About Client
社名 | 株式会社翻訳センター |
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業種 | IT・情報ソフトウェア, サービス |
業態 | BtoB |
事業規模 | 101~500人以下 |
課題 | リード育成, 顧客管理 |
取材にご協力いただいた方
経営企画室 マーケティンググループ 課長代理 竹口 忍 氏
企業プロフィール
- 会社名:株式会社翻訳センター https://www.honyakuctr.com/
- コンセプトムービー:https://vimeo.com/580645905/970cbfd276
- 設立:1986年4月
- 資本金:588,443,000円
- 事業内容:翻訳サービス業
- 従業員数:347名(2021年3月31日現在)
- 上場市場:東京証券取引所JASDAQスタンダード
本事例の内容は、取材日(2021年6月)時点の情報です。
ランゲージサービスを通じて「すべての企業を世界につなぐ」株式会社翻訳センター
1986年に医薬分野の専門翻訳会社として設立以来、医薬・特許・工業・金融の各専門領域に特化した産業翻訳サービスを扱っている株式会社翻訳センター。豊富な知見とネットワークを武器に、「外国語の総合サプライヤー」として世界展開する大手企業から信頼を得ており、2020年の「世界の言語サービス会社ランキング トップ100」では、アジア太平洋部門で売上高2位にランキングされている。(Common Sense Advisory 発表「2020 Rankings of Largest LSPs in the World」)
近年のデジタル化を受けて、同社では数年前から翻訳工程に機械翻訳や翻訳支援ツールを導入し、案件ごとに求められるスピードや品質をコントロールしている。こうしたデジタルの活用は顧客サービス面だけではなく、営業やマーケティングといった販促活動でも進められているという。
同社の経営企画室でマーケティング業務を担当している竹口 忍 氏にお話を伺った。
「『マーケティンググループ』という組織が経営企画室にできたのが1年ほど前です。それまでも、コーポレートサイトやランディングページの制作、運用を経営企画室のメンバーとして担当してきましたが、マーケティンググループができてからは、業務の範囲を広げ、リードジェネレーションへの取り組みを強化しています。」(竹口 氏)
コロナ禍を機に、リードジェネレーションに注力
大手顧客との付き合いが長い同社では、既存顧客からの依頼が多くを占めていたという。そのため、既存顧客への“対面営業によるフォロー/アプローチ”が重要だった。
そうした状況で、デジタルマーケティングの重要性が高まる変化が起きた。2019年末からの新型コロナウイルスの感染拡大である。
「コロナ禍の影響は大きかったと思います。対面営業が難しくなり、お客様とのコミュニケーションをどうやって継続していくかという課題が出てきました。
その折に、カスタマーサクセスで世界的に有名なある企業の記事を目にしました。記事には、その企業のビジョンとして『人を優先させながらビジネスが成功できることを証明する』『顧客の成功を可能にしながら企業を継続的に成長させる』という趣旨が書かれていました。お客様との関係性を継続し、より強化するためには、弊社のデジタルマーケティング業務においても、このビジョンは有効だと思いました。そして、自分自身のミッションも、デジタルを使って何を変えていくかということだけに集中せず、視野を広げた上で、お客様に向けた活動と、社内に向けた活動の両方が、今は特に必要なのだなと考えるようになりました。」(竹口 氏)
コロナ禍によって対面営業に制限がかかり、デジタルマーケティングに注力する上で以下の2つの課題があったという。
- 膨大な顧客情報をいかに管理し、分析、活用するか
- お客様がどのような情報を求めており、それをいかに提供するか
「弊社ではERPツールを用いて大量の顧客情報管理をしていたものの、ツールの特性上、販売管理の役割が大きく、そこから顧客分析をするためには、色々な工夫が必要でした。
また、ウェブサイトの情報からお客様のニーズを知ろうとしても、Googleのアナリティクスで分析できる内容に留まり、その顧客解像度も限定的です。お客様がどのような情報を必要としているのかを理解し、提供する上で、MAツールの導入は必須だと感じました。」(竹口 氏)
(※1基幹系情報システム(ERP = Enterprise Resources Planning の略)「基本的な経営資源である『ヒト・モノ・カネ・情報』を適切に分配し有効活用する」という考え方をもとに開発された情報管理システムのこと)
費用対効果と「国産ツール」であることが導入の決め手に
課題が明確になったことでMAツールの導入を決定した同社では、さまざまな他社MAツールを検討したという。
「他社のMAツールは、管理画面の使いにくさや管理できる顧客リスト数やリード数の制限、ボリュームによる課金など、運用にあたって足枷になりそうな部分がありました。より精度の高い分析には、より多くの情報が必要になります。
そのため、社内で管理していた顧客のリード情報をすべてMAツールに取り込んだ場合を仮定し、ランニングコストを計算しました。その結果、低価格MAツールでは機能面のコストパフォーマンスが悪く、その一方で外資大手の高価格MAツールでは費用が掛かりすぎて、運用の規模感も大きくなりすぎる点がネックであると考えました。大小さまざまなツールを検討した結果、弊社が管理したいリード件数と運用規模にフィットしたMAツールが『SATORI』だったのです。」(竹口 氏)
