Marketing Blog

2017.12.11

MAにおけるリードジェネレーション(見込顧客獲得方法)

BtoBのマーケティング、特にマーケティング部門から営業部門への商談創出は、自社にとって有望な見込顧客を獲得し(リードジェネレーション)、獲得した見込顧客を育成し(リードナーチャリング)、購買意欲の高まった見込顧客をあぶり出し、営業部門へ引き渡す(リードクオリフィケーション)という流れで進みます。
マーケティングオートメーションツールはこれらの作業を自動化するものですが、「自動化」といってもすべての作業をツールが勝手にやってくれるわけではないのは、説明するまでもありません。特に、マーケティング活動の最初のステップとなるリードジェネレーションは、ツールとは別で継続的に実施する必要があります。
この記事ではBtoBのマーケティング活動の入り口ともいうべきリードジェネレーションを効率よく実施するためのノウハウをご紹介します。
リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの違い

基本的な見込顧客の獲得法

リードジェネレーション(見込顧客の獲得)とは、自社の商品・サービスの購入対象となり得る見込顧客を発掘・獲得する活動です。一般に、この活動によって獲得した見込顧客の個人情報をマーケティングオートメーションツールに投入するところから、マーケティングオートメーションの一連の流れが始まります。
では、その肝心の見込顧客はどこでどのように獲得すればよいのでしょう?

抑えておきたい3つの集客チャネル

見込顧客を獲得するためのチャネルは、大きく次の3つに分類することができます。

  1. オフラインのマーケティング活動(展示会やセミナーなどのイベント)
  2. オンラインのマーケティング活動(インターネット、Web)
  3. 営業活動における名刺交換

それぞれのチャネル別に、具体的な手法とノウハウを見ていきましょう。

①オフラインのマーケティング活動で獲得する

オフラインのチャネルとして代表的な施策は、展示会とセミナーです。

展示会出展

自社の商品などを展示会に出展し、来場した見込顧客から名刺などを受け取ることで見込顧客情報を獲得するやり方で、BtoBでは長く用いられている方法です。
展示会は業種・業界を絞ったテーマに基づいて開催されるため、自社の見込顧客となり得る大勢の人と接触することが可能です。このため、まったく無関係な人間は来場しないという前提に立ち、期間中に一人でも多くの見込顧客を獲得することを基本的な目標とします。ボールペンやメモ帳といったちょっとしたノベルティを用意し、ノベルティと引き換えに名刺をいただいたり、獲得やアンケートへの記入を依頼したりする手法がしばしば用いられます。
基本的な見込顧客の獲得法である展示会のイメージ
展示会での集客ノウハウを詳しくお知りになりたい方は、こちらの記事もご覧ください。
展示会でお悩みの方必見!【マル秘】展示会で見込み客をザクザク集めるコツを大公開

自社セミナー

自社の見込顧客が関心を持ちそうなテーマでセミナーを開催するという方法です。セミナー参加費は無料、もしくは数万円程度の低価格に設定し、セミナー聴講と引き換えに参加者から企業名や氏名、連絡先などの情報を提供してもらいます。セミナー会場の入り口で名刺を受領し、帰り際にアンケートを書いてもらうといった流れで、具体的な情報を収集する手法がとられます。
自社の見込顧客のニーズにマッチしたセミナーを企画すれば、購買意欲が高い良質な見込顧客を獲得できる可能性があります。また、セミナー会場で実際にコミュニケーションをとることで、自社に対する親近感を高める効果も期待できます。

