コンテンツマーケティングとは、価値のある情報をコンテンツとして提供することで、潜在顧客にサービスや商品を知ってもらい、コンバージョンにつなげるマーケティング方法です。ぜひ知っておきたいおもしろい事例をあつめました。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、顧客獲得という目的のもと、価値ある情報、興味関心にあたるコンテンツを、想定するターゲットとなる消費者に対して提供する手法を指します。また、ブランドストーリー-を伝えそれに共感してもらう目的で行うケースもあります。
つまり、コンテンツを作りそれを消費者に届けることを中心にしたマーケティング手法のことを言います。
オウンドメディアマーケティングと混同されがちなコンテンツマーケティングですが、オウンドメディアマーケティングは自社メディアを中心としたマーケティング手法であるのに対し、コンテンツマーケティングは価値のあるコンテンツを生み出すことで、潜在的なターゲットに接触するといった点が大きな違いであり、重要な部分になります。
1.いまコンテンツマーケティングがアツい理由
ここ数年でさまざまな企業がコンテンツマーケティングを始めている理由は何なのでしょう。
消費者の抱えている問題や悩みは、検索キーワードに現れます。その答えとなるコンテンツを設けることで、それは質の高いコンテンツとなり、結果的にGoogleの不変的な思想である「より良いコンテンツを、より多くの人に届ける」ということにマッチしSEOと相性のよいマーケティング手法となります。
また、そういった消費者の問題や悩みを解決することで、企業に対するイメージもアップし中長期的なファン育成につなげることが可能になります。
2.コンテンツマーケティングに求める成果
コンテンツマーケティングを実践するとなると、必ず出てくる問題が成果指標になります。
もっとも分かりやすい指標としては、そのコンテンツを経由して直接的にコンバージョン(お問い合わせ、資料請求、購入など)に至ったかという点です。
しかし、前段でもお話したようにコンテンツマーケティングは中長期的な施策になるため、そのコンテンツが間接的にどの程度、コンバージョンに寄与したのか、そのコンテンツがどの程度世の中の消費者にリーチ出来たのか、といった視点での成果指標を定めなければ、実践したコンテンツマーケティングを正当にジャッジが出来ないため注意が必要です。
コンテンツがブランディングに!コカ・コーラの事例
大手企業がインターネット動画を使ったコンテンツマーケティングに力を入れています。
1つの例ですが、コカ・コーラが昨年行った「氷のボトル」が話題になりました。
日本の前にコロンビア共和国で同様のキャンペーンが行われ、暑い観光地で氷のボトルに入ったコーラを飲むシーンでは、爽快感と飲みたくなる衝動にかられます。
もう1つの意図として、溶けてなくなるボトルの環境への配慮がメッセージとして加えられています。
商品の魅力を伝えるだけではなく、ブランドの考えやストーリーへの共感を呼ぶ動画ではないでしょうか。
コカ・コーラ社は上記に記載した以外にも多くの事例がありますが、コンテンツマーケティングという戦略を行う企業の中でもリーディングカンパニーと言われる所以は、企業サイトで垣間見ることが出来ます。
例えば、ストーリーというカテゴリでは、著名な編集者や衣食住に関わるプロデューサーなどが、コカ・コーラの背景・ブランドストーリー、取り組みに関連した記事を書いています。
ただプレスリリースとして情報を流すだけではなく、こういったストーリー仕立てで編集することで、記事を読んでいる人も人に教えたくなる、また企業の考えに共感してもらいやすいように工夫がされています。
製品情報のページでは新製品の飲料水を公開しているだけではなく、長年愛され消費されてきている代表的な製品も紹介しています。
ここではコカ・コーラやファンタ、スプライトなどのソーシャルアカウントの確認をすることが出来ます。
製品毎の運用を行うことで、その製品のファンとのエンゲージメントを高めることに繋がり、新規顧客がロイヤルカスタマーへの成長を促進させることにも繋がります。定期的にSNSをからませたキャンペーンやリアルイベントのウォータースライダーなども行っていることもあり、情報の拡散にも繋げることが出来ているのが特徴的です。
このような取り組みの根本には「コンテンツ2020」で発信した方針が根付いていることがあります。
- 「広告クリエティブがすばらしい」から「コンテンツがすばらしい」に変わる必要がある
- 会話を生みシェアされるためにコンテンツを通してブランドストーリーを語り、フィードバックを得る
- 技術がコンテンツ配信方法を多様化させ、生活者はいつでも好きなときにコンテンツを見ることができるようになった
- コンテンツを通して世界を良い方向に変える
- リキッドコンテンツ(広がりやすくコントロールできないコンテンツ)を用意することが重要
- コンテンツの7(ローリスク):2(革新的):1(ハイリスク)の法則
