【図解】セグメンテーションの概念とは?ターゲティングとの違いや分類例を解説!

丸の内とら

セグメンテーションは、対象市場の潜在顧客をニーズや特性に応じてグループ分けするマーケティング上の活動の一つです。この記事ではセグメンテーションの基礎、類似の概念であるターゲティングやポジショニングとの関係について説明した上で、セグメンテーションにおける具体的な分類例をご紹介します。

セグメンテーションとは

セグメンテーション(segmentation)は「区分」「区分け」といった意味を持つ英単語ですが、マーケティング領域では、自社製品・サービスの対象市場内に存在する顧客をニーズや特性等に応じて細分化する活動をセグメンテーションと呼びます。細分化した個々のグループ(セグメント)ごとにニーズや特性にマッチしたマーケティング施策を実施することで、効果や効率の向上が見込めます。

マーケティング戦略におけるセグメンテーションの位置づけ

ターゲティング、ポジショニングとの関係

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP分析)のイメージ

STP分析は事業戦略やマーケティング戦略の立案時などに役立つフレームワークの一種で、市場における自社の立ち位置を明確にするために用いられます。

STP分析では、まず対象とする市場を細分化し(S:セグメンテーション)、細分化した市場の中でどのセグメントを対象にするのかを決定した上で(T:ターゲティング)、対象市場内における自社の立ち位置(競合会社との強弱など)を具体化します(P:ポジショニング)。

セグメンテーションはこのSTP分析の中で用いられる手法で、ターゲティング、ポジショニングに先駆けて市場を細分化するものです。セグメンテーションが正しく行われなければ正しいターゲットを選定できませんし、ターゲット市場におけるポジションを具体化することもできませんので、STP分析の中でも非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

セグメンテーションの分類例

セグメンテーションを行う際には、地理的変数や行動変数など、様々な軸(観点)で市場の分類を試みます。セグメンテーションにおける分類の観点は「変数」「属性」などと呼ばれ、代表的な変数の種類としては以下のようなものがあります。

▼セグメンテーションで用いられる変数

変数の分類

説明

分類の具体例

地理的変数(ジオグラフィック変数)

国や都市、地域といった地理的な条件に関連する特性。

・東京都在住

・勤務先が愛知県

人口動態変数(デモグラフィック変数)

性別や年齢、家族構成、職業、収入といった人口動態に関連する特性。

・30代の男性

・20代で子供が1人の夫婦

・年収600万円以上

心理的変数(サイコグラフィック変数)

価値観や嗜好性、性格といった心理的な状態に関連する特性。

・趣味が旅行

・喫煙者

行動変数(ビヘイビアル)

人の行動パターンに関連する特性。

・商品Aの購入経験あり

・1か月以内に問い合わせしたユーザー

セグメンテーションを行う際に用いる変数は、商品・サービスの性質や戦略によって異なります。一般的には、複数の変数を組み合わせてグループ分けをすることが多いと言えるでしょう。たとえば、地理的変数の「東京都在住」と人口動態変数の「30代の男性」、心理的変数の「喫煙者」を組み合わせ、「東京都在住で30代の喫煙者である男性」といった具合です。

このようにして定義したセグメントを次に述べる4Rの原則などに沿って評価し、場合によっては個々のセグメントに対してテストマーケティング等を行った上で、最終的なターゲット市場を特定します。

セグメンテーションのポイント(4Rの原則)

セグメンテーションを行う際には、細分化したグループ(セグメント)がマーケティング施策におけるターゲットとして適切なものとなりうるかを評価することが重要です。

セグメントを評価する際の指針としては、4Rの原則が有名です。
4Rの原則とは、Rank(優先度)、Realistic(有効性)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)の4つの条件を用いてセグメントを評価する手法です。4つのRそれぞれの説明を以下の表に示します。

▼セグメンテーションで重視すべき4つの「R」

Rank(優先度)

自社の事業戦略やマーケティング戦略に沿って優先度付けが行われているか。

Realistic(有効性)

十分な売上・利益を見込めるだけの市場規模があるか。

Reach(到達可能性)

自社の製品・サービス、宣伝広告などのメッセージをターゲットに的確に届けられるか。

Response(測定可能性)

対象市場の規模や特徴などを測定できるか。

マーケティング施策実施後の効果(反応)を測定できるか。

セグメンテーションにおいては、4つのRすべてについてセグメントを評価した上で、総合的な判断を下すことが大切です。
たとえば自社の戦略上優先度が高く、市場規模が十分であっても、ターゲット市場に製品を届けるのが著しく困難であっては、ビジネスとして成り立ちません。また、ターゲット市場内の顧客の反応を測定できなければマーケティング施策改善のためのPDCAを適切に回すことが困難となり、ビジネスを成長させていく上で重大なデメリットになりかねません。

4Rを考慮したセグメンテーション

セグメンテーションの具体例を紹介

では、セグメンテーションは具体的にどのような形で実践されているのでしょうか。以下では、マーケティングにおけるセグメンテーションの活用事例をいくつかご紹介します。

「ユニクロ」の事例(BtoC)

「物が売れない時代」に逆行し、積極的な事業拡大に取り組んできたファーストリテイリング社。同社の旗艦ブランドともいえる「ユニクロ」では、「自社の強みであるSPAシステムをどのように活かすか」という観点でマーケティング戦略を構築しています。

