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2018.02.21

【保存版】失敗しないMA導入の流れ&やるべきことリスト

近年、多方面で注目を集めているマーケティングオートメーション(以下、MA)。国内での導入成功事例もチラホラと表れつつあるものの、導入してはみたがうまく使いこなせず、暗礁に乗り上げている企業も多いと聞きます。なぜ、そのような差が生まれてしまうのでしょう?細かい原因は色々と考えられますが、MA導入に失敗する本質的な理由は導入前の事前準備が甘いことにあるといって良いでしょう。そこで、この記事ではMA導入を検討されている方に向けて、MA導入に際して陥りがちな失敗について俯瞰した上で、導入前にやっておくべきことのリストをご紹介します。

マーケティングオートメーション導入が失敗するケース

MAの導入に失敗してしまう典型的なケースには、下記のようなものがあります。

(1)カスタマージャーニーが設計されていない

MAは、一言でいうなら見込顧客の獲得から育成、絞り込みまでを仕組み化するツールです。一定の基準に達した見込顧客を抽出して営業部門へ引き渡すためには、Webコンテンツの閲覧や資料のダウンロード、メールマガジンへのレスポンスといった見込顧客の行動を把握し、カスタマージャーニーを設計しておくことが重要です。

(2)MAで利用できるコンテンツがない

MAで利用するコンテンツがない、もしくは極端に少ないという場合もMA活用が困難になります。理想は、集客、誘導、育成、商談という顧客のフェーズに合わせたコンテンツを用意しておき、閲覧履歴や行動(資料ダウンロードやお問い合わせなど)に応じた施策を打ちます。具体的には、詳しい機能紹介や他社製品との比較など、購買意欲の高い見込顧客であればぜひ閲覧したいと考えるようなコンテンツを準備し、顧客がそのページを読み込んだのをトリガーとしてポップアップなどで問い合わせフォームへ誘導するといった施策です。

(3)MAツールを使いこなせる人材がいない

MAを運用するメンバーは、マーケティングに関する基本的な知識はもちろんのこと、自社の製品やサービス・自社の顧客像に関する深い理解があることが必要不可欠です。データを読む力や仮説立案力、関係部門と密に連携を取るコミュニケーション力も求められるでしょう。

(4)MAを導入する目的があいまいである

どんなツールも自社の課題認識に基づいて導入するのが基本です。「現在どのような課題があり、それを解決するために何が必要なのか」を検討した上で、課題解決を支援しうるツールを導入するわけです。
このような状況でMAの導入に踏み切ると、せっかく導入しても求める効果を上げられないリスクが高まります。

MA導入前のやることリスト

以上、4つのケースを反面教師として捉えると、MA導入に際してやるべきことが見えてきます。そこで、このセクションではMA導入前にやっておくべきことを具体的に考えていきましょう。
参考:MAにおけるリードジェネレーション

(1)カスタマージャーニー(バイヤーズジャーニー)マップの作成

前セクションでもお伝えしたように、MA導入に際してはカスタマージャーニーの把握が重要なポイントとなります。カスタマージャーニー(※)というのは、ひとことで言えば見込顧客がある商品を知ってから実際に購入に至るまでの顧客のプロセスです。見込顧客がどのようなルートで自社の商品に接触し、どのようにして商品に対する理解を深めて最終的に購入に至るのか、そのプロセスに沿って見込顧客の行動や心理状態、思考、感情などを整理します。このプロセスを、図などを用いて可視化したものをカスタマージャーニーマップと呼びます。
※BtoCではカスタマージャーニーという呼び名が一般的ですが、BtoBの場合はバイヤーズジャーニーと呼ばれる場合が少なくありません。
関連記事:顧客行動見える化!カスタマージャニーマップを作ろう
このプロセスは一通りとは限りません。たとえば、見込顧客が自社サイトと接触するルートにしても、検索エンジンからの自然検索で流入する場合もあれば、比較サイトやブログなどを経由して訪問する場合もあります。あるいは、展示会などで入手したパンフレットに記載されていたURLがきっかけとなるかもしれません。こうしたパターンを洗い出した上で、想定される見込顧客の行動プロセスを可視化していきます。
カスタマージャーニー(バイヤーズジャーニー)マップ(SATORIの例)

(2)コンテンツを準備する

カスタマージャーニーを可視化するのと並行して、MAで使用するコンテンツの準備を行います。同じ商品に関心を持つ見込顧客であっても、案件の成熟度合いによって求めるコンテンツは異なりますので、明確化したカスタマージャーニーを参考に、どのフェーズにてどのようなコンテンツが必要になるのかという観点で必要なコンテンツを設計します。
フェーズ別のコンテンツ例としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
MA導入のためのフェーズ別コンテンツ例

(3)セグメントの基礎設計を行う

カスタマージャーニーとコンテンツの準備が出来たら、マーケティングオートメーション運用のためのセグメントの基礎設計を行います。具体的には、顧客を属性や行動に基づいていくつかのセグメント(グループ)に分割し、セグメントごとにどのようなアプローチを取るかを決めていく作業です。 たとえば、資料ダウンロードページを表示したあと個人情報を入力せずに離脱したユーザーには「見込み有り」のセグメントに組み入れて離脱後も行動ターゲティング広告でフォローする、といった運用シナリオを作成していきます。(MAツールの種類によっては、顧客の行動に点数を付与するスコアリングという手法を用いる場合もあります)
この際、先に設計しておいたカスタマージャーニーとコンテンツをもとにコンバージョン(CV)に繋がるコンテンツを見極め、全体的なアウトラインを把握しておくと良いでしょう。既存のオウンドメディアやブログ等があり、アクセス解析データなどが利用できるのであれば、これらを参考にすることで設計の精度を更に高めることができます。
なお、この時点で行う基礎設計はあくまでも導入当初のたたき台レベルで問題ありません。運用開始後、ある程度の期間スコアを蓄積してみて、想定とのズレが生じているようなら適時調整を行います。

