取材にご協力いただいた方
コーポレート戦略・技術部門 技術部門 事業開発室 エッジコンピューティングPFプロジェクト
企画・サイト運営者 藤田 隆久 様 (中)
営業責任者 久保田 航平 様 (右)
マーケティング責任者 長野 友哉 様 (左)
企業プロフィール
- 会社名:パナソニック株式会社 https://www.panasonic.com/jp/corporate.html
- 設立:1935年(昭和10年)12月15日
- 創業:1918年(大正7年)3月7日
- 資本金:2,590億円
- 従業員数:243,540名
- 売上高:6兆6,988億円(2020年)
本事例の内容は、取材日(2021年11月)時点の情報です。
大手電機メーカー、パナソニックが手掛けるAIカメラ「Vieureka(ビューレカ)カメラ」
パナソニック株式会社 長野様
製造業や小売業など、さまざまな産業で広がりつつあるAIカメラ。IoT機器としてインターネットに接続されているAIカメラは、製造現場の異常検知や売り場の購買行動分析といった画像認識ができる高性能のCPUが搭載されている。
今まさに現在進行形で発展を続けている分野で、大手電機メーカーであるパナソニック株式会社が手掛けたAIカメラが「Vieureka(ビューレカ)カメラ」だ。そして、Vieurekaカメラを遠隔から保守・管理するためのクラウド型管理基盤ツールとして「Vieureka Manager」が法人向けに提供されている。
「『Vieureka Manager』であれば、工場や店舗に設置された千台規模のカメラを遠隔管理することが可能です。複数のカメラから出力されたメタデータを処理し、ビジネスにつながるデータ分析に役立てることができるのです。
我々は画像解析ができるAIカメラ『Vieureka(ビューレカ)カメラ』と、それを管理するツールの『Vieureka Manager』をAIプラットフォームとして、SIer企業といったパートナー様向けに提供してきました。弊社のAIプラットフォームをもとに、パートナー様が画像解析を活用したサービスを開発し、それをエンドユーザーさんにお届けしています。
また、小売店向けには画像解析までを自社でパッケージ化した「来客分析サービス」を提供しております。このサービスではID-POSデータだけでは分からなかった、購買に至るまでの来店客の行動や商品棚の陳列状況を定量化することが可能になっております。
なお、Vieurekaカメラを提供開始してから4年ほどで、現在約5,000台以上の販売実績があります。現在はオフィスや自治体による社会実験案件など、多岐に渡った分野でお取り組みしております」(長野 氏)
属人的に管理されていた顧客のリード。営業フローのデジタル化に課題感
パナソニック株式会社 久保田様、藤田様
同社の「Vieureka」では、SIer企業向けの販売と小売店などエンドクライアントへの販売を同時並行で行なっていた。ただ、この販売促進活動には限界を感じていたと、久保田氏は振り返る。
「顧客リストが属人的に管理されていたことが一番の課題でした。共通のExcelはあったのですが、メンテナンスがあまりされておらず、顧客情報が部署内に点在しており、全体の把握が出来ていませんでした。また、リードナーチャリングまで手が回らず、担当者それぞれがアプローチしていました。
デジタルの商材を扱っているものの、営業フローはデジタル化できていなかったのです」(久保田 氏)
営業フローのデジタル化が遅れた背景には、販売会社経由の営業を前提とした受け身の営業スタイルであったことが要因として挙げられる。営業を外部に委ね、自社は開発に専念できるというメリットがある反面、細かくターゲットを絞った営業活動や「商品への思い」をエンドユーザーへダイレクトに届けることが難しかったという。
「自分たちで販売促進活動を行なっていくため、まずは顧客のリードをツールで整理すべきとの考えに至りました。
そこで導入を検討し始めたのがMAツールです。以前から着目はしていましたが、費用と使い勝手がネックになっていたことで取り組めていませんでした」(藤田 氏)
アンノウンマーケティングが導入の決め手に!マーケの大目標は新規リードの獲得
パナソニック株式会社 長野様、藤田様
MAツールの導入を目指し、まずは各社サービスの比較検討が行われた。外資系MAツールと費用や使い勝手について比較されるなかで、決め手となった要素について長野氏と藤田氏に伺った。
「マーケティング責任者としてグループに参画した私のミッションはリードを増やすことでした。そこで『SATORI』導入の決め手となったのは、匿名客を顕在化できるアンノウンマーケティング機能です。この機能によるリードジェネレーションに大きな期待が持てました。ミッションを達成するために、2020年4月にサービスサイトを刷新し、さらに最近ではセミナー施策といったリード獲得にも力を入れています」(長野 氏)
「国産ツールであるため、使いやすさも高評価です。サポートの力を借りずとも軌道に乗せられそうな印象で、ヘルプページも豊富なことに安心しました。また、導入時は活用セミナーを開催していただき、基本機能や活用方法を学ぶことができたのです」(藤田 氏)
「SATORI」の導入に際しては、社内の合意形成や稟議承認には特別な苦労はなかったという。外資系MAツールと比べても導入コストが低くかったこと、またランニングコストも魅力であった。
2ヶ月で「SATORI」導入を完了!メルマガ、ポップアップ施策などを初めて展開する
