働き方改革やコロナ禍の影響を受けて以後、リモートワークが増えたことで営業手法として「インサイドセールス」に注目が集まっています。これからインサイドセールスの導入を検討しているなら、スムーズかつ効果的な導入に向けて必要な知識を身につけておきましょう。ここではインサイドセールスに関する基本知識や導入方法、ポイントなどが学べるおすすめの本を9冊厳選してご紹介します。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは電話やメール、オンラインでのビデオ会議などを用いた営業手法。従来からある訪問型のフィールドセールスと異なり、内勤型のため自宅などリモートワークでも行えます。
参考記事>>インサイドセールスとは?特徴やメリット、やるべきことをわかりやすく解説
インサイドセールスを基礎から学ぶおすすめの本5選
まずはインサイドセールスについて、その意味やメリット、導入方法などの基礎知識が学べる本を5冊ご紹介します。
『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』/ 翔泳社
福田 康隆 (著)
マーケティングからセールス、カスタマーまで、全営業プロセスの改善に繋がる必読書
マーケティングとインサイドセールス、そして営業を分業化した「The Model」という営業プロセス。集客から商談、そしてクローズまでの営業活動のほか、カスタマーサクセスまでの情報を可視化し、部門を跨ぎ連携することで営業効率の最大化および売上増大に繋げるという概念です。本著では「The Model」について具体的な考え方や組織に与える作用、あるいは設計方法などについて詳しく解説しています。インサイドセールスのみならず、効率化を含めた営業プロセスの全体的な見直しに役立つでしょう。自社に適した営業組織の体制作り、あるいはリーダーシップのあり方まで広く学べる一冊です。
『インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド』茂野 明彦(茂野 明彦)/ 翔泳社
茂野 明彦 (著)
インサイドセールスの役割から組織作りまでを学べる、“最初の1冊”に最適な本
インサイドセールスとは、どのような営業手法なのか。その必要性や組織作り、そして成果をあげるための方法論などが記されています。非対面でありながら営業活動を効率的に進め、売上へと繋げるまでのバイブルと言えるでしょう。検討段階から導入後までインサイドセールスに関わる一連の知識が学べるため、これからインサイドセールスの組織立上げに取り組むならぜひ読んでおきたい本です。なお、インサイドセールスの採用からKPI設定、テクニックなど具体的な業務についても解説されています。
筆者はマーケティングの前線からマネジメントまでに取り組んだ経験を活かし、インサイドセールス部門でも事業部長を務め、国内におけるインサイドセールスの第一人者と言える人物です。そのため、本著でもインサイドセールスについて細部まで情報が網羅されており、実用性の高い本となっています。
『インサイドセールス 究極の営業術 最小の労力で、ズバ抜けて成果を出す営業組織に変わる』/ダイヤモンド社
水嶋 玲以仁 (著)
インサイドセールスの組織作りについて事例から理解できる本
事例を軸としながら、インサイドセールスについて解説されています。訪問がないからこそ2倍の商談をこなすことができ、限られた時間で最大の成果を残せるインサイドセールス。注目度の高いこの営業方法について、顧客対応から人材育成、マネジメントまで組織作りに必要な知識を網羅的に身につけられます。日本国内においてインサイドセールスを牽引する企業へのインタビューも行われており、ケーススタディを通じて具体的に現場をイメージしながら理解を深められるでしょう。
筆者である水嶋玲以仁氏は20年以上もインサイドセールスの実務に携わっており、BtoB/BtoCを含めて豊富なノウハウを持っています。現在はグローバルインサイト社で代表を務め、同社でもインサイドセールスを含めた営業活動を支援するコンサルティング事業を展開。現場でのテクニックではなく、組織としてどのようにインサイドセールスに取り組むべきかを学ぶことに適した1冊です。
『インサイドセールスの実務―売上を3倍に増やす驚異の営業支援システム』/ 東洋経済新報社
沼澤 拓也 (著)
インサイドセールスの基本が体系的に解説された一冊
ノルマを課され、足で稼ぐことが一般的だった営業という仕事を、インサイドセールスが根本から変革させます。では、いかにして売り込むことなく顧客との信頼関係を構築し、売上拡大を果たしていけるのか。その仕組みについて、本著では著者の経験とノウハウに基づき、実務レベルで留意すべきポイントなどを体系的に解説されています。インサイドセールスの可能性と必要性、そして必要な組織作りまでを理解できるでしょう。インサイドセールスとは何なのか、その基本から学びたいという方におすすめです。
