O2O(Online to Offline)マーケティングを叶える大切なツールはやっぱりスマートフォンアプリではないでしょうか?アプリを使う方法、開発から活用までを解説します。
O2Oアプリの活用事例まとめ
O2Oとはオンライン(インターネット上)からオフライン(店舗など)へ、そして逆にオフラインからオンラインへ、継続的かつ横断的にコミュニケーションを実現し、消費者の行動を活性化させる手法のこと。
実際にはどのような事例があるのか、見ていきましょう。
【ソーシャル連動事例】東急百貨店
東急百貨店のアプリでは店舗情報のチェック、アプリ内でのショッピング、クーポン配信と基本的な機能を備えていますが、そのうちクーポンや引換券などの特典を入手するためのコードをTwitterやFacebook上で配布している点が特徴です。
※出典:http://www.tokyu-dept.co.jp/sp_appli/
店舗だけでの接点では限界があり、アプリとソーシャルメディアを上手く活用することでユーザーとの接触頻度を増やしつつ新規ユーザーとの出会いも広げている素晴らしい例になります。
【位置情報活用・クーポン事例】シダックスの「時限クーポン」
カラオケ大手チェーン「シダックス」が仕掛けたスマートフォンアプリのクーポンが秀逸です。
カラオケ店の悩みは「空室」、これを埋めるにあたっての施策は呼び込みくらいしかありませんでした。
しかし位置情報が取得できるスマートフォンと時限クーポンの組み合わせは大きな売上増大となりました。
仕組みは簡単で、カラオケ店を探しているシダックスアプリユーザーの位置情報を取得し近隣の店舗を表示する際に、空室があり来店して欲しいお店のクーポンが表示されるというもの。
ユーザーが満室の店舗を避けることもでき一石二鳥のサービスです。
もちろん、季節のメニューやキャンペーン情報なども発信しているこのアプリ。
一度クーポンを手に入れたユーザーはついついアプリ利用の常連になることも狙いの一つでしょう。
【ポイント連動・位置情報活用】楽天チェック
大手ショッピングモールの楽天市場がリリースした楽天チェック。狙いはO2Oマーケティングの強化とはっきりしています。
ご存知のとおり楽天市場の収入源はEC店舗の出店料です。
しかし最近では無料で出店できるサービスが増え、新規出店する店舗の獲得に苦戦しています。
そこで「店舗に送客できるECサービス」の戦略を取ったわけです。
楽天市場が抱える店舗でも、実店舗とともに運営されていることも多く、店舗への誘導はうれしいサービスになります。
その上、楽天チェックでチェックインした際に溜まったポイントは楽天ポイントとしてインターネットでのお買い物に利用でき、通販も来店も活性化するうまい仕組みになっています。
アプリ開発の注意点・仕様の決め方
O2Oアプリ開発の際に注意すべき点、押さえておいて欲しいポイントを簡単にご紹介します。
どれも企画検討段階からしっかりと考えて設計しておくことが重要になりますので、ご紹介した内容を元に考えてみてください。
情報配信
最初にアプリでどういった情報を配信するのか考えておきましょう。
舗毎のお知らせや新着情報、キャンペーンやセールの情報といったものから、店舗の所在地や営業時間など、利用者にどういう情報を提供すれば来店・来場に繋がりやすいのか、最初にしっかり設計しておくことが肝心です。
プッシュ通知
スマートフォンアプリの場合、プッシュ通知というアプリ側から利用者へお知らせを送り届ける機能が利用できます。
プッシュ通知では場所や時間帯に合わせて効果的にお知らせを送ることができるのでメルマガ等よりも高い認知率が期待できます。
Eコマース
実店舗への来店促進を目的とするものもあれば、Web上に構築したECサイトでの販売も併用するなど、O2Oアプリの目的をどこに置くかも考える必要があります。
クーポン配信
例えばアプリ利用者限定のクーポンを配信することによって、来店促進だけでなくアプリの利用者数そのものを増やすことも期待できます。
位置情報
スマートフォンにはGPS機能が備わっていますので、例えば実店舗にチェックインをすることでクーポンを配信するなどの活用ができるようになっています。
チェックインは来店促進だけでなく、後ほど記載する、アプリの効果測定にも利用できるので位置情報の活用は積極的に検討したいところです。
KPI/効果測定方法