SPA(製造小売業)とは製品の企画から販売までを一社で手掛けるビジネスモデルで、サプライチェーン管理の無駄を省き、スピード感のある事業展開が行える点に強みがあります。

従来、アパレル業界では「20代女性」「40代男性」といった客層ベースのセグメンテーションに基づく販売戦略が一般的に用いられてきましたが、ユニクロは「売れるものが分かればすぐに大量生産できる」という強みを生かす方向で市場のセグメント化を行いました。

具体的には、「カジュアルかフォーマルか」「トレンドかベーシックか」という指標を打ち立てた上で検証を行い、「カジュアルで、ベーシックな商品を作る」という方針を打ち立てたのです。この方針は1998年に発売されたフリースによって、「フリースといえばユニクロ」といわれるほどの大成功を収めました。

参考:ユニクロのマーケティングから学ぶ!セグメンテーションが重要??

「メルカリ」の事例(BtoC)

日本国内を中心に絶大な人気を誇るフリマアプリを運営するメルカリ社の戦略にも、セグメンテーション~ポジショニングにおける工夫が伺えます。

フリマ(Flee Market/蚤の市)とは個人間で不用品を取引する市場です。

個人間での取引を扱うサービスとしてはYahoo! Japanが運営する「ヤフオク!」が有名ですが、「ヤフオク!」と「メルカリ」は利用目的が大きく異なる点にお気づきでしょうか。オークション(競売)形式をとっているヤフオクは「少しでも高く売りたい(安く買いたい)」という「競り」の側面が強いのに対して、メルカリでは「商品に共感してくれる相手に売りたい」という「シェアリング」の側面が強調されているのです。

個人間での商品取引という市場において後出であるサービスを成功させるためには、先行大手であるヤフオクとの完全競合は避けて通りたいところでしょう。その点、対象市場をユーザーの心理的変数によって細分化し、ブルーオーシャンともいえるセグメントを発掘したメルカリ社の戦略は秀逸です。

参考:「メルカリとヤフオク」利用目的の決定的な違い | 東洋経済オンライン

「SATORI」の事例(BtoB)

弊社(SATORI)のマーケティング戦略においても、セグメンテーションを定義した上でターゲティングを行い、各マーケティング施策を実施しています。

具体的には、対象市場を業種別にセグメント化した上で、SATORI社が提供しているサービス「マーケティングオートメーション」にもっともマッチしそうな業種を“注力業種”として定義し、そのセグメントごとに施策の方向性を定めています。たとえば製造業のセグメントに対しては製造業向けのセミナー開催を企画したり、同業界の事例コンテンツ拡大に取り組んだりしています。

参考:

こうした施策を効果的・効率的に実施するために、MAツール(SATORI)を活用していることは言うまでもありません。

セグメンテーションを理解してマーケティング戦略に生かそう

セグメンテーションは戦略の立案から個別のマーケティング施策の設計まで、様々な場面においてターゲットの特定に活用できるツール(手法)です。この記事でご紹介した基本事項を理解した上で、既存の施策のターゲット設定を改めて見直してみましょう。

「現状、リード全体に対して一律で同じ施策を打っている」、「漠然としたターゲット設定を用いている」という方は、セグメンテーションからやり直すことで大きな効果アップが見込めるかもしれません。

本記事では主にマーケティング全般におけるセグメンテーションの進め方について説明しました。

セグメンテーションを行ったターゲットへのアプローチの効果を最大化させたり、適切なコンテンツを提供するためにはMAツールの活用が効果的です。マーケティングオートメーションの設計を行う際にもセグメンテーションという言葉が頻繁に使われます。この場合は、市場全体ではなく自社のリードに対してセグメントを付けるという意味で用いられることにご注意ください。

ビジネス戦略/マーケティング戦略立案時におけるセグメンテーションの目的は、対象市場を特定することにあります。一方、マーケティングオートメーションの設計におけるセグメンテーションは、これから実施しようとする施策のターゲットを特定するために行うものです。このため、自社が保有するリードを前述のような変数(属性)で切り分け、対象とするセグメントを特定することになります。両者の利用シーンは異なりますが、ここまで解説してきたセグメンテーションに活用される属性や評価の基準(4Rの原則)などは、どちらにも使うことができる概念となります。

最後に、記事中でSTP分析というフレームワークをご紹介しましたが、マーケティング領域では他にも便利なフレームワークが数多く使われています。下記のホワイトペーパーでマーケティング戦略に役立つフレームワークをご紹介していますので、ぜひこちらもあわせてご一読ください。

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PROFILE

丸の内とら

システムエンジニア/フリーライター/BtoBマーケターの3つの顔を持つワーキングマザー。
BtoB商材を扱うIT企業に在籍し、課題解決ブログの立ち上げ・SNS活用を始めとしたコンテンツマーケティングの導入に取り組んだ経験を持つ。
ライターとしては20年を超える経験を有し、『小さな会社のAccessデータベース作成・運用ガイド』(翔泳社)をはじめ、プログラミング関連の著書多数。
現在はIT企業にてシステム評価に携わりつつ、IT、マーケティング分野を中心に精力的に執筆活動を展開中。
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