Marketing Blog

2015.11.18

きちんと開封される魅力的なOne to Oneメールの作り方

きちんと開封される魅力的なOne to Oneメールの作り方

メールマーケティングはOne to Oneメールの時代と言われています。それは「件名に名前が入っている」などの単純なものではありません。いかに「私だけに送られた魅力的なメールだ」と思っていただき開封・クリックしていただくかがとても大切。そんなOne to Oneメールの考え方・作り方を、事例を交えて解説します。

魅力的なOne to Oneメールとは?

企業が既存顧客を個として捉え、双方向で継続的な関係を築き、ひとりひとりの顧客に異なる対応ができるようにすることをOne to Oneマーケティングといいます。そのなかでも、One to Oneメールとは、顧客それぞれの状況や立場、嗜好や価値観の違いを把握し、ニーズに合ったアプローチをメールで行う手法です。
かつては、メルマガの件名や本文に名前の差し込み配信をして開封率が上がった、という話を聞きましたが、今ではそう単純には事が進まない時代になりました。
大規模な顧客データベースを前にすると、それをひとつの顧客群と見なしがちですが、常に「個」として捉え、将来とるであろう行動を予測し、提案するという考え方がOne to Oneメールでは基本になります。それは例えるのなら、町の小さな店の店主が、お得意様それぞれのニーズに合った商品をお勧めするといったところでしょうか。
実際に取り組んでいる企業について、MarkeZine『「ペルソナが動く!」単なるレコメンドでは通用しない時代に着実に成果を上げる良品計画の「One to One メール」』にて、興味深い記事がありましたので、ご紹介いたします。
「無印良品」でおなじみの良品計画は、メルマガ会員との関係強化を図るため2012年夏からメールマーケティングの取り組みを始めました。初めに行ったのが、顧客をクラスターに分け、特徴に合わせて必要と思われるメールを配信するということ。顧客ごとにレコメンド商品を変え、購入率アップを図りました。試行錯誤すること、約2カ月。結果、「ペルソナが移行する」という気付きをもたらしました。家具を購入した顧客には別の家具をお勧めしていたものの、部屋のスペースには限界があるわけで、家具ばかり推奨されても購入できないとういわけです。つまり、顧客が購入などのアクションを起こすたびに、必要とする情報は変化していく(=ペルソナが移行する)わけです。One to Oneを実現するには、画一的な施策ではうまくいかず、常に企業側が発信する情報を変えていかなくてはなりません。

関連記事:【入門】One to Oneマーケティングとは?事例で学ぶ実践法

配信される「タイミング」がOne to Oneであること

One to Oneメールで気をつけなければならないことは、メールを配信するタイミングもOne to Oneであることです。配信タイミングとは、金曜の夜を避ける、通勤時間帯を狙う、といった顧客層の平均をとったものではありません。届けたいメールの内容と同様、顧客の属性、趣味、行動、ライフスタイルを踏まえて、適切なタイミングで送るべきです。顧客ひとりひとりが異なるように、一斉配信でメールを送るのは避けましょう。
属性では誕生日や年齢、職種などがあります。販売促進のメールであれば、会員登録のタイミングやサイト訪問の日時、商品購入時期などがあります。

内容が行動履歴からパーソナライズされていること

顧客属性をみての配信といっても、例えば「女性だからバレンタイン」を訴求、「男性だからホワイトデー」を訴求などの単純なメールは、もう飽きられています。性別のみのクラスターは、おおまかに分けていることと同じです。そもそも、ユーザー層の性別が偏っていたら意味がありません。女性のユーザーでも、どういったページを見て、商品を購入しているかで、見えてくる傾向は違うはずです。先にご紹介した良品計画を例にすると、「XLの洋服を買った人には、別のXLの服を薦める」という同一カテゴリでのクロスセルよりも、複数カテゴリに渡って購入してもらう方が、ライフタイムバリューの向上につながることが分かりました。サイトによって、必ずしも正攻法が成功するわけではないので、配信を繰り返すことで、自社のユーザー特有の傾向を見極めていきましょう。