共催セミナー

自社の扱う商品と関連する商材を扱う企業とタッグを組んで、共催セミナーを開催するという方法です。セミナーの参加費や、聴講と引き換えに参加者の個人情報を収集するという手法は自社セミナーの場合と同様です。普段と同じ会場を使う場合でも、2社で分担し合えば集客目標も半分で済みますし、会場費用なども折半することが出来ます。
また、共催セミナーを開催する営業的な利点は、自社と共催先企業の持つ見込顧客情報を相互に交換できるということでしょう。たとえば、Webサイト制作をメイン商材とするA社とSEO対策を専門にするB社とが組めば、Webサイト制作に関心のある層とSEOに関心のある層を同時に集めることが可能です。Webサイト制作を検討している企業はいずれSEOにも関心を持つ可能性がありますし、SEOに関心を持つ企業がいずれWebサイトリニューアルを検討する可能性も十分にあります。このように、相互に送客しあうメリットを共有できる企業を共催相手に選ぶのがポイントです。
基本的な見込顧客の獲得法である共催セミナーのイメージ
セミナーの企画については、こちらの記事も参考にしてください。
【シリーズ1】セミナーの企画編(セミナーの位置づけ、目標設定、ストーリーの作り方)〜セミナー実績150回越えのSATORIが全て解説!

②オンライン(インターネット、Web)のマーケティング活動で獲得する

自社のWebサイトやSNSなどを利用して情報を発信し、訪れた見込顧客の情報を獲得する方法です。インターネットの普及に伴って活発化し、現在ではごく一般的、かつ重要な見込顧客獲得手法として用いられるようになりました。
通常、Webサイトを閲覧しただけのユーザは、そのままでは見込顧客にはなりません。見込顧客としてマーケティングオートメーションの流れに乗せるためには、企業名や氏名、メールアドレス、電話番号といったコンタクト情報(個人情報)が必要だからです。従って、訪問者に個人情報を提供してもらうための仕掛けが必要となります。
以下、実際に多くの企業で成果をあげているいくつかの手法をご紹介します。

業界情報やノウハウなどのホワイトペーパーを提供する

自社に訪問したユーザが関心を持つと思われるテーマでホワイトペーパーを作成して提供する方法です。Webサイト上から無料でダウンロードできるようにしておき、ダウンロード時に企業名や担当者名、連絡先のメールアドレスなどを入力してもらいます。
ホワイトペーパーは見込顧客の関心を惹くような内容である必要があるため、作成にはそれなりのコストをかけましょう。内容の充実度もさることながら、「読んでみたい!」と思わせるタイトルの付け方など、こまかい工夫が求められます。自社サイトに有益な記事を多く持っている場合には、それをテーマ別にまとめ直して提供するという方法も有効です。
自社内での作成が困難な場合は、ホワイトペーパー制作を専門に手掛ける企業へのアウトソーシングなども検討すると良いでしょう

オンラインセミナーを開催する

これは見込顧客の興味・関心を惹くオンラインセミナーを開催する方法で、視聴申し込みの際に申込者の個人情報を提供してもらう点は前述のホワイトペーパーの場合と同様です。
セミナー講師のアサインや動画撮影機材の準備、セミナー配信のためのプラットフォームの整備など、ホワイトペーパーに比べて準備コストは高くつきますが、視聴に時間のかかるオンラインセミナーの参加希望者はホワイトペーパーに比べて自社への関心度が高い傾向があり、購買意欲の高い見込顧客を獲得できる、とも考えられます。また、オフラインで実施したセミナーを録画しておけば、オンラインセミナーとして使いまわすこともできます。

診断コンテンツなどの提供

「自動見積もりフォーム」や「無料●●診断」などのコンテンツを提供し、見込顧客情報の獲得に役立てる方法です。コンテンツの利用と引き換えに個人情報を入力してもらう点は、他の手法と同様です。
コンサルティング系の商材を扱う企業では、本筋の商材の一部を「チラ見せ」するような位置づけとしてこうしたコンテンツを提供すると効果的です。たとえば、Webマーケティングに関するコンサルティングをメイン商材とする企業なら「Webサイト無料診断サービス」を提供することで、見込顧客情報を獲得するとともに、自社サービスの魅力の一部を伝えることが可能です。

外部メディアへの出稿(リード獲得型広告など)

