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コンテンツマーケティングのKPIは?目的に合わせた設定法

コンテンツマーケティングのKPI設定をしようにも、そもそも何をKPIにすればよいかわからないという方…実は結構いらっしゃいます。とりあえず流入やアクセス?それともコンバージョン?きちんとコミュニケーション設計を描いていないと、安易な考え方でKPIを一律に設定してしまいがちです。本来の意味を見失ってしまいます。これを機に、全体を把握して成果(KGI)を見据えた正しいKPI設定を行いませんか?

「1つでは不十分」KPIの考え方とは?

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字をとったもので、日本語に直訳すると「重要業績評価指標」と言われます。わかりやすく言うと「最終目標(KGIなど)に到達するために、確認すべき『細かい目標』」。そのため、KPIは下図のようにある程度細かく、そして複数設定することがおすすめです。役割によってKPIは変わってきます。最終目標はどんなサービスにおいても「売上を上げる」となるはずなので、つまりは「契約を増やすこと」「顧客に継続してもらう(=ロイヤル化)」になります。コンテンツ施策の役割や守備範囲別にフロー図・カスタマージャーニーなどを書いてKPIを決めてゆきましょう。
KPIの考え方とは?ある程度細かく、そして複数設定するイメージ
※この図はSATORIにおけるコンテンツ施策の一部を書き出したものですべてではありません
※以下の表に上記図よりKPIの内容を一部書き出しました

NoKPI
KPI-1
基礎知識記事・MA記事への流入数
KPI-2
Facebook・Twitterのフォロワー・いいね数
KPI-3
記事を経由した、ホワイトペーパーのダウンロード数
KPI-4
MA記事を経由したセミナー申込者数
SNSからのセミナー申込者数

関連記事:【図解】KPIとは?簡単に意味を説明、設定方法もわかりやすく解説します

上司を納得させるKPI設定の手順

先ほどもお話したとおり、「とりあえず、『SEOは検索流入』『SNS施策はいいね数』『Webサイトのアクセス数』をKPIに設定しました!」としてしまうと、「それで本当にコンバージョンするの?成果あるの?売上は上がるの?」と上司からつっこまれ、回答できずやり直しと言われてしまいます。ここでは、上司に何をつっこまれてもきちんと説明でき、理解してもらえるKPI設定法を解説します。このような手順で進めてください。

(1)コンテンツ・施策の役割を整理しよう

下の表のように、現在行っているコンテンツ系の施策や、その周辺の施策を整理しましょう。やみくもにコンテンツを作って公開しているだけだった場合でも、役割整理を行うと使い方が見えてきます。SATORIでは、リードを「そのうち」「いますぐ」にわけて管理していて、フェーズごとに違ったアプローチを行うため、コンテンツにも守備範囲と役割を決めています。

コンテンツ種別主な流入経路役割
マーケティングの
基礎知識コンテンツ
検索、SNS初回接触・そのうち客獲得
展示会・共催セミナーオフライン初回接触・そのうち客獲得
MAの基礎知識コンテンツ検索、SNS、広告そのうち客定期コミュニケーション
いますぐ客獲得
ホワイトペーパーサイト内リンク、広告、メルマガそのうち客定期コミュニケーション
いますぐ客獲得
MAの使い方・事例コンテンツ検索、SNS、広告いますぐ客定期コミュニケーション
いますぐ客獲得
セミナーレポートSNS、広告、メルマガいますぐ客定期コミュニケーション
いますぐ客獲得
自社セミナーオフラインいますぐ客定期コミュニケーション
いますぐ客獲得
使い方動画コンテンツサイト内リンクCRM(既存顧客コミュニケーション)
利用活用セミナーオフラインCRM(既存顧客コミュニケーション)
ユーザー会オフラインCRM(既存顧客コミュニケーション)

行っている施策を洗い出し、一覧を作った上で、何のためにやっているのかを考えます。
守備範囲(つまり、誰あての施策なのか)と役割ごとにグループをおこし、グループごとにKPI管理を行うと美しく整理できるようになります。

(2)ファネルを描いて、役割を当て込もう

さきほど整理したコンテンツと、顧客のフェーズをファネルにまとめて整理してみましょう。そうすれば、点で考えていた施策が線でつながってゆく感覚があるはずです。
コンテンツと顧客のフェーズをファネルにまとめたイメージ
例えば、基礎知識コンテンツを読んだユーザーには、より自社サービスの内容に近いMA解説へ誘導し、読んでもらいたいと考えています。
MA解説コンテンツを読んでいるユーザーは、MAに対する興味関心が高いということなので、さらに詳しい解説資料などのホワイトペーパーをダウンロードしてもらいたいですよね。
つまり、ブログやオウンドメディアにおけるコンテンツマーケティングのKPIは、もちろん「流入やアクセス数」も必要ですが、「基礎知識からMA解説への誘導成功」もKPIの一つとして置いてもよいですし、「ブログを経由したホワイトペーパーダウンロード数」もKPIとして置いておきたいです。このように、ユーザー・見込み顧客の導線を考え、どこにKPIを置いておくか…という考えのもとで設計することで、「なぜこのKPIが必要なのか」を考えることができます。

