Webサイトの成果を最大化するために欠かせないのがアクセス解析です。しかし、「アクセス解析が重要なのは理解しているが、データの見方がわからない」「どの部分を改善すればよいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アクセス解析でわかることや、基本的な指標、無料で使える便利なツールを紹介しながら、具体的な活用方法を解説します。データを活用して、より効果的なサイト運営を実現しましょう。

マーケティングにお悩みなら、SATORIに相談しませんか?
MAツール + Web集客支援 + 手厚いサポートで、顧客獲得のあらゆる課題を解決します。 詳しく見る >
アクセス解析とは?
アクセス解析とは、自社のWebサイトに訪れたユーザーの属性や行動に関するデータを収集・分析し、サイトの改善やマーケティング施策に役立てるための手法です。具体的には、「どんな人が」「どこから来て」「サイト内で何をしたのか」を把握することで、ユーザーのニーズや課題を理解し、より良いユーザー体験を提供することを目指します。
アクセス解析でわかること
アクセス解析では、具体的に以下のような情報が得られます。
| わかること | 使う指標 |
|---|---|
| 何人の人がWebサイトを見に来たか | 訪問者数やページビュー数 |
| 見に来た人がどんな人たちか | ユーザー属性(年齢、性別、地域、使用デバイスなど) |
| どこからWebサイトに来たのか | 流入元(検索エンジン、SNS、広告、他のサイトからのリンクなど) |
| Webサイト内でどんな行動をしたのか | 閲覧ページ、滞在時間、スクロールの有無、クリックしたリンク、サイトからの離脱数など |
| Webサイトに来た人が、自社の成果につながる行動をとっているか | コンバージョン(商品購入、問い合わせ、資料請求などの数や割合) |
ユーザー属性を把握することで、ターゲット層に合わせたコンテンツの作成やデザインの改善が可能です。また、流入経路を分析することで、効果的な集客方法を見つけることができます。たとえば、検索エンジンからの流入が多い場合はSEOをさらに強化し、SNSからの流入が少ない場合はSNSでの情報発信を強化するといった対策が考えられます。また、出稿している広告の効果を測定し、成果の高いものに予算を集中させることで、費用対効果を高められます。
ユーザーのサイト内での行動を分析すれば、よく閲覧されるページや離脱の多いページを特定し、改善点を見つけることが可能です。たとえば、離脱率の高いページは内容の見直しや導線の改善を行うことで、ユーザーの関心を引きつけ、他のページへの回遊を促せます。また、どのページがコンバージョンに貢献しているかを分析し、導線の強化や入力フォームの最適化などを行うことで、より多くのユーザーにアクションを促すことができます。
関連記事:SEOとは?基本と初めにやるべき具体策5つをわかりやすく解説
関連記事:【初心者向け】Web広告とは?種類・費用・運用方法
アクセス解析に使える無料のツール
無料で利用できるアクセス解析ツールはいくつかありますが、特におすすめなのは以下の2つです。これらを併用することで、Webサイトの運営をより効果的に改善できます。
Google Analytics 4

Google Analytics 4(GA4)は、Googleが提供している無料のアクセス解析ツールです。初心者でも視覚的にレポートを確認しやすい設計となっており、アクセス解析の初心者から上級者まで幅広く活用できます。アクセス解析に必要な指標を網羅的に計測できるため、Webサイト運営者にとって必須のツールといえるでしょう。
Google Analytics 4の特徴の1つに、イベントベースのデータ計測を採用している点が挙げられます。これにより、ページビューだけでなく、スクロール、クリック、動画の視聴などのイベント(ユーザーの具体的なアクション)が自動で計測され、ユーザーの動きをより正確に把握できます。また、Webサイトだけでなく、アプリやその他のプラットフォームのデータも統合して計測できるため、より包括的な分析が可能です。
関連記事:GA4とは?基本と設定方法・使い方
Google Search Console

