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2024.02.08

MAのシナリオとは?設計方法と具体例【テンプレート付き】

MAのシナリオとは?設計方法と具体例【テンプレート付き】

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動の仕組み化をするためのツールです。リードジェネレーション(見込み顧客データの獲得)からリードナーチャリング(見込み顧客の育成)、そしてリードクオリフィケーション(営業部門へ引き渡す見込み顧客の見極め)に至るまでのマーケティング活動を仕組み化し、業務の効率化や収益拡大を目指します。
具体的には、目標に向けたマーケティングのシナリオを設計し、そのシナリオに沿った施策をMAに設定することでマーケティング活動を効率化します。

この記事ではマーケティングオートメーションの導入を検討されている、あるいは導入間もない方に向けて、シナリオ設計の基本的な考え方を具体例と共にご説明します。

MAのシナリオとは?

MAのシナリオとは、MAツールによってリードを獲得し、成約に至るまでの行動を予測したうえで描く計画や道筋のことです。シナリオを設計することで、リードナーチャリングに適したアプローチ方法が明確になります。MAのシナリオには、例えば以下のようなものが考えられます。

  • 事例ページを閲覧したユーザーにセミナー案内
  • 非アクティブユーザーにステップメールを送信
  • 「今すぐ客」にポップアップで訴求
  • 「今すぐ客」の離脱ユーザーにリターゲティング広告

マーケティングにおけるシナリオとは

マーケティング全般においてもシナリオという表現が使われますが、意味や目的はMAのシナリオとほぼ同じです。単に、MAに最適化しているかしていないかの違いです。

【テンプレート付き】シナリオの設計方法

一般にBtoB商材の多くは、企業と見込み顧客とのファーストコンタクトから契約までに半年、長い場合には2,3年かかるといわれています。また、商品の購入・導入には複数部署の人が関わる場合も少なくありません。

そのため、通常は見込み顧客が顧客になるまでの間に取り得る行動をいくつかのフェーズに区切った上で、細かくシナリオを設計していく必要があります。
検討すべきポイントは大きく分けて3つ、「誰に」「何を」「いつ・どこで・どのように」行うかです。

手順設定項目MA機能
1誰に(ターゲティング)・リード情報・属性管理情報
2何を(オファー)・キャンペーン設計
3いつ/どこで/どのように(配信)・バナー・ポップアップ/プッシュ通知・広告

以下、この3つのポイントについて順に説明していきます。なお、シナリオ設計に役立つテンプレートを下記のページにご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

シナリオ設計テンプレート

1. 「誰に」を決める-ターゲティング-

まず、そのシナリオで対象とするのが「誰」なのかを定義します。

  • セミナーに参加した人
  • 資料をダウンロードしたがその後連絡がない人
  • 何度も自社のWebサイトを訪問しているが、まだ問い合わせに至っていない人

などを、シナリオのターゲットとして定義します。この作業を「ターゲティング」と呼びます。

ターゲティングにおいては、まずターゲットを属性や行動パターン等で分類します。これを「セグメント設計」と呼び、例えば性別や年齢によって分類し、より大きな効果が期待できるセグメントに対してアプローチします。マーケティング企画に応じて、もっとも適したセグメントを抽出することが大切です。

また、セグメント設計においては、MAで測定したスコアリングの結果も活用します。一定のスコア以上を分類の条件とすることで、ターゲットの優先度を検討することが可能です。以下のように、関心度や段階別で細かくセグメントを設計しましょう。

セグメントターゲット
関心度:中自社サイトを閲覧しているが、問い合わせ・資料請求には至っていない
関心度:高問い合わせ・資料請求には至っていないが、頻繁に自社サイトを訪れている
情報収集段階自社サイトから資料をダウンロードしたが、その後サイトを再訪していない
比較検討段階自社サイトから資料をダウンロードした後、「サービス比較ページ」を閲覧した
セミナー参加自社セミナーに参加した

関連記事:【図解】セグメンテーションの概念とは?ターゲティングとの違いや分類例を解説!

