顧客や会員に向けた情報配信に用いられるメルマガ(メールマガジン)。その内容はお知らせやコンテンツ、クーポンなどのお得な情報など多岐にわたります。そのほかに有料メルマガもあり、こちらはメルマガそのものがサービス・商品として配信されます。
メルマガといっても、配信方法や形式には種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるため、十分に理解したうえでの選択が大切です。ここではメルマガの基礎知識について確認しながら、活用するメリットやデメリット、実際の配信方法、成功事例などを詳しく解説します。
メルマガとは
メルマガは「メールマガジン」の略で、企業などが顧客や会員に対して一斉配信するメールのことです。主に読者にとって役立つコンテンツ、またクーポンなどのお得な情報が盛り込まれ、メールマーケティングの手法の一つとして活用されています。
しかし、メルマガは時代遅れの手法といわれることもあります。その理由には、コミュニケーション手段が多様化したことが挙げられるでしょう。チャットツールやSNSなどの誕生から、メールはコミュニケーションや情報発信の中心ではなくなりました。
とはいえ、現在もメルマガ配信を継続し、成果をあげている企業は少なくありません。正しく運用すれば、メルマガは効果的な施策の一つであるといえます。
メルマガの役割と目的
価値ある情報をメルマガとして提供することで見込み顧客や顧客との接点とコミュニケーションをつくります。また、その情報に価値を感じてもらえれば、自社への信頼性を高めることにも繋がるでしょう。
また、最新情報やキャンペーンなどを知らせて、メルマガ内に設置したWebサイトやSNS等のリンク先へ遷移してもらったり、イベントへの応募を獲得したりすることも可能です。あるいはトレンドや業界情報等を配信し、これについて相手の理解を深めることで、自社のサービス・商品への興味を引き出します。
メリット・デメリット
メルマガは低コストで運用でき、定期的な情報配信を通じて顧客との関係を深めたり、顧客の購買意欲を高めることができます。特に、見込み顧客に対して企業側から積極的にアプローチするプッシュ型施策に有効な手段です。
一方、開封してもらえなかったり、迷惑メールと認識されてしまったりすることもあるので、配信のタイミングや件名、メール本文で工夫しながら開封率やクリック率、メルマガ解除率を分析しながら運用しましょう。
メリット | デメリット |
|
|
有料メルマガと無料メルマガの違い
有料メルマガとは、読者が料金を払うことで受信できるメルマガです。読者だけしか得られない貴重性の高いノウハウや情報が配信されるなど、メルマガ自体に価値があります。そして、売上目的だけではなく、メール発信によるファンとのコミュニケーション・関係性を深めるために運用されるケースも多いです。
一方、無料メルマガの購読には費用が発生しません。有料メルマガとは異なり、主に見込み顧客の獲得や育成などマーケティング戦略の一部として活用されます。
メルマガの配信方法と注意点
メルマガ配信は、メルマガ配信システムやMAツールなどを用いたりする方法が主流です。
配信方法
メルマガの具体的な配信方法には、以下のようなものが挙げられます。
メルマガ配信システム | あらかじめ登録したメールアドレス宛に、システム上からメルマガを一斉配信できるシステム。 具体的な機能はシステムによって異なるが、例えば予約配信や効果測定なども行える。 |
MAツール | マーケティングを自動化するMAツールにはメール配信機能が備わっており、これを用いることでメルマガの配信が可能。 Webでの行動履歴によるセグメントやターゲティング、Web接客などの機能も備わっており、メルマガと合わせてOne To One施策を実施できるのが魅力。 |
メールソフトでのBCC送信 | 通常使用しているメーラーから、複数のメールアドレス宛に一斉配信が可能。 受信者には、各送信先のメールアドレスは公開されない。別途システムを導入する必要がなく、もっとも手軽な手段。 |
