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2020.07.29

【経験者が語る】インサイドセールス立ち上げとKPI設定、押さえるべき5つのポイントとは

インサイドセールスとは、マーケティング活動で得られた多くのリード(見込み顧客)から成約の可能性を見極め、その可能性ごとにリードとの関係性を強化、商談のアポイントを獲得し、営業(フィールドセールス)につなげていくという販売促進活動のことです。一般的にはテレアポをイメージされることも多いのですが、あくまでもテレアポはインサイドセールスの一環であり、マーケティングと営業の間のリレーションを強化しながら売上向上を狙います。
参考:インサイドセールスとは?基礎知識と特徴やメリットを解説します!

インサイドセールスの立ち上げで押さえておくべき5つのポイント

インサイドセールスのイメージ図


顧客先に足を運ぶことなく、電話やメール、チャットツールなどで営業を行うインサイドセールス。営業マンの訪問コスト(時間、移動費)を抑えて営業できることから、多くのBtoB企業が注目しています。
あくまでも、インサイドセールスは自社の売上を向上させるための1つの手段である」これが実際にインサイドセールスを立ち上げる上で最も大切な考え方になります。間違っても、立ち上げること自体を目的にしてはいけません。以下に挙げる5つのポイントを押さえておきましょう。

1. 目的は明確に

インサイドセールスの立ち上げを検討する前に一度立ち止まりましょう。「自社には今どのようなマーケティング・営業プロセスの課題があるのか」「どれだけの商談件数が必要なのか」など、インサイドセールスの目的を決定することが最初のステップとして重要だと思っています。
「他社や有名企業が導入しているから自分たちも」という安易な考えでツールを導入して失敗するように、インサイドセールスも他社がやっているからと目的なしに始めると失敗します。
インサイドセールスという文化がなかった企業で担当者がいきなりインサイドセールスにアサインされても、何をすべきか、何ができるかが分からないからです。会社に何を期待されているのかもわからない状態でテレアポだけやっていても、モチベーションは下がる一方でしょう。

2. KPIを決める

経営側が期待していること、そして担当者がやるべきことを定量的な目標としたものがKPIです。そこがふわっとしていると、せっかくインサイドセールスを立ち上げても軌道に乗っているのか判断できません。経営側と担当者が互いに合意をはかるためにも、目的とKPIを決め切りましょう。

関連記事:【図解】KPIとは?簡単に意味を説明、設定方法もわかりやすく解説します

3. 立ち上げは少人数で

立ち上げてすぐには上手くいかないことが多いため、少ない人数から始めるべきです。一番のメリットは、自分が獲得した商談がその後、受注につながったかどうかを直接営業に聞けることです。
営業目線で考えてみても、大人数のインサイドセールスからランダムで商談が振られても、自分の仕事が忙しくてなかなかフィードバックする機会が作れません。しかし、特定のインサイドセールスから商談が振られれば、「この案件良かったよ」「ここが悪かった」という細かなフィードバックが期待できます。初期の段階で、インサイドセールスが営業目線で商談の良し悪しを判断できるようになることで、チームとしての経験と成功体験を蓄積することができます。今後チームを拡大していく上で、その経験と成功体験は貴重な資産になるはずです。
また、もう1つのメリットはモチベーションが上がることです。やはり受注が決まれば誰でも嬉しいですし、その喜びを営業と分かち合えれば一体感が生まれます。この「喜びの共有」はインサイドセールスを「テレアポ部隊化」させないためにも重要な要素です。

4. トップダウンでの立ち上げ

インサイドセールスの立ち上げは現場からの組成ではなく、社長や経営陣判断でのトップダウンが良いと思います。インサイドセールスの歴史はまだまだ浅く、市場感としても定着し切れていません。そのため、インサイドセールスのノウハウや情報は営業やマーケティングと比べてもまだまだ少ないのが現状です。そのため、トップダウンの意思決定でチームを立ち上げ、目的を明確化してあげることが必要になります。

5. インサイドセールスのポジションを明確に(マーケティング寄り/営業寄り)

企業の事業内容や過去の体制によって、インサイドセールスは「営業寄りのインサイドセールス」と「マーケティング寄りのインサイドセールス」の大きく2パターンに分かれます。
インサイドセールスを立ち上げる上で、どちらのパターンであるかを明確にしておきましょう。

マーケティング寄りのインサイドセールス

商材の単価が高く、かつリードタイムが1年以上かかるビジネスモデルでは、見込み案件の情報をいかに資産として蓄積し、適切なタイミングでアプローチするという役割が求められます。その場合はマーケティング直下のインサイドセールスとして立ち上げた方がうまくいくでしょう。

営業寄りのインサイドセールス

商材の単価が安く、営業が訪問したらすぐに受注する可能性がある商材では、営業直下のインサイドセールスになる場合が多いです。低単価商材の場合、いかに多くの見込み顧客に購入していただくかが勝負になる場合が多く、営業とはより密な連携が必要になるからです。

