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ChatGPTをマーケティング分野で活用する16の方法&プロンプト例

ChatGPTは2022年11月に公開されて以来、マーケティング業界でも大きな話題となっています。自然言語生成の技術を活用することで、コンテンツや広告コピーの作成、マーケティングリサーチなどの効率化が実現しました。

2023年には、さらに進化した有料版のChatGPT-4が登場。無料版のChatGPT-3.5よりも高度な理解能力と生成能力を備えており、より複雑な対話やタスクに対応できます。また、画像を理解する機能が追加され、テキストだけでなく画像を含む質問にも回答できるようになりました。

筆者もChatGPT-4を契約していますが、周りのマーケティング担当者を見渡してみても、多くの方が利用しているという印象です。

ただし、「文章やコンテンツを生成する」という意味での活用は可能ですが、戦略設計やコンテンツそのものを人の手を介さずに完成させることは難しいです。プロンプトの書き方や生成後の調整などは利用者の能力や創造性に依存します。筆者もまだまだ研究中の段階ですが、今回はChatGPTを使い始めたばかりのマーケティング担当者の方に向けて、今すぐ使えるプロンプトと使い方の例をご紹介します。

ChatGPTはマーケティングで使えるの?

「マーケティングのような難しい業務でChatGPTは使えるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、結論からいうと「かなり」使えます。

以下のような活用事例をよく見かけます。

  • ペルソナの氏名・プロフィール(テキスト生成)
  • カスタマージャーニーの行動・思考・感情の作成(テキスト生成)
  • Webページの構成作成(テキスト生成)
  • マーケティング分析(テキスト生成)
  • 市場調査(テキスト生成)
  • 競合調査(テキスト生成)
  • スライド・資料のイメージ作成(画像生成)
  • 広告文の作成(テキスト生成)
  • SNSの投稿コンテンツの作成(テキスト・画像生成)

この一覧を見ただけでも、マーケティングで活用できるイメージがついたのではないでしょうか。以下で、無料版のChatGPT-3.5と有料版のChatGPT-4の比較をしてみました。

特徴ChatGPT-3.5 (無料版)ChatGPT-4 (有料版)
基本技術GPT-3.5をベースGPT-4をベース
回答の品質高品質だが、GPT-4に比べると限定的GPT-3.5よりも進化したアルゴリズムにより、より洗練された回答
多様性と理解力優れた一般知識を持つが複雑な理解には制限ありより高度な理解と複雑な問いへの回答能力
画像に対する理解非対応対応(画像を含む質問に回答可能)
更新頻度定期的なアップデートはあるが、先進的な機能追加は限定的最新の技術や機能が先行して提供される
カスタマイズ性標準的な会話機能に限定高度なカスタマイズやプラグイン機能にアクセス可能
利用可能なAPI利用可能(ただし、利用量や頻度に制限あり)利用可能(より高いレートリミットや専用のAPIアクセス)
価格無料有料(プラン・契約によって異なる)
Plusプラン: 月額$20

実はこの比較表は、ChatGPT-4が生成したコンテンツに、筆者が一部加筆修正したものです。かなり正確でわかりやすくまとめられているのではないでしょうか?

両者の一番大きな差は画像生成への対応です。回答の品質については、GPT-4の方が圧倒的に高度であるといわれていますが、筆者個人の使用感から申し上げると、大きな差は感じられません。まずは無料版のChatGPT-3.5から導入し、活用に慣れてきたら有料版のChatGPT-4へアップグレードすることをおすすめします。

利用においての注意点

さまざまなシーンで活用できるChatGPTですが、注意していただきたい点がいくつかあります。

1)最新の情報ではない

ChatGPTは、特定の時点までのデータでトレーニングされています。そのため、最新の情報や出来事については知らないか、または正確でない情報を提供する可能性があります。

2)情報漏えいのリスクがある

入力した情報は学習データとして使用されることがあるため、敏感な内容を入力することは避けるべきです。機密情報の入力はしないでください。

3)信ぴょう性の確認が必要

生成される情報や回答は、時折正確ではないことがあります。情報の正確性や信ぴょう性を検証するために、複数の信頼できる情報源を参照することが重要です。

ChatGPTは常に改善・アップデートが行われています。時には予期しない回答や不適切な内容を生成することもありますが、フィードバックを通じて成長を促してあげましょう。

4)ガイドラインに抵触する内容は回答をもらえない

ChatGPTは、どのような質問や依頼にも対応できるわけではありません。OpenAIは、安全で責任あるAIの使用を奨励しており、一部のトピックに対しては回答を制限するか、回答を避けるようにしています。性的・差別的な内容の生成など、不適切な利用はできなくなっています。

ただし、これらは機械的な判断になるので、問題のなさそうな質問に対しても「回答できません」と出力される場合もあります。

これら4つの注意点を踏まえながら、ChatGPTを十分に活用していきましょう。ここからはマーケティング業務における具体的な使い方やプロンプト・生成例をご紹介していきます。なお、以下の回答はすべてChatGPT-4で出力しています。

