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2023.12.15

マーケティングの3C分析とは?目的・やり方と実践例(テンプレート付き)

マーケティングの実践は、「環境分析」「基本戦略」「施策」の3つのステップに分けることができます。
3つの中で初期段階のステップにあたる「環境分析」で活用するフレームワーク「3C分析」について解説していきます。

1. 3C分析とは?意味と目的について

3C分析のイメージ図

3C分析とは、マーケティング戦略や事業計画を立てる際に、環境分析を行うための基本的なフレームワークです。
フレームワークにおいて「市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)」の3つの要素を分析することから、これらの頭文字を取って3C分析と呼ばれています。

3C分析で、市場動向や顧客ニーズ、自社と競合の強み・弱みを見つけ出すことによって、自社の市場における立ち位置や将来起こり得るリスクについて把握し、自社にとって最適なマーケティング戦略の策定に役立てるのが目的です。

2. 3C分析のやり方(すぐに使える基本テンプレート付き)

3C分析の具体的なやり方について見ていきましょう。3C分析の手順としては、外的要因である「市場・顧客(Customer)」と「競合(Competitor)」を分析した後に、内的要因である「自社(Company)」の分析を行います。

なお、すぐに3C分析を始められるように「無料テンプレート」をご用意しました。以下のテンプレートに記入しながら3C分析を進めてみてください。

2.1 市場・顧客(Customer)の分析

3C分析におけるCustomerは顧客だけではなく、それと一体ともいえる市場も含んでいます。
それぞれに対する分析項目は以下の通りです。

「顧客」に対する分析項目「市場」に対する分析項目
・ニーズ、価値観
・消費行動(購買行動)
・消費人口
・購入プロセス
・規模
・成長性
・変化

2.1.1「顧客」に対する分析方法

顧客分析においては、定量的な購買データはもちろん、アンケート調査結果等の定性的なデータも価値があります。
アンケート調査が難しい場合は、日々顧客と接している販売員やカスタマーセンターのスタッフ(BtoB企業の場合は営業スタッフやカスタマーサクセス)に対してヒアリングを行い、顧客ニーズ等のデータを集めるようにしましょう。

2.1.2「市場」に対する分析方法

まず市場全体を把握するためにマクロ分析を行います。マクロ分析を行うための代表的なフレームワークが「PEST分析」です。
PEST分析では「Politics(政治的要因)」「Economics(経済的要因)」「Society(社会的要因)」「Technology(技術的要因)」の4つの視点から市場全体の動向をつかむことができます。

PEST分析のイメージ図

次に、市場全体を把握するマクロ分析に対して、自社をとりまく環境に焦点を当てたミクロ分析を行います。
ミクロ分析を行うための代表的なフレームワークが「5フォース分析」です。
5フォース分析では、自社の競争要因となる「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争業者の競争力」の5つを分析し、自社が属している業界の収益構造を明らかにすることで、自社の収益を上げるための戦略策定に役立てることができます。

5フォース分析のイメージ図

紹介した2つのフレームワーク同士にも関連性があり、政治的な規制が新規参入の障壁や代替品の脅威になる等、PEST分析の4つの要因が5フォース分析に影響を与える場合もあります。
このことからも、PEST分析を行った後に5フォース分析を行うやり方がスムーズであるといえます。

つまり、これらのフレームワークを活用して市場のマクロ分析・ミクロ分析を行うことで、自社のビジネス環境を包括的に分析することが可能となります。

2.2 競合(Competitor)の分析

競合の分析では、代表的な企業や特に意識している企業のみを対象としましょう。
「競合企業を分析する視点」と「業界内での位置づけや特徴」に分けると、分析項目がわかりやすくなります。

競合企業を分析する視点業界内での位置づけや特徴
・企業やサービス、商品の特徴
・商品やサービスの開発力
・販路
・顧客数
・カスタマーサポート
・売上単価、顧客単価
・収益や生産性
・PR力
・リソースや体制
・資本金や規模
・動向
・シェアとその推移
・戦略
・特徴等を基にしたポジショニング
・影響力

