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スコアリングとは?目的や採点基準、精度を高めるやり方

スコアリングとは?目的や採点基準、精度を高めるやり方

マーケティングにおけるスコアリングとは、主にBtoBマーケティングにおいて、マーケティングオートメーション(MA)を活用して見込み顧客(リード)の確度を数値化する手法を意味します。

スコアリングを導入することで、スコアに応じたオファーを展開することができ、One to Oneマーケティング活動がスムーズになります。ここでは、スコアリングとは何か、設計方法や活用についてわかりやすく解説していきます。

スコアリングとは?

マーケティングや営業活動における「スコアリング」とは、「リードスコアリング」とも呼び、属性や行動によってポイントを加算することで見込み顧客(リード)や顧客のステージを、数値化する手法のことです。

主にBtoBマーケティングにおけるマーケティングオートメーション(MA)で使われる仕組みです。スコアリングすることによって、見込み顧客の製品・サービスへの興味関心度や理解度に合わせたアプローチをすることが可能です。

活用場面と目的

見込み顧客の管理と育成は、下図のような仕組みとなっています。

デマンドジェネレーションの一つであるリードクオリフィケーションの位置づけ

スコアリングはリードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)と深い関係を持っています。

獲得したばかりの見込み顧客の情報は、「個人情報」と「流入経路(例:イベント・広告など)」だけが登録されているシンプルな状態です。その後リードナーチャリングにおいて、さまざまなコンテンツを使って見込み顧客とコミュニケーションを取っていくことになりますが、その際の見込み顧客のアクションからスコアを計上していきます。

スコアリングによって「製品への興味関心度の高さ」をデータとして持つことが可能になり、このスコアによってリードクオリフィケーションが行われます。

関連記事:【わかりやすい】リードクオリフィケーションとは?効果的な手法を紹介!

スコアリングの重要性と現状

スコアリングによってタグ付け、セグメントを行いOne to Oneで施策を展開していくマーケティングオートメーション(MA)が普及したことで、スコアリングのニーズは高まっています。

関連記事:MAとは?機能や役割、活用方法や注意点をわかりやすく紹介

米国ではAIスコアリングが主流、予測も行うように

マーケティングオートメーション技術の進化により、高度な自動スコアリングが実現しつつあります。自動で配信されるコンテンツを介したコミュニケーションとそれらへの見込み顧客のアクションをもとに、AIと機械学習による自動スコアリング、加えて大規模なデータからの予測モデリングも活用され始めました。

コンバージョン(成約)など見込み顧客の未来の行動を予測することでマーケティング・営業活動が円滑になっています。One to One施策は、スコアリングなしでは実現できない現状となっています。

参照:B2B Marketing Automation: The Best Tools and Tactics for 2024

国内の現状

国内においても、スコアリングを導入する企業が増えています。こちらは、2022年にSATORIで実施したMAツール活用の実態調査の結果です。2020年のデータと比べて、スコアリングを活用している企業が増加していることがわかります。

スコアリングを「よく使う」機能として挙げている企業が22.4%。まだ使い込んでいない企業も合わせると、もっと多くの企業がスコアリングの取り組みを行っていることが推測できます。これは、SATORIの機能のなかで第4位の利活用度となっており、スコアリングがMAツールの運用では重要なポジションであるといえます。

2020年度の類似の調査では、たった14.8%だったことから、2年で急速に活用が増えている様子がうかがえます。今では、スコアリングの導入はMAツール導入時に合わせて行うことが必須です。

それでは、次章からはBtoBマーケティングにおけるスコアリング設計・活用についてご紹介していきます。

スコアリングの仕組みと3つの採点基準

スコアリングにおいて、個々の見込み顧客に付与するスコアは、一般的には以下に示す3つの切り口から決めていきます。

スコアリングの3つの採点基準

1)顧客の属性(手動スコアリング)

例えば、顧客が役職者であることで+5点、すでに他社の製品を使っている場合+5点など、担当者の立場や顧客企業の業種・規模、競合する商品・サービスの利用状況によりあらかじめ重みづけを決めておきます。意思決定権限を有していたり、製品への理解度が高い場合といった顧客の属性は、成約の可否を大きく左右する要素であるためです。

