【初級】マーケティングオートメーションのシナリオ設計法&設計例

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 マーケティングオートメーションツールは、リードジェネレーション(見込顧客データの獲得)からリードナーチャリング(見込顧客の育成)、リードクオリフィケーション(営業部門へ引き渡す見込み顧客の見極め)といったマーケティング活動を仕組み化するために役立つツールです。仕組み化するための要素の1つとして「自動化」があげられますが、ツールを入れればすべてが自動的に動き出すわけではありません。マーケティングオートメーションツールを使って成果を上げていくためには、「シナリオ」を設計し、いつ、何を実行するのかをツールで設定する必要があります。

 この記事ではマーケティングオートメーションの導入を予定されている方、あるいは導入間もない担当者の方に向けて、シナリオ設計の基本的な考え方を具体例と共に説明します。

【基本】シナリオの考え方とフレームワーク

 「シナリオ」とは本来、ドラマや劇などの脚本・台本を表す言葉です。ドラマがどのような順序で展開し、どのような場面で誰がどういうセリフをいうのかをまとめたものがシナリオです。そこから転じて、ある計画を実現するための道筋のことも「シナリオ」と呼びます。マーケティングオートメーションにおける「シナリオ」も、マーケティングタスクを自動化するための「筋書き」だと考えることができるでしょう。究極的には、自社の製品に関心を持ちうる見込顧客を実際の顧客に変えていくための流れがシナリオであると定義できます。シナリオの作成は、カスタマージャーニー(バイヤーズジャーニー)に基づいて行います。 ターゲットのペルソナがどのような流れで契約に至るかをカスタマージャーニーで明確にし、ある段階から次の段階へと移行してもらうための仕掛けをシナリオとして設計していくわけです。

★カスタマージャーニーについて詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

関連記事:顧客行動見える化!カスタマージャーニーマップを作ろう

 一般にBtoB商材の多くは、企業と見込顧客とのファーストコンタクトから契約までに半年、長い場合には2,3年といった時間がかかるといわれています。また、商品の購入・導入には複数部署の多くの人が関わる場合も少なくありません。そのため、通常は見込顧客が顧客になるまでの間に顧客が取り得る行動をいくつかのフェーズに区切った上で、細かくシナリオを設計していくことになるでしょう。

 以下は、マーケティングオートメーションのシナリオ設計で用いる基本的なフレームワークを図示したものです。

シナリオ設計のフレームワーク

 検討すべきポイントは大きく分けて3つ、「誰に」「何を」「いつ・どこで・どのように」行うのかです。以下、この3つのポイントについて順に説明していきます。

「誰に」を決める―ターゲティング―

 まず、そのシナリオで対象とするのが「誰」なのかを定義します。「セミナーに参加した人」「資料をダウンロードしたがその後連絡がない人」「何度も自社のWebサイトを訪問しているが、まだ問い合わせに至っていない人」などを、シナリオのターゲットとして定義します。この作業を「ターゲティング」と呼びます。

ターゲティング例

セグメント設計のポイントとスコアリングの活用

 ターゲティングの作業では、「誰」を対象にするかを決めた上で、ターゲットを識別するための条件を設計します。ターゲットを属性や行動などで分割していく作業を「セグメント設計」と呼び、このセグメント分割がターゲティングの成否を左右します。 「セグメント」とは「区分」「部分」といった意味で、マーケティングでは「共通の属性を持つ集団」というようなニュアンスで用いられています。 セグメント設計のよくある例としては、性別や年齢による分割があります。具体的には、エイジングケア化粧品のDMは、女子高生ではなく40代以上の女性へ、男性用育毛剤のサンプルは、20代の男性よりも40代の男性にアプローチすることで、より高い成果を得られるでしょう。実行しようとしているマーケティング企画に応じて、もっとも適切なセグメントを抽出する、というのがセグメント設計のポイントです。

 マーケティングオートメーションでは、BtoBの場合、業種、売上高、部署、役職など、BtoCの場合、性別、年齢といった属性とあわせて、Web上での行動履歴やマーケティングオートメーションツールで測定したスコアリングの結果などをセグメント設計に利用します。 以下の図に示すように、Webサイトの閲覧回数や閲覧したページによってユーザーを分類することもできますし、スコアリング機能を持つツールであれば、「スコアが●点以上」といった条件で分類することもできるでしょう。

 セグメント設計について解説してきましたが、この作業は重要であると同時に、比較的難易度の高い作業でもあります。たとえば、自社サイトへの訪問者の中から特に自社への関心が高いと思われるユーザーの層を抽出する際に、何回以上訪問していれば関心が高いとはじめから確定することは困難です。このため、まずは他社事例などを参考に仮説を立て、運用の中で徐々にチューニングを重ねていくことになるでしょう。

「何を」を決める―オファー―

 ターゲットとなるセグメントが明確になったら、ターゲットに目指すアクションを起こしてもらうために「何を」すればよいかを検討します。 たとえば、匿名ユーザーを実名ユーザーに転換させるために無料のホワイトペーパーを提供する、長期に渡ってアクションのない休眠ユーザーを再度アクティブにするために割引クーポンを配布する、といった施策が考えられます。