良く考えて実行すれば大きな結果につながることも

パーソナライズドされたメールで開封率1.5倍やコンバージョン2倍、メルマガ解除が半分以下になった例もあります。昨年、世界の電子メールマーケッターが顧客向けに配信して培ったノウハウをまとめた記事があります。このMarketing Sherpaから、役立つ事例をご紹介していきましょう。
アメリカクラシック三冠の第1冠として、ケンタッキー州ルイビルにあるチャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーダービー。そのマーケティング担当は、伝統あるケンタッキーダービーを広めるべく、ニュースレターを配信します。顧客に興味を持ってもらうために、時間をかけて馬、ライフスタイル、賭博の3つのコンテンツを作成。セグメントには、登録者の行動情報を利用し、それぞれに合ったコンテンツと件名で配信することで、平均19%以上のクリック率と、配信解除率64%の減少という結果がでました。
また、BtoB向け法的サービスのThe Expert Instituteは、クライアントとの関係維持を目的に、副社長から毎月メールを配信しています。内容は、新サービスの案内やブログ、無料の資料提供など。初回配信後、顧客リストのデータを整理し、高・中・低のエンゲージメントによって分割しました。より専門性のあるサービスを必要とするセグメントにはそれに合った内容を配信することで、平均約30%の開封率を達成。件名についてもテストを重ねることで、60%近くまで開封率を上げることに成功しました。

まとめ

One to Oneメールで大きな結果を得るには、お客様を意識したシナリオ設計と抽出条件設計と、それに対応する配信本数(=シナリオのバリエーション)が必要になります。スタート時から全てを完璧に用意しようとせず、まずは、母数が多い顧客層からいくつかの層を選択してテスト配信していきましょう。

OneToOneを実現するためにまずは開封されるSubject作成を

企業にとっては週1回のメルマガ配信かもしれませんが、ユーザーにとってはその週1回のメールが何十社からも届くため、メールボックスのすべてのメールを開いているとは思えません。その場合、開封するかしないかの判断は、「From(送信者)」」と「Subject(件名)」くらいになるでしょう。「誰」からの「どんな内容」なのか、ユーザーの興味や緊急性によって開封されるかどうかが決まります。「誰」に当たる部分は、企業名や担当者名を設定している場合がほとんどかと思いますので、ここでは「どんな内容なのか」=Subject に注目していきます。

一見業務的?「あなた」しか知らないことだけを入れる

「メルマガ 件名」で検索すると、「必ず開封される件名のポイント」「これさえ入ればクリックされる」など、ヒントが詰まったサイトがたくさんヒットします。そのなかでも最強の例として登場するのが、「無料・タダ」という言葉。普段のメールには見向きもされない層に、「無料」を入れた件名を配信しただけで、封率を上げることは可能です。私も実際にその経験があり、このメール配信リストはちゃんと生きているんだと思ったことがあります。とはいえ「無料」を繰り返していくことができるでしょうか施策的に企業に負担が掛かるだけではなく、ユーザーは「無料」メールを待ち、それ以外のメールの開封率は下がっていくことになります。長期的にユーザーとの関係を築いていきたいのなら、無料の訴求はぐっと我慢し、他の戦略を考えましょう。
ヒントとして、「あなた」しか知らないことだけを入れること。例えば資料請求をした人だけに豪華な無料セミナーを案内するメールを送るとします。どんな件名にしたらよいでしょうか?

例1)『資料請求ありがとうございました|○○様に限定無料セミナーをご案内します』

資料請求や、会員登録など、ユーザーがアクションを起こしたすぐ後に送られるサンキューメールに、次のアクションへと導くCTA(コール・トゥー・アクション)のためのリンクを入れる手法です。BtoBビジネスにおいては、登録後にはサンキューメールが送られてくることを経験的に分かっているので、他のメルマガに比べ、開封率は非常に高いです。さらに、限定の無料セミナー案内など、ユーザーにたどってほしい導線を貼り、次のアクションへと導くと効果的です。

例2)『以前資料請求していただいた○○様に重要なお知らせ』

サンキューメールはその場だけではなく、時間が経過してからでも検索されて見られやすいメールです。自分が起こした行動に関するお知らせだと件名から分かる場合、開封されやすいでしょう。

