人工知能(AI)が企業のマーケティング部門にもたらす影響力

鈴木あゆみ (デジタルマーケティング・コンサルタント)

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人工知能(AI)の発達により、現在、企業内で行われている業務の大部分は、AIに取って代わられるのではないか?そう危惧している方が多いようです。特に、マーケティングオートメーションツール(MA)の導入により、近い将来、自分たちの仕事がなくなるのではないかと不安を抱いているマーケティング担当者の方は多いようです。実際、オックスフォード大学の研究によると、2033年までに47%の現在の業務が自動化されるといいます。また、2016年のOECD(経済協力開発機構)の調査によると、OECD加盟国21カ国においては9%もの業務がすでに自動化可能なものであるといいます。

一方で、短期的な視点で捉える場合、AIの影響力が過大評価されすぎていると、タタ・コンサルタンシー・サービシズのSatya Ramaswamy氏は指摘しています。同社の調査によると、現在AIがもっとも活用されているのは、企業のIT部門におけるセキュリティ統制の分野で、およそ44%の企業でAIが活用されています。とはいえ、この場合ですらAIが既存の従業員の業務を奪っているとは言い難い状況であり、現状はあくまでも従業員の業務をAIがサポートしていると言った表現が適切です。

また、法務/コンプライアンス関連業務にAIの導入を実施している企業はたった2%、賄賂やリベートなどの詐欺行為防止にAIを導入している企業はわずか3%*に留まっています。また、自動車などの製造業においても、製造ラインにおいて実際にAIを活用しているのは7%*です。同様に、ファイナンス部門でAIを活用している企業も8%*に留まっています。人工知能(AI)の普及度合は、実際には私たちのイメージと乖離があるのです。

マーケティング部門におけるAI導入率は?

では、マーケティング部門ではどうでしょう。企業のセールス・マーケティング部門の役割においては、AIの活用がもっとも進んでいるかのようなイメージがあるにもかかわらず、実際の調査結果では真逆の結果が出ています。メディアバイイングやソーシャルメディアのアカウント管理といった一見自動化できそうな業務においてすら、AIの導入率は20%未満*に留まっているのが現状です。

興味深いことに、現在すでにAIを活用して成果を上げている企業のうち51%*は、AIの活用はIT/ファイナンス/経理といったバックオフィス部門において有効であると回答しており、セールス・マーケティング部門においてAI導入による自動化が可能であると回答したのは、わずか26%*でした。結論としては、顧客とのコミュニケーションを担うファンクションにおいては、AI導入による業務自動化は向かないというのが一般的な見解となっています。
*調査データはタタ・コンサルタンシー・サービシズの調査結果に基づく。

 

 

AI導入に向けてのハードル

一方、これだけAIが話題になっているにもかかわらず、AI導入のハードルが高いのはなぜでしょう?おそらく、社内リソースの不足が一番の障壁となっているのではないでしょうか。KPMG社の2016年のデータによると、D&A(データアナリティクス)は近年もっとも需要のあるスキルであるにもかかわらず、約40%のIT企業では対応が遅れているといいます。一方、同分野ですでに水準に達していると回答した企業は25%以下でした。

KPMGの取締役副会長を務めるCarl Carande氏は、D&A(データアナリティクス)の専門チームを社内に設けることは大きなアドバンテージになりうると指摘しており、実際に社内のD&A(データアナリティクス)部門が高い水準に達している企業では、ビックデータ活用に精通したデータサイエンティストやエンジニアによる専門チームを抱えているといいます。そして企業規模や組織構成こそ異なれど、D&A(データアナリティクス)は社内の他部門、データとは直接関連のない部門とも密接にコミュニケーションをとり、会社の経営戦略に深くかかわっていくべきだといいます。

まとめ

AIの活用は今後一層進むことが予測されますが、セールス・マーケティングのような顧客との密接なコミュニケーションが必要とされる部門においては、AI導入が向かないとされる業務が多数あることも事実です。また、企業のAI導入にあたり、D&A(データアナリティクス)分野におけるリソース不足が障壁となるケースも多々あります。担当者レベルでは、先日の記事・MA時代に求められるマーケティング担当者の必須スキルとは?でもお伝えした通り、マーケティング担当者に求められる本質的なスキルは今も昔も違いはありません。ゆえに過度に悲観的になる必要はなく、各々が顧客のニーズを正しく理解し、AI活用時代にも生き残れるスキルを磨く努力をしていくことが重要です。

SATORIは、MAツールとして少人数制チームでも成果を出せるような機能を備えています。経験・実績のあるスタッフが揃っているため、MAツール導入後のサポート体制もしっかりしていることが特徴です。MAツールを検討するものの、社内のリソース不足で導入を躊躇されるようなケースには、個々のツールやそのサポート体制を確認することで、意外と導入へのハードルが低いことに気付かされるかもしれません。

「人工知能(AI)の発達により、現在自分が担当している業務はAIに取って代わられてしまうかもしれない」などといった錯綜とした情報に惑わされることなく、SATORIのようなMAツールやその他ツールを駆使し、各々がマーケティング施策の最大化を図る姿勢が求められる時代と言えるでしょう。

 

 参考文献
・Carl Carande, Paul Lipinski, and Traci Gusher, ‘How to Integrate Data and Analytics into Every Part of Your Organization’, 2017. [Online]. Available: https://hbr.org/2017/06/how-to-integrate-data-and-analytics-into-every-part-of-your-organization [Accessed: 17- Jul- 2017]
・Satya Ramaswamy, ‘How Companies Are Already Using AI’, 2017. [Online]. Available: https://hbr.org/2017/04/how-companies-are-already-using-ai [Accessed: 17- Jul- 2017]
・Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne, ‘THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?’, 2013. [Online]. Available: http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf [Accessed: 17- Jul- 2017]

 

PROFILE

鈴木あゆみ

デジタルマーケティング・コンサルタント


グリー株式会社、複数の外資系企業を経て、独立。海外企業におけるデジタルマーケティング施策の戦略立案を得意とし、日本市場へのローカライゼーションを幅広く手がける。スタートアップ企業のブランドマーケティングにも関心があり、デジタルマーケティング支援を広く行っている。慶應義塾大学法学部卒。
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