メルマガの配信先が少なく、まずは手軽に取り組みたい場合にはメールソフトでのBCC送信が良いでしょう。ただし、誤ってTOやCCに配信先のメールアドレスを入力してしまうと、情報漏洩のリスクがあるので注意が必要です。また、配信先の環境によってはスパムとして扱われ、相手に読んでもらえない可能性もあります。
一方、ある程度の頻度・数でメルマガを配信し、開封率などの効果測定も行いたいなら、メール配信ツールの活用が良いかもしれません。専門的な知識を必要とせず、配信におけるミスなども発生しにくくなります。
メルマガの効果を最大化させたいのであれば、MAツールが適するでしょう。MAツールはシステム内の顧客情報にもとづき、各顧客に合わせたメルマガの配信が行えます。もちろん開封率のほか、メルマガ内のリンクをクリックした後の行動まで細かな効果測定が可能です。
形式
メルマガには、「テキストメール」と「HTML」という2つの形式があります。それぞれの特徴を理解し、自社の目的等に合った形式を選びましょう。
テキストメール | テキストのみを使用でき、画像や動画、デザイン書式、ハイパーリンク等は使用できない。 メルマガ内に記載されたURLが直接相手に見えてしまうデメリットがあるが、ファイルサイズが小さいため環境を選ばず受信しやすい点がメリット。 |
HTMLメール | 画像や動画、デザイン書式などが使用できる。視覚的に訴えやすく、ハイパーリンクによって相手にURLを直接見せずに設置することが可能。 ただし、相手の環境によって表示されなかったり、表示まで時間を要したりすることがある。 |
テキストメールとHTMLメールを比較すると、視覚的により強く訴求したり、配信後の効果測定を行ったりする際にはHTMLメールが適しています。ただし、送信相手の受信環境によっては、表示崩れなどの問題が発生する場合がある点に注意してください。
担当者からセミナーやイベント等の案内を行う場合は、テキストメールが良いでしょう。HTMLメールだと、受信者が広告だと認識して開封してもらえないかもしれません。また、環境を選ばずに受信できるので、必ず相手に届けられます。
一方、見込み顧客などへ一斉配信するメルマガなら、訴求力の強いHTMLが適しています。効果測定を行えれば、その結果から改善を重ね、さらに有効なメルマガの配信施策を検討することも可能です。
注意点
メルマガ配信では、「同意を得ていない人への配信を行ってはいけない」「配信停止できる機能を用意しておく」など法律で定められたルールがあります。特定電子メール法や個人情報保護法への理解も重要です。配信を始める前にしっかり学んでおきましょう。
特定電子メール法:https://www.dekyo.or.jp/soudan/contents/taisaku/1-2.html
個人情報保護法:https://www.ppc.go.jp/personalinfo/
メルマガ配信の流れと効果的な作り方
メルマガは、まず以下図のように企画し、作成・配信します。また、配信して終わりではなく、効果測定を行って必要に応じた改善にも取り組みましょう。
ステップ1. 企画
メルマガによってターゲットの態度変容や関係構築を目指すなら、「誰に」「いつ」「何のために」送るのかが成功の鍵になります。
もちろん配信内容は大切ですが、どれだけ有用な内容でも、送るタイミングを間違えば読んでもらえません。また、関係性の深まっていない相手にいきなりサービスや商品に関する内容を送れば、メルマガの購読を解除されてしまう可能性もあります。
ステップ2. 作成
件名のつけ方
メルマガのタイトルは、開封率に大きく影響します。文字数は30文字前後で簡潔に、すぐメルマガの内容が理解できるように作成しましょう。4Uの原則に従い、適切なキーワードを含めることで読み手の関心を捉えやすくなります。
詳しいテクニックは下記記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
参考記事:【サンプル付き】メルマガ件名のテクニックを知って開封率UP!
