About Client
社名 | 株式会社ロジクエスト |
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業種 | 製造・小売 |
業態 | BtoB |
事業規模 | 501~1000人以下 |
課題 | 営業強化, 業務効率化 |
取材にご協力いただいた方
執行役員 営業DX本部 本部長 川口 広輝氏(写真:右)
営業DX本部 デジタル戦略部 デジタルマーケティングチーム チーム長 髙木 雅弘氏(写真:左)
デジタル戦略部 デジタルマーケティングチーム 横渡 航典氏(写真:中央)
企業プロフィール
・会社名:株式会社ロジクエスト https://logiquest.co.jp/
・拠点:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル4階
・設立:1985年4月22日
・資本金:7,000万円
・事業内容:貨物軽自動車運送事業・運送取次事業・一般貨物自動車運送事業・国際貨物輸送事業・緊急配送事業・特定信書便事業
・従業員数:535名(※2021年4月1日 時点)
・株主:株式会社センスオブワンダーグループ
本事例の内容は、取材日(2021年8月)時点の情報となります
『あらゆる届ける』を解決する、株式会社ロジクエスト
「『あらゆる届ける』を解決する」を事業ミッションに掲げ、さまざまな配送キャリアによる配送サービスを手掛ける物流企業、株式会社ロジクエスト。北海道から沖縄まで全国64拠点で、トラックやバイク、自転車、ハンドキャリーで配送するパートナーを抱えており、お客様の配送ニーズに細かいところまで応えている。
現在では卸、小売、医療、メーカーなど幅広い業種でおよそ2万5,000社と取引しており、また売り上げ金額も分散していることから景気変動に強いポートフォリオとなっていると執行役員の川口氏は語る。
「配送のアウトソーシングを手掛ける軽貨物専属ドライバー数は国内最大規模、バイク便の緊急配送サービスでは国内大手3社の一角を、また、国際ハンドキャリーによる配送は国内最大手の水準となっています。
こうした事業展開には、『テクノロジーとアナログの融合』による独自のきめ細かいサービス提供を目指していることが背景にあります。また、お客様との接点を大事にし、いただいたご要望は最大限対応していくという姿勢を続けています」(川口 氏)
地元密着と属人化。全国に点在する現場マーケティングの課題とは
1985年の設立以降、お客様のニーズに応え、直接的なコミュニケーションを重視してきた同社では、全国の64拠点で勤務する100名以上の営業担当が経験と勘を頼りにした独自の営業、マーケティングを行なってきた。よく言えば「地元密着」であるが、営業担当個々人のテレアポや飛び込み営業中心の顧客獲得は「属人的」であり課題であったと、川口氏は振り返る。
「全国の拠点で働く営業担当がそれぞれ工夫を凝らして新規顧客を獲得してきました。例えば求人媒体でドライバーを募集している企業を見つけ、『この企業は自社配送しており、かつドライバー不足に困っているはず』と仮説を立てて営業を行います。その他にも街を歩いていて自社トラックを見つければ、そこに飛び込んで営業することも。
現場で多くの工夫がされていた反面、全社規模でのマーケティングはできていませんでした。」(川口 氏)
アナログ主体の営業からDXを進めることとなった背景には、どのような課題があったのだろうか。川口氏が本部長を務める営業DX本部が立ち上がった背景には、大きく2つの要因があった。
・より効率的な営業、マーケティングを行うため、見込み顧客を一元管理したい
・コロナ禍による見込み顧客からのオンラインニーズに対応したい
「2020年9月にDXを加速させるべくプロジェクトを立ち上げ、現場と経営層へのヒアリングや全社の匿名アンケートを通して営業プロセスの課題を抽出することから始めました。
その結果、現場では重複して企業に営業したり、営業資料のフォーマットが揃っていなかったりと、個人が別々に行動しているがゆえの課題があったのです。すでに導入していたSFAツールで管理していたのは成約後の顧客ですので、もっと手前のリード情報は営業担当の頭の中にしかない状態でした」(川口 氏)
営業プロセスに課題を抱えつつも着実に売り上げを伸ばし続けてきた同社では、わざわざDXを推進する機会がなかった。しかし昨今のコロナ禍とDXの流れを受け、成約以前の見込み顧客の管理を目的にMAツールの導入を検討し始めたという。
あわせて、効率の面からマーケティングを一括して行い、テレアポも行うインサイドセールス部隊を立ち上げて、より効率的な営業体制の検討を進めていくこととなった。
「テレアポのアポ獲得率は一般的に2~3%と言われています。弊社のアポ獲得率も2%、そこから成約に至るのは10%ほどです。そうした営業をデジタルを活用することで、より効率的な形に変えていくことは、非常に大きな課題として経営層も認識していました。
そこで体制を変更し、将来的にはMAツールでホットな見込み顧客にだけ架電することでより効率的なマーケティング、営業活動を行えると考えました。この構想の可能性について社内で理解をえられたことで、MAツールの導入検討が一気に進みました」(川口 氏)
アンノウンマーケティング機能が決め手となり、「SATORI」を導入
インサイドセールス部門が効率的にオンラインセールスを行うために、グループ企業で開発されたCTIシステム(会話のリアルタイムストリーミングが可能なコールセンターシステム)を活用することになった。そのシステム内にもCRM機能はあったものの、より高度に見込み顧客を管理できるツールを探す中で出会ったのが「SATORI」だ。
