5分で理解!マーケティングミックスとは?活用事例もご紹介

山内 悠太(やまうち ゆうた) (合同会社つむぎマーケティング)

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マーケティングミックスには様々な理論がありますが、4P理論と4C理論に的が絞られつつあります。概論と事例から分かりやすく説明します。

マーケティングミックスの意味

マーケティングミックスとは、

マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すために、マーケティング・ツールを組み合わせることWikipedia-マーケティングミックス

と説明されています。といっても初めて聞いた人には、抽象的で分かりにくいかもしれません。

企業が立案したマーケティング戦略を、商品企画や広告宣伝、営業活動など実際の行動にスムーズに落とし込むためには、いくつかのフレームワークを組み合わせて使います。その代表的な例が、「4P」、そして「4C」などマーケティングミックスと呼ばれる考え方です。4Pとは、「製品(Product)」「価格(Price)」「プロモーション(Promotion)」「流通(Place)」のそれぞれの頭文字をとって名付けられました。

マーケティングミックスの代表例「4P」とは?

マーケティングミックスの代表例「4P」戦略
  • 製品(Product):商品・サービス開発やブランディング
  • 価格(Price):価格・支払方法など
  • プロモーション(Promotion):広告宣伝活動
  • 流通(Place):チャネル

たとえば、ワインを販売するにしても、「○年物」といった高級品か、大衆向けかによって、販売する製品はもちろん、価格(例:1本何万円もするか?1000円以下か?)や流通(例:高級百貨店か?スーパーか?)や、プロモーション方法(例:富裕層メディアか?マス媒体か?)など、望ましいマーケティング活動はまったく異なります。
製品・価格・プロモーション・流通。この4つの観点から、マーケティング戦略が顧客にとって魅力的なものになっているか?を整理してみます。そのうえで、顧客に伝わるメッセージが、整合性のとれている状態をつくり出すのです。
マーケティング理論が進化していくなかで、この「4P」を企業の視点ではなく、消費者の視点から見直してみようという流れが起こりました。それが、「4C」と呼ばれるフレームワークです。

「4P」を買い手の立場から見直した「4C」

  • 製品(Product)=顧客価値(Customer Value)
  • 価格(Price)=顧客にとっての経費(Cost)
  • プロモーション(Promotion)=顧客とのコミュニケーション(Communication)
  • 流通(Place)=顧客利便性(Convenience)

たとえばiPhoneを買うユーザーは、端末それ自体を欲しいのではありません。離れた友人と会話ができること、どこでもインターネットを使えて世界が広がること、いつでも音楽を楽しめること、など顧客にとっての価値にお金を払っているのです。その価値が、顧客に適切なコストや利便性で提供できているか?正しく伝わっているか?という点から、商品が顧客に届くまでのプロセスを見直していくのです。

近年では4Cを起点に戦略を組み立て、4Pへ落とし込むという考え方も1つの大きな流れとなってきています。4PのProduct(製品)は4Cに言い換えるとCustomerValue(顧客にとっての価値)であり、顧客にとっての価値という観点から、プロダクトを設計していきます。このようにすべての4Pと4Cはつなげて考えることができ、CからPへ落とし込みます。

マーケティングの4Cと4Pの関係のイメージ

マーケティングミックスとは、複数の観点を組み合わせて、顧客と企業との関係性を作り上げ、商品を選んでもらいやすい環境を作ること。異なるフレームの関係性を理解することで、4P理論と4C理論の「ミックス」から戦略の設計を行うことがでるのです。

【トピック】共生マーケティング視点の4Cとは

日本の経営学者、清水公一氏が提唱する「共生マーケティング」の中では、4Cは異なった要因として出現します。混同しないよう注意が必要です。

  • Commodity(共生商品)
  • Cost(総合的なコスト)
  • Communication(コミュニケーション)
  • Channel(流通経路)

共生マーケティングは、企業・国・人・自然が共に生きることを前提とし、利益より信頼を最優先する思想とのことです。

※参考:Wikipedia共生マーケティング

【トピック】3Cとは?4Cとの違いは?