実施した施策が効果を上げているのか知るために効果測定はきちんと行う必要がありますが、何を指標とするのかを最初に決めておくことが重要です。
来店や来場に繋がっているかを測定するにはアプリのダウンロード数や売り上げだけでなく、現場でアプリの画面を見せてもらい数値を測定するなどの方法も考えられますので、アプリの目的に合わせて指標化する項目とその方法も一緒に考えておきましょう。
CRM
アプリ利用者の属性や利用方法、利用頻度などを蓄積していくことでより良好な関係性を築くきっかけとすることができます。
そのためにもアプリを設計する段階で、どういった情報を蓄積していくのか、また個々の利用者に合わせた対応の仕組みとしてどういったものが考えられるのかなどを検討しておきましょう。
情報配信はWebブラウザベースで
アプリの開発方法にはHTMLなどを利用したWebブラウザベースの方法と、スマートフォン本来の機能を利用するネイティブアプリと呼ばれる方法の2種類があります。
ではアプリを作る際にどちらが良いかと言うと、基本的な情報配信を目的とする場合はWebブラウザベースがおすすめです。
iPhoneとAndroidで共通した開発ができ、既にあるWebサイトも活用できるので費用や期間の削減が期待できるためです。
カメラ機能や電話帳などスマートフォン本体に備わっている機能を使いたい場合にはネイティブアプリでないとできませんが、その部分だけネイティブ化したハイブリッド型のアプリにするという方法もあります。
基本機能はWebブラウザベースとし、必要に応じてハイブリッド型も検討する、という形が良いでしょう。
開発会社選定の際の注意点
スマートフォンアプリの開発を外部の会社に委託する場合、どのような点に気をつけたら良いのか、良い開発会社を見極めるポイントはどこにあるのか、気になっている方も多いと思いますが、まずこれまでの開発事例が分かることが重要です。
開発事例を元に、実際にアプリを使い込んでみて操作性やアプリの挙動を確認したり、どういったジャンルのアプリに強いかの特徴を掴むことで候補となる会社を絞り込むことができるようになります。
そのうえで、開発コストの面と組織体制でそれぞれ気をつけるべき点をご紹介します。
継続的にアップデートが必要なものは国内開発で
キャンペーンや新しいマーケティング施策でどんどん仕様が追加になったり、ミニマムでリリースして後から機能追加や改善を行うO2Oアプリ開発は、多少開発コストが上がっても国内開発がおすすめです。
綿密なコミュニケーション、リリースのスケジューリングを海外のエンジニアと連携していくのは至難の業。
そして、毎回見積・稟議ではスピードが出ません。
こういった場合は開発会社と月額固定で契約できるアジャイル・スパイラル方式を検討しておきましょう。
初期開発で規模が大きいものはオフショア開発で
仕様がしっかり決まっていて、開発規模が大きいアプリはオフショア開発に向いています。
その際は間にプロジェクトマネジメントが上手な担当者を入れることがもっとも重要なポイントです。
オフショア開発でコストダウンしても、開発が長引いてしまうと国内開発と変わらなくなってしまいます。
予めしっかり計画を立てたウォーターフォール型のプロジェクトにし、どこからどこまでを第一フェーズとするかも決めておきましょう。
小規模開発ならクラウドソーシングもアリ
開発コストが100万円以下の簡単なアプリならクラウドソーシングで個人事業主のエンジニアを探してもいいでしょう。
開発力だけではなくコミュニケーション能力が高いエンジニアを選ぶことがポイントになります。
最初の段階でちょっと専門的な内容の質問をして、その力量を試してもいいかも知れません。
また、開発実績にスマホ特有の「カメラ」「BlueTooth」「位置情報」「電話帳」など仕様を経験していると安心です。
まとめ
O2Oアプリはクーポンを配信すれば良いという単純なものではなく、一方的に情報配信をするだけでも消費者にすぐに飽きられ、使われなくなってしまいます。
実店舗と相互に連携し顧客満足度向上に繋げる工夫をしてはじめて存在価値が出ます。
先に挙げたような開発の注意点を意識しつつ、ユーザーがアプリと実店舗をスムーズに行き来しながらストレス無く使える仕組みを考え、中長期的にユーザーに使い続けてもらえるアプリにすることで、商品やサービスのさらなる繁栄に繋げることができるでしょう。