Amazonなど大手ECサービスから配信されているレコメンドメール。
パーソナライズされたおすすめ商品をレイアウトして配信する手法をご説明します。
レコメンドメールとは
企業やショップから配信される販売促進メルマガで、「あなたにおすすめの商品」を受け取ったことはありませんか?
ちょうど欲しいと思っていたものが、ちょうどよいタイミングで送られてきて、思わずリンクをクリックした…という覚えは誰でもあるかと思います。
ユーザーそれぞれの購買履歴や、Webサイト内の行動を分析し、ユーザーが購入する確度が高い商品を「おすすめ」(レコメンド情報)としてメールコンテンツに入れ込むメールマガジンのことを、レコメンドメールといいます。
ユーザーごとにメールを制作するわけではなく、配信リストやレコメンドエンジン側から取得した情報を、メールテンプレート内に差し込む仕組みになっています。
レコメンドメールは、クロスセルが見込める効果的なマーケティングソリューションのひとつで、「メルマガの開封率が低下してきた」とお悩みの運用担当者は、知っておいた方がよい配信手法です。
では早速レコメンドメールに必要な要素を紹介していきます。
顧客データベースの活用
レコメンドには、ユーザーがショップで何を購入したのか、どういう組み合わせの商品を購入したのかという購入履歴が重要になってきます。
それはユーザーの趣向性を示すデータとして、ショップのデータベースに蓄積されます。
同じような商品を購入しているユーザーをグループ化して、その中でよく購入されているが、当人はまだ購入していない商品をおすすめします。
簡単に言えば、「趣向が似ている者同士、これが好きなら、これも欲しいはず!」と、推測しているわけです。
他にも、ユーザーのアクションデータ(クリック・閲覧履歴)や、申告データ(プロフィール、アンケート)も趣向性の目安として活用できます。
立ち上げ直後のサイトではデータが蓄積されていないので、申告データを活用するとよいでしょう。
運用中の顧客情報が蓄積されてきたら、アクションデータや購入履歴を活用していきます。
分析&セグメント化
レコメンドメールのレスポンスを上げるために、さらにセグメント化して配信しましょう。
一番反応が高いのは、直近で購入ありのセグメントです。
購買意欲が高まっているので、「おすすめ商品」の掲載点数を増やすとよいでしょう。
ただし、過剰な配信を避けるため、顧客の購入頻度を分析して、適度に配信するようにしてください。
br>サイト訪問があり、購入なしのセグメントには、あと一押しが必要です。
「おすすめ商品」と一緒に、購入の際に使用できる割引特典などを付けるとよいでしょう。
サイト訪問がしばらくないセグメントには、アクセスを促すための強いフックが必要です。
コンテンツにプレゼント企画や、ためになる読み物を加えるなど工夫してみてください。
このように各セグメントでメールクリエイティブを変えると、反応率がグンとアップします。
ターゲティング配信
セグメントを決めたら、メール配信を行いましょう。
1回の配信ごとに効果を測定し、次回配信へ結果を返します。
大量の顧客データを分析するレコメンドエンジンに、人の分析を組み合わせることによって、確度の高いメールを配信することが可能です。
レコメンドメールの考え方・配信方法
一般的なメール配信についておさらいをしましょう。
メルマガ配信に必要な要素は、配信ツール、配信リスト、メールクリエイティブです。
配信リストに対し、同じ内容を一斉に配信するメールを一括メール、適当な属性に分けて、そのセグメントごとにメールクリエイティブを変えて配信することをターゲティングメールといいます。
さらに、ECサイトでは「残ポイント」の案内メール、「カート」や「お気に入り」に残っている商品のリマインドメールなども頻繁に行われています。
レコメンド情報を配信リスト側に持ち、パーソナライズド化されたメール配信は今ではよくある手法の一つです。
レコメンドメールは、これらの要素とともに、レコメンドエンジンが関わります。
レコメンドエンジンと顧客情報の連携が必要で、これらをマージしたリストを配信ツールにアップロードし、ひな形となるメールに顧客ごとのレコメンド情報(商品画像やURLなど)が差し込まれます。
