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2024.03.07

BtoBマーケティングとは?戦略立案の基本・成功事例

BtoBマーケティングとは?戦略立案の基本・成功事例

インターネットやスマホの普及、コロナ禍におけるデジタル化の加速などを受け、BtoBビジネスの顧客獲得・維持活動は従来の対面営業型から、Webを中心としたBtoBマーケティング活動と営業活動とを組み合わせた「統合型の活動」にシフトしています。

この記事では、BtoBマーケティングに関する基礎知識から、戦略立案の方法や具体的な手法、成功事例など、BtoBマーケティングの全体像について分かりやすくご紹介します。

これからBtoBマーケティングに取り組みたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

BtoBマーケティングとは?

BtoB(Business to Business)マーケティングとは、企業が企業に対して商品やサービスを提供する形のビジネスモデルを前提として行われるマーケティング活動のことです。

BtoBビジネスにおける顧客獲得・維持活動は、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を背景に、従来の営業単独型から分業型へと変遷しています。

従来の営業プロセスとこれからの営業プロセスの違いのイメージ

営業単独型は、営業担当者がテレアポなどにより顧客企業との接点を作り、足しげく訪問することで信頼関係を築いて商談に持ち込むスタイルです。一方で分業型は、マーケティング部門がリード(見込み顧客)の獲得・育成を担当し、インサイドセールス部門でリードの絞り込みを行った上で、受注確度の高いリードに営業担当者がアプローチするという具合に、営業プロセスを複数の部門で分業するスタイルです。

BtoBビジネスとBtoCビジネスの違い

法人顧客を対象とするBtoBビジネスは、一般消費者をターゲットにするBtoC(Business to Consumer)のビジネスとはさまざまな点で異なります。大まかな違いを見てみましょう。

BtoBビジネスBtoCビジネス
顧客法人・組織一般消費者
顧客数少ない多い
取引単価高額なものが多い低額~高額
取引回数少ない多い
購入決定者法人・組織内の決裁権限者購入者本人
購入検討期間長期に渡る短期間
購入動機組織の利益・投資個人の利益・満足(ウォンツ)

BtoCビジネスは、基本的に一般消費者を対象とするため、ターゲットである消費者一人ひとりの購買意欲をいかにして高めるかがポイントとなります。

一方、BtoBビジネスは企業やNPO、官公庁などの法人・組織を対象とします。商材やサービスによって違いはあるものの、一般的には一度の購買活動に利害の異なる複数の人間が関わり、かつ検討期間も数ヶ月~数年と長期に渡ることが多いです。

このため、顧客の組織内の購買プロセスを把握し、どのタイミングで誰に対してどのようなアプローチをすべきなのかを正しく見極めた上で、マーケティング施策を実施する必要があります。

BtoBマーケティングの流れ

分業型のBtoBマーケティングの一般的な流れは下図のとおりです。

BtoBマーケティングの流れのイメージ

1.リード獲得(リードジェネレーション)

自社の顧客となる可能性があると定めたターゲット層との接点を作り、電話番号やメールアドレスなどの個人情報を開示してもらうようアプローチすることでリード(見込み顧客)を獲得します。

リードを獲得するための手法はさまざまありますが、WebサイトやSNSの運営、広告出稿、展示会出展、セミナー開催といった手法が挙げられます。

関連記事:【わかりやすい】リードジェネレーションとは?具体的な手法と事例も紹介

2.リード育成(リードナーチャリング)

獲得したリードには、自社の製品やサービスをすぐに購入してくれそうな「今すぐ客」と、すぐに購入してくれる見込みはないが将来的に購入してくれる可能性のある「そのうち客」が混在しています。この「そのうち客」に対して、有益な情報やコンテンツを定期的に提供することで「今すぐ客」に育成していくのがリードナーチャリングです。

「そのうち客」の属性や現状の課題、検討度合いにあわせてメールや電話、セミナー(ウェビナー)、コンテンツの配信を行うことで、関係性を築きながら購買意欲を高めていきます。