パナソニック株式会社 長野様
「『SATORI』の導入から稼働まで、おおよそ2ヶ月ほどでした。この助走期間のカスタマーサクセスには大変満足しています。
サポートの中でも自分たちでカスタマージャーニーを作ったことで、マーケティング戦略を考え始める良いきっかけになったと思います。今回の取り組みは、単にツールを導入するだけではなく、マーケティングのやり方自体を変えていくことになりました」(長野 氏)
マーケティング施策の具体的な変更点は以下の通りだ。
・お問い合わせフォームから自動で「SATORI」に顧客情報が入力されるように
・オンラインセミナーへの申込みフォームを「SATORI」で構築
・ポップアップ施策で資料ダウンロードからリードを獲得できるように
・メルマガ施策を開始。開封率を分析し、精度の高いリードナーチャリングを目指す
「一番変化があったのは、お問い合わせフォームです。以前までは自分たちで構築したフォームを使っており、お客様の入力後はこちらで用意した窓口用メールアドレスに『フォーム入力がありました』と送られてくるだけだったのです。
『SATORI』であればカスタマー管理の一覧へ自動登録されて、そのお客様はどういったページをご覧になられているかを把握することができます。このおかげで、営業がアプローチする際に『お客様が何を求めて、何を知りたいのか』という仮説を立て、『ネタ』を準備したうえでアプローチすることが可能になったのです。また、メルマガの内容もお客様のニーズに合わせてカスタマイズしていくことも今後検討しています」(長野 氏)
SaaSへの理解とツールの使いやすさで社内浸透もスムーズ
パナソニック株式会社 久保田様
マーケティング部門の立ち上げと同時に、4名いた既存の営業メンバーにも「SATORI」の浸透を進めていくこととなった。これまではそれぞれが独自の方法でお客様情報を管理していたこともあり、MAツールが受け入れられるか不安もあったと久保田氏は語る。
「実際に導入してみて、営業メンバーからネガティブな声はほとんどありませんでした。実はすでに『THE MODEL』というSaaSに関する書籍を全員一読していたこともあり、スッと入ってきたのではないでしょうか。また、機能がシンプルだからこそ、やりたいことにたどり着きやすいと感じます」(久保田 氏)
導入の決め手でもあった「使いやすさ」も「SATORI」がスムーズに浸透した要因であったそうだ。特に現場からツールに対する不満はなく、業務に支障をきたしたことはないという。
0からの立ち上げで、リード獲得数が4倍に!商談獲得率も向上
パナソニック株式会社 長野様
体系的なマーケティング業務の構築と属人的なリード管理からの脱却を目指して進められた「SATORI」の導入は、どのような定量的成果を生み出したのだろうか。取り組み全体を総括しての成果を長野氏に伺った。
「想定以上の結果がでました。まずポップアップ施策ですが、ほぼ毎日資料ダウンロードが発生しており、月で換算すると20件程になります。これまでサービスに関して月に5件ほどの資料請求のみでしたが、ポップアップによる資料請求件数を増やしたことでオンライン上でのリード獲得は約4倍に増えました。
また、ウェビナー施策でも目に見える成果がありました。弊社単独開催のセミナーを行い、ポップアップ施策の有無で比較したところ、ポップアップ施策ありの場合は新規のお客様を獲得できただけではなく、集客数は1.5倍、商談化率が5ポイントも上昇しました。ポップアップ施策なしの場合は既存顧客へのメールやWebサイト上のお知らせによる告知でしたので、今後も有効な施策であると判断しています。
さらに、メルマガ施策では、1回目のメルマガ開封率が20%だったのですが、1to1を意識した文面のメルマガを送付したところ現在では30%近くまで向上しています」(長野 氏)
リード獲得といった定量的な成果だけでなく、マーケティングの「インフラ」が整ったことで効率的に施策を実行に移せるようになったことも成果であると長野氏は強調する。
「仮にマーケティング専属の社員を雇うとすると、諸経費含め1,000万円は掛かります。しかし、年間約200万円弱しか掛からない『SATORI』で、1人のマーケターよりも多くのリードを獲得してくれるので、費用対効果の面でも満足しています」(久保田 氏)
ツールの導入がゴールではない。「SATORI」導入から始めるマーケティング施策
パナソニック株式会社 長野様、久保田様、藤田様
取材の最後に、今回の取り組みを振り返っての感想と現在マーケティングに課題を感じられている方へのアドバイスをいただいた。
「特に大企業の場合、社内の承認やツールの浸透には時間が掛かってしまいます。だからこそ、思い立ったらスピーディーに行動に移すことを強くおすすめします」(長野 氏)
「ツールは導入したら終わり、ではありません。自分たちでいかに活用していくかを考え、営業プロセスを改善していくことが大事であり、そうした変化のきっかけになった『SATORI』の導入価値は、非常に高かったと思います」(久保田 氏)
「ツールは課題を解決するために導入されるものですが、自分たちの意識自体も変わってくることが最も大きな成果ではないかと思っています。実際、MAツールをきっかけに、社内でマーケティングに関する議論が増えています。マーケティングを実行に移したい、マーケティングの文化を根付かせたい企業は、ぜひMAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか」(藤田 氏)