コンテンツマーケティングにおける「キラーコンテンツ」とは、球技の「キラーパス」のような意味が込められていて、購入・コンバージョンに強い影響を与えるコンテンツのことを指します。従来からさまざまな業界で使われていた「キラーコンテンツ」という言葉は「人気コンテンツ」という意味だったので、少しニュアンスが変わっています。ここでは、マーケティングにおけるキラーコンテンツの意味、どんなコンテンツがキラーコンテンツに当たるのか、作り方・使い方をわかりやすく説明します。
キラーコンテンツの意味とは?
従来からよく使われている「キラーコンテンツ」は「圧倒的な人気コンテンツ」という意味です。お笑い芸人で言うと「必ず笑いを取れるネタ」、飲食店で言うと「絶品の人気メニュー」…このような文脈で使われています。
コンテンツマーケティングにおける「キラーコンテンツ」
コンテンツマーケティングで使われる場合は「キラーパス(得点につながるパス)のようなコンテンツ」という意味で、コンバージョンに大きく貢献するページを指します。ただ単にコンバージョンの通り道というわけではなく、戦略的にキラーコンテンツを設計・配置し、コンバージョンへのクロージングを行う役割を持たせて活用しています。
【具体例】どんなページがキラーコンテンツにあたるの?
BtoBとBtoCに分けて、キラーコンテンツになりそうなコンテンツをまとめてみました。
キラーコンテンツ例 | |
---|---|
BtoB、BtoC高額商品 | ● プラン比較ページ ● 活用事例インタビュー ● 導入の流れ ● 見積シミュレーション |
BtoC(ECなど) | ● 口コミまとめページ ● ユーザーインタビュー ● 使い方動画 ● カスタマーサービス(返品保証や購入後のサービス) |
本気で契約や購入を考えるときのユーザー心理を考えてみると、どのような機能のページが「必ず確認しておきたいページ」で「買いたい気持ちの最後の後押し」になるか見えてきます。BtoBもしくは、金融商品・不動産のようなBtoC高額商品などは比較ページや費用詳細、契約後をイメージできるものがキラーコンテンツになりそうです。気軽に買えるBtoC商材の場合、口コミページなどユーザーの評価や感想は購入直前に必ず確認するページです。SATORIでは、事例ページや料金ページなどをキラーコンテンツと位置づけしています。
キラーコンテンツと広告LPとの違い
キラーコンテンツと広告ランディングページ(LP)との違いは、ターゲットです。ランディングページは新規ユーザーを想定していますが、キラーコンテンツは今まで何度か接触しているユーザーを主なターゲットにしています。キラーコンテンツは、育成フェーズで使われるクロージングコンテンツの一種で、特にコンバージョンへ貢献するページとなります。
キラーコンテンツ | 広告LP | |
---|---|---|
ターゲット | 既存(何度か接触) | 新規 |
役割 | 育成・コンバージョン | 認知・コンバージョン |
配信方法 | サイト内誘導 メルマガ 広告 | 広告 |
クロージングとは「完了させる」という意味で、コンテンツマーケティングではコンバージョンさせていくシーンで使われます。このクロージングの中でも、特に有力で成果に貢献するページとしてキラーコンテンツを配置し、ふさわしいタイミングでユーザーに閲覧させて資料請求・商品購入などのコンバージョンページへ遷移させていきます。
キラーコンテンツの作り方
キラーコンテンツはやみくもに作るより、しっかり分析を行い、自社のサービスにとってどのような内容がキラーコンテンツに向いているのかを理解することが大切です。以下のような手順で進めてみてください。
1)CVユーザーの多くが経由しているページをあぶりだす
日々コンバージョン(CV)は起こっているので、共通の経由ページをあぶりだすことで、キラーコンテンツの大きなヒントになります。例えばGoogleアナリティクスでは、このような見方をします。
- メニュー: 行動 > サイトコンテンツ >すべてのページ
- セグメント: コンバージョンに至ったユーザー
コンバージョンしたユーザーが経由したページが一覧で表示されます。その中からサービス紹介ページではないコンテンツ型のページでどこが見られているか確認しましょう。
※サンクスページや資料請求・お問い合わせページを除外しています
サービスページでは「料金」「機能紹介」ページが最もよく見られていますが、コンテンツ型ページでは、導入後の利用イメージである「導入事例」と「一部のブログ記事」がよく見られていることがわかります。
※MA:マーケティングオートメーションの略語
2)経由ページからCV直前の悩みを推測
SATORIのコンバージョンページは「資料請求完了」や「セミナー申し込み完了」なのですが、そのコンバージョンに至るユーザーが気にしていることは先ほど1)で分析した結果以下のことだとわかりました。