2)顧客の興味(自動スコアリング)

展示会・セミナーへの参加やウェビナーの視聴、無料トライアル、あるいは比較表・料金表、サービスサポートページなどの閲覧といった行動に対して加点します。こうした行動から見込み顧客がどの程度自社の商品・サービスに興味を持っているかを把握し、見込み顧客のステージに合ったフォローを行うことが可能になります。

3)顧客の活性度(自動スコアリング)

上記2)の行動が最近のものか、古いものかの違いにより顧客の興味・関心の高まり度合いは異なります。数か月前に頻繁に行動していた顧客では、すでに他社商品・サービスを購入してしまっている可能性もあるでしょうし、何らかの事情により検討を中断してしまっているかもしれません。逆に、ここ数週間の間に、頻繁にWebサイトを訪れている場合には、一刻も早くアプローチすることで商談につながる可能性を高めることができるのではないでしょうか。例えばWebサイトに直近○日以内にアクセスがあったか、直近1週間に○回以上のアクセスがあったかなど、行動があった時点からの経過時間の短さや行動頻度の高さを活性度として加点します。

このように、これら3つの切り口から、顧客の状況に合わせて適切なスコアを付与し、スコアに応じて期待するアクションにつなげていくことが重要といえるでしょう。

スコアリングのやり方とポイント

ここではMAツールにおいて、スコアリングを実装するための手順を解説していきます。

【注意】スコアリングはリードの「絶対的な評価」ではない
スコアリングは属性や行動によって加算されるため、ルールの精度が低いと購買意欲が低くても高得点がついてしまうこともあります。ルール設計は定期的な見直しとアップデートを行い、購買意欲が高い人に高いスコアがつくよう精度を上げていきます。ルール設計の精度が低い状態のスコアリングには、このような弱点があることも理解したうえで活用しましょう。

1. スコアの設定

最初にすることは顧客の成約に至るまでの行動を可視化することです。

前述のとおり、スコアリングは以下の3つの切り口から考えることが重要です。

  1. 企業規模や担当者の役職などの静的な属性
  2. 展示会への参加やウェビナーの視聴、Webサイトへのアクセスなどの行動から把握できる顧客の興味
  3. 顧客の最近の行動頻度(活性度)


このうち1)の静的な属性については、容易に把握可能ですが、2)や3)のように顧客の行動の面からスコアリングを設計するにあたっては、自社の顧客が実際にはどのような行動を経て成約に至るのか、といった顧客の検討行動全体について、できるだけ詳細な仮説を立てて見ていく必要があります。

実際の仮説を立てるにあたっては、マーケティング担当者だけでなく、実際に顧客と直接会って商談を進める、営業担当者の視点を加えることも重要です。

営業視点からのスコア項目

顧客がどのような課題(ニーズ)を抱えているか、また、そうした課題に対して、どのような検討プロセスをたどり、意思決定が行われるのか、営業担当はスコアリングの設計に必要な要素を熟知しています。これらの情報は、顧客の興味(行動)に関するスコアリングの設計に際して、不可欠な要素といえるでしょう。スコアリングの設計にあたっては、営業担当者と見込み顧客の会話の中から引き出されるビジネス上の課題の内容や緊急度といったものも、その後の行動を左右する要素として視野に入れておく必要があります。

マーケティング視点からのスコア項目

マーケティング担当部門においては、Webの閲覧履歴やホワイトペーパーのダウンロード、メールの開封状況やセミナーへの参加・ウェビナー視聴、コールセンターへのお問い合わせなどの情報が集約されていることと思います。
これらは、自社と顧客とのコミュニケーションに関わる情報であり、各見込み顧客における検討状況を類推するうえで貴重な情報となってきます。
営業担当者がまだコンタクトできていない見込み顧客の場合には、これらの情報から検討状況や購買意欲の高まり具合を推し測り、成約に至る確率を想定して、個別のアクションにつなげていくことになるでしょう。

