マーケティング戦略を事例から解説~無印良品、スタジオアリスの事例~

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マーケティング戦略の基本的な考え方・フレームワークについて、無印良品、スタジオアリスのマーケティング戦略事例を交えて解説します。

マーケティング戦略

詳細は後述しますが、マーケティング戦略とは、STP(セグメンテーション・ターゲッティング・ポジショニング)により、顧客が誰か、自社や自社製品を顧客にどのようにみてもらいたいかを明確に定めるとともに、マーケティングミックス(4P)により、顧客に対し、どのような価値(製品)をどれくらいの対価(価格)でどのように(流通チャネル)提供していくか、自社や自社製品と、どのように関係を構築(プロモーション)していくかの計画を建てることです。

このようなマーケティング戦略の基本的な考え方について、まずは分かりやすい事例として、無印良品のSTP、4Pについての分析から、マーケティング戦略の流れ・基本を理解しましょう。

マーケティング戦略 ‐ 無印良品(良品計画)の事例

インターネット・ソーシャルメディアを駆使し、O2O(オンライン・ツー・オフライ ン)戦略においても成功をおさめる無印良品は、1980年、西友のプライベート・ブランドとしてスタートしたブランドです。その後1989年には(株)良品計画が設立され、1990年に西友から営業権の譲渡を受けて独自のブランドとして発展してきました[1]

マーケティング戦略

【STP(セグメンテーション・ターゲッティング・ポジショニング)】

無印良品(良品計画)は、最初の情報発信であった「わけあって、安い」に よって表されるように、1980年の発足当初から一貫して生活の合理性を求める消費者をターゲットとして、シンプルなライフスタイルを提案するブランド・ ポジショニングを志向しており、実際に、従来の商品企画からは少し外れているものの、商品の自然そのままの良さ、シンプルなデザイン提案など、消費者に とっての本質的な価値の実現に注力する姿勢が生活の合理性と結び付けられ、消費者の支持を獲得してきました。

【マーケティングミックス(4P)】

無印のマーケティング戦略は、製品開発の3つのコンセプトから読み解く

製品開発(プロダクト)は、発足当初から一貫して「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つのコンセプトを大切にしています[2]「素材の選択」とは、品質は変わらないが見栄えのために捨てられていたものや、業務用の素材などを用い、素材の本質を消費者ニーズに合致させて商品開発を進めるという視点であり、「工程の点検」商品本来の質に関係のない無駄な作業を省いて必要な工程だけで商品開発を進めることを指しています。また、「包装の簡略化」とは、シンプルなものづくりと同時に資源を無駄にせず、ごみを減らすといった視点から、無駄な包装はなるべく避けてコストをさげるという開発コンセプトです。

こ れらのコンセプトの実現にあたっては、同社が設立した「くらしの良品研究所」やtwitter、Facebookなどのソーシャルメディアを通じて、顧客 に製品の使用状況や現状不満を尋ねたり、意見や具体的なアイデアを募り、顧客の投票結果をもとに商品開発を進めていくなど、新商品開発や既存商品の点検、 消費者との協働により製品を育てていくなどの取組もなされています。

プロモーション戦略

また、プロモーション戦略上は、これら3つのコンセプトが、製品パッケージや店頭のプロモーションのなかでも明確に示されることでターゲット顧客への訴求や、ブランド・ポジショニングの強化にもつなげているほか、オウンドメディアである「くらしの良品研究所」やtwitter、Facebookなどのソーシャルメディア、2013年5月から提供を開始したスマホアプリ「MUJI passport」など、多彩なコミュニケーションチャネルを、製品開発に加えて暮らし方スタイルの提案や、社会的な時勢に合った身近なテーマについての発信など、ブランドの維持や顧客との関係強化にむけた緊密なコミュニケーションの窓口として活用しています。

特 に「MUJI passport」の展開は、Webで商品を検索した時間、店舗に訪れた時間、購入後使用する時間、感想を投稿する時間など、顧客が無印良品に接するすべ てを表す「顧客時間」を増やすための施策として位置づけられており、「MUJI passport」で生成されるデータは、ウェブや実店舗での履歴を紐づけられ、顧客のニーズや購買行動の分析を通じて商品戦略の見直しや実店舗での売上 向上に向けた施策を通じて顧客満足度の向上やブランドロイヤルティの向上に寄与しています。