その他にもすでに導入済みの外資系SFAツールの企業が提供するMAツールも検討したという。しかし、最終的には「SATORI」が選ばれた。
「『SATORI』を選んだ理由がまず使いやすさ。まだまだアナログ部分が残っている業界なので、ITリテラシーがあまり高くなくとも利用しやすいかどうかは重要でした。その他にはリード情報をしっかり蓄積できるか、ランニングコストの面、そして自社CTIシステムとのAPI連携ができるかを確認しました。
その中でも決め手となったのは、アンノウンマーケティングの機能です。「『あらゆる届ける』を解決する」という私たちのミッションから考えますと、今後より多くの顧客にサービスを提供していきたいと考えています。そのためにも新規リードを創出する機能が豊富な点は一番高評価でしたね」(川口 氏)
自社CTIシステムと連携し、インサイドセールスと顧客情報を共有
本契約からおよそ1ヶ月弱でシナリオの登録も完了し、現在では、インサイドセールスグループとデジタルマーケティングチームのメンバーが「SATORI」を活用している。
マーケティング施策としては現在、メルマガ配信やプッシュ通知、名刺情報との連携、ホームページでのポップアップ機能等が活用されているという。また、フォームを活用して資料のダウンロードや見積もり依頼ができるようにしている。初期設定を担当した横渡氏にお話を伺った。
「初期設定ではCTIシステムと連携を行なっています。具体的には以下のような流れです。
① 名刺やテレアポリストといったリード情報を『SATORI』に一括で登録
② インサイドセールスのオペレーターが使うCTIシステムにデータを連携
③ 興味・関心度合い(スコア等)が高い順に架電
④ コール内容をCTIシステムに入力、その情報が『SATORI』に連携、タグが設定される
タグについては、資料送付ができたか、もしくは失注なのかといったステータス別に作成しておりまして、現在ではおよそ100個ほど設定しています」(横渡 氏)
Web反響数は以前の10倍に!アポの獲得も3倍以上の効率化を実現
「SATORI」導入から半年、「営業プロセスのDX実現」のためには現場の意識の変化にまだまだ時間がかかると語る川口氏。その一方で、取り組みの成果が少しずつ現れはじめている。
「アポからの成約件数は安定して伸びていまして、フィールドセールスがインサイドセールスに感謝するケースも見られるようになってきました。経営層もこの取り組みを支持してくれています。
定量的な成果として、以前は月2件くらいのWeb反響数が直近では月20件前後、単純に10倍に増えてきました。Webからの問い合わせは成約率が非常に高いことが特徴でして、テレアポよりも非常にコスパが高くなっています。
架電によるアポの獲得率は2%ほどですが、メルマガ配信後のアポの獲得率は平均して6.5%とおよそ3倍以上、そしてWeb問い合わせからのアポ獲得は平均して40.0%となっています」(川口 氏)
「特に『カンタン見積もり』という料金見積もりできるフォーム機能からの問い合わせ数が多いですね。いきなり営業をかけられるのは嫌だけど、配送のアウトソーシングの値段は気になる、というお客様に刺さった施策です。
配送エリア、配送物、月間の配送頻度といった基礎情報を入力してもらうことで、翌日までにメールで概算のお見積書をお送りしています。ここでの工夫は電話番号の記載を任意としていること。電話番号を記載すると、営業電話を嫌う方は入力してくれないのです」(髙木 氏)
「SATORI」の導入から本格的な稼働をはじめたメルマガ施策についても、少しずつ数値的な成果が出始めているという。メルマガ担当の髙木氏に伺った。
「メルマガ配信施策では、想定よりも高い開封率やリンククリック数を出せています。私たちが設定しているコールアプローチ対象からアポが毎月10件ずつは獲得できていますので、有効だと感じています。メルマガの開封率は大体30%弱、メール内のリンククリック率は3〜10%あたりです」(髙木 氏)
DX推進と「SATORI」導入により、全社で営業プロセスのデジタル変革へ意識が芽生えてきた
営業プロセスの見直し/改善を目的に「SATORI」を導入した株式会社ロジクエストでは、営業プロセス以外のシーンもデジタルを活用していく予定だという。特に配送パートナーの求人、開発にも「SATORI」を活用できないか模索中だ。
「仕事を探している配送パートナーと、企業の配送案件のマッチングにMAを活用できないか検討しています。現在、配送パートナーを希望される方にはフォームに情報を記入して応募してもらう形式をとっているのですが、毎月の反響に対しておよそ9割はマッチングできていない状態なのです。
残念ながら 即マッチングに繋がらなかった方たちをプールできるような、MAのフォームで登録できるような仕組みを構築できればと計画しています。これによってより多くの方にお仕事をご紹介できるはずですし、求人募集の広告費も削減できるはずです」(川口 氏)
まだまだ営業プロセスのデジタル化が遅れている配送業界。コロナ禍で市場には大きな変化もあり、巣ごもり消費によるECの増加やフードデリバリーといったニーズも拡大している。物流にはアナログ的な要素が必要不可欠だからこそ、デジタルとアナログを融合させたビジネスモデルを組み立てられるかが勝負になってくる。
「『あらゆる届ける』を解決する、というミッションのもと、もっとお客様のニーズにあったサービスを展開させていきたいですし、そのためにもデジタルを積極的に活用していきます。
今回の『SATORI』導入やその他のDX推進で、徐々にですがデジタル変革への意識が全社的に芽生えてきたと感じています。それによって生まれた新しい発想を今後の事業戦略に活かしていきたいですね」(川口 氏)