カスタマーサクセスの重要性~BtoBビジネスの現場から

鈴木あゆみ (デジタルマーケティング・コンサルタント)

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カスタマーサクセスの業務内容について、ご紹介いたします。前回の記事、「カスタマーサクセス」と「カスタマーサービス」の違いとは?では、意外と知られていないカスタマーサクセスの歴史や変遷、カスタマーサービス(カスタマーサポート)との違いについてご紹介しました。今回は、カスタマーサクセスの具体的な業務内容や、その重要性について考えてみたいと思います。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは何故重要なのか?

前回の記事でご紹介した通り、カスタマーサクセスという職種は、SaaSビジネスなどサブスクリプションモデルをとる企業において特に重要性の高い職種です。では、具体的にどのような点が重要なのでしょうか。カスタマーサクセスのバイブルと言われる『Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue』においては、以下の3つの点から、カスタマーサクセスの重要性を説いています。

(1)カスタマーサクセスの導入により、解約率(Churn・チャーン)を低下させるため。
(2)アップセル、クロスセルにより既存顧客からの収益増加を狙うため。
(3)顧客の経験価値・満足度の向上を狙うため。

サブスクリプションモデルを採用するBtoBビジネスは、既存顧客が契約を継続し続ける前提で成り立っています。そのため、顧客企業とのリレーションシップ構築が非常に重要になります。解約率(Churn・チャーン)を低下させることで、企業は一定の収益性を確保することができます。その上で、アップセル(より価格の高いサービスへのグレードアップ)・クロスセル(同ランクのサービスを複数購入)により、収益増加を狙います。ここでもやはり、既存顧客と既に信頼関係ができていることが前提になります。また、既存顧客を飽きさせないマーケティング施策も非常に重要です。顧客限定のコンテンツの提供やイベントの開催といった工夫をするなど、様々な施策を通じて、顧客の経験価値を高めていく必要があります。こうした一連の業務を担うのが、カスタマーサクセスなのです。

カスタマーサクセス

Source: Amazon, credit: www.amazon.co.jp

カスタマーサクセスの業務内容~SATORIの事例をご紹介!

SATORI株式会社では、マーケティングオートメーションツールSATORIを提供しています。設立わずか2年弱の間に、国産MAツールNo.1としての地位を築き上げました(2017年3月ジャストシステム社調べ)。その成功の秘訣は、営業・マーケティング部門に案件創出の仕組みがあり、連携が取れていることにあります。

SATORIは創業当初、マーケティング部門は1.5名体制という、少人数制チームで発足しています。この少人数制チームながらも自社のマーケティング活動に創意工夫した経験が、SATORIが得意とする中小企業や少人数制チームのマーケティング活動支援につながっています。現在SATORIでは、「あなたのマーケティング活動を一歩先へ」というミッションを掲げています。お客様の成果に真摯に向き合うことはもちろん、またお客様同士のネットワーキングの機会も創出するべく、SATORI契約企業限定のユーザー会の実施などに努めています。

SATORIでは、契約社数100社を超えたあたりから、カスタマーサクセスに注力し始めました。具体的には、営業・マーケティング部門の中で、営業はお客様と直接商談する役割を担っており、マーケティング担当者は新規顧客獲得に向けてオフライン・オンラインのマーケティング施策を担い、営業に案件を提供しています。そしてカスタマーサクセスは、既存のお客様のサポート業務に注力しています。「お客様のサポート業務」という言い方をしてしまうと、裏方の仕事のようなニュアンスになりますが、実際に裏方の業務である故に、その重要性や業務内容が他部署・他社から見ると非常に見えにくいのです。

SATORIのカスタマーサクセスは、お客様からのお電話でのお問い合わせやリクエストに日々お答えしているほか、各種セミナー・イベントの企画・運営を率先して担っています。ユーザー会の実施も、お客様の課題やニーズを直にお伺いすることのできる貴重な機会として捉えています。

カスタマーサクセス

SATORI第1回ユーザー会の様子です。レポートはこちら!

カスタマーサクセスの可能性

カスタマーサクセスという職種に求められる役割は、明確に定まっているわけではありません。前回の記事でご紹介した通り、元々カスタマーサクセスに求められる役割は、既存顧客のリテンション(維持)が中心でした。それが次第に進化していき、現在では「カスタマーサクセスマネージャー」「カスタマーサクセスアナリスト」「カスタマーサクセスオペレーション」「カスタマーサクセスマーケティング」など、より役割が細分化された職種が誕生しているほどです。

明確に業務内容が定まっている職種ではないからこそ、自身で仕事を創っていける楽しさを体感できることもカスタマーサクセスの醍醐味です。特にスタートアップ企業では、自分自身で企業文化を創っていけることはもちろん、業務設計においても大きな裁量を持てることは魅力的です。

また、カスタマーサクセスに限らず、変化の早い業界で生き残るには、日ごろから業界の情報収集や勉強が欠かせません。SATORIマーケティングブログでは、変化の激しいIT/マーケティング分野での記事を多数掲載しています。マーケティングオートメーションやその他マーケティング分野にご興味をお持ちの方へ、今後も役立つ情報をお届けできるよう努めて参ります。

参考文献

 ・Nick Mehta, Dan Steinman, and Lincoln Murphy. 2016. Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue. United States: Wiley.

PROFILE

鈴木あゆみ

デジタルマーケティング・コンサルタント


グリー株式会社、複数の外資系企業を経て、独立。海外企業におけるデジタルマーケティング施策の戦略立案を得意とし、日本市場へのローカライゼーションを幅広く手がける。
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