多くの企業が取り組んでいるオムニチャネル、その効果的な事例を分かりやすくまとめました。中小企業~大手企業まで手法はさまざまですが、事例を学ぶことで自社のサービスへ活かせるのではないでしょうか?おすすめの事例をご紹介します。
オムニチャネルは「大手だけの手法」ではない
店舗からWeb・モバイル・アプリへ・・・オムニチャネルを成功させている事例は資金が豊富にある大手企業、というイメージが強いかも知れませんが、決してそれだけではありません。中小企業や小売りなどでも、やり方次第で大きな効果を得ることが可能なのです。
オムニチャネルは販売や流通のチャネルを統合し、顧客にとって最適な方法での商品購入やサービスの利用を可能にします。いつどこにいても同じサービスが受けられることが求められている今の時代。顧客に価値のあるサービスや商品を提供し満足してもらうためには、企業の規模に関係なく取り入れるべきマーケティング手法なのです。
それでは、オムニチャネルで効果をあげている企業のなかかから、事例を4つご紹介いたします。
事例1:東急百貨店×アプリ
東京都渋谷区に本店を置く大手百貨店である東急百貨店。市場全体が縮小の傾向にあるといわれているデパート業界のなかで、積極的にオムニチャネルに取り組み成功している企業のひとつといえます。
TwitterやFacebookの運用を2011年ごろに開始し、顧客との積極的なコミュニケーションを実践していました。
2013年にスタートした公式スマートフォンアプリ「東急百貨店」では、店舗の情報やフロアガイドをチェックできるだけでなく、アプリ内でショッピングができる機能を備え、さらにクーポンを配信しています。そこまでは多くの企業でも実施していることですが、そのクーポンの配布方法に成功のヒントが隠されています。
東急百貨店では、クーポンや引換券などの特典をゲットするためのコードをTwitterやFacebook、また店舗などで配布しているのです。つまり特典を使用してお得に買い物をしたい顧客は、ソーシャルメディアでつながる必要や、実店舗に足を運ぶ必要があるのです。
そうすることで顧客との新たな接点をつくりだすことが可能になり、新規顧客の獲得や顧客エンゲージメントの向上につながります。
事例2:ロクシタン×LINE×ソーシャルギフト
以前よりLINEマーケティングに力を入れているロクシタンジャポン。ハンドクリームが人気のフランス発コスメブランドです。
ロクシタンは、2015年からLINEやメールでギフトを贈ることができるソーシャルギフトサービス「ロクシタンeギフト」をスタートしました。
LINEの場合だと、メッセージで届く新製品や期間限定アイテムに「LINEで贈る」というリンクがついています。それをクリックし、カードを選択してメッセージを入力します。最後に画面上で贈りたい相手を選択するだけで、住所を知らない人にも手軽にギフトを贈ることができる仕組みになっています。
男性向けのハンドクリームをギフト対象商品としたバレンタインのメッセージ。気軽に贈ることのできる価格帯で、ちょっとしたプレゼントやお礼にぴったりです。ロクシタンは女性向けコスメブランドというイメージが強いですが、メンズラインもあるという宣伝効果、認知度アップにもつながります。
プレゼントと一緒にメッセージを入れることができるきめ細やかなサービスにも好感がもてます。
ギフトチケットを受け取った人は、全国にある店舗でチケットを提示し、商品を受け取ることができます。
受け取った人に実際に店舗へ足を運ばせることで、ついで買いの促進や新たな顧客を獲得するきっかけ作りとなり、ただギフトをもらうだけでは終わらせない仕組みになっています。
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事例3:DoCLASSE(ドゥクラッセ)×店舗×Web×コールセンター
40代からのファッション通販DoCLASSE(ドゥクラッセ)。2007年にカタログ通販から開始したブランドですが、Webへの展開ではつまずくこともありました。対象が40代~50代の女性であることからネットやスマホの普及率が低く、Facebookなどのソーシャルメディアはアクセスが集まらずに閉鎖した過去があるそうです。
しかしその後ECサイトを立ち上げ、ユーザーの「試着したい」という声に応えて実店舗をつくりました。また、店舗に足を運べない顧客のために、コールセンターで試着を代行するというサービスを行っています。
コールセンターには顧客と同世代のオペレーターが常駐し、顧客のサイズと似た体系の人が実際に試着をし、その場で洋服のフィット感などを教えてくれるのです。
カタログで選び、ネットで細部を確認し、店舗に取り寄せて試着をし、電話で購入する・・・など、顧客がさまざまなチャネルを行き来できる仕組みになっています。
参考文献:週刊東洋経済「実践!オムチャネル」
事例4:WebでオリジナルTシャツのtmix×「在庫を持たない」ショールームストア
Webブラウザ上でTシャツをデザインしてオーダーできるtmix(ティーミックス)が渋谷にショールームをオープンしました。目的は「生地感を確かめたい」「サイズを確かめたい」などのお客様の要望にお答えするためです。ショールームでは在庫を持たず、ここで購入して商品を持ちかえることはできません。日本ではまだ少ないモデルですが、アメリカECで成功をおさめているアパレルのbonobos(ボノボス),メガネブランドのWarbyParker(ワービーパーカー)が同様のショールームを展開しているのです。
ショールームで購入すると最終判断した場合も、お店にあるタブレット端末などからEコマースサイトにアクセスして商品を購入します。商品は自宅に届くので、荷物を持ち帰る必要がなくとても便利なのです。その場で商品を購入できるとなると、お店に在庫が必要なだけではなく、購入者と顧客情報の紐づけが難しくなります。「購入はインターネット」と誘導することによるメリットは多くあるわけです。
tmixを運営するspice lifeのブログでは下記のように書き綴られています。
日本でもEC発ショールームストア(ECオムニチャネル)は今年爆発的に増え数年内に主流になるでしょう。 アパレルショップは旗艦店を除いて全部ショールームストアになる、家電量販店もそうなる、雑貨屋さんも、家具やさんもアクセサリーやもどんどんそうなる、 路面じゃなくてもいいし、目抜き通りじゃなくてもいい、GoogleMapで辿り着ければいい、そうなれば今までお店がないところにもお店ができる、結果、街のありかたが変わる、そんな未来がすぐそこに来ているかもしれません。
http://blog.spicelife.jp/entry/2015/03/12/093254
インタネットから実店舗へ、そしてインターネットに戻って購入。これがECオムニチャネルの最終形かも知れません。
いかがでしたでしょうか?4つの成功事例をみていただけると分かるように、オムニチャネルには多様な手法があります。大手企業だけではなく中小企業や・店舗数の少ない小売業などでも、アイディア次第でさまざまなことが可能になるのです。
オムニチャネルを成功させるためには、顧客の動向をよく理解し推測する必要があり、それは同時にマーケティングの基本でもあります。成功事例から手法を学び、自社のサービスに合わせた方法で、ぜひオムニチャネルに挑戦してみてください。