージ。

関連記事:ウェビナー(Webinar)とは?意味や開催手順、Zoomウェビナーの形式・使い方解説

3)Web行動を把握してアクションを促す(Webトラッキング)

Web上での行動を把握し、適切なタイミングでアクションを促すWebトラッキングも、先述した2つの目的に合致する施策です。

たとえば、一度自社のWebサイトを訪問したものの反応がない見込み顧客には、MAツール(※3)のプッシュ通知機能を活用して再訪を促すことで、資料請求などのコンバージョンにつなげられる可能性があります。

また、資料をすでにダウンロードした見込み顧客には、シナリオメールを通じて関心を深めながら、効率的に次の段階へと導くことができます。

MAツールを活用してプッシュ通知を送信した際のイメージ。

※3 MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、デマンドジェネレーションにおける各プロセスを、効果的かつ効率的に実践するための支援ツールです。見込み顧客情報管理、スコアリング、プッシュ通知、シナリオメール作成などの機能が搭載されています。

関連記事:マーケティングオートメーション(MA)とは?基本とツールの選び方をわかりやすく解説

4. 適切なKPIを設定して各施策を評価する

リードナーチャリング施策を効果的に進めるためには、各施策の目的に対して「何をもって成果とするか」を明確にし、定量的に評価・改善を行う必要があります。

そのために欠かせないのが、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定です。たとえば、これまでに紹介した3つの施策には、以下のようなKPIを設定できます。

施策KPI設定例
メルマガ配信見込み顧客に対して定期的にメルマガを配信し、再コンバージョンを狙う。CVR(コンバージョン率)を15〜20%と仮定し、1配信あたり150件のCVをKPIとする
セミナー開催見込み顧客に対してセミナーを実施。1回あたり50〜100件の申し込み数をKPIとする
WebトラッキングWebサイト上でプッシュ通知を行い、再訪やコンバージョンを狙う。1配信あたり5〜10件のCVをKPIとする

関連記事:KPIとは?指標の設定例や方法

その他のナーチャリング施策例

これまで紹介した施策以外にも、リードナーチャリングにはさまざまな手法があります。以下に、代表的なナーチャリング施策をまとめました。

施策概要
メールマーケティングターゲットの属性や行動履歴に応じた内容でメールを配信し、関心を継続的に喚起。自動化やシナリオ設計により、検討段階に合わせたアプローチが可能
ホワイトペーパー提供専門性の高い情報や業界の課題解決策を資料として提供し、見込み顧客の課題意識や理解を深める。見込み顧客の獲得にも効果的
リターゲティング広告一度自社のWebサイトを訪れたユーザーを対象に広告を配信し、再訪や再検討を促進。広告内容は閲覧履歴に応じて最適化するのが効果的
SNS運用FacebookやInstagram、XなどのSNSを通じて、ブランド認知や関係性を築く。双方向のコミュニケーションが可能で、継続的な接触に適している
オウンドメディア運用ブログやコラム、事例紹介などの自社メディアを活用し、ターゲットが求める情報を提供。中長期的な見込み顧客の獲得と育成が見込める

目的やターゲットの検討段階に応じて、施策を適切に使い分け、組み合わせることで、より効果的なナーチャリングが可能になります。

リードナーチャリングの成功事例

実際にリードナーチャリングを実施し、成果を上げた事例を2つご紹介します。

1)メルマガの配信で案件化率が約4倍に

株式会社NewsTV

総合PR会社として知られる株式会社ベクトルのグループ企業であり、動画広告配信サービス「ビデオリリース」を提供する株式会社NewsTV。同社は毎年130%以上の成長を遂げてきましたが、その一方でマーケティング活動には課題を抱えていました。

営業チームの突破力は強みである一方、見込み顧客の整理や販促活動の効率化などは後回しに。しかし、これらは中長期的な成長を見据えるうえで避けては通れない重要な取り組みであることも認識していました。

そこで同社は、本格的に戦略的なマーケティング活動に取り組むことを決定。まずはMAツールを導入し、顧客とのコミュニケーションの精度向上を図りました。なかでも特に重要視していたのが、メルマガの開封率など、リードナーチャリングに必要な各指標の可視化です。

MAツールの導入に併せて、2名体制でマーケティングチームを構築。見込み顧客リストを整備し、メルマガ施策を展開した結果、ナーチャリングを通じて案件化率は従来の約4倍にまで向上しました。

リンク:マーケティング組織の本格立ち上げと同時に「SATORI」を導入。顧客ナーチャリングで案件化率は約4倍に!

2)ウェビナー施策に注力し、高確度のリード件数が1年で2倍以上に

株式会社アスマーク

オンラインで調査対象者を募集する、オンラインリクルーティングのパイオニアである株式会社アスマーク。同社は営業力の強さを背景に、これまではマーケティング施策に大きく注力せずとも事業を拡大してきました。

しかし、営業活動だけでは限界があると感じ始め、データを活用したマーケティングへの転換を決意。顧客情報の蓄積・分析、そしてそれらのデータを施策に活用するため、SFAツールとMAツールを導入しました。

もともと自社開発の顧客管理ツールを保有していたことから、3つのツール間でのデータ連携が必要となり、システム面だけでなく社内体制や運用ルールの見直しも行いました。

その結果、MAツール上で必要な情報を一元的に確認できるようになり、施策の効果検証から改善へのスピードが大幅に向上。定量的な成果としては、リードナーチャリングの進捗を測定できるようになり、アプローチ可能な見込み顧客数は約1年で2倍以上に増加しました。

リンク:高確度のリード件数が1年で2倍以上に!MA活用で顧客管理からウェビナー施策までを成功させた裏側

MAツールを使ってリードナーチャリングを快適に

MAツールを活用したリードナーチャリングは見込み顧客との長期的な関係構築を通じ購買意欲を高めていくことが可能になる。

リードナーチャリングは、単なるフォローアップではなく、見込み顧客との長期的な関係構築を通じて、購買意欲を高めていくための戦略的な取り組みです。特に、購買プロセスが複雑化・長期化する現代のBtoBマーケティングにおいて、その重要性はますます高まっています。

メルマガ配信、セミナー開催、Webトラッキングなど、さまざまな手法を組み合わせながら、見込み顧客の検討段階に応じたアプローチを実践していくには、継続的かつ適切なタイミングでの情報提供が不可欠です。

自社の取り扱う商品やサービス、ターゲット層の性質に応じて、適切なリードナーチャリング手法を設計してみましょう。

なお、先述したように、MAツールを活用することでこうした施策をより効果的かつ効率的に実践することが可能です。弊社が提供するMAツール「SATORI」については、下記の資料で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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