※掲載しているアウトプットの例は、2024年4月時点のものになります。

1.マーケティングリサーチ・戦略企画立案・分析

ChatGPTは、マーケティングリサーチや戦略企画立案、分析の領域でも力を発揮します。大量のデータを持っているため、調査結果を示したり、戦略的なアイデアを提示したりすることはむしろ得意であるといえます。満点の回答を求めず、アイデアを提示してくれる相談役というイメージで使ってみてください。

マーケティングリサーチの基本については、関連記事もご確認ください。

関連記事:【基本】マーケティングリサーチ(市場調査)とは?調査方法と手順

     マーケティング戦略とは?立案の手順・わかりやすい事例解説

1-1)競合調査

事業の戦略設計のために必要な競合調査。自社の強み・他社の強みを分析する際に、このようなプロンプトで依頼してみましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTでの競合調査のアウトプット例

ポイントは、視点(自分の立場=「SATORI」の担当者)、項目例(強み、実績)、アウトプット形式(表組)を伝えることです。依頼どおりに国産ツールが選ばれていることにも驚きますね。

1-2)市場のSTP分析

業界の基本的な状況把握として活用できるSTP分析。詳細な要望がない場合は、このようにシンプルなプロンプトでも、簡潔でわかりやすいアウトプットが示されます。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる市場のSTP分析のアウトプット例

一般的な回答ではありますが、特にターゲットごとの課題はマーケティングオートメーション業界の状況を正確に捉えた内容となっています。

関連記事:STP分析とは?わかること・やり方とマーケティングでの活用事例

1-3)ペルソナ作成

マーケティング施策でターゲットを具体化するためのペルソナ。人物像は頭の中にあっても、氏名やプロフィール、背景などの書き起こしは手間のかかる作業です。設定項目を伝えることで、詳細の設定はChatGPTが考えてくれます。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるペルソナ作成のアウトプット例

このように写真付きで生成してくれます。

イメージと違う場合は、一部の項目を具体的に伝えましょう。ペルソナの年齢やポジションを伝えると想定に近い文章が生成されやすくなります。

関連記事:【入門編】マーケティングの「ペルソナ」とは?作り方と例・無料テンプレート

1-4)カスタマージャーニーマップ作成

顧客が商品やサービスと出会い、成約へ至るまでの道筋を可視化するためのカスタマージャーニーマップ。ペルソナに沿ったフェーズやタッチポイント、思考や行動を書き起こす作業を効率化できます。ペルソナ設定は、先ほど出力したものを使います。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるカスタマージャーニーマップのアウトプット例

表組の縦横は守ってもらえませんでしたが、縦横を変換してそのままベースとして書き換えて使えそうな品質です。

関連記事:カスタマージャーニーマップとは?基本と正しい作り方(事例・テンプレート付き)

2.コンテンツマーケティング・コンテンツ制作

コンテンツマーケティングとは、コンテンツを介して潜在顧客、見込み顧客、顧客とコミュニケーションをとり、サービスを知ってもらい好きになってもらうための施策。コンテンツの制作が欠かせない業務となっています。

コンテンツ制作はChatGPTの得意分野ですので、アイデア出しからコンテンツのベースの作成など多くの活用方法があります。

関連記事:コンテンツマーケティングとは?手法・強み・成功事例をわかりやすく解説

2-1)コンテンツのテーマ案作成

オウンドメディアを立ち上げる際に、どのようなテーマでコンテンツを充実させるべきか、白紙の状態から想起するのが難しいと感じることがあります。そのようなときは、自社のサービス概要を伝えて、テーマ案のアイデアを提示してもらいましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるコンテンツのテーマ案作成のアウトプット例

現在「SATORIマーケティングブログ」で対応しているテーマも多く含まれていて、品質の高さを感じます。含まれていないテーマもあり、とても参考になりました。

2-2)読者のインサイト調査

コンテンツの構成を考えるとき、読者ペルソナと自分の立場が違い過ぎて、インサイトの調査に手間取ることはありませんか?そのようなときは、このようなプロンプトでアイデアを提示してもらいましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる読者のインサイト調査のアウトプット例

背景として、すでにマーケティングオートメーションツールを導入済みであることを提示するなど、かなりレベルの高い回答です。指定する検索キーワードに関するコンテンツが多く存在する場合は高品質な回答を得られますが、ニッチビジネスの場合はさらに漠然とした回答になる傾向があります。

2-3)リード文の作成

コンテンツの本編に入るまでのリード文も、ラフ案を提示してもらい書き直すことで効率化できます。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるリード文の作成のアウトプット例①

ChatGPTは、テーマや構成など「伝えるべきこと」が決まっている文章の作成は巧妙です。以下のように、自分で作成したリード文を添削してもらう方法もおすすめです。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるリード文の作成のアウトプット例②

2-4)構成案(見出し)の作成

コンテンツの構成案のベースを作成してもらうことも可能です。そのまま利用すると競合他社のコンテンツと類似してしまう可能性が高いので、参考にしつつオリジナル要素も入れて活用しましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる構成案(見出し)の作成のアウトプット例