(3)コンテンツ種別・役割から目的を整理してKPIを設定

(2)でファネルで整理したことで「最終目標のために、何をKPIとして設定おくべきか」のイメージがついたのではないでしょうか?
コンテンツ種別・役割から目的を整理してKPIを設定するイメージ
そのうち客を増やすには初回接触、つまりたくさんの人と出会うことが大事ですし、出会った直後のそのうち客をいますぐ客に変えてゆくにはメールアドレスなどの個人情報を獲得してゆきたいですよね。契約ユーザーには、優良顧客になって欲しいので、利用頻度やイベント参加を増やしてゆきたい。このようにフェーズに合わせ多目的からKPIを決めてゆきましょう。どのようなKPIがよく用いられているのか、各フェーズごとに参考例を集めてみました。

そのうち客獲得(初回接触)に関するKPI

ブログやオウンドメディアを運営しているなら、できるだけ多くの方に読んでもらいたいので流入やアクセスは外せません。しかしそれ以外にも、誘導数などもよく利用されるKPIの一つです。

(1)ランディングページとなるセッション(流入数)

サイト全体のアクセス数と区別するために、ブログやオウンドメディアから流入してきた数字をKPIとして持ちましょう。
Googleアナリティクスを使ったランディングページとなるセッション(流入数)の計測イメージ
Googleアナリティクスでは、カスタムセグメントでランディングページURLをブログやオウンドメディアに含まれるURLを指定することで設定が可能です。

(2)マーケティング基礎知識→MA解説 誘導数

先ほどの「コンテンツの役割整理」で提示したとおり、基礎知識を読んだ人にはMAに興味を持ってもらって、MAの解説の記事を読んでもらいたいわけです。そうすることでMAへの関心が高まり、ホワイトペーパーのダウンロード数も増えると考えているので、これもKPIとして設定することが望ましいです。
Googleアナリティクス上でカスタムセグメントを使った計測方法イメージ
モニタリングにはGoogleアナリティクスの「カスタムセグメント>シーケンス」をよく利用しています。

(3)下部SATORI広告エリアまでのスクロール率

記事の読了後に広告や製品の訴求ブロックを置いている場合は、「広告を見た」ことをKPIとして設定したいですね。「読了」や「広告エリアまでのスクロール」といった類のものは、単にスクロール率からは取得できません。指定の場所までスクロールされた際に発火するトリガーが必要になります。GoogleタグマネージャーとGoogleアナリティクスを使って取得が可能ですが、WordPressを利用している場合は「WP Scroll Depth」という優れたプラグインがあります。スクロール率やピクセル数はもちろんのこと、指定したIDまでのスクロールが何人いるかという情報も取得できます。インストールから設定までは、こちらのページがわかりやすいです。
▶︎読了率を計測できるwordpress プラグイン「WP Scroll Depth」
https://webledge-blog.com/wp-scroll-depth/

(4)Cookie獲得数

MA(マーケティングオートメーション)やWeb接客ツールなどを利用している場合、Cookie数=管理ユーザー数ということになります。新規セッションの際に取得し、蓄積していく数字になりますので、そちらもよくKPIとして設定しています。

いますぐ客獲得に関するKPI

いますぐ客の獲得は、直接獲得とそのうち客からの育成があります。いろんなKPIが想定できますが、今回はシンプルに「プッシュ系の施策を届けられるようになった」「なんらかしのつながりができた」ことを挙げました。

(1)コンテンツを経由したメールアドレス獲得数(資料DLなど)

メールアドレスの獲得数は普段から意識していると思いますが、コンテンツを経由したかどうかは取得していないのではないでしょうか?広告からなのか、コンテンツマーケティングなのか…区別するためにも経由した後のメールアドレス登録フォームからはタグのデータを投げて、MAや接客ツールでタグ付けしておくとよいでしょう。

(2)SNSのフォロー数・アクション数

コンテンツマーケティングの活動ツールとしてSNS(FacebookやTwitter、Instagramなど)を利用しているなら、そのフォローなどのアクション数をKPIとして持っておきましょう。そのアクションがどこから来たものか、など詳しく分析したい場合は公式の分析ツールでは限界がありますので、外部ツールを導入することも検討してください。SNSのシンプルなKPIはおおよそ以下の数値に置いていることが多いです。