Google Search ConsoleもGoogleが提供している無料の解析ツールです。Web解析ツールとは異なり、検索結果に関するデータの分析に特化しています。WebサイトがGoogleからどのように評価されているか、またどのようなパフォーマンスを発揮しているかを分析できます。
Google Search Consoleは、ユーザーがWebサイトにアクセスする前のデータを分析するため、厳密にはアクセス解析ツールに分類されません。しかし、Webサイトの状態を把握し、改善点を見つけるために非常に有用なツールです。主に以下のような指標を分析できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検索パフォーマンス | 検索結果でのページの表示回数、クリック数、平均掲載順位、クリック率どのようなキーワードで検索されたときにページが表示されたか、表示されたページのURL |
| インデックス状況 | ページがGoogleにインデックス(登録)され、検索結果に表示されているか正しくインデックスされていない場合の原因 |
| ページの利便性 | モバイルデバイス(スマートフォンやタブレット)での使いやすさページの表示速度や応答性、レイアウトの安定性 |
| セキュリティ・ペナルティ | マルウェア感染やハッキングなどのセキュリティ問題の有無Googleによる手動ペナルティの状況 |
| 被リンクの状況 | 自社サイトが他のどのサイトからリンクされているか |
SEO対策の効果検証や改善案の発見に役立つだけでなく、どの検索キーワードで流入したのかを把握することで、ユーザーニーズの分析や自社サービスの需要調査、必要なコンテンツの明確化にも活用できます。そのため、SEO対策を本格的に行っていない企業にとっても、導入すべき必須のツールといえるでしょう。
関連記事:【やさしい】Googleサーチコンソールとは?使い方・設定の基本
アクセス解析の活用の基本
アクセス解析では、単にデータを眺めるだけでは意味がありません。重要なのは、得られたデータを分析し、具体的な改善につなげることです。ここでは、アクセス解析の基本的な活用方法について分かりやすく解説します。
1. 目的の設定
アクセス解析を活用する際に最も重要なのは、明確な目的を設定することです。 たとえば、「Webサイトの訪問者数を増やしたい」「コンバージョン率を向上させたい」「特定のページの離脱率を下げたい」といった具体的な目的を定めることで、分析の方向性が明確になります。
目的があいまいなままでは、収集したデータを適切に活用できません。 そのため、まず目的を明確にし、必要な指標を特定したうえで、効果的な分析と改善につなげることが重要です。
2. 現状把握
目的が明確になったら、次に現在のWebサイトの状況を正しく把握することが重要です。 Google Analytics 4などのツールを活用し、訪問者数、ページビュー数、直帰率、離脱数、滞在時間、流入経路などのデータを確認しましょう。
どのページがよく見られているのか、どこでユーザーが離脱しているのかを分析することで、課題を特定しやすくなります。 さらに、過去のデータや競合サイトと比較することで、改善点がより明確になります。
3. 仮説を立てる
現状分析が終わったら、データを基に課題の原因を推測し、改善策の仮説を立てます。 たとえば、コンバージョン率が低い場合、フォームの入力項目が多すぎることが原因かもしれません。 また、滞在時間が短い場合は、コンテンツがユーザーのニーズに合っていない可能性が考えられます。 こうした要因を分析し、どのような改善策が有効かを検討することが重要です。
4. 施策実施
仮説を基に、具体的な改善策を実施します。主な施策として、UI/UXの改善(※)、コンテンツの最適化、SEO対策などが挙げられます。これらを実施することで、ユーザーの利便性が向上し、結果として企業の売上増加につながります。
なお、施策を実施する際は一度に複数の要素を変更せず、1つずつ試すことが重要です。また、効果測定ができるよう、実施前後のデータを比較できる状態にしておくこともポイントです。
(※)
UI(ユーザーインターフェース): ユーザーがWebサイトやアプリを操作するときに目にするデザインやレイアウトのこと
UX(ユーザーエクスペリエンス): ユーザーがWebサイトやアプリを利用した際に感じる体験や満足度のこと
関連記事:無料で簡単にできるSEO対策10個