関連記事:リードナーチャリングとは?基本の手法と成功事例

3.リード発掘(リードクオリフィケーション)

獲得・育成したリードの絞り込みを行い、商談・受注の確度が高いリードを抽出します。抽出したリードをリスト化して営業部門に提供することで、営業は確度の高いリードに優先的に注力できるため、効果的かつ効率的な営業活動を行うことができるようになります。

リードクオリフィケーションでは、リードの属性や興味・関心、行動に応じて点数(スコア)を付与し、このスコアを基準としてリードの購買意欲の度合いを判断する「スコアリング」という手法を用いるのが一般的です。

関連記事:【わかりやすい】リードクオリフィケーションとは?効果的な手法を紹介!

スコアリングとは?リードスコアリングの仕組みと手法・考え方

4.商談・受注

商談・受注の確度が高いリードに対して、営業が直接的なコミュニケーションや商談を開始し、受注へつなげていきます。

また、サブスクリプション型のビジネスモデルの場合は、受注の獲得に加えて継続的に利用してもらうことが重要となります。そのために、自社の製品やサービスを通じて顧客が成功できるよう支援するカスタマーサクセス部門を設けるのが一般的です。

関連記事:カスタマーサクセスとは?役割・仕事内容、CS(サポート)との違い

BtoBマーケティングの戦略立案と進め方

BtoBマーケティングの実践は、「環境分析」「戦略立案」「施策の実施と改善」の3つのステップに分けることができます。実際にBtoBマーケティングを始める場合の進め方について見ていきましょう。

1.環境分析

環境分析とは、自社を取り巻く内部・外部の経営環境を分析することで、「3C分析」と「SWOT分析」というフレームワークを活用して行います。

まず3C分析を活用して、市場動向や顧客ニーズ、自社と競合の強み・弱み、市場における自社の立ち位置・優位性を明確にします。

BtoBマーケティングに役立つ3C分析のイメージ

次に、3C分析で集めた事実や情報を基に、SWOT分析を活用して自社の内部環境にある「強み」「弱み」、外部環境にある「機会」「脅威」の4要素を掛け合わせて分析することで、自社の戦略の方向性を探っていきます。

BtoBマーケティングに役立つSWOT分析のイメージ

関連記事:マーケティングの3C分析とは?目的・やり方と実践例(テンプレート付き)

2.戦略立案

環境分析で得た結果を基に、「STP分析」というフレームワークを活用して自社の戦略を策定していきます。STP分析はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順で進めます。

まずは、顧客の属性や購買行動などの特性に基づいて市場を細分化し、その中から狙うべき市場を定め、最後にターゲット市場における自社と競合の位置づけを決める流れです。

BtoBマーケティングに役立つSTP分析のイメージ

ただし、セグメンテーションを適切に行うには、かなりの量の調査と分析が必要です。リソース的な問題でセグメンテーションを行うのが難しい場合や精度に自信がない場合は、ペルソナやカスタマージャーニーマップも活用しましょう。

関連記事:

【図解】セグメンテーションの概念とは?ターゲティングとの違いや分類例を解説!

【入門編】マーケティングの「ペルソナ」とは?作り方と例・無料テンプレート

カスタマージャーニーマップとは?基本と正しい作り方(事例・テンプレート付き)

3.施策の実施と改善

STP分析で定めたターゲット市場において成果を出すためには、4Pと呼ばれるマーケティング要素「製品」「価格」「流通」「プロモーション」を適切に組み合わせながら、具体的なマーケティング施策を検討するのが重要です。

BtoBマーケティングに役立つ4P分析のイメージ

そして、次章で解説するマーケティング手法を用いながら、集客→リード獲得→リード育成→リード発掘→商談・受注へとつなげていきます

施策の実施後には、施策の効果をモニタリングしながら、必要に応じた改善が必要です。特に、リード獲得はマーケティングにおける重要なコンバージョン(CV)ポイントの一つとなるため、優先的に改善していきましょう。さらに、定期的に戦略の見直しを行うことで、継続的に成果を上げることが可能となります。

