マーケティングは資格が必要な職種ではありませんが、基礎知識として知っておいた方がよかったり、持っていると実務に活かせたりステップアップできる資格や検定もあります。特に、昨今導入が進むデジタル・Webマーケティングに関する分野では、スキルを証明できる資格も多くあります。実務に直結する場合もある、おすすめの資格を集めました。
実用的なマーケティングに関するおすすめ資格一覧
マーケティング担当にもさまざまな職種がありますので、分野に分けておすすめの資格を紹介していきます。総合的なマーケティング資格から、注目度が上がってきているデジタルマーケティング分野まで集めました。
※難易度は、資格運営者の公式サイトのランク付けや、口コミサイトなどでの評価を調べて載せています。詳しい情報を知りたい方は、それぞれの一覧表の下にある出典をご覧ください。
【総合・企画・戦略立案】
企画・戦略などの上流工程の業務では、マーケティング理論の全体像を把握していることが不可欠です。またデジタル・Webマーケティングの分野でも、アクセス解析、データ分析や検索エンジンやソーシャルメディアなど最先端の技術だけでなく、Webマーケティングの概観をとらえることが有効でしょう。マーケティング分野全体を「広く浅く」とらえるための資格を紹介します。
資格名 | 試験内容 | 難易度 | 受験料 |
---|---|---|---|
マーケティング・ビジネス実務検定 |
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★★ | A級 12,760円(税込) B級 7,480円(税込) C級 6,270円(税込) |
ネットマーケティング検定 |
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★★ | 6,000円(税込) |
IMA検定 |
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★★★ | Standard,Professional 各19,800円(税込) |
難易度の出典:
AKKODiS(https://freelance.akkodis.co.jp/licenses/)IT/WEB業界関連のクリエイター向け資格/ 検定情報、合格率の一覧★1~★5
【アクセス解析・データ分析】
Webマーケティングの分野では、円滑に業務を回していくためには専門知識が必須のケースも増えています。その1つがWebサイトのアクセス解析やデータ分析です。専門性の高い知識が必要なので、スキルの証明になりやすい資格と言えます。
資格名 | 試験内容 | 難易度 | 受験料 |
---|---|---|---|
Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ) |
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★★★★ | 無料 |
ウェブ解析士 |
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★★★ | 17,600円(税込) ※公式テキスト4,400円(税込) |
Webアナリスト検定 |
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★★★★ | 20,000円前後 (主催者により費用が変わる) |
データ解析士 |
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不明 | 入学金 5,000円(税込) 受講料 49,500円(税込) |
難易度の出典:
AKKODiS(https://freelance.akkodis.co.jp/licenses/)IT/WEB業界関連のクリエイター向け資格・エンジニアの資格 / 検定情報、合格率の一覧★1~★5
【広告】
ネット広告、特に「運用型広告」と呼ばれるタイプは、日々進化する専門知識にキャッチアップしていくことが、成果を大きく左右します。代表的な広告は「Google 広告」と「Yahoo!広告」になりますが、現在Google広告のみ認定資格を実施しております。
資格名 | 試験内容 | 難易度 | 受験料 |
---|---|---|---|
Google 広告認定資格 |
|
C |
無料(初級1種、上級2種とも) |
難易度の出典:
日本資格取得支援(https://jqos.jp/)「SSS~D」でランク付け
【編集・ライティング】
資格はあまり知られていない分野ですが、実務上の専門知識を扱った資格が用意されています。特に、コンテンツマーケティングやSNSマーケティングでは文章力が重視されるため、近年注目度が上がってきている資格です。
資格名 | 試験内容 | 難易度 | 受験料 |
---|---|---|---|
校正技能検定 |
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SS | 中級 8,800 円(税込) 上級 9,900 円(税込) |
Webライティング能力検定 |
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★★ | 13,500円(税込) |
難易度の出典:
日本資格取得支援(https://jqos.jp/)「SSS~D」でランク付け
AKKODiS(https://freelance.akkodis.co.jp/licenses/)IT/WEB業界関連のクリエイター向け資格/ 検定情報、合格率の一覧★1~★5
【経営】
マーケティングを突き詰めていくと、さらに上流の「経営」課題の解決を求められる場面が増えてくるでしょう。一つ上の視点からマーケティングをとらえ直したい方向けの資格です。
資格名 | 試験内容 | 難易度 | 受験料 |
---|---|---|---|
中小企業診断士 |
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A | 1次試験 13,000円 2次試験 17,200円 |
MBA(経営学修士) |
|
B | 大学院によって異なる |
難易度の出典:
日本資格取得支援(https://jqos.jp/)「SSS~D」でランク付け
そもそもマーケティング担当者に資格は必要なの?
これまでいくつかの資格をみてきましたが、これらの資格はマーケティングの現場でどの程度必要とされているのでしょうか?