各社のレコメンドエンジンに対応する配信ツールや、レコメンドエンジンと会員情報を連携・支援するアプリケーションが数多く提供されておりますので、自社での開発は必要なく、比較的安価にレコメンドメールを導入することができます。
活用事例:Amazonのレコメンドメール
通販サイトの大手、Amazonが配信しているレコメンドメールを例に、活用方法を見ていきましょう。
Amazonが取り扱う品数・種類は、一社が提供するオンラインストアとしては最大規模です。独自のアルゴリズムを利用したレコメンドメールを配信していますが、そのすべてを公開しているわけではありませんので、私に届いたメールをベースに解説していきます。
- 購入履歴に基づいたメール
購入した商品を元に、おすすめ商品をレコメンドします。
メール例)「お客様がこれまでに購入された商品、または既にお持ちの商品に基づいて紹介させていただいています。」 - 閲覧履歴に基づいたメール
特定の商品をチェックした履歴を元に、おすすめ商品をレコメンドします。
メール例)「○○商品をチェックした方、もしくは購入された方へお送りしています。」 - カテゴリ検索に基づいたメール
商品カテゴリで検索をした履歴を元に、おすすめ商品をレコメンドします。
メール例)「○○のカテゴリで何かお探しですか?次のような商品はいかがでしょうか。」
その他にも、セール情報、プライム会員限定メールなどのターゲティングメールも配信されています。
Amazonのメールは配信頻度が多いですが、レコメンドメールが配信されていることもあり、多さは気にならずに受信している人も多いかと思います。
レコメンドエンジン・プライベートDMPの活用
レコメンドは、ユーザーごとに多くの商品情報を用意しておいた方が、より精度が高まります。
その情報をどのように用意すればよいのかご紹介していきます。
前の項でも述べたように、顧客の購入履歴データがある場合はそれを活用し、まだ少ない場合は、アンケートなどで得た顧客の趣向をリストにします。
また、主に広告配信に使われるDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を導入する方法があります。
DMPとは一言でいうと、ネット上に蓄積された、あらゆる情報を管理するプラットフォームのことです。
個人を特定しないでデータ管理されるものを、オープンDMP、個人が特定できるデータと組み合わせて管理されるものを、プライベートDMPといいます。DMPはありとあらゆるデータを管理します。
性別・年齢、検索ワード、サイト閲覧、購買データ…etc
これらを自社の細かな会員情報と紐付けることで、膨大なデータを分析、その結果をアクションに移すことが可能です。
マーケティングオートメーションツールでさらにパーソナライズできる
従来、マーケティングで見込み客を獲得した後、引き上げ施策には一律のアプローチをとることが多かったのですが、マーケティングオートメーションツール(MAツール)を利用すれば、顧客ごとの興味や関心に合わせたコミュニケーションが実現できます。
マーケティングオートメーションツールで提供されている主な機能は下記です。
- ランディングページの管理
- Eメールマーケティング
- ソーシャルメディアの投稿管理
- SEOサポート機能
- CRMシステムとの連携機能
メールとの連携ができるマーケティングオートメーションツールが提供されているので、ぜひ活用してみてください。
さらには、メールからの遷移先であるランディングページの最適化を図るため、ランディングページ管理機能を導入してはいかがでしょうか。
ページを閲覧したユーザーに応じたコンテンツを出し分ける機能を持っていますので、その効果をメール配信のセグメント内容に返すことができます。
ツールの一例をご紹介しておきます。
「SATORI」は、Webサイト構築、メール配信、Web広告を通して、一人ひとりに最適なコンテンツ配信をワンストップで提供しています。導入の際の参考にどうぞ。
いかがでしたでしょうか。
レコメンドメールは一度設計をすれば、自動で配信を続けることができますが、配信結果を分析して、セグメント配信をすることで、開封率を上げることができます。
開封率の低下にお悩みでしたら、ぜひ導入を検討してみてください。
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