関連記事:マーケティング の4P・4Cとは?戦略を事例でわかりやすく解説します

なお、BtoBマーケティングの戦略立案と進め方については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にされてください。

関連記事:マーケティング戦略とは?立案の手順・わかりやすい事例解説

BtoBマーケティングの手法一覧

次に、BtoBマーケティングの具体的な手法について見ていきましょう。BtoBマーケティングの手法はオフライン施策とオンライン施策に大きく分類することができます。

BtoBマーケティングの手法のイメージ

オフラインの施策

オフラインの施策は、原則としてインターネットを使用しないで展開されるマーケティング施策で、以下のような手法があります。

  • 展示会や見本市への出展
  • テレビCM
  • 新聞・雑誌などへの広告出稿
  • 交通広告
  • ダイレクトメール
  • デジタルサイネージ
  • 展示会などでのVR・ARの活用

オンラインの施策

一方、オンラインの施策はインターネット上で展開されるマーケティング施策で、主に以下のような手法があります。

  • Webサイト運用
  • Web広告
  • SEO(検索エンジン最適化)
  • SNSマーケティング
  • コンテンツマーケティング・オウンドメディア
  • メールマーケティング
  • マーケティングオートメーション(MA)
  • 動画マーケティング
  • アプリマーケティング

ITやデジタルの力を活用したマーケティング手法を「デジタルマーケティング」と呼びますが、
オンラインの施策で用いられる手法は、基本的にすべてがデジタルマーケティングの手法だと言っても間違いではありません。

関連記事:【わかりやすい】デジタルマーケティングとは?基礎と手法を事例付きで解説!

参考にしたい3つの成功事例

ここで、これからBtoBマーケティングに取り組まれる方に参考にしていただきたい3つの成功事例をご紹介します。

株式会社ジェイアール東日本企画(MA/Web接客)

株式会社ジェイアール東日本企画様

JR東日本グループの企業として広告主が抱えるマーケティングの課題解決に向き合っているジェイアール東日本企画は、新型コロナウイルスの感染拡大による対面の営業機会の激減に対処すべく、Web上での顧客接点拡大を目指して「オンライン営業局編集部」を新設。そして、インバウンドマーケティングを目的とした無料オンライン相談サービス「キクコト」を立ち上げました。

「キクコト」は新規で作ったプラットフォームということもあり、「キクコト」で相談を受けるほとんどの方が匿名状態である懸念があったため、匿名の来訪者にもアプローチし、その後のリード獲得につなげていくアンノウンマーケティングが可能なMAツール「SATORI」を導入しました。

具体的には「SATORI」のお問い合わせフォーム設置、ポップアップの出し分け機能を活用し、「キクコト」のリリースから約1年で、100社以上のオンライン相談と、2.5倍のリード獲得(オンライン相談、資料請求、メール相談、セミナー等)を実現しています。

株式会社ジェイアール東日本企画の事例はこちら:0からのスタートで100社以上のオンライン相談を実施!コロナ禍で自社インバウンドマーケティングを始めたjekiの「SATORI」活用術

プラス株式会社(MA/メルマガ/ウェビナー)

プラス株式会社様

文具・事務用品メーカーとして有名なプラス株式会社の一事業であるジョインテックスカンパニーは、企業や官公庁、工場、介護施設、学校など、さまざまな業種のお客様にオフィス用品を提供するための中間流通事業を展開しています。

ジョインテックスカンパニーでは、エンドユーザーのデジタル化による商談機会の損失や、新型コロナウイルスの感染拡大による対面の営業機会の減少、テレワークの浸透によるオフィス用品の大幅な需要減少の3つの課題を抱えていました。

そこで、デジタルマーケティングを活用してこれらの課題を解決すべく、MAツール「SATORI」を導入することになりました。「SATORI」の導入後はメルマガとウェビナー施策を実施し、20〜30%の高いメルマガ開封率や、累計360名のウェビナー参加者のうち自社で設定したコンバージョンを31件獲得するなどの成果を上げています。