2.「何を」を決める-オファー-

ターゲットとなるセグメントが明確になったら、ターゲットに目指すアクションを起こしてもらうために「何を」すればよいかを検討します。 

例えば、匿名ユーザーを実名ユーザーに転換させるために無料のホワイトペーパーを提供する、休眠ユーザーを再度アクティブにするためにメールで自社サイトへの訪問を喚起する、といった施策が考えられます。

ターゲットオファー
自社サイトを閲覧しているが、問い合わせ・資料請求には至っていない匿名ユーザーを実名ユーザーに変換するために、ホワイトペーパーダウンロードを促す
問い合わせ・資料請求には至っていないが、頻繁に自社サイトを訪れているリターゲティング広告で資料請求に向けたアクションを訴求する
自社サイトから資料をダウンロードしたが、その後サイトを再訪していない非アクティブユーザーの活性化を目的としてメールによるサイト訪問を喚起する
自社サイトから資料をダウンロードした後、「サービス比較ページ」を閲覧したポップアップによる問い合わせ訴求
自社セミナーに参加したセミナー参加者に限定したクーポンを配布する

3.「いつ」「どこで」「どのように」を決める-配信-

ターゲットとオファーが明確になったら、いつ、どのようにしてそのオファーをターゲットに提示するかを設計します。 

オファー方法はメールや電話、DM等が一般的ですが、最近はWebサイトを閲覧中の見込み顧客へポップアップを表示する等の新たな配信方法が登場しています。こうしたものをうまく使い分け、ターゲットとオファーの組み合わせに最適な配信手法を選定します。

ターゲットオファー
自社サイトを閲覧しているが、問い合わせ・資料請求には至っていないページに一定時間以上滞在したユーザーをポップアップでホワイトペーパーダウンロードページへ誘導
問い合わせ・資料請求には至っていないが、頻繁に自社サイトを訪れているページを一定回数以上訪れたユーザーにリターゲティング広告で資料請求に向けたアクションを訴求する
自社サイトから資料をダウンロードしたが、その後サイトを再訪していないステップメールでコラムやホワイトペーパーなどのページへ誘導
自社サイトから資料をダウンロードした後、「サービス比較ページ」を閲覧したページ閲覧中にポップアップを表示させて問い合わせを訴求
自社セミナーに参加したセミナー終了後、参加のお礼メッセージと共に期間限定クーポンをメールで配布

【今すぐ使える】効果的なシナリオの具体例

シナリオ設計に際して最低限明確にしておくべき3つのポイントをご紹介しました。シナリオ設計の流れとポイントを理解していただけたでしょうか。

 以下ではシナリオ設計の具体例をいくつかご紹介します。自社用のシナリオがすぐには思い浮かばないという方は、こちらを参考にまずは取り組みやすいところから着手してみてください。

【トリガー:閲覧行動】事例ページを閲覧したユーザーにセミナー案内

誰に(ターゲティング)何を(オファー)いつ・どこで・どのように(配信)
導入事例ページを閲覧したユーザーセミナー申込みフォームセミナーへの案内メールを送信

導入事例ページを閲覧しているユーザーは、商品への関心がそれなりに高いと考えられます。こうしたユーザーに対しては、自社の商品に関係したセミナーの案内をして行動を促すとよいでしょう。

そこで、導入事例ページを閲覧しているユーザーに自社セミナーへの参加を促すメールを送信する、というシナリオを設計してみます。ページを閲覧していた日からもっとも近い日に開催されるセミナーを紹介し、「残席わずか!」というような煽りのフレーズを入れる等の工夫をしてみてもよいかもしれません。

関連記事:【完全版】セミナー集客の教科書 ― コツ・媒体からメールの書き方まで ―

【トリガー:メール開封】非アクティブユーザーにステップメールを送信

誰に(ターゲティング)何を(オファー)いつ・どこで・どのように(配信)
過去●日以上アクションがないユーザーステップメール定期的にメールを送信してコラムやホワイトペーパー等のページへ誘導

かつて自社サイトを頻繁に訪問してくれていたユーザーや資料請求をしてくれたユーザー、セミナーに参加してくれたユーザーというのは、自社に対して何らかの関心を抱いている層だと考えることができます。 

こうした層のユーザーがあるときを境に非アクティブ(サイトへの訪問がなくなる、メールへの反応がなくなる等)になる場合、いくつかの原因が考えられます。単に忙しくて訪問できないだけかもしれませんし、担当者が異動、あるいは、競合他社を検討しているのかもしれません。

