展示会や見本市などのイベントに出展した際には自社ブースを訪問してくれたお客様に向けて「お礼メール」を送信しますが、この「お礼メール」の良し悪しが、展示会出展施策の成否のカギを握ると言っても過言ではありません。
この記事では効果的な展示会お礼メールを作成するためのポイントを、すぐに使える例文集と合わせてご紹介します。
展示会お礼メールを送る目的
展示会などのイベントを運営した経験のある方は、自社ブースを訪問してくれたお客様宛に「お礼メール」を送ったことがあるのではないかと思います。ではこの「お礼メール」、具体的に何を目的にして送信するのかを考えたことはありますでしょうか?
展示会後のお礼メールには、大きく分けて以下の二つの目的があります。
1.自社の印象を強化する
展示会出展の目的の一つは自社製品の認知度向上にありますが、展示会を訪れる人は一日に多くの企業のブースを見て回るのが普通です。お礼メールを送ることで、自社の存在を改めて印象付け(リマインド)することができます。
2.リードナーチャリングにつなげる
展示会出展のもう一つの目的は、「見込み顧客(リード)」の獲得です。
自社ブースを訪れてくれた人は「自社の製品に関心を持つ有望な見込み顧客」だと判断できますので、お礼メールという形で接点を作ることで、その後のリードナーチャリングにつなげることができます。
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効果的なお礼メールにするポイント
では、お礼メールを送る際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?以下ではお礼メールの送信にあたって押さえておくべきポイントをご紹介します。
1.時間を置かずに送信する
前述のとおり、お礼メールの目的の一つは、多数の出展企業の中から自社を特に印象付けることにあります。時間が経てば経つほど訪問者の記憶は薄れていってしまいますので、展示会終了後、極力時間を置かずにお礼メールを送信するのがポイントです。可能であれば当日のうち、遅くとも展示会終了後3営業日以内に送信できるとベストです。
2.印象的なタイトルを付ける
お礼メールで印象を強めようと考えているのは、あなたの会社だけではありません。これは裏返して考えると、展示会訪問者の元には同じようなタイミングで同じようなお礼メールが大量に届く可能性があるということでもあります。
そうした大量のメールに埋もれてしまうことがないよう、パッと目につく印象的なタイトルをつけましょう。タイトルの作成のコツについては、この後の項で改めてご紹介します。
3.相手の状態に応じてメールの文面を調整する
展示会訪問者と一口にいっても、なんとなく立ち寄ってパンフレットを手にしただけの人から、商品に強い関心を持って熱心に説明を聞いた人まで、実際には様々なタイプの人が含まれます。こうした多様な相手に対して一律で同じ文面のメールを送り付けても、高い効果は期待できません。
そこで例えば、展示会での名刺交換やアンケート記入時などに訪問者の「温度感」「検討状況」などを記録しておき、訪問者の状態にあわせてメール文面をチューニングするような工夫をしてみましょう。
CRMツールやMAツールなどからメールを自動送信する場合は、「今すぐ客」と「そのうち客」「まだまだ客」の3段階くらいにセグメントを分けるのが普通です。ただし、ブースで特に話が弾んだ相手については一斉送信の対象からは外し、営業担当者から直接コンタクトを取ってもらう方が効果的な場合があります。
4.次のアクションを促す
せっかくお礼メールを送るのですから、送りっぱなしで終わってしまわないよう、メールを読んだ人に次のアクションを取ってもらえるような工夫を盛り込みましょう。
促すアクションは相手の方の温度感によって変わります。たとえば「そのうち客」ならブログ記事やホワイトペーパーなどの紹介、「いますぐ客」なら見積依頼フォームや問い合わせフォームへの誘導などが考えられます。
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お礼メールの書き方
以上を踏まえて、お礼メールの書き方を具体的に見ていきましょう。お礼メールは基本的に以下のような要素で構成します。
①件名
件名はメールのタイトルです。展示会名や自社の会社名などを織り込み、ひと目でメールの概要が分かるようなタイトルを付けましょう。
②宛名
冒頭にメール送信相手の会社名と名前を入れましょう。CRMツールやMAツールなどを使用して送信する場合は、ツールに搭載された差し込み機能を使用すると便利です。