プラス株式会社の事例はこちら:手厚い導入サポートで、未経験でもデジタルマーケティングを実現!アフターコロナを見据えた事業変革の裏側

SATORI株式会社(MA/オウンドメディア)

SATORIマーケティングブログのイメージ

MAツール「SATORI」の開発・販売を手掛けるSATORIでは、オウンドメディアである「SATORIマーケティングブログ」にマーケティングの基礎知識やマーケティングオートメーションに関するノウハウ記事を定期的に投稿して見込み顧客の獲得に取り組んでいます。

オウンドメディアを訪問した見込み顧客はホワイトペーパーや資料のダウンロード、セミナー・イベントなどに案内し、MAツール「SATORI」を活用して適切なタイミングと内容でコンテンツをお届けしています。スコアリングによりリードを「そのうち客」と「今すぐ客」とに分類し、分類にあわせたアプローチを展開しています。

BtoBマーケティングを成功させるポイント

最後に、BtoBマーケティングを成功させる上でぜひとも押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。

1. 分業化と関連部門間の連携

本記事冒頭でも触れたように、BtoBの顧客獲得・維持活動においては営業プロセスの分業化、及び組織内における横の連携が重要なポイントとなります。

自社の組織構造・体制を踏まえて営業プロセスを見直し、営業、マーケティング、カスタマーサクセスなど関係部門が一丸となって活動できる体制を構築しましょう。

2. データを用いた状況の可視化

BtoBマーケティングのPDCAを効率的に回していく上では、リードの状況や施策の実施結果といったデータを整備し、数値化・可視化して関係者間で共有することが大切です。

MAやSFA、CRMといったツールを活用してデータを蓄積・整備し、ツールに備わるダッシュボード機能などを用いて「必要なときにすぐデータを確認できる」という状態を整えましょう。

関連記事:B2Bマーケティングにおける目標達成・業績評価指標(KGI/KPI)の活用を考える

3. 施策実施タイミングの最適化

複数のステークホルダーが関与し、かつ検討から購入・導入までが長期化しがちなBtoBマーケティングにおいては、どのタイミングで誰に対してどんな施策を打つのかによって結果に違いが出てきます。

適切なタイミングでアプローチをかけていく上では、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。リードナーチャリングを効果的に行うためには、顧客の属性や興味関心、検討度合い、行動履歴などの情報を把握しておくことが大切です。

MAツールを活用することでこうした情報を統合的に管理し、必要なタイミングで自動的に施策を打つことが可能となります。

関連記事:マーケティングオートメーション(MA)で何ができるの?基本と機能・導入をわかりやすく解説

まずは情報収集と顧客理解から始めよう!

以上、BtoBマーケティングの流れや進め方、具体的な手法、成功事例について紹介しましたが、初めてBtoBマーケティングに取り組む方にはハードルが高いと感じられるかもしれません。

自社だけでマーケティング戦略を練り上げたり、体制構築について検討したりするのが困難な場合は、マーケティング支援を専門とする企業に委託するのも一つの方法ですが、まずはBtoBマーケティングに関するセミナーなどに参加し、情報収集から初めてみるのがおすすめです。

SATORIでもさまざまなセミナー・イベントを開催していますので、ぜひお気軽にご参加ください。

SATORI:セミナー・イベント紹介ページ

また、BtoBマーケティングにおいては顧客のビジネス環境や抱えている課題を理解することが非常に重要です。深い顧客理解を基にした戦略と時流に合った手法をうまく組み合わせていけば、徐々に自社ならではの「型」を作り上げていくことができるでしょう。

昨今ではMAツールを活用したオンラインでのナーチャリングがBtoBマーケティングの要と考えられていますが、そのほかにもさまざまなマーケティング手法があります。下記の資料で最新のBtoBマーケティング戦略をご紹介していますので、ぜひあわせてご一読ください。

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