RTBはReal-Time Bidding(リアルタイムビディング)の略で、オンライン広告の仕組みのこと。今では当たり前の仕組みですが、登場時は画期的なシステムで衝撃が走ったものです。アドテクにおいては欠かせない仕組みRTBを登場・歴史からシステムの裏側までを簡単に説明します。
RTB登場の背景
RTBは、広告主と媒体の利害を一致するべく開発された取引形態です。
広告主は「広告費を安く抑えて大量トラフィックを確保したい、広告効果を最大化したい」と考える一方、媒体は「広告枠を高く売りたい」と考えています。このように相反する思惑のバランスを取りながら、現実的な取引を行うのがRTBなのです。
RTBは2010年頃アメリカ・ニューヨークで開発、導入されました。日本では、2011年にDSP事業者FreakOutによって初めて導入され、現在では国内外問わずすべてのDSPに実装されています。
(出典:インプレスR&D:DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門)
【RTB登場までの歴史】
RTBは突然生まれたわけではありません。広告だけではなく、それを取り扱うデバイスやツールなどの技術革新の積み重ねがあり、登場しました。以下にバナー広告初期から現在までの歴史をまとめました。
直接入稿時代
媒体ごとに入稿規定が異なる。広告主は制作の手間とコスト、媒体は入稿や配信、レポーティングなどの手間がかかっていました。
アドサーバー時代
媒体がアドサーバーで広告一括管理を行う。これにより時間帯配信などできることが増えました。しかし、広告費用は依然として高く、広告参入障壁は高かった。媒体は在庫管理が難しい上に、サーバー維持費がかかっていました。
アドネットワーク時代
入稿規定の統一化が進む。広告主は制作工数の削減、媒体は入稿やレポーティング、在庫管理などの手間がなくなった一方で、配信先が不明瞭、プレミアム枠は未開放など、配信面で抱える課題が多くなりました。
アドエクスチェンジ時代
複数アドネットワークへの配信が可能となり、広告”枠”単位の取引が普及しました。広告主は「買いたい”枠”を買いたい価格で」買い付け、媒体は「売りたい”枠”を売りたい価格で」提供することができるようになりました。
DSP・SSP・RTB時代
複数アドエクスチェンジを横断した広告”枠”単位の取引が可能となり、広告主が想定する「枠の取引単価」と媒体が把握する「サイト来訪ユーザー属性」および「最低出稿単価」を考慮し、リアルタイムでの広告枠取引が実現しました。
RTBの仕組
RTBとは、1インプレッションに対してリアルタイムで入札を行う仕組みで、DSPとSSPで使用されています。広告主はDSPを、媒体はSSPを使い広告枠を取り引きします。
SSPとは、Supply Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略で、媒体の広告枠販売や広告収益最大化を支援するツールです。DSPと「対」となり、RTB取引を実現しています。
DSPやSSPは、セグメントされたオーディエンスデータに対して効率的にアプローチするべく、1枠ごと(1インプレッションごと)に入札競争を行います。”アプローチしたいターゲットを狙うため”のリアルタイム入札なので、常に「RTB」と「オーディエンスターゲティング」とセットで考える必要があります。
ターゲットユーザーが媒体を訪問してから広告掲載されるまでの流れを以下にまとめました。参考にしてみてください。
- ターゲットユーザーが媒体ページを訪問
- 媒体はインプレッション発生情報をSSPに発信
- SSPは媒体情報やオーディエンス情報をデータ化
- SSPが接続先DSPにビットリクエストを送信
- DSPがリクエストを受信、解析
- DSP内での入札勝者情報をSSPに返信
- SSPは複数DSPからの返答を解析、一番入札価格が高いDSPの広告タグを媒体に送信
- SSPは、勝者DSPに広告リクエストを送信
- 勝者DSPがクリエイティブ情 報を送信
- 広告が表示
このような複雑な取引を可能にしているのが、RTBなのです。
上記の取引(ターゲットユーザー判定から入札、広告配信まで)は、0.1秒間で処理され、月間で処理される件数は数百億件以上になります。データ処理が遅いと入札に勝てず広告は配信されません。確実に広告を表示するには、大量のトラフィックをスピーディに処理する能力がSSPやDSPに求められます。
【公正な取引を行うための工夫】
「広告枠価格の急落」や「入札競争の激化による広告枠高騰」を防ぐために、RTBでは様々な工夫がされています。ここでは、代表的な機能を紹介します。
フロアープライス
SSPでは、フロアープライスを設けています。これは、インプレッション最低落札価格で、広告枠価格を担保するために設定されています。この金額以下の場合、どのような条件でも入札は受け付けられず、広告は配信されません。この金額は、DSPに開示される場合があります。
上記図では、手順⑦でSSPによってフロアープライスを満たしているかが判断されます。
セカンドプライス
RTBで一般的な落札方式は、セカンドプライス方式です。これは、一番高い金額を入札した広告主を勝者とするものの、実際の落札金額は「2番目に高い金額を入札した広告主+1円」とする仕組みです。入札競争にならなかった場合(1社しか入札しなかった場合)は、フロアープライス+1円で落札されます。
いかがでしたか?RTBはこのようなロジックで広告主・媒体をささえています。基本的な仕組を知って運用することで、さまざまな課題が発生しても打開策を発見していくことができるでしょう。
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