③名乗り
本文の書き出しでは、まず社名と送信者の名前を書いて「どこの誰からのメールなのか」を明らかにします。
可能であれば展示会の際にブースで名刺交換をした担当者からのお礼メールという体裁にするのが理想ですが、それが難しい場合は「カスタマーサービス担当の〇〇です」という形で簡単な自己紹介を添え、なぜその人からお礼メールを送信しているのかが分かるように工夫してみましょう。
④あいさつ
展示会お礼メールですから、まずは文頭で展示会に来場いただいたお礼を記載します。
「先日は〇〇展示会にて弊社ブースにお立ち寄りいただき、ありがとうございました」といった表現が一般的です。
⑤本文
あいさつに続いて本文を記載します。
展示会で紹介した商品・サービスに関する軽いリマインドをベースに、くどくなりすぎないよう簡潔な文章を心がけましょう。
なお、展示会で実際に接客をした担当者から個別にメールを送信する場合、展示会で会話した内容を本文に織り込むことで、一斉送信メールにはない「特別感」を強調できます。できれば展示会のブースで接客をする段階からこの点を頭の片隅に置いておき、会話の内容を名刺の裏やアンケートの余白などにメモしておくとよいでしょう。
展示会での会話をふまえてご案内できる資料・ホワイトペーパーなどがあれば、ここで紹介しておきます。昨今は見知らぬ相手からの添付ファイル付きメールをブロックする企業も増えてきていますので、メールに直接ファイルを添付するのではなく、Web上にアップロードした上でダウンロードURLを記載する方が無難です。
⑥結び
本文の最後には、結びとして簡単に終わりのあいさつを記載します。
あいさつメールは、言ってみれば「これからあなたとよい関係を築きたい」という企業からの意思表示です。上記のポイントを押さえつつ、そうした思いが伝わるよう自然かつ暖かい雰囲気で結びの文章を書くよう工夫してみてください。
⑦署名
最後に、メールの末尾には必ず署名を入れておきましょう。
企業名、担当者の所属部署と氏名、連絡先は必須項目です。また、メールを読んだ相手が自分の都合にあわせて柔軟にコンタクトできるよう、電話番号、メールアドレス、問い合わせフォームなど連絡先のオプションは複数提示しておくことをおすすめします。
なお、電話での問い合わせで相手に通話料がかかる場合は、実際に電話をいただいたタイミングで「一旦切って、こちらからすぐに折り返します」とご案内すると良心的な印象を与えることができるでしょう。
以上がお礼メールの書き方についてですが、お礼メールを送っただけで終わりではなく定期的なフォローによって見込み顧客の育成を行うことも重要です。例えば、相手にとって有益なコンテンツや最新情報をメルマガで定期配信するなどして、見込み顧客との関係性を深めるようにしましょう。
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基本の例文
前述のポイントを織り込んだベーシックなお礼メールの例文は以下のとおりです。
<例文>
ーーーーーーーーーー ■タイトル:【〇〇展示会】■■■社ブースご来場ありがとうございました ーーーーーーーーーー ■本文 〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇〇〇様 ■■■社の▲▲▲と申します。 先日はご多忙の中、【〇〇展示会】にて弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。 ブースでは弊社製品「〇〇〇」の活用方法、他社製品との違いなどについてご説明させていただきましたが、ご参考になりましたでしょうか? ブースでの説明ではお伝えしきれなかった特徴も多々ございますため、ご不明点・ご質問などございましたら、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。 問い合わせフォーム:[フォームURL] お問合せ専用フリーダイヤル:XXX-XXXX-XXXX 簡単ではございますが、まずはごあいさつとさせていただきます。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ーーーーーーーーーー 株式会社■■■ ●●●部 担当:▲▲▲ 住所:XXXXXXXXXXXXXXXXXXX TEL:●●-●●●-●●●● FAX:●●-●●●-●●●● Mail: URL:https:// XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX ーーーーーーーーーー |