混同しやすいフレームワークに3Cがあります。4Cが買い手起点であるのに対し、3Cは顧客・競合・自社の位置づけや状態を分析するためのフレームワークです。

  • Customer(顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

3つの要素から顧客のニーズ・自社の強み弱みをあぶり出します。

マーケティング戦略から実行のプロセスとマーケティングミックスの位置づけ

このマーケティングミックスは、マーケティング戦略全体のプロセスのなかでは、「戦略をいかに実行していくか?」という下流の工程にあたります。マーケティング戦略の用語のなかには、「4P」や「4C」のほかにも、「3C」や「SST」などが出てきて複雑になるので、一連の流れを説明しましょう。

マーケティング戦略のステップのイメージ

戦略をたてるうえでのセオリーとしては、はじめに自分たちが置かれている環境を分析します。「市場」(Customer)「競合」(Competitor)、「自社」(Company)の3つの観点から分析するので、「3C分析」ともいわれます。
次に、「セグメンテーション」(Segmentation)「ターゲッティング」(Targeting)といって、市場のなかのどの顧客に標準を合わせるか?を絞ります。そのうえで、「ポジショニング」(Positioning)といって、商品をどう位置づけて差別化をはかっていくか?を定めます。そのうえで4P(または4C)を言語化して、戦略を実行へと移していくのです。

マーケティングミックスの分かりやすい事例

実際のビジネスでは、マーケティングミックスはどのように取り入れられているのでしょうか? この記事をお読みただいている皆さんがイメージしやすく、理解しやすい事例を挙げてみました。ここではわかりやすく4Pに落とし込んで解説します。

1)スターバックス コーヒー

1971年USワシントン州で一号店をオープンしてから、世界的なブランドとなったスターバックス。1995年に日本進出、店舗拡大とともにファンを増やし続けています。スターバックスでは、自社のビジネスを単に「コーヒーを売る」のではなく、お客様が友人と会話をしたり、考え事をするなど自由に過ごすことできる場所を提供することと価値を定義して、「サード・プレイス」(家でも職場でもない、第3の場所)と呼んでいます。そのような製品の価値があるからこそ、コーヒー1杯が300円台と高くても、また広告宣伝をほとんどしなくても、PRや口コミなどを通じて共感したお客様が集まってくるのです。

製品(Product)単にコーヒーではなく「サード・プレイス」を顧客価値に
価格(Price)コーヒー1杯300円台と高額
プロモーション(Promotion)広告宣伝を行わず、パブリシティや口コミ、店頭看板のみ
流通(Place)大都市中心の直営店がメイン

2)ドモホルンリンクル

テレビCMで有名なドモホルンリンクル(再春館製薬所)は、年齢を重ねた女性の肌悩みの解決のための基礎化粧品を提供しています。テレビCMや新聞広告、折り込みチラシなどマスメディアを中心に広告宣伝に多額の資金を投入して見込み顧客を集めた後は、コールセンターのオペレーターがお客様の肌悩みに徹底的に寄り添ったコミュニケーションを展開。基本セットが1ヶ月で約36,000円と高額ながらも、年間数万円から10万円を超えるようなロイヤル顧客を多く抱え、リピート販売によって収益を確立しています。

製品(Product)年齢を重ねた女性の肌悩みを解決するための基礎化粧品
価格(Price)基本セットが1ヶ月で約36,000円と高額
プロモーション(Promotion)テレビCMや新聞広告、折り込みチラシなどマスメディア
流通(Place)電話やダイレクトメールを中心とした通信販売

3)ライフネット生命

2006年に設立、「戦後初の独立系生保」として話題になったライフネット生命は、インターネット販売に特化。「保険のおばちゃん」による対面販売が一般的だった業界で、人件費や店舗費がかからないための「価格の安さ」を訴求。不透明という印象を持たれがちだった保険料の内訳をすべて公開するなどして、20〜30代の子育て世代の支持を集めました。検索エンジンやソーシャルメディアなど主にネット上でプロモーションを展開するとともに、コールセンターでの相談を夜10時まで受け付けるなど、顧客ターゲットにとっての相談しやすさを実現しています。