既視感のある構成ではありますが、検索意図に応えるコンテンツ構成になっています。アイデアとして活用しつつ、オリジナル要素を追加してファイナライズしましょう。

2-5)アイキャッチ画像の作成

画像素材サイトを探してもイメージどおりの画像を探し出せず、多くの時間を費やしてしまったことはありませんか?そのようなときは、イメージに近い画像を生成してもらうことが可能です。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるアイキャッチ画像の作成のアウトプット例

このままトリミングだけして「SATORIマーケティングブログ」で使えそうな画像が生成されて大満足です。画像の種類やトンマナなどを伝えると、より自分のイメージに近いアイキャッチを作成することが可能です。

ChatGPTで生成された画像は、規約などを遵守していれば、利用者はあらゆる目的で使用できます。ただし、ChatGPTが既存の著作物を模倣または参照して画像を生成している場合もあるため、生成した画像を使用する際は著作権侵害にならないよう注意が必要です。

もし、より安全に画像を使用したい場合は、学習データが著作権に配慮されている「Adobe Firefly」など、別のAI画像生成サービスの利用を推奨します。

2-6)公式の情報やデータの調査

序章の課題提起などで使いたいグラフや数字の提示で、根拠データを探すのに苦労したことはありませんか?ChatGPTを使って探してもらうことも可能です。数年前のデータが提示されることもあるので注意が必要ですが、試す価値はあります。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる公式の情報やデータの調査のアウトプット例

出典元も提示されていますが、2021年の矢野経済研究所発表のデータを利用しており、少し古いことが気になります。やはり最新の情報の提供という意味では活用が困難ですが、最新の情報を探す糸口になることもあります。

3.SEO

対策キーワードの選定や、HTMLの最適化など、SEO業務の一部もChatGPTの活用が可能です。

関連記事:SEOとは?基本と初めにやるべき具体策5つをわかりやすく解説

3-1)検索キーワードのグルーピング

調査した検索キーワードを意図ごとにグルーピングすることで、対策キーワードの選定に役立ちます。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる検索キーワードのグルーピングのアウトプット例

Webページの振り分けイメージがつきやすいアウトプットが提示されました。参考になりそうです。

3-2)Titleタグ・Descriptionの作成

ページごとにユニークにする必要があるTitleタグとDescriptionの作成は手間のかかる作業です。サイトマップを渡すことで、生成してもらうことが可能です。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるTitleタグ・Descriptionの作成のアウトプット例

3-3)構造化データの作成

構造化データでマークアップしたいけれど、スクリプトの書き方がわからない方はChatGPTに参考例を提示してもらい、必要事項を埋め込み完成させることが可能です。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる構造化データの作成のアウトプット例

ダミーとなっている内容は、前の依頼に沿っていることが興味深いです。

4.広告・SNS運用

広告やSNS運用においてもテキストを作成する業務が多く存在するため、ChatGPTを使ったアイデア出しが効果的です。

4-1)LPのメインキャッチコピー作成

LP(ランディングページ)のメインキャッチはCV(コンバージョン)を左右する重要なテキストです。複数のアイデアを提示してもらい、組み合わせて活用しましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるLPのメインキャッチコピー作成のアウトプット例

関連記事:ランディングページ(LP)とは?わかりやすい基礎知識と作り方・注意点

4-2)広告文作成

リスティング広告やSNS広告に出稿する際の広告文もChatGPTを使って作成することが可能です。複数の案を提示してもらい、編集して利用しましょう。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによる広告文作成のアウトプット例

製品名を記載しながら、Google広告のタイトル最大文字数:30文字、ディスクリプション最大文字数:90文字に沿った形式で生成されています。

4-3)SNS投稿文作成

FacebookやX(旧:Twitter)など、複数のSNSで情報を発信する作業も効率化することが可能です。

プロンプト例:

アウトプット例:

ChatGPTによるSNS投稿文作成のアウトプット例 facebook
ChatGPTによるSNS投稿文作成のアウトプット例 Instagram

Instagramではハッシュタグも考慮して提示されていました。素晴らしいですね。

関連記事:事例で理解!SNSマーケティングとは?具体的な手法と成功のポイント

以上、合計16個のプロンプト・使い方を紹介しました。実際にChatGPTを使用する際、期待どおりの回答が得られない場合や、回答のニュアンスを変更したい場合があるかもしれません。そのようなときは、プロンプトを追加で提示し、微修正を依頼することで、自分が望む回答を引き出すことがポイントです。

これらを参考にして、マーケティング活動でChatGPTを活用していきましょう。

ChatGPTを活用してマーケティングを加速させよう

マーケティングの手法や施策、それらに関わる業務は日々進化しています。ChatGPTのようなAI技術を活用することは、自社の競争力を高めるために不可欠です。今回挙げたプロンプト例やアイデアが、あなたのマーケティング戦略をさらに加速させる一助となれば幸いです。

ChatGPTなどの生成AIを使いこなすうえで、各種マーケティング施策の基礎知識は欠かせません。基本を改めて学びたい方は、以下の「マーケティングの教科書」をぜひご活用ください。

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