内容の書き方
メルマガの本文には、もっとも訴求したいコンテンツを1つ用意します。もし他にも訴求したいものがあれば、優先順位を付けてサブコンテンツとして設置するようにしましょう。何もかも盛り込んだ長い文章では、最後まで読んでもらえません。内容を絞り込めば、メルマガへの理解度が高まります。
大切なのは、読者側の視点を持って作成することです。これが、メルマガを読んでもらえるかどうかの明暗を分けます。場合により、作成したメルマガを客観的に読み直してみるのも良いでしょう。メルマガの構成や書き方などは、以下記事でも詳しく解説しておりますので参考にしてください。
装飾(デザイン)の使い方
メルマガの装飾には、メルマガ全体を読みやすくしたり、「かわいい」などの印象を与えたりする効果があります。そのため、開封率やその後のクリック率を高めることに繋がるでしょう。
以下記事でテンプレートをご用意していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
参考記事:今すぐ使えるメルマガ装飾テンプレートと開封率・クリック率を上げるポイント
ステップ3. 配信
配信方法やメールの形式を決め、メルマガを配信します。配信対象に応じた送信タイミングや頻度を決めて配信するようにしましょう。
配信の前には、メールのプレビューとテストを行い、レイアウト、リンク、スペルなどにミスがないかを確認しておくのが大切です。
ステップ4. 評価
以下の点を指標として、メルマガの効果を分析・評価します。
- 開封率:メルマガがどれくらい開封されたか
- クリック率:開封後、メルマガ内に設置されたリンクがどれくらいクリックされたか
特に開封率は、メルマガ配信における重要なKPIです。「開封数÷メール到達数×100%」で算出され、平均20%程度が目安といわれています。そのため、これを下回る場合には、タイトル等の見直しが必要となるでしょう。
参考記事:メルマガの開封率はどれくらい?平均から見るKPI設定について
メルマガ運用の成功事例
セグメントメールでメルマガ経由でのサイト訪問件数が 1.5倍以上増
株式会社ビッグビート様
デジタルマーケティングの強化に向けたMAツールとして「SATORI」を導入し、主催イベントの集客施策としてメルマガ配信を実施。収集データを分析して実名見込み顧客をセグメントし、それぞれの興味に応じたメルマガを配信しました。その結果、メルマガ経由でイベント特設サイトへ訪問した件数が1.5倍以上も増加した事例です。
事例記事はこちら: https://satori.marketing/case/bigbeat/
「SATORI」でのメルマガ戦略で、営業の確度と効率が各段にアップ
株式会社リトル・ママ様
営業スタイルの改善に向けて「SATORI」を導入。新しい資料や情報リリース、事例の紹介などを中心に営業メルマガを配信しています。資料のダウンロードやリンクのクリックなどリアクションがあった企業もリスト化し、確度に応じて営業担当者へ振り分けることで営業効率が向上しました。また、エリア別のメルマガ配信も実施し、それぞれ情報を変えることで、読者からの反応も高まっています。
事例記事はこちら: https://satori.marketing/case/little-mama/
メルマガ配信・メールマーケティングならマーケティングオートメーション
メールを使ったコミュニケーションは、一斉メルマガ以外にも存在します。ターゲットを絞って特別なメールを送る「ターゲティング(セグメント)メール」や、シナリオどおりに複数回メールを送る「ステップメール」、メルマガやWebサイトでの行動に合わせて自動送信される「リターゲティングメール」などがあります。
メルマガ配信やメールマーケティングには、MAツールがとても有効です。メルマガのみならず、活用次第ではWebマーケティングの全般的な効率化に繋がります。MAツールの導入にご興味があれば、ぜひ下記記事もご覧ください。
関連記事:マーケティングオートメーション(MA)で何ができるの?基本と機能・導入をわかりやすく解説
この記事が気になる方へ!おすすめの資料はこちら
ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事。大学在学中に人材ベンチャーでRA/CAとして勤務し、新卒で医療系人材会社に就職。RAとして主に医薬品業界を担当し、トップセールスを達成した後に営業企画職を兼務。Webマーケティングに従事し、その後はITサービスの新規事業にも携わる。IT系企業に営業企画職として転職し、数値分析および戦略立案を担う。その後にナレッジ・リンクスとして独立し、約3年後に事業を法人化。多くのフリーライターとパートナーシップを構築し、幅広いコンテンツ制作を担う。個人でもライターや編集者として、主にスポーツ・ビジネス関連の分野で活動する。その他、ランニングクラブ運営やメディア編集長など。趣味はマラソン、4人の子を持つ大家族フリーランス。