競合を分析する際は、競合企業の持つ商品やサービスはもちろん、業界内でのシェアや影響力を含めた広い視点で分析することが重要です。

分析項目が多すぎて進まないという場合は、「結果」と「要因」の二軸を中心に見ていくといいでしょう。
結果とはビジネス上の成功であり、要因とはその結果を出せた理由を指します。
たとえば、「前年比を上回る売上を毎年あげている」という結果の要因が「毎年必ず新商品の発表がある」「カスタマーサポートが高評価を受けている」だった場合、その結果と要因が競合の特徴になるわけです。

2.3 自社(Company)の分析

2つの外的要因の分析が終わったら、最後に自社を分析します。分析項目は以下の通りです。

  • 商品やサービスの特徴
  • 今後の展開
  • 売上やシェア
  • 企業としての理念、ビジョン
  • 資産、資本力
  • 投資能力
  • 人員配置、体制
  • 「ヒト、モノ、カネ、情報」といったリソース
  • PR力

また、自社の分析をより効率的に行うフレームワークとして、「VRIO分析」があります。
これは自社を、「経済価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの視点から市場での優位性を分析するための方法です。
これにより企業内部の強みの質、市場での競争の優位性を見極めやすくなります。
この章でご紹介したフレームワーク、「PEST分析」「5フォース分析」の詳細は以下の記事で解説しています。
>>関連記事:【重要】マーケティングの分析手法・フレームワーク

3. 3C分析の実践例

それでは、実践形式で3C分析を行ってみましょう。
「F社が提供する法人向け研修」という架空のサービスを対象に考えていきます。
※イメージをつかんでもらうための簡易的な例なので、データや業界の現状等の内容については正確なものではありません。その点はご了承ください。

3.1【顧客(Customer)】

業界内での位置づけや特徴「市場」に対する分析
・社員教育を充実させたい
・若手と中堅、次世代リーダー、中間管理職、経営層といったセグメント別の教育プログラムが必要
・eラーニングでの実施希望が増えている
・市場規模は約5,200億円
・ここ数年は微増で推移
・eラーニングは、全体の四割近くを占める

3.2【競合(Competitor)】

競合企業を分析する視点業界内での位置づけや特徴
・D社は人材ビジネスでトップの位置にあり、その豊富なネットワークを生かした受注が多い
・E社はプログラムの独自性、カスタマイズ力に定評あり
・G社は後発ながら、eラーニングに特化しシェアを毎年倍以上に伸ばしている
・トップのD社はシェア約35%、2位のE社はシェア約10%。
・シェアとしてD社が突出する形だが、eラーニングへの対応遅れにより成長は鈍化。

3.3【自社(Company)】

  • もともと個人向けのスクール事業をメインにしており、そこから法人向けサービスも立ち上げた。法人とのパイプがなかったため、取引先のほとんどは新規開拓
  • シェアとしては3%程度で、サービス開始から5年目でようやく黒字転換
  • 個人向けで動画配信のノウハウが蓄積できているため、法人向けにもそれを生かしたプログラム開発を進行中

このように、各要素の分析から客観的な事実をピックアップしていきます。。
インターネットで検索した情報をまとめるだけでなく、ヒアリングや調査の実施等、可能な限り一次情報を集めるようにしましょう。

4. 3C分析から戦略策定・施策実行までのステップとフレームワーク

3C分析から戦略策定・施策実行までのステップとフレームワーク

冒頭でも述べましたが、マーケティングの実践は「環境分析」「基本戦略」「施策」の3つのステップに分けることができ、3C分析は「環境分析」の中にあるフレームワークです。

ここでは、マーケティングの流れを理解するために、3C分析から戦略策定・施策実行までのステップとフレームワークについて解説します。

4.1 SWOT分析

3C分析で集めた事実や情報に対して評価や解釈を加え、課題や解決方法を考えていくためのフレームワークが「SWOT分析」です。「環境分析」の中では、3C分析の次に行う位置づけです。