自社に留まらない流通チャネル戦略

流通チャネル戦略の面では、直営、フランチャイズによる店舗のほか、全国のファミリーマートやJR東日本リテールネットが運営する「無印良品 com KIOSK」などへの商品供給、「無印良品ネットストア」など、販売チャネルは多岐にわたっています。

無印良品のマーケティング戦略において重要な価格戦略

一方、価格戦略の面では、上記の製品開発コンセプトにより、コストに基づく価格設定でも結果的に価格優位性が保たれることも多いと考えられます。相対的には、価格戦略よりも製品戦略や流通チャネル戦略、プロモーション戦略に力を注いでいるように見受けられます。

【無印良品のマーケティング戦略に関する分析】

Facebook やTwitter、オウンドメディア「くらしの良品研究所」の運営など多岐に亘ってインターネットでのプロモーション活動を行っている無印良品は、ビッグ データの活用で、「顧客時間」の質的・量的な高まりと、その結果としての顧客満足度やブランドロイヤルティの向上を目指しています。

同社の 製品開発は、顧客との緊密なコミュニケーションを通じて進められ、開発の過程が共有されることで顧客価値や価格の妥当性の裏づけとして機能しています。これらの取組は、同社がターゲットとする、生活の合理性を追求する顧客とともに、「合理的でシンプルなライフスタイル」という価値を共創していくプロセスの 実現につながっています。

また、「MUJI passport」の展開により、実店舗やウェブ、ソーシャルメディア、オウンドメディアである「くらしの良品研究所」などあらゆる顧客接点における顧客 体験が一元管理できるようになったことは、マーケティングミックスの不整合を防ぎ、顧客価値の向上やブランドの強化にもつながっていくのではないでしょう か。

このように、無印良品ではマーケティング戦略の立案・実行に際し、まずは「シンプルなライフスタイルを志向する消費者」にターゲットを絞った上で、彼らに支持されるように4Pをバランスよく考慮していることがよくわかります。次の章では、一旦事例を離れてマーケティング戦略の基本的な流れを解説していきます。

マーケティング戦略の基本

マーケティング戦略とは、顧客志向を基本理念としてマーケティング目標達成のため、自社のもつ様々な資源を活用して「誰に」「何を」「どのように」売っていくかを決めることです。より具体的には市場を何らかの軸で細分化し(セグメンテーション)、標的市場(ターゲット)を定めて自社のポジショニングを明確にした上でマーケティング・ミックス(4P)を決めることといえるでしょう。

マーケティング戦略

 以下では、マーケティング戦略のステップにそって、それぞれの要点について概略を解説します。[3]

【市場細分化(セグメンテーション)】

現代では、消費者のニーズは多様化しているため、1つの製品ですべての消費者に満足してもらうことは困難です。多様な消費者に満足してもらうためには、市場を一つの塊として捉えるのではなく、複数のセグメントからなる集合体として捉え、それぞれのセグメントに対して適切な製品・サービスを提供することが不可欠です。このように、市場を何らかの軸で細分化し、共通するニーズを持つグループに分割することを市場細分化(セグメンテーション)といいます。

市場細分化(セグメンテーション)は、地理的変数や人口統計的変数、サイコグラフィック変数、行動変数の4つに分類される細分化変数を用いて行われます。

【標的市場の設定(ターゲッティング)】

市場を細分化した後は、個々のセグメントについて評価した上で、標的市場(ターゲット)を定めることになります。

この標的市場の決定には、以下に示すとおり無差別型、差別型、集中型の3つの考え方があります。

(1)無差別型
セグメント間の違いを無視(セグメント間に共通する市場ニーズに注目)して共通の製品やサービスを提供
(2)差別型
複数のセグメントをとりあげ、それぞれのセグメントがもつニーズに応じて異なる製品やサービスを提供
(3)集中型
1つもしくは少数のセグメントをとりあげ、そのセグメントにおけるニーズに対応するために経営資源を集中

このうち、(1)無差別型は、マス・マーケティングの典型的な考え方であり、効率のよいマーケティングが展開できるという利点があるものの、前述のとおり、消費者のニーズが多様化しているなかでは、こうした手法が有効に機能することはほとんどないと考えてよいでしょう。