(4)運用体制を作る

運用開始前に体制を整えておくのも重要なポイントですが、これには2つの観点があります。
前セクションでも述べたように、MAの運用に携わり成果を上げていくためにはそれなりのスキルが必要です。そうした人材を確保してマーケティングチームの体制を整えるということがまず1つ。もう1つは、マーケティング活動の成果を会社としての成果に繋げるための組織横断的な体制を整えるということです。
MA導入の目的は、単体では「マーケティング活動を仕組み化し、効率的な営業活動を実現すること」と定義することができます。しかし、企業の最終的な目的は売上をあげ、利益を得ることです。つまり、抽出した見込顧客に対して営業部門がアプローチし、実際に受注に至って初めて真の成果に繋がるのです。 これを踏まえて考えれば、マーケティング部門と営業部門の密な連携が重要であることがお分かりいただけることでしょう。どんな見込顧客が受注に繋がりやすいのか、その情報を握っているのは前線で活躍する営業部門です。また、見込顧客がどのような情報を求めているのかを知るためにも、営業部門の協力が欠かせません。MA運用の主体となるのはマーケティング部門ですが、営業部門・マーケティング部門合同の会議体を設けるなどして、定期的に成果の確認や情報交換を持つ場を設定することが重要です。
とはいえ、現実問題として十分な体制を整えられないままMAの運用に踏み切らざるを得ないケースは少なくありません。このような場合、体制が整うのを待っていてはいつまでたっても成果は上がりません。最低限必要な施策を絞り込んだ上でまずはミニマムスタートし、短いスパンでPDCAを繰り返しながら成果を上げて、実績を積み重ねながら組織を育てていくような戦略を検討すると良いでしょう。そのためには、手軽に導入できて迅速に施策を実行できるツールを選択し、かつ振り返りの結果をもとに柔軟に対応していけるような体制を組むことが重要です。

(5)振り返りのタイミングを決めておく

これはどんな施策についてもいえることですが、定期的に「振り返り」を行い、改善につなげる仕組みを設けておくことが大切です。MAを実践する際も、定期的に運用の成果や反省点を確認し、改善を重ねていけるような段取りをしておきましょう。
単に「定期的に振り返りましょう」ではおざなりになってしまう懸念があるため、「週に一度」「月に一度」「半年に一度」などの振り返りポイントを設定し、それぞれのタイミングで具体的にどのような観点で振り返りを行うのかを決めておけると良いでしょう。
たとえば、週次の振り返りでは運用上の細かいルールを見なおす、月次ではその月に実施した施策の成否を判断した上で、次月の実行計画を見直す…というように、振り返りの粒度を決めておくとやりやすいはずです。

おおまかなMA導入の流れ

最後に、MA導入のおおまかな流れを簡単にご説明しておきます。ツールによって若干違いはありますが、おおむね下記のような流れで進められます。

1.ツール選定

自社が扱う商品の特性やターゲット顧客層、取るべき戦略などを踏まえて、自社に合ったツールを選定します。よくある失敗例としては、高機能なMAを導入したものの、いざ運用してみるとオーバースペックのため、数カ月といった短期間でリプレイスをしたという話があります。
関連記事:【2022年版】 マーケティングオートメーションツール8社比較・選び方<目的別>

2.導入・インストール

採用するツールが決まったらベンダーと契約を結び、実際の導入作業を行います。クラウド型のツールであればアカウントを発行後すぐに使用を開始することができますが、ツールによってはソフトウェアのインストール等が必要となる場合もあります。

3.初期設定

ツールをセットアップした後、MAの運用を開始するための初期設定を行います。どのような設定が必要なのかは、ツールによって異なります。MAのためのデータベース設計や連携システムの開発などが必要となるものもありますし、Webサイトへのアクセスを追跡するためのトラッキングコードを設置するだけで初期設定が完了する場合もあります。また、インプリメント(設定代行)の依頼等が必要となる場合もあります。

4.見込顧客データの登録

見込顧客データはMAツールを運用する過程で随時増えていくことになりますが、運用開始前から保有しているデータがあれば、初期の見込顧客データとしてあらかじめ登録しておきます。登録の方法もツールにより異なりますが、一件ごとの個別登録とCSVファイルなどによる一括登録の二つの方法が用意されている場合が多いようです。主な対象となる見込み顧客データとしては、営業名刺や過去の展示会名刺、CRM等の社内システムやマーケティング担当者のPCに格納されている見込み顧客データがあげられます。

5.MA運用の個別設定

最後に、MAを運用するための個別の設定を行います。具体的には、登録した見込顧客データから特定の見込顧客だけを抽出するためのセグメントを設定したり、を行ったりします。
MA導入の流れ

導入事例を読んでイメージを明確にしよう

この記事ではMA導入に際して陥りやすい失敗と導入前にやっておくべき事を明らかにし、MA導入の流れをご紹介しました。MAの導入に際してどんな事前準備が必要で、具体的にどのようにしてMAの導入が進むのか、おおまかなイメージを掴んでいただくことはできたでしょうか?
下記のページではSATORI導入企業のインタビューをご紹介しています。ぜひあわせてご一読いただき、MA導入のついての理解を深めて頂ければと思います。
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