SWOT分析では、自社の内部環境にある「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、自社がコントロールできない外部環境にある「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の4つの要素を分析することで、自社の現状を明確にします。

さらに、各要素を組み合わせて分析する「クロスSWOT分析」を行いながら自社の戦略の方向性を探っていきます。

  • 強みを生かして機会に生かす戦略とはなにか(強み×機会)
  • 強みを生かして脅威を除く戦略とはなにか(強み×脅威)
  • 機会を生かすために弱みを補強する戦略とはなにか(弱み×機会)
  • 弱みを補強して脅威を除く戦略とはなにか(弱み×脅威)
SWOT分析のイメージ図

4.2 STP分析

次に「基本戦略」のステップに移ります。環境分析で得た結果を基に、自社の戦略を策定するためのフレームワークが「STP分析」です。

STP分析では、「セグメンテーション(Segmentation)」で市場を何らかの軸で細分化し、「ターゲティング(Targeting)」でその中から狙うべき市場を定め、「ポジショニング(Positioning)」で自社と競合の位置づけを決めるという流れで進めていきます。

STP分析のイメージ図

4.3 4P(4C)

STP分析で定めたセグメント・ターゲットに対する具体的施策を立案するためのフレームワークが「4P分析」です。

4P分析では、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4つの視点から、自社が講じるべき施策を決めていきます。
4P分析はマーケティングミックスとも呼ばれており、各要素を適切に組み合わせて整合性をとることが重要です。

また、4Pを買い手側の視点に置きかえたフレームワークが「4C分析」であり、「顧客価値(Customer Value)」「顧客が負担するコスト(Customer Cost)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」「顧客の利便性(Convenience)」の4つの顧客視点からも発想することが求められます。

4P分析のイメージ図

>>関連記事:マーケティング の4P・4Cとは?戦略を事例でわかりやすく解説します

この章でご紹介したフレームワーク、「SWOT分析」「STP分析」「4P(4C)分析」の詳細は以下の記事で解説しています。
>>関連記事:
【重要】マーケティングの分析手法・フレームワーク

5. BtoB企業が気をつけるべきポイント

BtoB企業で3C分析を行う場合、基本的な流れや考え方は同じですが、「顧客側の3C分析」も行うのがベストです。
具体例を挙げて解説します。

5.1 例:電子部品メーカーの場合

電子部品メーカーの場合、主な顧客は電子部品を使って製品化する電機メーカーです。
自分たちが属している電子部品業界の3C分析を行うのは当然ですが、それだけでは不十分なのです。
電子部品業界の3C分析だけを行った場合、顧客である電機メーカーに関する情報や理解が抜け落ちてしまうからです。

電機業界の特徴として、海外取引の活性化やIoTが問題として挙げられています。
ただし、海外取引については必ずしもグローバル化一辺倒ではない等、状況も逐次変化しています。

このように、自社側の3C分析を行うだけではビジネスに必要な環境分析が十分にできているとはいえないため、顧客側の3C分析も行うのが効果的です。
自分たちが属している業界とともに、顧客が属している業界の3C分析をダブルで行うことを「6C分析」と呼ぶ場合もあります。

6. まとめ

「顧客を軸にした環境分析」という3C分析の価値は、時代の変化があっても変わってはいません。
ですので、この記事で解説した3C分析の内容とやり方についてきちんと押さえておくようにしましょう。

また、マーケティングの世界では顧客にとっての価値やコミュニケーションを見る「4C分析」や、3C分析に中間顧客と環境社会を加えた「5C分析」といった、発展型ともいえるフレームワークも登場しています。
これらの分析方法も状況により取り入れていくと、より効果的になるでしょう。

なお、この記事で紹介したものも含めたフレームワーク集を、以下より無料でダウンロードすることが可能です。
これからマーケティング戦略を策定・実行していきたいと考えている方はぜひご活用ください。

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