友人や家族と気軽にLINEでメッセージを交換するように、企業と個人で1対1のやりとりを実現することができる時代がやってきました。LINEビジネスコネクトの仕組みを知って、自社のマーケティングに活用してみましょう。
今回は、LINEビジネスコネクトの特徴と、導入事例について紹介します。
LINEビジネスコネクトの特徴と活用方法
LINEビジネスコネクトは、自社の顧客とLINEを介して1対1のコミュニケーション(1to1コミュニケーション)や双方向のコミュニケーションができるLINEのサービスです。自社が持つ顧客データや商品データのシステムと連携すれば、顧客一人一人にマッチするメッセージを送信できます。
具体的な利用方法は後半で紹介しますが、例えば1ヶ月前に商品を購入した人にフォローのメッセージを送る、これまでの購入履歴からオススメの商品をお知らせするというような、お客様に合わせてパーソナライズしたメッセージのやり取りも可能です。まるで店舗で常連さんに接客するようなおもてなしがLINEを通して実現できるのです。
また、ユーザーからのメッセージの受信もできるので、カスタマーサポートのような利用方法もできます。
ユーザーはメールからLINEへ
LINEビジネスコネクトが注目されている理由には、ユーザーの行動様式の変化があります。若い世代になるほど、日常的なコミュニケーション手段としてメールを使う人が減少し、ソーシャルメディアを活用する傾向があります。
- 10~30代は、メール行為者率の下落傾向、ソーシャルメディア行為者率の上昇傾向が続き、コミュニケーション手段の移行が進展
- 10代、20代に限れば、ソーシャルメディア行為者率は、メール行為者率を上回る
【10代】メール行為者率30.7% 、 ソーシャルメディア行為者率 50.7%
【20代】メール行為者率49.8% 、 ソーシャルメディア行為者率 56.3%
参考:平成 26 年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書より(7ページ)
なお、ソーシャルメディアにおいてもっとも利用されているのがLINEで、どの年代でも利用しているソーシャルメディアの1位になっています。
- LINEは、各年代ともソーシャルメディア利用者のうちの大半が利用
- 10代は77.9%、20代は90.5%、30代は69.8%、40代は63.4%がLINEを利用
参考:平成 26 年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書より(6ページ)
10代、20代は、テレビの視聴時間よりもネット接続時間が長くなっており、上記の結果と合わせて考えると、若い世代に対してはLINEがもっともユーザーに接触しやすいメディアになっていると言えるでしょう。
だから、マーケティング施策としてのLINEに注目が集まっているのです。
LINEビジネス向けアカウントの種類と違い
LINEのビジネス向けアカウントは3種類あります。
- LINE公式アカウント
- 企業、ブランド、アーティストなどが開設でき、友だち登録したユーザーへのメッセージの一斉配信などが行えます。
LINE公式アカウントは、LINE内での露出機会が多いため、友だちを獲得しやすくなります。
アカウントの利用は有料で、初期費用、月額費用がかかります。
LINEビジネスコネクトを利用する場合は、API型公式アカウントと呼ばれます。
- ビジネスコネクトアカウント
- ビジネスコネクトのためのアカウントです。
公式アカウントではないため、LINEプラットフォーム内での露出が少なくなります。
- LINE@
- 店舗や施設、個人などが利用できるアカウントで、友だち登録したユーザーへの一斉配信、ユーザーとの双方向のやり取りも可能です。
有料プラン、無料プランがあります。LINEビジネスコネクトには対応していません。
LINEビジネスコネクトの仕組み
LINEビジネスコネクトではユーザーへの個別配信が可能で、企業が持つ顧客データベース、商品データベース等のシステムと連携させることで、一人ひとりに最適なメッセージを配信できます。
企業の顧客データベースを活用したメッセージを送信する場合は、ユーザーがLINE公式アカウントを友だちに登録することに加え、企業のシステムで登録しているユーザーIDと自分のIDとの連携を許可する必要があります。
ユーザーは、自分だけのおすすめやおトク情報を受け取ったり、LINEでサポートを受けられるというメリットがあります。
導入に必要な準備と費用について
LINEビジネスコネクトを利用するには、企業側でLINEのメッセージを送受信するシステムを用意し、LINEビジネスコネクトAPIと連携する必要があります。顧客データベースや商品データベース、その他のデータベースと連携する場合は、送受信システムとの連携も必要です。
送受信システムは、通常は新規開発またはシステム改修することになります。この部分については自社で新規開発することもできますし、LINEのパートナープログラムに参加している開発会社が提供する開発サービスやパッケージを導入することもできます。システム開発に関する費用については、開発内容や要件、契約する開発会社によって異なります。
なお、LINEビジネスコネクトを利用する場合はLINE株式会社の事前審査があります。LINE公式アカウントを利用している企業はLINEビジネスコネクトを無料で利用できます。LINEビジネスコネクトアカウントの場合は月額50万円の利用費用がかかります。
まとめ:LINEで1:1のコミュニケーションは強力なインパクトがある
LINEビジネスコネクトの仕組みを簡単に説明しました。1対1でユーザーとダイレクトなやり取りを実現するLINEビジネスコネクトを使えば、顧客の利便性が上がり、顧客満足度もあがりそうですね。
LINEビジネスコネクトの導入事例をご紹介
LINEビジネスコネクトは、メッセージの個別配信、ユーザーとの双方向通信ができるというサービスですが、連携するデータやアイデア次第で様々な可能性があります。
なるほど、と思う導入事例を紹介します。
クロネコヤマト:配達通知サービス
クロネコヤマトが2016年1月より開始したのが、LINEビジネスコネクトを活用した配達通知サービスで、ユーザーの利便性の向上をめざしています。クロネコヤマトのメールで配達通知をするクロネコメンバーズのIDとLINEを連携することで利用できます。
LINEで個別にユーザーへのお届け予定や不在配達の通知の配信ができ、ユーザーは再配達依頼や集荷依頼、荷物問い合わせなどができます。
LINEで宅急便
資生堂:オウンドメディアとPOSデータを連携
資生堂では、オウンドメディア「ワタシプラス」の会員データと、店舗の会員サービス「花椿CLUB」で管理する購入データを組み合わせて、LINEビジネスコネクトのメッセージ配信に活用しています。オウンドメディアの会員IDと店舗の会員IDの両方がある会員の場合は、両方を統合的に管理されます。同社では、LINEビジネスコネクトだけでなく、メールでも2つの顧客データを活用しており、メールでメッセージを送り、メールの開封率が低い顧客にはLINEでメッセージを送るというような使い分けをしています。複数のチャンネルでのメッセージ配信をするために、Salesforce Marketing Cloudを導入しており、送信ターゲットやメッセージ内容、配信タイミングを設定して自動の管理を実現しています。
メッセージ配信では、無料サンプルプレゼント、限定クーポン、オススメ商品などを送っています。
LINE×ワタシプラス
まとめ:アイデア次第で様々な活用方法
いかがでしたか?紹介した事例は、サービスや目的に合わせてそれぞれ全く異なる活用方法をしています。LINEビジネスコネクトは活用次第で、LINEを新たな顧客との接点として、「友だち」以上の深い関係が築けていくチャンスがあります。
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【著書】
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『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)
『Pinterestビジネス講座』(翔泳社・共著)