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2018.01.16

マーケティングオートメーション活用事例を分かりやすい具体例で解説

マーケティングオートメーション(MAツール)導入企業は、どのように活用して成果を上げているのでしょうか?具体的な手法・シナリオ、マーケティング活動を事例から分かりやすく解説します。

マーケティングオートメーションが有効なビジネスモデル

マーケティングオートメーションを活用したいと考えている事業者は、ビジネスモデルとマーケティングオートメーションの相性について知っておいて損はありません。
以下に、3種類のビジネスモデルを簡単に比較してみました。それぞれの製品や顧客のタイプ、収益を得る仕組みやコミュニケーション設計に着目すると、マーケティングオートメーションが向く業種かどうかをある程度判断できます。結論から言うと、(1)と(2)はマーケティングオートメーション向き、(3)はやや不向きです。(1)(2)の商品は比較的高額で購買までの検討期間が長くなるという傾向があります。

具体的な商材例としては、(1)が企業コンサルティングや、人事などHR業務の外部委託、IT系のソフトウェアなどで、(2)が住宅や車のような耐久消費財や、証券や保険、一生のうちに検討する回数が限られているブライダルなどです。(3)のBtoC通販の商材は日用品や情報商材が中心となり、(1)と(2)に比べると安価なことが特徴です。
一方、コミュニケーション設計に着目すると、(3)は終始非対面で取引しますが、(1)と(2)は「ウェブ(非対面)からリアル(対面営業や店舗接客)への転換がある事業」という点も大きく違っています。(1)や(2)のような法人向け商品・高額商品の商談では、顧客側に意思決定者が複数いることも多く、ある程度時間をかけてアプローチしていく必要があるため、マーケティングオートメーションツールを導入する意義が高いといえるのです。

関連記事:マーケティングオートメーション(MA)で何ができるの?基本と機能・導入をわかりやすく解説

【実例】MAツールの活用事例&具体例

ではここから、マーケティングオートメーションと相性の良いBtoBとBtoCの活用事例を2つ紹介しましょう。実際にMAを運用し、成果が得られた事例ばかりなので、MAの機能の使い方や成果を導く方法など応用できそうなヒントが満載です。ぜひ参考にしてください。

BtoB:匿名客の実名化により商談化率が12倍に。MAツールベンダーSATORIの事例


マーケティングオートメーション「SATORI」の生みの親であり、活用方法を知り尽くしているSATORI株式会社が、自らの顧客を新規開拓するために重要視した施策とは?
答えはズバリ、「匿名客を実名化すること」です。商談化率12倍を実現した具体的な方法について紹介します。自社ターゲットは、「『匿名客』と『実名客』」、「将来の購買者になるかもしれない『そのうち客』と、現在検討中の『今すぐ客』」の4つに分類できます。下図のように、見込み度合いの高い順にA・B・C・Dのグループに分かれますが、このうちボリュームが圧倒的に多いのは見込み度合いの低い「匿名客」です。そこでSATORI株式会社では、マーケティングオートメーションを活用してD(匿名客)をA(実名客)まで引き上げる仕組みを作りました。

その際、DからAへ直接ジャンプアップはできないため、育成ルートとして「D→B→A(匿名そのうち客を今すぐ化し、さらに実名化する)」、「D→C→A(匿名そのうち客を実名化し、今すぐ化する)」があるため、「D→B(匿名そのうち客の今すぐ化)」、「B→A(匿名今すぐ客の実名化)」、「D→C(匿名そのうち客の実名化)」、「C→A(実名そのうち客の今すぐ化)」の計4種類のシナリオを設定しています。
一例として、どのような方法で「B→A(匿名今すぐ客の実名化)」を達成したのか、簡単に説明します。

  1. 自社サイトにキラーコンテンツ(購買意欲が高い今すぐ客を見つけるためのページ)を用意します。SATORIのキラーコンテンツは「他社との比較」ページです。
  2. 次にマーケティングオートメーションの設定から、「『他社との比較』ページを180日間に1回以上閲覧した」という条件を指定し、「今すぐ客」をあぶり出します。
  3. さらにマーケティングオートメーションで「B(匿名の今すぐ客)がウェブサイトを訪れたら、商品資料ダウンロードのポップアップを表示する」というシナリオを設定。
  4. ポップアップ経由で資料ダウンロードフォームに入力された個人情報を得て、「B→A(匿名今すぐ客の実名化)」を達成。 実名化後はメルマガ、電話、セミナーなどでナーチャリングし、商談化。

上記のように、キラーコンテンツである「他社との比較」ページを用意してマーケティングオートメーションで「今すぐ客」のあぶり出し施策を行った結果、キラーコンテンツ閲覧者の商談化率は総リードの約12倍という高い転換率を誇るようになりました。