展示会お礼メールの例文集
前述の基本の例文をベースに、送信相手の温度感(検討度合い)やアプローチの方向性に応じたお礼メールの例文を考えてみましょう。
①手応えのあるお客様(今すぐ客)
展示会での会話から「すぐにでも製品を購入・導入しそう」という感触を得られた相手(今すぐ客)に対するお礼メールは「鉄は熱いうちに打て」のスタンスで送信します。
できればツールによる一括送信メールではなく、営業担当者から手書き(個別作成)でメールを送り、営業訪問や製品のデモンストレーションなど、具体的な商談に繋がりやすいアクションへ誘導するのがポイントです。
なお、ブースで接客した担当者から直接メールを送る場合、担当者の名前をメールのタイトルに入れておくことで「あっ、あの人からか!」と相手の記憶を刺激し、開封率アップが見込めます。
<例文>
ーーーーーーーーーー ■タイトル:【〇〇展示会】ご来場のお礼(■■■社▲▲▲より) ーーーーーーーーーー ■本文 〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇〇〇様 ■■■社の▲▲▲と申します。 先日はご多忙の中、【〇〇展示会】にて弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。ブースでは弊社製品「〇〇〇」の活用方法、他社製品との違いなどについてご説明させていただきましたが、ご参考になりましたでしょうか? さしつかえなければ、一度実際にお伺いして製品のご紹介・デモンストレーションなどをお目にかけられればと存じますが、〇〇様の直近のご都合はいかがでしょうか。参考までにいくつか日程を提示させていただきますので、ご都合のよい日をご連絡ください。 【日程候補】 ・〇月〇日 〇時〇分~〇時〇分~ ・〇月〇日 〇時〇分~〇時〇分~ ・〇月〇日 〇時〇分~〇時〇分~ 上記の日程ではご都合が合わない場合は、本メールへのご返信の形で、いくつか候補日を頂戴できれば幸いです。 以上、簡単ではございますが、まずはごあいさつとさせていただきます。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ーーーーーーーーーー 株式会社■■■ ●●●部 担当:▲▲▲ 住所:XXXXXXXXXXXXXXXXXXX TEL:●●-●●●-●●●● FAX:●●-●●●-●●●● Mail: URL:https:// XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX ーーーーーーーーーー |
②確度の低そうなお客様(そのうち客・まだまだ客)
まだ製品の購入・導入に対する検討がそれほど進んでいない「そのうち客」や「まだまだ客」に対しては、今後の関係性構築のためのトリガーというスタンスでお礼メールを送信します。
「今すぐ客」のようにいきなり営業訪問やデモなどをご案内するのではなく、製品・サービスに関連する資料のダウンロード、ブログやメールマガジンへの誘致といった軽めのアクションを促し、今後のリードナーチャリングにつなげていきましょう。
<例文>
ーーーーーーーーーー ■タイトル:【〇〇展示会】■■■社ブースご来場ありがとうございました ーーーーーーーーーー ■本文 〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇〇〇様 ■■■社の▲▲▲と申します。 先日はご多忙の中、【〇〇展示会】にて弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。 お持ち帰りいただいた資料・パンフレットはご参考になりましたでしょうか? 弊社では展示会では配布できなかった導入事例集やホワイトペーパーなども多数ご用意しております。こちらもあわせてご参照くださいませ。 ▼[資料名]:[ダウンロードページURL] →〇〇〇について説明した資料です。 ▼[資料名]:[ダウンロードページURL] →〇〇〇について説明した資料です。 また、下記のブログにて定期的に業界の最新情報などをご紹介しておりますので、ぜひこちらもご活用いただければ幸いです。 ▼[ブログ名]:[URL] 以上、簡単ではございますが、まずはごあいさつとさせていただきます。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ーーーーーーーーーー 株式会社■■■ ●●●部 担当:▲▲▲ 住所:XXXXXXXXXXXXXXXXXXX TEL:●●-●●●-●●●● FAX:●●-●●●-●●●● Mail: URL:https:// XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX ーーーーーーーーーー |