集客力のある外部メディアに記事を掲載したり、読者数の多いメールマガジンにテキストやバナーで広告を出稿したりして、自社サイトへ誘因するという方法です。展示会と同様に、自社と親和性の高いメディアを選別することで、多くの見込顧客と接点を持つことが期待できます。
また、メディア側の仕組みを利用することによって、当該メディアが持つ会員の情報をリード情報として獲得するタイプの広告も存在します。こうした広告を利用すれば、自社サイトでは出会うことができない新たな見込顧客層にアプローチすることも可能です。

③営業活動における名刺交換

最後に、重要であるにも関わらず意外に見落とされがちなチャネルとして、営業活動における名刺交換があります。営業担当者は日々多くの見込顧客と接触します。その際に交換する名刺も、立派な見込顧客情報となり得ます。
たとえば、新規訪問をしたもののタイミングが合わず失注した相手などは、将来に向けて非常に有望な見込顧客となるでしょう。また、ある商材では失注したものの、別の商材の見込顧客となるケースもあるかもしれません。
こうした見込顧客情報を営業担当者から収集し、マーケティング部門で一元管理する体制を整えられれば理想的です。ただし、個人の評価が営業成績を中心に決まるような体制のもとでは、営業担当者が「自分の獲得した名刺」をマーケティング部門に提供したがらないケースもあります。
従って、このチャネルからの見込顧客収集は、営業部門とマーケティング部門とのシームレスな統合を前提とした全社的な取り組みを通じて、役職者などの協力も得ながら行う必要があるかもしれません。
▼こちらの記事もおすすめ 名刺管理アプリ・ソフト・ツールの10選を比較 | 価格(無料あり)・特徴

集客に強いMAで叶う、リード獲得法

以上、リードジェネレーションのチャネルと、チャネルごとの具体的な手法をご紹介しました。では、このプロセスにマーケティングオートメーションを導入すると、どんなことが出来るのでしょうか。

MAによるリード獲得法とは?

特に強みを発揮するのは、インターネット経由での見込顧客獲得です。MAを利用すると、Webフォームなどを利用した実名リードの獲得に加えて、ブラウザ情報による匿名リードの獲得が可能となります。例えばSATORIの場合はプライベートDMP(データマネージメントプラットフォーム)を内蔵しているため、広告や外部サイトからの訪問者情報をブラウザのCookie情報をもとに識別し、匿名のリード情報としてデータベースに蓄積することができるのです。これにより、メールアドレスなどの個人情報を獲得できていない層をも見込顧客として管理し、Webサイトの行動履歴に応じたコンテンツの出し分けや、リターゲティング広告といったマーケティング施策を展開することが可能です。また、専用の計測タグを他社サイトに貼ることさえできれば、そこからも匿名リードを獲得することができます。
獲得した匿名リードはそのリードの状態に応じたコンテンツの出し分けができる機能などを活用して育成しつつ、適切なタイミングで問い合わせフォームへの誘導施策を行えば、具体的なアプローチが可能な実名リードへと転換させていくことも可能です。
もちろん、オフラインや営業活動で獲得した個人情報についても、MAに入力してブラウザとの紐づけを進めておくことで、Web上での行動(Webサイト内の閲覧履歴や施策へのリアクション)を追うことが可能となり、購買意欲を高めていく施策を検討したり、施策のターゲットをリスト化しやすくなったりするというメリットもあります。

リード獲得における重要なポイントとは?

ここまでお読みいただいた方は既にお気付きかと存知ますが、すべての手法に共通するのは、「見込顧客が求めるものを提供し、それと引き換えに個人情報を提供してもらう」ということです。これをいかに露骨になりすぎず、スマートに行うかがマーケティング担当者の腕の見せ所といえるでしょう。
同様に、「提供するもの」によって獲得する見込顧客をふるいにかけるのも重要なポイントです。たとえば、自動車を販売する会社がWebマーケティングのセミナーを開催しても、有望な見込顧客を獲得することはできません。永久に顧客になり得ないリードを獲得してその後のマーケティング活動を混乱させることのないよう、企画段階での「絞り込み」に留意したいものですね。

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