筆者の沼澤拓也氏は半導体セールスやインサイドセールスの責任者を経て、約20年にわたりインサイドセールスによる顧客の開拓・醸成に取り組んできました。2001年にはピー・ディー・アール社を設立して代表取締役に就任。幅広い業界に対して、インサイドセールスのコンサルティング事業を手掛けています。
『デジタルインサイドセールス――最新テクノロジーによる法人営業改革の実践』/ ダイヤモンド社
吉田 融正 (著)
デジタルテクノロジーを用いたインサイドセールスのノウハウを学べる本
インサイドセールスを営業プロセスに加えることで、営業活動を効率的かつ効果的に行えるようになります。そこへデジタルテクノロジーを活用することで、その効果をさらに最大化させることが可能です。本著ではインサイドセールスの導入方法や有効性はもちろん、こうしたデジタルテクノロジーによる“デジタルインサイドセールス”の営業戦略について学べます。インサイドセールスはもちろん、DX(デジタルトランスフォーメーション)についても理解を深め、営業組織を見直すのに適した一冊です。
著者は日本アイ・ビー・エム社と米国シーベル・システムズ社を経てビジネス・アプリケーション・プロバイダである日本シーベル社の設立に携わり、現在は自身で設立したブリッジインターナショナル社で代表を務める吉田融正氏。同社ではマーケティング・オートメーションやインサイドセールスに関するサービスを展開しており、本著ではこれらサービスを軸にしています。
実務編:営業テクニックやチーム・組織に関する本4選
インサイドセールスは有効な営業手法の一つですが、それだけで全てが完結するものではありません。チームマネジメントやフィールドセールスとの連携も求められ、これらを含め全体的な営業戦略を考えることが重要です。例えばインサイドセールスで多くの顧客と接点を持てていても、バトンを受け取ったフィールドセールスが上手く機能しなければ意味がありません。ここでは営業活動やチームビルティングなど、インサイドセールスに限らず営業組織の改革に役立つ本を4冊ご紹介します。
『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』/日経BP
高橋浩一 (著)
コロナ禍でも営業成果をあげる新しいチーム戦略のバイブル
コロナ禍で増えたオンライン商談。しかし突然の変化に対応し切れず、課題を抱えている企業は多いでしょう。本著はそうした課題に対する解決策を提案し、コロナ禍において目指すべき新しい営業のチーム戦略を丁寧に解説しています。具体的には「強い営業チーム」が必須であるとし、そのためのポイントとして「勝ちパターン」「活動実態の見える化」「人が育つ仕組み」「コミュニケーションのバランス」を取り上げています。何をすべきかが整理されているので、すぐ実践に活かせるノウハウばかりです。
著者である高橋浩一氏は外資系戦略コンサルティング会社に勤務後、25歳で人材育成や社員研修等を行うアルー社に創業参画。同社で取締役副社を務めた後、研修やコンサルティングを通じた営業強化支援を行うTORiX社を設立、代表に就任しました。現場だけでなくマネジメントに至るまで、営業活動に携わる多くの方にとってバイブルとなる一冊です。
営業の「聴く技術」 新版―SPIN「4つの質問」「3つの説明」ダイヤモンド社
古淵 元龍 (著)、大堀 滋 (著)
営業に欠かせない「質問スキル」を高めるための一冊
営業活動においては、自らが話すのではなく「聞く」ことが重要。この考えを土台として、そのために必要な質問技法等の実践的スキルを学ぶことができます。顧客の抱える経営課題を明確化すると共に、ニーズを引き出して顕在化させていくための“質問力”を磨き、商談の成約率を高めていくために読んでおきたい一冊です。
著者は古淵元龍氏と大堀滋氏。両者とも営業力向上のための研修プログラム「SPIN」のノウハウを有し、インストラクターや講師としても活動経験を持ちます。古淵氏は日本NCR社で営業やマネジメント、営業教育を担当。現在は古淵ビジネス総研の代表として、研修等のサービスを提供しています。そして大堀氏は日本NCR社で営業やマネジメントに従事し、大塚商会社で営業部長や社内インストラクター職を経験。現在はスピン・ラボ社を設立し、SPINを軸としたトレーニングサービスを展開。本著で取り上げられているノウハウにも、SPINのポイントが詰まっています。
営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて/クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
冨田 和成 (著)
経験に基づく実践的な営業手法をプロセス毎に学べる本