ある程度、ツールを選定してから行ったのが、MA導入に対する社内合意の形成だ。コストをかけてMAツールを導入するだけに、社内への説明にも注力したという。
「導入にかかるコストと、想定される効果を説明し、MAツールの機能だけでなく、背景も理解してもらえるように資料を揃えました。質問されそうな内容を列挙し、千本ノックのように回答を考える日々でした。その際にはSATORIの営業担当の方にも支援いただけて非常に頼もしかったです」(竹口 氏)
コンサルタントによるオンボーディングとその後のサポートを高く評価
「『SATORI』導入という取り組みを通して、一番素晴らしかったと感じていること、それは導入期(オンボーディング)とその後のサポート体制です。コンサルタントの方には、特に感謝しています。すっかりSATORIのファンになってしまいました。
対応いただいた中でも特に助かったことが、他社事例をベースに教えていただいたことです。『他の企業ではこんなふうに工夫していますよ』と、コンテンツ化されていない情報までご共有いただけました。その他にも何か困ったことが起きるたびに相談させていただいたのですが、返信も本当に早く、親身に対応いただけました。
こうした『SATORI』の充実したサポート体制からは、ビジネス的に学びとなる点も多くありました。お客様との関係性を大事にし、いかに離脱を防いでいくか。これは弊社の翻訳サービスにも活かせる姿勢だと感じました。」(竹口 氏)
カスタマー詳細ページとアクセス企業一覧リストで、お客様イメージを把握する
同社ではマーケティンググループが導入業務を担当後、現在は社内のインサイドセールスチームと連携して「SATORI」を運用しているという。社内向けの初期導入レクチャーに加え、必要になったタイミングで機能に関する勉強会も行なった。運用を担当するメンバーはいずれもコーディングの知識や経験がないものの、現在では入力フォームの作成やWebサイトの更新も少しずつ対応ができるようになった。
担当しているメンバーから特に高評価を受けている機能が、「カスタマー詳細ページ」と「アクセス企業一覧リスト」だ。
- カスタマー詳細ページ:オンライン/オフラインのアクション履歴やスコア、付与されているタグ等、取得している個人情報を閲覧する機能。
- アクセス企業一覧リスト:ウェブサイトを閲覧している企業をIPアドレスから判別し、確認する事ができる機能。
「この機能によって、MAツールに対する社内のモチベーションが少し向上したのではないかと思います。どんなお客様が、どんなページを見てくれているのかが可視化されることで、お客様と直接会えなくてもどのような情報を求められているのかイメージがつきやすくなりました。私個人もこの機能のページを閲覧することが日課になっていまして、顧客分析の解像度があがり、施策の立案に活かせています。このあたりは、個人情報保護の観点もあるため、お客様からの同意をしっかりとり、カスタマーサクセスを考えながら実施しています。」(竹口 氏)
効率的に情報を収集、管理し、より精度の高い顧客分析と施策企画につなげていく
「SATORI」の導入からまだ数ヶ月と日が浅く、現在も試行錯誤が続いている中でどのような成果があったのだろうか。マーケティング部門の立ち上げと同時に導入されたこともあり、売上やリード数の前後比較が難しいなか、それでも明確な成果が出始めていると竹口氏は語る。
「フォーム機能やメール配信機能のおかげで、マーケティング業務の工数がかなり削減できたと言えます。以前は別のメール配信ツールを使っていたのですが、開封数くらいしか分からなかったため、効果測定が大雑把でしたし、成果も、別途、表計算ソフトにまとめていました。その手間がなくなり、管理画面上ですぐにメールの開封率やお問い合わせ数を確認することができます。
フォーム機能のエディターも優れており、ノーコードで改修できることで内製化を実現しました。以前はフォーム改修にも費用をかけていましたので、それだけでも費用対効果はよいと言えます。外注に改修を依頼する場合でも、やりとりに時間がかかっていましたので、社内で簡単に更新できるメリットは大きいです。」(竹口 氏)
キーワードは「お客様との関係性」
フィールドセールス中心の販促施策から、コロナ禍を機にマーケティングとインサイドセールスにも注力し始めた同社は今後、どのような展望を描いているのだろうか。そして「SATORI」の導入がどのような変化をもたらしたのか。その答えのキーワードは「お客様との関係性」だという。
「『SATORI』の導入で、お客様のことが、より深く理解できるようになりました。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの三者で情報共有もしやすくなったことで、今後は部署を超えて『お客様とのさらなる関係性の向上』を意識して施策を考えていきたいです。
『翻訳』というサービスは、常にお客様からご依頼があるようなものではありません。お客様が必要とするときに、そのタイミングで目の前にいられるかどうかが重要だと思います。
コロナ禍で直接お会いできない今だからこそ、オンラインでお客様と対話ができる『SATORI』は必要不可欠なツールです」(竹口 氏)