例3)『○○様 資料にご不明点はございませんか?無料サポート実施中』

ユーザーが読んだ頃を見計らって、QAやサポートを件名に入れる手法です。ユーザーは何らかの興味があって資料請求をしているわけですから、サポートを申し出るメールを削除することは少ないです。関係者に転送されやすいという側面もあります。

例4)『○○様に限定無料セミナーのご案内』

もうお分かりのように、こちらはOne to Oneを意識していない、悪い例といえるでしょう。名前の差し込みだけでは、どこでも行っているためその他のメールと一緒にされてしまいます。ユーザーのアクションと結び付けて、ユーザーしか知らないことを件名に入れましょう。

「今すぐ見る」理由・必要性を作る

先の手法に加え、「今すぐ確認しておく必要がある」と思わせ、開封率アップを狙いましょう。

例5)『資料請求していただいた○○様に【先着50名様】無料セミナーをご案内します』

先着数を件名に入れることで、受け取ってすぐ開封がされやすいです。後で見る=忘れることに繋がりやすいので、理由・必要性を作ることは大切です。

例6)『○○様 ご請求の資料に関して本日(○月○日)の最新トピックス』

ビジネスにおいて、情報の出遅れは致命的です。件名に配信日を入れて、メールに今見なくてはならないという価値を与えましょう。

マーケティングオートメーションでOne to Oneマーケティングの時代

企業がCMや雑誌などを使って、多数に対してアプローチすることを「マス・マーケティング」といい、主に新規顧客の獲得に向いた伝統的な手法です。しかし、顧客のニーズが多様化するにつれ、顧客へのきめ細かな対応が求められるようになりました。「One to Oneマーケティング」は、先に述べたとおり、顧客と双方向で継続的な関係を築き、ひとりひとりの顧客に異なる対応ができるようにするマーケティング手法です。その発想は、マスメディアが発達する以前からあった、馴染みの八百屋とお客さんの関係と同様です。店主が顧客へ、個々の家族構成や好みを踏まえて商品を勧められるのは、狭い範囲で顧客が限定されていたからこそ、Face to Faceでの接客だからこそ成り立っていました。その発想が、デジタル技術の進化により、再び注目されるようになりました。
企業はOne to Oneマーケティングに興味があるものの、いざ導入しようとすると、顧客データの分類方法が分からない、人手が足りない、という状況に陥りがちです。One to Oneメールの運用現場でも聞くことですが、人の手で細かく顧客を分類し配信をしていると、費用対効果で考えた時、結局は母数の大きい一括配信のほうが効率よく、全配信に傾いてしまうということです。
One to Oneマーケティングにおけるデータの考え方について、MarkeZineの『One to Oneマーケティングで顧客ロイヤリティを向上!マーケティングオートメーション導入事例』では次のように述べています。大きなデータから顧客の「人となり」を知るためには購買履歴やWebログによる「行動と動機」、そしてデモグラフィック情報やLTVに合わせた顧客定義から「生活と態度」の2つの視点から分けて分析します。また、施策の方向性としては、商品中心で「誰がターゲットとなるか」を考える方法、顧客中心で「いつ、何を、どのようにオファーするべきか」を考える方法があります。こうした無数に存在する組み合わせに人力で対応するのは困難です。そこで、マーケティングオートメーションツールの出番となります。
マーケティングオートメーションツールとは、想定される顧客行動に合わせ、施策の過程で発生する作業をあらかじめシナリオ化して自動的に実行するシステムです。運用の現場では、ツール間の連携を人の手でカバーしていることが多く、システム連携がボトルネックとなり、One to Oneマーケティングが実現できない要因でした。マーケティングオートメーションツールによってこれらの懸念が解消し、マーケティングのアプローチはマス中心からOne to Oneマーケティングの時代となりました。データの蓄積から活用まで、検討すべき項目が無数に存在しますが、重要なのは何のためのデータ処理なのかを念頭に置くこと。それがOne to Oneマーケティングを成功させるカギといえるでしょう。

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