インサイドセールス立ち上げの失敗例:SATORIの場合

SATORIではマーケティング直下で立ち上がり、現在は営業寄りのインサイドセールスとしてのポジションになっています。
もともとはマーケティング担当者がインサイドセールスを兼任していたため、その業務を巻き取る形でスタートしたのですが、あまり商談件数が伸びませんでした。その理由は、インサイドセールスの業務だけでなく、一部マーケティング業務も兼任していたことでした。日頃のテレアポの合間に展示会の準備やセミナー業務も行っていたことで、集中して見込み顧客に向き合うことができず、うまく成果が出せず、KPIもなかなか達成できませんでした。

そこで、やはり業務は完全に振り切ったほうがよいという判断になり、フィールドセールス直下に配属をチェンジし、営業の近くでひたすらアポイントの架電をおこないました。自社ツールのSATORIを活用し、ホットな見込み顧客を抽出し、優先順位をつけて電話でアプローチしていくことで、単月60件くらいの商談件数が半年後には3倍近くの160件近くまで増加。KPIをしっかりと決め、役割を明確化したことが、SATORIのインサイドセールスの転換点になりました。

インサイドセールス立ち上げ期。KPIはどのように設定するべき?

前述の通り、インサイドセールスを立ち上げる際に最も重要な要素が「KPI」です。自社のセールスプロセスにおける課題を洗い出した上で、適切なKPIを設定していきましょう。一般的に使用されているインサイドセールスのKPIをご紹介します。
・商談件数
・受注件数
・行動量(架電数)
特に最初の立ち上げ段階では、商談件数をKPIにすべきだと考えています。ある程度までは、商談の増加と比例して受注が増えてくるからです。しかしいずれ頭打ちになるため、そのタイミングでインサイドセールスのKPIを商談件数から受注件数に切り替えていきましょう。インサイドセールスが軌道に乗った頃に営業側と連携し、商談の質を高めていくフェーズになります。

行動量(架電数)はあくまでもサブとしてのKPIとして設定しましょう。というのも、行動量をメインのKPIに据えると、商談が取れなくてもとりあえず電話を架けるようになってしまい、結果テレアポの質が下がり、商談が取れないことでモチベーションも下がるという悪循環が生まれてしまいます。
SATORIでは、「リード数はあるが、架電のリソースが足りず、商談件数が伸びない」という課題があったため、「商談件数」が最初のKPIです。また、力を入れていたマーケティング施策の費用対効果が測定できないという課題もありました。SATORIのマーケティングにおけるKPIも「商談件数」に置いています。

設定したKPIを達成するために必要な、2つのポイント

KPIは設定して終わり、ではありません。設定したKPIはインサイドセールスでしっかり期日内に達成していきましょう。そこで、インサイドセールスのKPIを達成していくためのいくつかのポイントについて説明していきます。

KPI達成のポイント①:ツールの導入

インサイドセールスを「テレアポ部隊化」しないためにも、ツールの導入は必須です。もしツールを導入しないでインサイドセールスを行おうとすると、Excelの電話リストの上から闇雲に電話をかけていくことになります。かなり人力ですが、たしかに一定の成果は出ますし、商談もいくつかは取れるでしょう。しかし、成果が見えにくく、いずれモチベーションが維持できなくなります。その結果、根気強く行動できる人とトークが上手い人しか残れず、その後の再現性もありません。
ツールを導入することで、事前に顧客となりうるユーザーの興味度が把握できている状態で電話ができれば、その興味度によって通話の内容を工夫しようというモチベーションが生まれます。

KPI達成のポイント②:インサイドセールス内での役割分担

立ち上げ期よりも少し後(およそ5人以上)のフェーズのポイントですが、リードの獲得経路別にインバウンドチームとアウトバウンドチームに分けるとより効果的です。(SATORIではパートナー企業開拓が目的のチームもあります)
インバウンドチームでは、マーケティング施策で獲得したリードを確度の高い順にアプローチしていきます。一方、アウトバウンドチームではマーケティングで獲得できないような地方のリードやオフラインでも出会えないリードのリストを抽出し、1から開拓しています。こうした分業体制にすることで、リードが増え続けなくてもKPIを達成し続けていくことができます。

顔をあわせないインサイドセールスが、今後より重要に

多くのBtoB企業でインサイドセールスを導入が進み始めており、今後ますます市場は大きくなっていくでしょう。それは人材市場も同じで、インサイドセールスを3年以上経験している人は本当に少ないと思います。
また、昨今の新型コロナウイルス対策でお客様に会えない、直接的な営業ができないという状況が今後も続いていけば、必然的にインサイドセールスの役割は大きくなっていくでしょう。電話、メール、Web会議ツールやチャットサービスなど、様々なチャネルを活用してどこにいても見込み顧客にアプローチできることがインサイドセールスの武器です。それに加えて、ツールによるデータ活用も重要になります。営業とマーケティングをつなぎ、大きな事業インパクトを出していくためにも、より効果的なインサイドセールスの立ち上げを目指していきましょう。

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