5. 効果検証
施策を実施した後は、一定期間をおいてその効果を測定します。施策の前後でデータの推移を確認し、目的が達成されたかどうかを判断しましょう。期待した成果が得られなかった場合は、原因を特定し、新たな仮説を立てて次の施策を検討します。データを基にPDCAサイクルを回しながら継続的に改善を行うことで、より効果的なWebサイトの運営が可能になります。
アクセス解析によるサイト改善事例
サイト改善の具体的な流れをイメージしやすいように、一般的によくある改善事例を3つ紹介します。ただし、これらはあくまで代表的な事例であり、実際のWebサイトごとに課題や状況は異なります。そのため、サイト改善を行う際は、自社のデータを基に分析し、課題に応じた適切な施策を講じることが重要です。
1)ECサイトの商品ページ改善
あるECサイトでは、購入率が伸び悩んでおり、改善策を検討していました。そこで、まずは現状を把握するために、以下のデータを分析しました。
- Google Analytics 4を用いてユーザーの流入経路と離脱が多いページを分析
- ヒートマップツール(※)を用いてユーザーのスクロール率やクリック位置などの行動パターンを分析
(※)ヒートマップツール: ユーザーのWebページ上の行動(熟読エリア・離脱ポイント・クリック位置)を分析できるツール
これらのデータを分析した結果、商品ページにおいて、特にカートに追加する前に離脱するユーザーが多いことが分かりました。また、ヒートマップデータからは、購入ボタンがあまりクリックされていないことや、商品情報が十分に読まれていないことが示唆されました。
そこで、「商品ページの離脱率が高いのは、『購入ボタンが見つけにくい』または『情報不足で購入をためらう』ためではないか」という仮説を立て、以下の施策を実施しました。
- スクロールせずとも見える位置に購入ボタンを配置
- ユーザーの購入を後押しする情報として商品レビューを追加
- ユーザーが安心して購入できるように配送情報を強調
- 商品の魅力を伝えやすくするために利用イメージが分かる写真を追加
これらの施策を実施した結果、商品ページの離脱率が減少し、カートへの追加率が向上しました。最終的には、コンバージョン率も向上し、売上アップに貢献しました。
2)メディアサイトのコンテンツ改善
あるメディアサイトでは、サイト全体のページビュー数を増やしたいと考えていました。そこで、まずは現状を把握するために、以下のデータを分析しました。
- Google Analytics 4を用いて各コンテンツのページビュー数と滞在時間を分析
- Google Search Consoleを用いて各コンテンツの流入検索キーワードを分析
これらのデータを分析した結果、特定のコンテンツのページビュー数が他と比べて極端に少なく、平均滞在時間も短いことが分かりました。さらに、ページビュー数の少ないコンテンツの流入検索キーワードを確認したところ、ユーザーの検索意図とコンテンツ内容にズレがある可能性が浮上しました。
そこで、「コンテンツのタイトルや見出しがユーザーの検索意図と一致していないのではないか」「コンテンツの内容がユーザーのニーズを満たしていないのではないか」という仮説を立て、以下の施策を実施しました。
- コンテンツのタイトルや見出しをユーザーの検索意図に沿った内容に修正
- コンテンツの内容をユーザーのニーズに合わせて加筆・修正
- 関連記事へのリンクを設置し、ユーザーの回遊を促進
これらの施策を実施した結果、該当コンテンツのページビュー数が増加し、平均滞在時間も長くなりました。また、サイト全体のページビュー数も増加し、集客力アップに貢献しました。
3)コーポレートサイトのフォーム改善
あるコーポレートサイトでは、お問い合わせフォームの送信完了率が低いという課題がありました。そこで、まずは現状を把握するために、以下のデータを分析しました。
- Google Analytics 4を用いてフォームの送信完了率と入力途中での離脱率を分析
- ヒートマップツールを用いてフォーム入力時のユーザー行動を分析
これらのデータを分析した結果、フォームの送信完了率が低く、特定の入力項目での離脱率が高い傾向にあることが分かりました。
そこで、「フォームの入力項目が多すぎる、または分かりにくいためにユーザーが途中で離脱している」「フォームのデザインが直感的でなく、使いにくい可能性がある」という仮説を立て、以下の施策を実施しました。