2. スコアリングの運用

まずは既存の情報に基づいて、業種や企業規模などの静的な属性情報については○点、自社サイトの特定のページ(商品・サービスの詳細、料金表など)の閲覧など、行動に関する項目に該当する場合には1項目あたり△点など、シンプルなスコア設定からはじめ、運用しながら適宜スコアを見直すことで精度を高めていきましょう

スコア設定の結果、全体での合計スコアが○点以上、または前述の3つの切り口について、すべて○点以上となった場合、などの確度の高い見込み顧客(ホットリード)の条件を決め、条件を満たした見込み顧客を営業に連携します。
連携された見込み顧客は、十分に購買意欲が高まっており、購入に至る確率が高いと考えられることから、営業担当者は早急にアポイントをとって商談を進めていくことになります。

3. スコア値の修正

このように、基本的にはスコアに基づいて見込み顧客の購買意欲を推し測り、適宜営業に連携していくことになりますが、シンプルなスコア設定のままではスコアが十分に高くなっていても成約には至らないケースも出てきます。また、まだスコアが低く、検討が進んでいない状況にあるものと考えられた見込み顧客が他社に流失してしまう恐れもあるでしょう。こうした状況を把握したら、原因を速やかに検討し、スコア設定の見直しや精緻化を図るよう、PDCAを回していくことが重要です。

スコアリングの活用事例

リードスコアリングでは、スコアの設定についても、より高い精度でPDCAを回すことが求められますが、その際、すでに設定している項目以外に用いることが可能な情報がないか、といった観点についても、考慮してみることが重要です。

このブログを運営しているSATORI株式会社でもスコアリング機能を活用しています。

【あわせて読みたい】

営業活動の効率を高めて新規顧客開拓をスピーディーに! MAツールを使って見込み顧客をあぶり出す

スコア設定の例

見込み顧客の検討行動と商談創出率でコンテンツを分類し、顧客がどのコンテンツを閲覧したか、ダウンロードしたかで細かくスコアを設定しています。直接的なMAに関するコンテンツでなくても、ゆくゆく検討につながる課題に対するコンテンツの閲覧は小さいスコアが入るように設定しています。

【スコア設定の例】

行動名行動シグナル(閲覧コンテンツ)例
直接的な検討コンテンツMA比較表料金体系…など
将来的な需要(課題)マーケティングブログのキラーコンテンツリード獲得・育成フェーズ向けノウハウ系ホワイトペーパーダウンロード…など

このように、検討行動を把握したうえで顧客に合ったタイミングで最適な資料をレコメンドすることで、資料ダウンロードからの商談化率が3~8倍になったケースもあります。

スコアリング運用の例

あるスコアに到達したユーザー情報をアラートで通知したり、コミュニケーションを変えて、活動を活性化します。例えば「検討度の高い資料ページを閲覧し、かつ料金ページを見た」など複数の閲覧行動からスコアを付与することで「購入意欲が高い」と判断し、インサイドセールスへの通知を行い、電話で手厚いフォローを行うことで商談につなげています。

また、ナーチャリング施策を行った後、その後のスコアの上げ幅を毎回検証し、施策の反応率(例えばメールの開封率など)と合わせて次の施策への参考にしています。

スコアリングは単なる「点数付け」ではなく、それにそった施策の運用ルールを自社内で少しずつ構築していくことが重要な仕事となっています。

このように、さまざまな角度からスコアリングとナーチャリング施策を実施しているため、「SATORI」では常に40種類以上の資料ダウンロードを用意しています。

資料一覧>> https://satori.marketing/materials/

スコアリングを活用して個人に最適なコミュニケーションを

今では、スコアリングの活用はMAツール運用において不可欠な要素となっています。One to One施策やスコアリングの自動化などのニーズに合わせてMAツール各社は有用なスコアリング技術を投入してきています。「SATORI」でも2019年に「スコア定義」機能をリリースし、定義をもとにした自動スコアリングは多くのユーザーにご好評いただいています。細やかなスコア設計を行って活用することで、マーケティングと営業の連携がよりスムーズになります。

MAツールを運用している方は、マーケティング・営業と一丸となって顧客の行動を可視化しながら、スコアリング設計をはじめてみてはいかがでしょうか。

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