FacebookTwitterInstagram
フォロワー数
いいね数
コメント数
シェア数
フォロワー数
いいね数
リプライ数
リツイート数数
フォロワー数
いいね数
コメント数
エンゲージメント数

(3)プッシュ通知の許可

最近ではブラウザのプッシュ通知を使った施策を行うWebサイトも増えてきていますね。メールよりもオファーはシンプルになりますが、ターゲティング・パーソナライズもMAを使えば簡単にできますので、人気が出てきています。プッシュ通知の許可も、メールアドレス取得同様、重要な指標としてKPIに置いてもよいものです。SATORIではプッシュ通知が許可されたら、MAツールにタグ付けされるよう組み込んで運用を行っています。

いますぐ客に関するKPI

いますぐ客は、早く商談など対面フェーズに育成していくことが目標。売上に直結するフェーズなので、より明確なKPI設定が求められます。

(1)訪問頻度・再訪数

このフェーズでは、取引への気持ちが上がってくると自然に訪問頻度が増え、商談につながってゆくもの。いますぐ客でセグメントできるなら、いますぐ客だけの一人あたりの訪問回数や、再訪期間・再訪数などをとっておくと育成がうまくいっているかの指標の一つとなります。

(2)キラーコンテンツへの送客数

SATORIでは「このページを見ている見込顧客は、取引への意識が強いはず」といったページを「キラーコンテンツ」としてリストしています。キラーコンテンツを閲覧している見込顧客には電話やメールなど1:1のコミュニケーションを取ることになっていますので、キラーコンテンツを読んでもらうことは指標の一つとして持っておきたいのです。BtoCでいうなら「AとBどっちを買うべきか比較表」というような「買うことはほぼ決まっていて、あとは何を買うかだけ」というページなどがキラーコンテンツに向いています。BtoBでは他社との比較表や活用事例インタビュー等をキラーコンテンツにしている例が多いです。そこに送客して買いたい気持ちを熱くしていくことをKPIのひとつとして置くのもとても理にかなっているといえます。

(3)コンテンツを経由したセミナー・勉強会申し込み数

商談前の対面施策への誘導成功した数字もBtoBでは重要な指標です。申し込みフォームに「このセミナーを何で知ったか」のアンケートをつけるか、もしくはフォームへ遷移する際のリンクにパラメータを仕込んで「コンテンツマーケティングから送客した」というデータを取得することでコンテンツ経由の対面施策誘導数をKPIとしてモニタリングしていくことが可能です。

顧客(契約済み)に関するKPI

契約や購入をしてもらって、顧客になった後にもコンテンツマーケティング施策を打っていることは多くありますが、KPIを設定している方はとても少ないと感じます。クロスセルや、定期購入へのアップセル、契約期間の延長や更新、解約率の低下など、目標は事業によって変わってきますので、それに合わせたKPIが必要です。中でも、多くの事業に利用できそうなKPIを挙げてみました。

(1)利用頻度

ソフトウェアなどのサービスでは、ログイン頻度などをKPIとして持っていることが多いです。なぜなら、利用頻度が下がってくるとその先に解約があるからです。定期的に利用するようなサービスは、必ず確認しておきたい指標です。

(2)動画閲覧数・閲覧率

SATORIでは使い方や活用事例などの動画を会員限定で配信しています。その動画を見てもらうことが、定期的な利用につながり、その結果解約数が下がるという仮説のもと、動画の施策を行っていますので、「動画の閲覧数・閲覧率」は重要な指標としてKPIに置いています。動画の配信にYouTubeを利用している場合は、GoogleタグマネージャーとGoogleアナリティクスで閲覧状況のデータを取得することが可能です。
GoogleタグマネージャーとGoogleアナリティクスを使った動画の閲覧数・閲覧率の計測イメージ
詳しくは、【GTM活用】設定しておきたい5つのトリガーをご覧ください。

(3)イベント参加率

オフラインイベントを行っている場合は、そのイベント参加率はユーザーを定着させてファン化するための重要な指標となります。1人当たりのイベント参加回数や、イベントの参加率もKPIの一つとして設定しましょう。
このように、役割や守備範囲ごとにKPIを設定しておくと、上司からの厳しいツッコミにも正しい説明を返すことができます。これができていないと、「集客目的のコンテンツマーケティング」に対して「流入は多いけどコンバージョンしないから価値がない」なんて厳しいことを言われて、予算を削減されてしまうという悲劇が起こることもあります。筆者はそのような現場もたくさん見てきました。
KPIは目的と役割があってこそ、存在する「指標」なのです。そのためにはファネルやカスタマージャーニーをしっかり描いて、何のための施策なのかを明確にしておきましょう。その上でのKPI設定はとてもクリアで決して難しいものではありません。

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