この施策の成否を分けるポイントは、3)のシナリオを実行することで、B(匿名の今すぐ客)からどれだけ個人情報を獲得できるのか?という点です。獲得率を高めるには、事前にB(匿名の今すぐ客)の顧客像を分析し、「B(匿名の今すぐ客)は資料請求をするけれど、営業担当からの連絡はまだ必要としていない人」などとイメージを具体化して、B(匿名の今すぐ客)の欲しい情報を的確な方法で提示することが重要です。
また、マーケティングオートメーションから匿名客へアプローチするのに適している機能はポップアップ表示だけではありません。他にもウェブ接客機能のポップアップバナーを表示したり、自社サイト外でプッシュ通知やリターゲティング広告を表示したりする方法があります。
このようにSATORIでは、「自社ターゲットを4種類に分類して具体化し、マーケティングオートメーションで4通りの育成ルートを設定して匿名客を実名化する仕組みを作る」という方法で、顧客開拓を行い、商談化率アップを実現しました。

BtoC:資料請求のコンバージョン単価50%削減に成功!不動産業界の事例

BtoCのマーケティングオートメーション導入事例として、一戸建て住宅の販売事業を手がけているA社の事例をご紹介します。
一般的に住宅を購入する際は、まずインターネットの検索により特定エリアの物件情報を絞り込むことがほとんどです。そのため、見込み顧客それぞれの購入条件や検討度合いに合わせたフォローを行う必要があります。しかし、A社では、リターゲティング広告や資料請求者へのフォローメールの配信などを一律で行っていたこと、ウェブサイトのアクセス解析、広告効果測定(直接CV・間接CV)、ウェブ資料請求以降のアクションの効果測定が分断されていて一貫性がなかったことから、個々の見込み顧客に最適化したアプローチが出来ていませんでした。また、同じ顧客条件をターゲットに同一物件の広告を配信していましたが、それぞれのメディアでオーディエンスデータの取得元やカテゴライズ方法が異なるため、配信先のメディアによってクリック率やサイト流入後の直帰率に極端な差がでるといった、ウェブ広告の費用対効果に課題がありました。
そこで、これらの問題を解決するために、「オンライン/オフラインの見込み顧客とのコミュニケーション履歴や接触時間などの行動パターンの把握」「広告配信時の独自のオーディエンスデータ配信の実施」が実現が可能な、マーケティングオートメーション「SATORI」を導入しました。

■抱えていた課題のポイント
・見込み顧客の購買意欲や購入の条件に最適化したアプローチができていない
・同じ条件でも出稿するメディアにより広告の費用対効果が異なる
不動産業界のMAツールの活用事例(BtoC)のイメージ

導入後6カ月間で実施した内容とその効果は下記です。
不動産の購入プロセスは、ウェブだけで完結することはないため、リアルの行動を含めて広告の効果測定を実施する必要があります。そのため、ウェブから物件の問い合わせをした見込み顧客データや自社の物件サイト、外部の口コミサイト等のウェブ上の行動履歴と実際にモデルルームや住宅展示場に訪問したリアルの行動履歴をマーケティングオートメーションに蓄積しました。オンラインとオフラインを統合した個客行動の可視化により、より精緻な広告の効果測定が実施できるようになりました。また、新築住宅購入検討者向けの口コミサイトのオーディエンスデータをもとに「SATORI」のDMP機能を活用して、GoogleやYahoo!のプラットフォームから広告配信を行いました。口コミサイトに「SATORI」の計測タグを挿入し、「エリア」「物件の条件」等ユーザーが閲覧したページを元にセグメント(グルーピング)し、広告配信を実施しました。そうすることで、たとえば、「自社サイトには訪問していないが、口コミサイトを閲覧している、多摩市の一戸建て住宅のページを閲覧したユーザー」のみに広告を表示するといったことができるため、ターゲティングの精度が向上しました。 上記2つの施策を実施したことで、ウェブ経由の資料請求1件あたりのCPAは、過去に実施したリスティング広告と比べ、約50%のコンバージョン単価の削減に成功しました。
現在では、販売状況により1週間単位で戦略が変わる不動産業界の流れにより対応するべく、短いスパンでの仮説立案とプランの実施に取り組んでいます。

活用するまでの導入・設定について

マーケティングオートメーションを活用して成果をあげた企業に共通していることは、自社の顧客ターゲットのニーズや、マーケティング課題をよく把握しているということです。そうしたベースがあるからこそ、マーケティングオートメーションツールの高度な機能やデジタルテクノロジーが活きてくるといえます。導入後にどのような設定をすれば効果的なのか、運用をしっかりと定着させる方法や、効果的なシナリオ作成の方法のコツなどを知りたい方には以下のコンテンツを用意していますので、そちらも参考にしてください。

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