リスト選定など初期のアプローチからニーズ喚起、そして提案を経てクロージングに至るまで一連の営業プロセスを網羅し、そのプロセス毎に必要な考え方や方法論が詳しく解説されています。全体を通して読むのはもちろん、自身にとって課題感のある部分のみ抜き出して学ぶのにも良いでしょう。
著者はエグゼクティブ層向けに資産関連サービスを展開する、ZUU社の代表・冨田和成氏。野村證券ではトップセールスとしてさまざまな営業記録を打ち立て、ASEAN地域の経営戦略を担った経験も持ちます。仮説と検証を繰り返し、営業プロセスを改善することで飛び抜けた実績をあげるための思考法とは何なのか。本著は著者の経験に基づき、営業活動において求められる具体的な方法論が記されています。
セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方/かんき出版
山下 貴宏 (著)
経験に基づいて営業手法をプロセス毎に解説した実践本
著書名にある「セールス・イネーブルメント」とは営業成果を出し続ける人材育成、そして組織改善・強化を目的とした仕組みのこと。これについて、大手企業での事例などを交えながら解説されています。イラストを用いた説明は分かりやすく、「セールス・イネーブルメント」という言葉を初めて聞く方でも理解しやすいでしょう。組織・人材開発の視点から営業の生産性を高め、勝つために必要な営業組織の作り方について体系立てて学べます。
著者である山下貴宏氏は日本ヒューレット・ パッカード社や船井総合研究所者、マーサージャパン社で営業やコンサルティング等に従事。セールスフォース・ドットコム社では、セールス・イネーブルメントによる営業組織の人材開発やトレーニングプログラム等にも携わってきました。セールス・イネーブルメントについて数多くの講演実績も持ち、現在代表を務めるR-Square & Company社ではその仕組みによる組織構築に取り組んでいます。
インサイドセールスを成功する秘訣や活用事例
インサイドセールスは有効な営業手法ではあるものの、これまで通りの体制では成果に繋がらないかもしれません。導入においては現在の課題を明確にしたうえで、インサイドセールスを行うのに適した営業体制を検討することが大切です。そして多くの企業が、MA(マーケティングオートメーション)を活用することでインサイドセールスを成功させています。ここで、インターネット関連事業を展開するディーエムソリューションズ株式会社様の事例をご紹介しましょう。
同社はMAを用いた施策に取り組み、見込み顧客数が大きく増加しました。しかし一方、営業が見込み顧客の対応に追われてしまい、新規開拓にリソースを避けない状態に陥りました。そこで、営業が商談に専念できるよう導入したのがインサイドセールスです。新規のアポイント取得や失注した見込み顧客のフォロー、問合せなどには、インサイドセールスが対応する体制です。
また、見込み顧客の管理はマーケティングが担当。埋もれた見込み顧客へのアプローチはMAツールを活用し、相手の反応によって確度の高い見込み顧客からインサイドセールスが順に架電する施策を行っています。これによりフォローの漏れがなく、アポイントの獲得率や案件化率が改善しました。結果的にはMAを活用したインサイドセールスの導入により、リード獲得数は5倍、さらに商談獲得率は15倍を実現しています。
参考記事>>営業の無駄を排除! SATORI×インサイドセールスで案件化率を大幅改善できた理由
このようにMAは、インサイドセールスを成功させる強力なツールとなるでしょう。見込み顧客を増やし、フォロー漏れ等による機会損失を防ぐためにも、ぜひ導入を検討してみてください。SATORIではインサイドセールスの導入方法やインサイドセールスにおけるMAの活用、運用のヒントについてわかりやすい資料をご用意いたしました。本格的に導入を始める前にダウンロードしてご活用ください。
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ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事。大学在学中に人材ベンチャーでRA/CAとして勤務し、新卒で医療系人材会社に就職。RAとして主に医薬品業界を担当し、トップセールスを達成した後に営業企画職を兼務。Webマーケティングに従事し、その後はITサービスの新規事業にも携わる。IT系企業に営業企画職として転職し、数値分析および戦略立案を担う。その後にナレッジ・リンクスとして独立し、約3年後に事業を法人化。多くのフリーライターとパートナーシップを構築し、幅広いコンテンツ制作を担う。個人でもライターや編集者として、主にスポーツ・ビジネス関連の分野で活動する。その他、ランニングクラブ運営やメディア編集長など。趣味はマラソン、4人の子を持つ大家族フリーランス。