- 契約によって課題解決するイメージが持てる具体的な実例
- マーケティングオートメーションツールの機能や使い方
- マーケティングオートメーションの基礎知識やセミナー情報
この「知りたいこと」を解決するコンテンツを作ると「キラーコンテンツ」になり得ます。
3)悩みを解決するコンテンツを作成
コンバージョンする前に見ているページの1つが「事例」でした。現在SATORIではもうすでにたくさんの事例ページがありますが、事例以外の新たなキラーコンテンツを作る前提で考えてみます。なぜ事例を見るのか、閲覧ユーザーの心理を考えてみましょう。
契約したら、どんな使い方ができるんだろう。似たような企業はどんな機能を使って成果を上げているんだろう。
サービスページの「機能」「使い方」と、「事例」の大きな違いは「具体的かどうか」ではないでしょうか?つまり、「使い方」の一歩先である「実際の具体的な使い方」が求められているわけです。それなら架空でも問題なく、実際にありそうなケース・使い方から成功までのストーリーをマンガで読めるようなコンテンツもキラーコンテンツとして良さそうです。閲覧ユーザーが契約後の成功イメージを強く持てるようになるとコンバージョンしそう、つまり、良いキラーパスになるということです。
キラーコンテンツの効果的な使い方
キラーコンテンツを作ったら、効果が見込めるユーザーをターゲットとして閲覧させ、コンバージョンを増やしてゆきましょう。
有効なリンク誘導を行う
集客コンテンツ・育成コンテンツにおいて、似たような言及を行っている部分からリンクを貼って誘導を行いましょう。例えば、事例コンテンツへの導線ならMAの使い方・導入に関するコンテンツ、MA最新情報などに設置することがおすすめです。このようなページを多く見ているユーザーをMAツールで抽出し、ポップアップを使って誘導していくこともおすすめです。
リターゲティング広告で再訪を促す
Cookieデータから、複数回訪問しているユーザーにキラーコンテンツへの広告を出して再訪を促すことも有効です。上記の誘導リンクと違い、Webサイトに来てくれていないユーザーにも接触することが可能です。
意欲の高いリードにターゲティングメールで案内する
MAツールを使っている場合は、スコアが高いユーザーや特定のセグメントに絞り込んで、キラーコンテンツへの誘導を盛り込んだメールを配信することができます。
【事例】SATORIにおけるキラーコンテンツ活用法
SATORIではキラーコンテンツを活用して商談へつなげています。キラーコンテンツ閲覧の行動が見られた見込み顧客には、インサイドセールスメンバーがすぐに架電するよう業務フローを設計しています。キラーコンテンツを閲覧した見込み顧客への架電による商談化率は、セグメントなしの見込み顧客より格段に高いことがわかっています。
まずは、契約直前によく閲覧されるページから仮設を立てて洗い出しました。
「契約の流れ」「導入の流れ」「サポート」「事例ページ」などがあり、どれが向いているかは各社で違ってきます。いろんなページをキラーコンテンツとして利用し、CVR(コンバージョンレート)などから精査していったところ、SATORIの場合は
- サポート&料金&導入事例すべてを閲覧(60日間)
- 会社概要と料金と機能紹介を見た(10日に1回)
などを「ホットリード」の条件とし、最も「契約直前である」と考えています。
この「ホットリードに入る」ことがトリガーになり、インサイドセールスにアラート通知が送られ、電話やメールで商談への案内が行われます。
キラーコンテンツを閲覧したユーザーの商談化率は通常の数倍程度と言われています。キラーコンテンツを活用することで、架電に対する商談化率を格段に上げ、非効率な電話営業のコストを抑えることが可能です。
参考記事:インサイドセールスとは?基礎知識と特徴やメリットを解説します!
このように、キラーコンテンツの活用でコンバージョンへのクロージング力を上げるだけでなく、無駄な活動をカットしてコストを削減し、そして何より「嫌われない営業活動」を行うことができるようになります。キラーコンテンツを使った施策は難しいことではなく、先ほど解説した「あぶりだし」「CV直前の悩みを特定」「解決ページの作成」で簡単に始めることができます。これを機に、自社に合うキラーコンテンツは何かを考えてみませんか?
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映像コンテンツプロバイダー・化粧品メーカーECでのWebディレクション・マーケティング担当を経て、コンサルタントに。20社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計を行った経験を持つコンテンツマーケティング専門家。2018年5月に独立。検索ユーザーに寄り添うコンテンツ設計を得意とする。