製品(Product)20〜30代の子育て世代のための生命保険
価格(Price)死亡保障500円~、医療保障1,000円台~など明確で低料金
プロモーション(Promotion)検索エンジンやSNSなど、ネット上の広告や口コミ
流通(Place)インターネットからの販売に限定

4)freee

株式会社freee(2012年創業)が2013年にリリースしたのが、全自動クラウド会計ソフト「freee」です。中小企業やスタートアップ、個人事業主など「スモールビジネス」をターゲットに、経理の専門知識がないユーザーでも扱いやすい製品を目指しています。クレジット・銀行各社との連携、レシートのスキャン登録、自動仕分けAIなど、人が担っていた作業を自動化する機能が特長です。従来の会計ソフトは、店頭などでパッケージを購入してPCにインストールするタイプが主流だった中、freeeはクラウドでサービスを展開。インターネットで契約から支払いが完了して、インストール不要で利用できるということで、ネットリテラシーの高い層のニーズにいち早く応えました。当初はデジタル中心のプロモーションで、「リリース1年後に契約件数6万件を突破」とユーザー数を一気に伸ばしました。今までの買い切り型のソフトとは異なり、サブスクリプション方式を採用。毎月の支払が安価なため、小規模な企業にも受け入れられやすくなっています。

製品(Product)スモール・ミドルビジネスに特化した便利な機能(自動化など)を搭載したクラウド会計ソフト
価格(Price)サブスクリプション型月額1,980 円~
プロモーション(Promotion)当初はデジタルマーケティング中心
流通(Place)インターネットで契約から支払いまで可能

5)ラクスル

ラクスル株式会社(2009年設立)が運営する、印刷のシェアリングプラットフォームが「ラクスル」です。全国の印刷会社と提携、印刷機の非稼働時間を使って印刷するという独自のビジネスモデルで、安くて早いネット印刷を実現しています。「ネット印刷」というカテゴリーでは、事業開始当初は最大手企業が圧倒的な認知度を誇っていた中、テレビCMを使った大規模なマスプロモーションを展開。それまでネット印刷を使っていなかった層にも、アプローチしました。地元の“印刷屋さん”に発注していた中小企業や、コピー機・家庭用プリンタなどで印刷していた店舗・個人といった多様なニーズも取り込み、売上を拡大しました。ラクスルの平均客単価が1万円ということから、小ロット印刷が売り上げの主流であることがうかがえます。

製品(Product)印刷機の非稼働時間を使うことで、安くて早いネット印刷を叶えるサービス
価格(Price)チラシ・フライヤー1.1円~
プロモーション(Promotion)テレビCMなどマス広告を展開
流通(Place)PC・スマホから注文して、宅配などでお届け

「4P」(または4C)について、はじめに定義を説明して、次にマーケティング戦略の全体像のなかでの位置づけを解説。最後に、ビジネスでの事例をお伝えしました。「分かりにくい」といわれることも多い「マーケティングミックス」ですが、マーケティング活動を行うときに意識して活用しながら、その理論や考え方に慣れていくことが大切です。街で売られている商品や目にしたサービスに、どのようなマーケティングミックスが当てはめられているか?ぜひ機会があれば考えてみてください。

「絶対に知っておきたい! マーケティング戦略に役立つフレームワーク」ダウンロード

PROFILE

山内 悠太(やまうち ゆうた)

合同会社つむぎマーケティング

2004年に東京大学教養学部を卒業。新卒では、大手電機メーカーに新卒で入社して広報・CSRを担当。その後広告代理店に転職して、主に化粧品や健康食品など単品リピート通販会社の広告制作やCRM設計等、ダイレクトマーケティングの支援を手がけた。新規クライアント集客も担当して、リード(問合せ・資料請求など)の獲得数を約1年半で約3倍に増加させた。
2011年8月、認定NPO法人カタリバに参画。広報・ファンドレイジング部の責任者として、Webサイトの運営や広告展開、マスコミ向け広報、寄付や助成金による資金調達等を担い、就任当初は約2千万円だった寄付収入が約8倍に成長するのを牽引した。14年9月から独立して、企業やNPOのマーケティングを支援。合同会社つむぎマーケティング代表。
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