顧客の好み(ニーズ)が一様ではなく、セグメントごとに異なることを前提とすれば、(2)差別型は理にかなっています。しかし、それぞれのセグメントに個別に対応することは、それだけ多くのコストを要することから、コスト効率については慎重な検討が必要ですし、経営資源が豊富な企業でなければ、実行は困難であるものと思われます。

(3)集中型では、特定のセグメントのみに対応することから多くの消費者を満足させることはできないものの、限られたセグメントのなかでは、消費者の好みや特性を十分に理解し、対応していくことで、そのセグメント内では高いシェアが獲得できるなど、効率のよいマーケティングが展開できる可能性があります。経営資源が限られている企業に適したマーケティングといえるでしょう。

【ポジショニング】

ポジショニングとは、見込み客のマインド(心)のなかに、ブランドをどのように位置づけたらよいのか、という課題です。ターゲットとすべき市場セグメントが決定されたら、そのセグメントにおいて占めるべき位置を明確化しなければなりません。こうしたブランドのポジションは、競合関係にある他のブランドと顧客が比較することで抱く知覚や感覚により規定される相対的なものであり、顧客のマインド(心)に対する一連の働きかけにより形作られるものですから、企業側からの働きかけがなければ、顧客は思い思いに勝手にブランドをポジショニングしてしまい、独自の特徴をもつことができず、強いブランドの構築に結びつかなくなってしまいます。

有効なポジショニングを実現するためには、

  1. 「重要性」
  2. 「独自性」
  3. 「優越性」

という3つの条件を満たす必要があるとされています。

自社ブランドのポジショニングを確立し、強いブランドを構築するためには、多くの顧客が重要と考える条件を満たし、他のブランドにはない独自の特徴を有していたり、同じ基準で比較した場合に他のブランドよりも優れている状態を維持することが求められるといえるでしょう。

一般に、後述するマーケティングミックスを展開する前にSTPすなわち、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングを決定しておくことが求められます。これは、どのようなターゲットセグメントを想定するかにより、ポジショニングは異なりますし、ターゲット顧客の特性や目指すポジショニングにより、以降に示す4つのマーケティング要素の最適な組み合わせが変わるためです。

【マーケティングミックス(4P)】

STPを決定した後には、標的市場において目標とした成果を実現するために、企業がコントロール可能なマーケティング要素である「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」の4つのPを適切に組み合わせていきます。このような4Pの適切な組み合わせの検討をマーケティングミックスといいます。

4Pの各要素は、それぞれに計画される場合も少なくありませんが、マーケティング戦略上、重要なのは、2つの意味での適合性(フィット)です。第一には、標的市場(顧客)のニーズや行動とマーケティングミックスの各要素との適合性です。企業は対象顧客に適合するような製品戦略、価格戦略、広告・販売促進戦略、流通チャネル戦略を計画・実行しなければなりません。第二に、マーケティングミックスの4要素間の適合性です。製品コンセプトやポジショニングと矛盾するような価格設定や広告・販促、チャネル選択を行っていては、大きな成果は期待できないでしょう。

【実行・分析】

STPと適切なマーケティングミックスを検討し、実行に移しても、必ずしもマーケティング目標が確実に達成できるとは限りません。ターゲットを見誤ったり、ポジショニングに失敗することや、マーケティングミックスの不整合といった、戦略の誤りだけでなく、競合する業界内の他社や、自社の製品・サービスを脅かす存在となる代替品の出現などによる競争環境の変化によりポジショニングがずれてしまったり、消費者のニーズや行動、ライフスタイルの変化によってマーケティングミックスに不整合が生じることも起こりえます。

マーケティング目標の達成に向けては、マーケティングミックスの諸要素それぞれについてKPIを定め、マーケティング戦略の実行後も随時モニタリングしていくとともに、ポジショニングや、セグメンテーション、ターゲッティングについても、定期的に確認し、結果に応じて戦略の見直しや軌道修正をしていく必要があるでしょう。なお、既存製品のポジショニングを変更する意思決定はリポジショニングと呼ばれ、苦境に陥っているブランドの再活性化や低迷しているブランドの躍進を狙って用いられることが多くなっています。