- フォームの入力項目を必要最低限に絞り、分かりやすい項目名に変更
- シンプルで使いやすいデザインにリニューアルし、視認性を向上
これらの施策を実施した結果、お問い合わせフォームの送信完了率が向上し、フォーム経由の問い合わせ件数も増加しました。また、フォームの使いやすさが向上したことで、ユーザーのストレスが軽減され、顧客満足度の向上にもつながりました。
アクセス解析のポイントと注意点
ここでは、アクセス解析を効果的に行うためのポイントと、実施する際に気をつけるべき点について詳しく解説します。
優先度の高いページから分析する
アクセス解析では、すべてのページを均等に分析するのではなく、優先度の高いページから分析を始めることが重要です。特に以下のようなページは、Webサイトの成果に大きな影響を与えるため、優先的にチェックすべきでしょう。
| トップページ | サイト全体の玄関口として多くのユーザーが訪れる重要なページ |
| アクセスが多いページ | ユーザーが集中するページは、改善の影響が大きく、ユーザー行動を把握しやすい |
| コンバージョンにつながるページ | 商品購入ページ、問い合わせページ、サービス紹介ページなど、ユーザーのアクションを促すページ |
これらのページの分析を優先的に行うことで、ユーザーの行動傾向やWebサイトの問題点を把握しやすくなります。また、改善施策を実施する際にも、影響力の大きいページから着手することで、より効率的に成果を出すことが可能です。
継続的に分析を行う
アクセス解析は一度行えば終わりではなく、継続的に実施することが重要です。Webサイトの状況は、Googleのアルゴリズム更新やSEO施策の影響を受けるだけでなく、ユーザーの行動も季節やトレンド、マーケティング施策によって変化します。そのため、定期的にデータを収集し、サイトの変化やユーザーの行動を正確に把握する必要があります。
具体的には、毎月や四半期ごとにアクセスデータを分析し、PDCAサイクルを回しながら適切な改善策を講じることが重要です。この継続的な分析と改善の積み重ねにより、サイトの最適化が進み、ユーザーのニーズに即した運営が可能になります。
プライバシーに配慮する
アクセス解析を行う際は、ユーザーのプライバシーを適切に保護することが不可欠です。個人情報の取り扱いには、GDPRや個人情報保護法などの法令やガイドラインを遵守し、データの収集・利用を適切に管理する必要があります。
プライバシーを守るために、以下の対策を徹底しましょう。
- 個人情報の取得制限:必要以上のデータ収集を避け、匿名化された情報を活用する
- クッキーの適正管理:データ収集の目的を明示し、ユーザーがデータの利用を拒否できる仕組みを用意する
- プライバシーポリシーの明示:Webサイト上でデータの利用目的や管理方法を分かりやすく説明する
近年、プライバシー保護の意識が高まり、適切な対応を行わなければユーザーの信頼を損なう可能性があります。透明性を持ったデータ運用を徹底し、信頼されるWebサイト運営を目指しましょう。
アクセス解析を活用して効果的なサイト運営を実現しよう
アクセス解析は、Webサイトの現状を把握し、効果的な改善を行うために欠かせない手法です。ユーザーの属性や行動を分析することで、集客施策の最適化、ターゲットに合ったコンテンツ作成、コンバージョン率の向上といった成果につなげることができます。
また、データを基に仮説を立て、施策を実施し、効果検証を行うことで、継続的なサイト改善が実現できます。アクセス解析を活用して適切なデータ分析と施策を積み重ねることで、より多くのユーザーにとって価値のあるWebサイトを構築できるでしょう。
なお、アクセス解析やSEO対策に関する基礎知識をまとめた資料をご用意しています。体系的に整理された内容となっており、必要な情報を一冊にまとめていますので、効率的に学ぶことができます。ご興味のある方は、以下のフォームからダウンロードしてください。
この記事が気になる方へ!おすすめの資料はこちら
マーケティングの教科書~SEO・Web解析編~

SATORIマーケティングブログの記事から、SEO・Web 解析にまつわる情報を一冊にまとめました。
必要な時に、必要な箇所だけを読んですぐにご活用いただけます。