オファー例

「いつ」「どこで」「どのように」を決める―配信―

 ターゲットとオファーが明確になったら、いつ、どのようにしてそのオファーをターゲットに提示するかを設計します。 オファーの提示方法としてはメール、電話、DMなどが一般的ですが、最近は技術の進化により、Webサイトを閲覧中の見込顧客へのポップアップ表示やプッシュ通知による訴求など、新たな配信方法が登場してきています。こうしたものをうまく使い分け、ターゲットとオファーの組み合わせに最適な配信手法を選定します。

オファー配信例

シナリオ設計のテンプレート

「ターゲティング(誰に)」「オファー(何を)」「配信(いつ・どこで・どのように)」を明確にしたら、念のため設計内容の詳細を記録しておきましょう。 なお、シナリオ設計に役立つテンプレートを下記のページにご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

シナリオ設計テンプレートのダウンロードはこちら

今すぐ使える【簡単】効果的なシナリオの具体例

 以上、シナリオ設計に際して最低限明確にしておくべき3つのポイントをご紹介しました。シナリオ設計の流れとポイントを理解していただけたでしょうか。 以下ではシナリオ設計の具体例をいくつかご紹介します。自社用のシナリオがすぐには思い浮かばないという方は、こちらを参考にまずは取り組みやすいところから着手してみてください。

【閲覧行動ベース】事例ページを閲覧したユーザーにセミナー案内

 導入事例ページを閲覧しているユーザーは、商品への関心がそれなりに高いと考えられます。こうしたユーザーとは直接会って面談するなどして関係性を深められるとその先のアクションが取りやすくなるでしょう。 そこで、導入事例ページを閲覧しているユーザーに自社セミナーへの参加を促すメールを送信する、というシナリオを設計してみます。ページを閲覧していた日からもっとも近い日に開催されるセミナーを紹介し、「残席わずか!」というような煽りのフレーズを入れるなどの工夫をしてみてもよいかもしれません。

【メール開封ベース】非アクティブユーザーにステップメールを送信

 かつて自社サイトを頻繁に訪問してくれていたユーザーや資料請求をしてくれたユーザー、セミナーに参加してくれたユーザーというのは、自社に対して何らかの関心を抱いている層だと考えることができます。 こうした層のユーザーがあるときを境に非アクティブ(サイトへの訪問がなくなる、メールへの反応がなくなる、など)になる場合、いくつかの原因が考えられます。単に忙しくて訪問できないだけかもしれませんし、担当者が異動、あるいは、競合他社に「浮気」されているのかもしれません。多忙や異動で足が遠のくのはやむをえないことですが、競合他社に浮気されてしまっているなら、何らかの手段で呼び戻しを行いたいところです。 そこで、ターゲットが関心を抱きそうな情報でステップメールを作成し、定期的にメールでフォローしてみましょう。

 なお、何度メールを送信しても反応が得られない場合は「見込薄」と判断し、今後のマーケティング作業効率化のため、別のセグメントへ移動するのも1つの手です。

【閲覧行動ベース】「今すぐ客」にポップアップで訴求

 Webサイトを訪れるユーザーには色々な人がいますが、閲覧するページや滞在時間によって検討段階をある程度見極められる場合があります。たとえば、自社サイト上で「他社との比較」ページを熟読しているユーザーは、既に比較検討の段階に入った「ホットな」見込顧客(今すぐ客)である可能性があります(※)。 このような見込顧客には他社に先駆けてアプローチし、関係性を深めたいところです。そこで、ページ閲覧中のユーザーに対して、「具体的な事例や製品のデモをご紹介しますので、ぜひお気軽にお問合せください」といったポップアップを表示し、訴求してみましょう。

※ユーザーのWeb行動によってセグメントを設計するには、事前にWebサイト分析を行って傾向を洗い出しておくことが大切です。

【閲覧行動ベース】「今すぐ客」の離脱ユーザーにリターゲティング広告

 前項のように今すぐ客に対してポップアップで訴求したが、残念ながら問い合わせに至らなかった…という場合は、リターゲティング広告などを利用して再度訴求してみます。このような場合は、検討に役立つ資料のダウンロードや導入相談会など、比較検討段階で役立つオファーを提示するのがポイントです。 すぐにでも商談に繋がりそうなホットな見込顧客のセグメントは、このように二重、三重のシナリオでフォローしていきましょう。

導入時のシナリオ設計はいくつ必要?

 以上、マーケティングオートメーション運用における具体的なシナリオをいくつかご紹介しました。 マーケティングのシナリオは、企業と商品、そしてターゲットの数だけ存在します。可能な限り詳細にセグメントを設計し、きめ細かいシナリオを設計して運用することができればそれに越したことはありませんが、導入直後から網羅的にシナリオを用意するのは至難の業です。 自社の現状を分析した上で、まずはもっとも課題となっている部分の1本から着手し、運用する中で徐々にシナリオを追加していくような形で進めていくのがベストでしょう。 本コラムが皆様のシナリオ設計の一助になりましたら、幸いです。

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