このように、マーケティング戦略においては市場調査(マーケティングリサーチ)から始まり、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)、マーケティングミックス・・・というステップで実行されます。それではもう1つ、スタジオアリスを事例としてとりあげ、そのマーケティング戦略について概略を示すとともに、成功要因について分析を試みます。

マーケティング戦略 ‐ スタジオアリスの事例

「写真館」といえば古臭いイメージですが、それを「フォトスタジオ」と新しいイメージで成功している「スタジオアリス」は、もともとは商業写真事業とともに、写真を現像するDPE店を経営する企業でした[4]。1992年に「こども写真」に特化した写真館をオープンしたのを皮切りに、急速に店舗数を拡大してきた同社は、少子化時代において「子どもと家族の写真館」として新しいビジネスモデルを確立し、現在では国内474店舗(2014年12月期)のほか、海外にも進出しています。

マーケティング戦略

【STP(セグメンテーション・ターゲッティング・ポジショニング)】

総務省統計局の経済センサスによれば、写真業を営む事業所(写真館、フォトスタジオ等)は1991年には全国に19,604軒あったものが、2012年(H24)には10,579軒と、15年間に9,000軒以上減少しています[5]。このようななかで、店舗数を拡大してきたスタジオアリスは、従来、「(結婚や出産などの)ライフイベント時に自前の晴れ着で畏まって記念写真を撮影する場所」というポジショニングであった写真館とは一線を画し、子どもをもつ親や祖父母にターゲットを絞り込み、「子どもの成長の節目に気軽に楽しく記念写真を撮影する場所」として、ポジショニングしました。

また、このようなポジショニングを実現するため、マーケティングミックスにおいても様々な工夫をしています。

【マーケティングミックス】

写真館の商品は「記念写真」ですが、スタジオアリスでは、子どもの「記念写真」を中核として、顧客が「記念写真」を購入するまでに付随する様々なプロセス(体験)を商品としています。

具体的には、多彩な衣装をスタジオ側が用意し、その場で着付けもできるようにすることで、普段着で来店して、その場で衣装を選んだり、何着も衣装を替えて撮影できるなど、従来、必要であった自分で晴れ着を用意しなければならない、コストや精神的負担を取り除くとともに、「衣装選び」という新しい価値を提供しています。また、女性スタッフがおもちゃやぬいぐるみで子どもをあやしながら、数十枚もの写真を撮影し、その場で確認しながらプリントするものを選択する「フォトセレクトシステム」により、顧客は大量に撮影された子どもの画像のなかから、気に入った画像を選択するというプロセスを体験することも、従来の写真館にはない、新しい価値となっています。

スタジオアリスのマーケティング戦略は、価格設定にある

価格戦略では、衣装のレンタルや化粧などの料金は定額の撮影料に含めており、写真1枚あたりの価格を提示してプリントする写真の枚数に応じた価格設定とすることで、費用に関する精神的負担の軽減につなげています。

ターゲットのライフスタイルに沿って練られた流通チャネル戦略

流通チャネル戦略では、主として大型商業施設内に出店しており、店舗デザインは外から店内が見える明るいものとし、若い女性スタッフ中心の配置や、おもちゃやぬいぐるみをおくことで、子ども連れで気軽に立ち寄れるようにしています。

また、最寄りの店舗の所在や予約状況の確認、撮影予約はウェブでできるようになっているほか、産前のマタニティから産後のお宮参りや百日祝い(お食い初め)、誕生日、七五三などの節目ごとの撮影を推奨し、実際に撮影に訪れた顧客には次の節目での撮影無料券や祖父母との記念撮影の優待券を配布することで、継続的に顧客との接点を確保する取り組みも行われています。

このほか、顧客向けのウェブ総合サービスである「アリスeスマイル」では、スタジオアリスで撮影した写真のウェブ注文や顧客自身が撮影したデジタルカメラの画像保存・プリント注文の受付、SNS等での写真の共有をウェブやスマホアプリ上で可能にするなど、店舗以外での顧客接点の多様化も進めています。