多忙や異動で足が遠のくのはやむをえないことですが、競合他社に関心が向いてしまっているなら、何らかの手段で呼び戻したいところです。
そこで、ターゲットが関心を抱きそうな情報でステップメールを作成し、定期的にメールでフォローしてみましょう。

なお、何度メールを送信しても反応が得られない場合は「見込薄」と判断し、今後のマーケティング作業効率化のため、別のセグメントへ移動するのも1つの手です。

関連記事:ステップメールの仕組みとは?配信回数や間隔など運用方法も解説

【トリガー:閲覧行動】「今すぐ客」にポップアップで訴求

誰に(ターゲティング)何を(オファー)いつ・どこで・どのように(配信)
サービス比較ページを閲覧しているユーザー問い合わせ訴求ポップアップ

Webサイトを訪れるユーザーには色々な人がいますが、閲覧するページや滞在時間によって検討段階をある程度見極められる場合があります。たとえば、自社サイト上でサービス比較ページを熟読しているユーザーは、既に比較検討の段階に入った「ホットな」見込み顧客(今すぐ客)である可能性があります※。

 このような見込み顧客には他社に先駆けてアプローチし、関係性を深めたいところです。
そこで、ページ閲覧中のユーザーに対して、「具体的な事例や製品のデモをご紹介しますので、ぜひお気軽にお問合せください」といったポップアップを表示し、訴求してみましょう。

※ユーザーのWeb行動によってセグメントを設計するには、事前にWebサイト分析を行って傾向を洗い出しておくことが大切です。

【トリガー:閲覧行動】「今すぐ客」の離脱ユーザーにリターゲティング広告

誰に(ターゲティング)何を(オファー)いつ・どこで・どのように(配信)
サービス比較ページを閲覧したあとで離脱してしまったユーザー詳しい製品資料のダウンロード等リターゲティング広告

前項のように今すぐ客に対してポップアップで訴求したが、残念ながら問い合わせに至らなかった…という場合は、リターゲティング広告等を利用して再度訴求してみます。このような場合は、検討に役立つ資料のダウンロードや導入相談会等、比較検討段階で役立つオファーを提示するのがポイントです。 

すぐにでも商談に繋がりそうなホットな見込み顧客のセグメントは、このように二重、三重のシナリオでフォローしていきましょう。

関連記事:【初心者向け】Web広告とは?種類・費用・運用方法

シナリオの設計・運用を成功させるためのポイント3つ

シナリオの設計・運用を成功させるために、抑えておきたいポイントをご紹介します。

1.カスタマージャーニーをしっかり作り込む

カスタマージャーニーの精度が高ければ、それだけシナリオも精度を高められます。顧客データの収集等を通じて、カスタマージャーニーを作り込みましょう。

関連記事:顧客行動見える化!カスタマージャーニーマップを作ろう

2.まずは最重要課題の1本から着手する

マーケティングのシナリオは、企業と商品、そしてターゲットの数だけ存在します。可能な限り詳細にセグメントを設計し、きめ細かいシナリオを設計して運用することができればそれに越したことはありませんが、導入直後から網羅的にシナリオを用意するのは至難の業です。 

自社の現状を分析した上で、まずはもっとも課題となっている部分の1本から着手し、運用する中で徐々にシナリオを追加していくような形で進めていくのがベストです。 

3.PDCAを回してシナリオをブラッシュアップする

シナリオは、一度作成して終わりではありません。PDCAを回し、ブラッシュアップすることが重要です。定期的な効果測定を行い、より効果的なシナリオを設計しましょう。

シナリオを活用してマーケティング活動を効率化しよう

MAにおけるシナリオの役割や重要性、具体的な設計方法等を詳しく解説しました。

リードナーチャリングに適したアプローチ方法の検討には、MAのシナリオ設計が欠かせません。「誰に」「何を」「いつ・どこで・どのように」行うかをポイントとして、細かなシナリオを設計しましょう。そうすることで、マーケティング活動が効率化できます。ただし、シナリオは作成して終わりではありません。定期的な効果測定をもとに、PDCAを回しながらブラッシュアップすることで成果を向上させましょう。

MAツールの「SATORI」にはシナリオ機能があり、これを活用することで顧客へのステップメール等を配信することができます。セグメント毎にシナリオを組むことで、段階的に受注あるいは購入へと見込み顧客の購買意欲を高めることが可能です。以下のフォームから製品資料をダウンロード頂けますので、ぜひご覧ください。

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