その問いに答えるために、マーケティングの現場で「求められている人材像」を考えてみましょう。マーケティングで有名な企業の中途採用ページから、どんなスキルや適性を持った人材が、求められているか?を調べてみました。
(1)外資系大手日用品メーカー マーケティングポジション
- 国際的な職場なので英語力
- 消費者マーケティングに対する情熱
- 消費者の心理の裏にある潜在的なニーズを掘り起こし、消費者の生活を改善するためには何が必要かをひたむきに追求する姿勢
- ブランド経営の一員として戦略的思考に基づきチームを正しい方向に導くリーダーシップ能力、コミュニケーション能力
(2)広告代理店 ストラテジックプラニング職
- 一般消費者向けの商品・サービス材を対象としたマーケティングおよび調査の業務経験のある方
- マーケティングに関するデータの分析・解析や、それを活用したマーケティングコンサルティングの実務経験のある方
- 内勤だけでなく、社内外のスタッフと協働しながら、得意先との対面に立って業務進行ができる方
- 語学(英語/中国語)が堪能な方、およびアジアマーケットでのマーケティング・コミュニケーション業務経験のある方は優遇
(3)中小企業での一人マーケティング担当者
- 経営層と対話できるコミュニケーションスキルとビジネスへの理解・知識
- 事業会社における経営視点でのマーケティング戦略設計、実務経験
- オンライン・オフライン問わず、幅広い広告・PRの実施経験と知識
- Webサイト、SNSなどデジタルメディア全般の知識と運用スキル
(4)BtoBモデルの中堅企業でのデジタルマーケティング職
- BtoBマーケティングにおける戦略設計の経験
- バイヤージャーニーやシナリオなどコミュニケーション設計と実装の経験
- Webサイト運営、Web分析能力に加えて、コンテンツマーケティング施策のディレクション経験
- 展示会やセミナーの運営、MC、集客プランニングの経験
- 動画撮影や編集、SNSにおけるライブ配信を含むオンラインセミナー運営の経験
その他にも多くの企業の中途採用ページをご覧になると分かりますが、「求める人材」にマーケティングの資格を要件としている企業は、ほとんどありません。むしろ、実務経験が求められるケースが多く、最近では「DX推進」といった背景のもと、デジタルマーケティングの経験者が重宝される傾向にあります。例えば「データ解析」や「広告運用」などの職種では、中途採用の募集も多く見つかります。
資格が必須となることも多い「法律」「会計」「医療」などの専門分野や、TOEICスコアが武器となる英語との大きな違いでしょう。
マーケティング関連の資格を身につけるメリット
それでは、マーケティングの仕事をする方にとって、資格は必要ないのでしょうか?決してそんなことはありません。マーケティングの資格を取得することのメリットを3つ洗い出してみました。
専門分野の理解を深められる
資格の取得に向けて勉強することで、専門分野の理解を深めることができます。特に実務上のOJT(On the Job Training)で知識を身につけてきた方の場合、分野によっては知識に偏りがあったり、それぞれの分野ごとの関係性があいまいだったりする場合が多くあります。資格取得に向けて勉強するなかで、専門分野全体を体系的にとらえ全体像をもう一度把握し直すことで、より深い理解を得られるでしょう。
ネットワークができる
もしあなたが受ける資格で、受験者向けのセミナーや有志の勉強会が開かれていれば、参加してみるとよいでしょう。会社などの利害関係から離れつつ、マーケティングという共通の専門分野を持った知人ができる機会は、社会人になってからは多くありません。資格取得という共通の目的に向かって頑張る仲間は、その後も交流が続くケースも多いようです。
専門的なスキルを証明できる
資格を持ったことで、あなたが専門的なスキルをそなえていることを、証明することができます。特にマーケティングの実務を経験して、同じ職種での転職を考えている方にとっては、即戦力としての実務能力をそなえていると、転職先に信頼してもらえる材料になるでしょう。また、マーケティング支援会社(広告代理店・制作会社など)にいる場合も、資格をそなえた社員の人数を公開することで、信頼性を高めようとする会社もあります。
いかがでしたか?マーケティングの資格を考えるうえでは、必ずしも「資格の取得」という結果だけでなく、知識やネットワークなど受験勉強のプロセスで得られるものも合わせて考えるのがよいかもしれません。
どんな資格にチャレンジするか?は、あなたが資格を取得する目的にかかっています。あなたなりの向き合い方で、ぜひ資格を通じてマーケティングの世界を広げてみてください。
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1982年生れ。東京大学教養学部卒。大手メーカー(三洋電機)・広告代理店(ファインドスター)・教育NPO(認定NPO法人カタリバ)を経て、2014年に独立。 現在はコンサルタントとして、デジタルマーケティングを主に支援している。 D2C(EC通販)やサブスクリプション、BtoBなどの業界でマーケティングの実務経験を積んできた。 広告やCRMなど企業での知見を、非営利団体の寄付募集に応用している。 ブログやTwitter・Linkedin・Facebookなどでも、マーケティングの情報を発信。 社会貢献のキャリア支援サイト「FunDio」を立ち上げ、求人採用や人材育成もサポートしている。