また、近年では、すみだ水族館などアミューズメント施設でのスタジオ開設や、ショッピングセンターなどの催事での出張撮影サービス、歌舞伎写真館などの取り組みや、過去にスタジオアリスで写真を撮影した子どもたちが成人し、家族形成期を迎えつつあることを背景としたブライダルフォトを中心とした大人向け写真館事業や赤ちゃん専門写真館など、従来の「こども写真」を離れた事業を新機軸として打ち出すなど、さらなる成長にむけた取り組みも進めています。

プロモーション戦略はオウンドメディアxアーンドメディアに注力

プロモーション戦略では、マス広告も行っていますが、前述の、「アリスeスマイル」では「わが家の晴れの日」、「撮っておきの1枚投稿」といった参加型のコンテンツを用意し、ウェブやスマホアプリを通じた参加を促したり、撮影に訪れた顧客に対する次回来店を促すクーポンを配布しています。また、FacebookやLINE、Twitterなどのソーシャルメディアではキャンペーン情報などの広告や写真の撮り方のポイントといった情報を発信しています。このほか、前述のマタニティ撮影は、顧客との継続的な関係を構築するきっかけとして重要な機会となることから、マタニティセミナーを導線として参加を促し、その際撮影した写真は出産後のお宮参りと百日祝い(お食い初め)の写真を入れられるよう2枚分のスペースを空けた「Baby Shower Book」という台紙に入れてプレゼントしています。

このように、プロモーションにおいては、既存顧客との関係の強化や、ママ友同士の口コミを誘発するような仕組みといった、オウンドメディアとアーンドメディアの組み合わせに、より注力しているように見受けられます。

【スタジオアリスのマーケティング戦略に関する分析】

スタジオアリスでは、伝統的な「写真館」とは明確にポジショニングを分け、ターゲットである子どもをもつ親や祖父母に対し、子どもの成長の節目節目に、気軽で楽しい記念写真の撮影という体験を提供し続けています。このような取り組みは、顧客との長期的な関係の構築・維持が欠かせないことから、マーケティングミックスにおいても、既存顧客との継続的なコミュニケーションに向けて、クーポンの配布や産前のマタニティから成人式、祖父母の長寿祝いなど子どもと家族の節目ごとに記念写真を撮影することの推奨、オウンドメディアやアーンドメディアを利用した顧客接点の多様化など、様々な取り組みも進めています。これらの取り組みから得られる情報は、実店舗での売上動向と紐づけられ、積極的なプロモーションや、バリエーション豊かな衣装・サービスの継続的な投入など、実店舗を活性化させるマーケティング施策の検討にも用いられているようです。

前述の大人向け写真館事業や歌舞伎写真館などは「スタジオアリス」とは異なるブランドで打ち出していることは、同社が「スタジオアリス」ブランドのポジショニングやブランド価値について深く理解している証左であるとも考えられます。

少子化がつづくなか、独自のポジショニングでブランドを確立してきた同社の取り組みには、マーケティング上の示唆が豊富に含まれているといえるでしょう。

[1] 出所:同社ウェブサイト(http://ryohin-keikaku.jp/)

[2] 参考文献:西川・本條(2011)「多様性のマネジメント~無印良品のクラウドソーシング~」『マーケティングジャーナル』Vol.30 No.3、増田・恩蔵(2011)「顧客参加型の商品開発」『マーケティングジャーナル』Vol.31 No.2

[3] 参考文献:(社)日本マーケティング協会「ベーシック・マーケティング」同文館出版

[4] 出所:同社ウェブサイト(http://www.studio-alice.co.jp/)による

[5] 1991年は事業所統計調査。事業所統計調査と経済センサスでは調査手法が異なるため、厳密な比較ではない点には注意が必要です

執筆者情報
名前 井上 智紀(いのうえともき)
所属企業 ニッセイ基礎研究所
プロフィール 生活研究部 准主任研究員

・1995年:財団法人生命保険文化センター 入社
・2003年:筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻修了(経営学)
・2004年:株式会社ニッセイ基礎研究所社会研究部門 入社
・2006年~:同 生活研究部門
・東洋大学経営学部(2006年度~)非常勤講師
・山梨大学生命環境学部(2010年~)非常勤講師

所属学会
・日本マーケティング・サイエンス学会
・日本消費者行動研究学会
・日本ダイレクトマーケティング学会
・生活経済学会
・日本保険学会
・生命保険経営学会
・ビジネスモデル学会

 
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