- フォーカスするリサーチの変更
- コカ・コーラはもはやテレビ広告ばかりに頼らない
これまで広告に頼っていたマーケティングをコンテンツにシフトしていくことを明言しています。
それと同時に、サイトやCM、SNSなど得られる情報源が多様化したことにより、ブランドの世界観を伝えるコンテンツの質が重要であることも言えます。
コカ・コーラ動画マーケティング参考:https://www.youtube.com/user/cocacolapark
コカ・コーラ:http://www.cocacola.co.jp/
コンテンツで知名度UP!認知度を上げるLIG企業ブログの事例
上野にあるWeb制作会社のLIGは、自社サイトをメディア化することで一躍有名になりました。最初にWeb上でバズった記事はこちらの2つでしょう。 http://liginc.co.jp/recruit/legend-designer/ http://liginc.co.jp/news/notice/other-notice/23810
LIGブログの特徴は上記の記事のように、誰が見ても面白い、人にシェアしたくなるようないわゆる「ネタ系」が目立っています。
しかし、その一方でしっかりとその記事毎にターゲットを明確に定めている「技術系」も存在し、その2つのカテゴリの記事が混在しています。
前者の「ネタ系」では口コミをはじめとするSNSからの流入が、後者の「ネタ系」はしっかりと戦略立てた記事を書くことで、検索からの流入が多いと分析します。
平日には3~5記事が定期的にアップされていることから、これを継続することで大量のページ数になっていることがうかがえます。
そのためサイト全体で見ても、SEO視点で多くのキーワードを拾うことが出来ているようです。
メディアとして公表している数字は、2012年8月では19万PV、9万UUだったのが、2015年5月には500万PV、200万UUと劇的にトラフィックを呼ぶメディアに成長しています。 引用:https://liginc.co.jp/news/analysis/165424
BtoBtoCブランディングをコンテンツマーケティングで!リンナイの事例
ご存知のガスコンロメーカー「リンナイ」。
一見コンテンツマーケティングとは縁遠い分野に見えますが、コンテンツマーケティングを実践し、それを売り上げにつなげている企業です。
メーカーであるリンナイがWeb戦略、ECサイトを運用する目的は、直接消費者に商品を販売することではなく、消費者との接点を構築することにありました。
つまり、ECサイトはCRMを推し進めるものだと定義しています。
ECサイトの特徴としては、ごとくを始めとする交換部品が売れスジランキングの上位を占めており、消費者の「どこで買えばいいか分からない」という悩みと、メーカーの「単価の安い部品を取り扱うことの非効率性」が一致し、順調に売上を伸ばせています。
またコンテンツという観点で見ると、1つは、直接主婦が抱える家の掃除という悩みを解決するコンテンツを用意。
このコンテンツでは、「ガスコンロ掃除」という検索キーワードにヒットさせています。
このコンテンツに悩みの答えを用意するだけでなく、コンテンツに使った商品を載せることでその後の購買にもつなげる仕掛けを行っています。
2つ目は、コミュニケーションツールであるメルマガでちょっとした小ネタの記事コラムを会員に配信することで、企業との接点を持つ機会を創出しています。
3つ目は、アプリやSNSアカウントで毎日1レシピを配信し、主婦の悩みの種である今夜の献立という悩みを解決しています。
この3つのコンテンツは一見すると企業色を前面に出したものではなく、直接、売上に繋がるものでないように思えますが、製品のターゲットである主婦層との接点を創出することで中長期的に製品を利用してもらえる機会を与えていると言えます。
それ以外にも、製品購入者のレビューコメントを製品開発に活用、ECサイトの顧客をクラウド上で管理するツールを利用し、顧客インサイトやパーソナライズメルマガの取り組みを開始するなど、ECサイトをハブとしてコンテンツを集め、それを関連するメディアへの配信やコミュニケーション手段として利用しています。小売機能を持たないメーカーならではの戦略と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したコンテンツマーケティング事例はほんの一部になりますが、コカ・コーラの事例のように、ブランドの世界観やストーリーをコンテンツとして発信し共感を生む、LIGのように人に教えたくなる面白い記事やターゲットを絞った技術記事を大量に生成するブログ、リンナイのように製品を扱うターゲットの抱えている問題や悩みを解決するコンテンツを用意し企業との接点を創出する、というように企業によってコンテンツマーケティングへの取り組み方法は様々です。
しっかりと消費者目線に立った時、企業としてどんなコンテンツを提供できるかを考えることが重要です。