③無料お試しや割引等の提供がある場合
「そのうち客」や「まだまだ客」宛てにお礼メールを送信する場合、無料お試しや割引券などを提供することでメールの開封率やコンバージョン率の引き上げが期待できます。このような場合はタイトルでその旨を分かりやすく伝えるのがポイントです。
なお、無料お試しや割引を提供すれば当然ながらコストが発生します。お試し・割引だけでお付き合いが完結してしまうとかけたコストが持ち出しとなってしまいますので、その後のリードナーチャリングにつなげる戦略をあらかじめ明確にしておくことが大切です。
<例文>
ーーーーーーーーーー ■タイトル:【〇〇展示会】■■■社ブースご来場お礼★無料お試しサンプル付き!★ ーーーーーーーーーー ■本文 〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇〇〇様 ■■■社の▲▲▲と申します。 先日はご多忙の中、【〇〇展示会】にて弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。 展示会でのご説明・ご提供資料を通じて弊社製品の概要をご理解いただけたことと存じますが、この機会によりいっそう製品の魅力をお伝えできればと思い、無料で製品をお試しいただけるようサンプルをご用意させていただきました。 よろしければぜひ、下記のお申込みフォームから無料サンプルをご請求いただき、実際に製品をお手に取ってお試しくださいませ。 ▼無料サンプル請求フォーム:[フォームURL ※お一人様一回限り なお、展示会では配布できなかった導入事例集やホワイトペーパーなども多数ご用意しておりますので、こちらもぜひあわせて参考になさってください。 ▼[資料名]:[ダウンロードページURL] →〇〇〇について説明した資料です。 以上、簡単ではございますが、まずはごあいさつとさせていただきます。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ーーーーーーーーーー 株式会社■■■ ●●●部 担当:▲▲▲ 住所:XXXXXXXXXXXXXXXXXXX TEL:●●-●●●-●●●● FAX:●●-●●●-●●●● Mail: URL:https:// XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX ーーーーーーーーーー |
以上、代表的な3つのパターンでお礼メールの例文をご紹介しました。これらの例文を参考に、自社の製品やサービス、展示会出展のスタンスや訪問客の属性などをふまえて、あなたの会社なりのお礼メールを設計してみてください。
展示会を通じた顧客化にMAツールを活用
お礼メールは展示会訪問者とその後の関係性を築くための重要な「トリガー」となるアクションです。せっかくお礼メールを送付しても、その先につなげられなければ意味がありません。お礼メールの送信は「ゴール」ではなく「スタート」であるということを意識しつつ、リードナーチャリングに繋がるお礼メール施策を組み立ててみてください。
なお、お礼メールの効果を最大限に高めるのに大いに役立つのがMAツールです。
MAツールを使えばお礼メールの送信を効率的に行えるほか、お礼メール送信後の見込み顧客の行動を可視化し、適切なタイミングで最適なアプローチをとることが可能となります。
そのほかのマーケティング施策についても分かりやすくご紹介している資料は、下記より無料でダウンロードいただけます。ぜひこちらもあわせてご参照ください。
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システムエンジニア/フリーライター/BtoBマーケターの3つの顔を持つワーキングマザー。
BtoB商材を扱うIT企業に在籍し、課題解決ブログの立ち上げ・SNS活用を始めとしたコンテンツマーケティングの導入に取り組んだ経験を持つ。
ライターとしては20年を超える経験を有し、『小さな会社のAccessデータベース作成・運用ガイド』(翔泳社)をはじめ、プログラミング関連の著書多数。
現在はIT企業にてシステム評価に携わりつつ、IT、マーケティング分野を中心に精力的に執筆活動を展開中。