企業が売上をアップさせるために重要となるのが、マーケティングや営業活動の効率化です。そこで注目されているツールのひとつがMA(マーケティング オートメーション)です。ただ、「MAというツールがあることは知っているが、具体的に何ができるのかよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、MAの概要や求められる理由、具体的な機能や活用方法、導入する際の注意点について解説します。また、MAを使って成功した企業の事例も紹介します。
そもそもMAとは?
MAとはMarketing Automationの略で、マーケティング施策にかかわる業務を効率化・自動化するためのツールを指します。MAを使えば、興味や関心が異なる顧客に対し、それぞれの特性に合わせた最適なマーケティング施策を実行できるでしょう。
具体的には、あらかじめ設計したマーケティング戦略にもとづいて、メールマガジンやキャンペーンの案内、ホワイトペーパーなどのコンテンツを利用し、施策を実行します。また、見込み顧客のWeb上の行動を測定し、次のアクションを促す流れを作ることもできます。
MAを使えば、新たな顧客を獲得したり、商談に向けて育成したりしながら、受注および売上につなげていくことができるのです。
企業がMAを必要とする理由とは?
なぜ企業はMAを求めるようになったのでしょうか。MAが必要とされる理由を5つピックアップして紹介します。
顧客が接するチャネルの多様化に対応するため
MAが必要とされる理由のひとつは、顧客が接するチャネルが多様化しており、企業がそれに対応せざるをえなくなったからです。インターネットが普及する前は、顧客は主にチラシやカタログ、セミナーなどで情報にふれ、対面で説明を受けて製品・サービスを購入していました。
しかしインターネットが普及して以降は、アナログ的な接点は残りつつも、メールやWebサイト、SNS、アプリ、動画コンテンツなどオンラインでの接点が増えました。顧客が接するチャネルが極めて多様化している環境に対応するため、MAが求められつつあるのです。
顧客ごとに個別のアプローチをする必要があるため
顧客ごとに個別のアプローチをしなければならない点も、MAが求められる理由のひとつです。かつては、数多くの顧客に対して同じ営業手法をとる「マス・マーケティング」が主流でした。しかし現在は、顧客にとって役に立つ情報を個別に、かつ適切なタイミングで届ける「One to Oneマーケティング」が求められています。
One to Oneマーケティングを実行するためには、顧客によって異なるニーズを把握しながら、個別のアプローチをしなければなりません。しかし顧客が増えれば増えるほど、アナログ的な手法でOne to Oneマーケティングを行うことが難しくなります。そこでMAが必要となったのです。
質の高いマーケティングを継続的に行う必要があるため
MAが求められる理由として、質の高いマーケティングを継続的に実行しなければならない点が挙げられます。
BtoBのビジネスでは、顧客が購買に至るまでの期間が長くなってしまう傾向があります。なぜなら、BtoBでは顧客対象が企業となるため、会議や上長の決裁など組織内の意思決定に時間がかかるからです。
そのためBtoBのマーケティングは、効率的かつ継続的に実行する必要があります。また、BtoCと比べると取引金額が大きく、継続的な取引となる可能性が高いため、きめ細やかな顧客対応も重要となります。そこで、質の高いマーケティングを継続的に行えるMAが求められるようになりました。
顧客みずから情報収集することが当たり前になったため
顧客みずから情報収集することが当たり前になった点も、MAが求められる理由のひとつです。かつて顧客は、主に対面で説明を受け、製品・サービスを購入していました。もちろん現在でも対面営業によるアプローチは行われています。しかしインターネットが普及して以降は、顧客みずからWeb上で製品・サービスのリサーチをすることが主流となりました。
そのため企業は、自社の製品・サービスに関する情報を、「顧客が欲しいタイミングで」「顧客が求めている内容で」提供し、検討してもらう必要があります。そのような効果的なマーケティングを実行するために、MAが必要となったのです。
顧客のオンライン上の行動データを収集・分析するため
顧客のオンライン上の行動データを収集・分析するため、企業がMAを必要とするケースもあります。コロナ禍以降、リモートワークが一気に広まり、今まで以上にインターネットの活用頻度が高くなりました。そこで重要となるのが、顧客のオンライン上での行動分析です。
適切なタイミングで顧客に情報を届けたり、コミュニケーションをとったりするためには、オンライン上で「どの顧客が」「どのような行動をとっているのか」を把握しなければなりません。そこで、自社サイトへのアクセス分析やメルマガの開封率など、顧客のオンライン上の行動データを自動で収集・分析できるMAが求められるようになりました。
MAの3つの役割
MAの細かい機能を知る前に、全体像を把握しておきましょう。ここからは、MAの3つの役割を紹介します。
見込み顧客の獲得
MAの1つ目の役割は、見込み顧客の獲得です。自社サイトを閲覧している見込み顧客の情報を蓄積し、行動に合わせたコンテンツを設置することで、問い合わせにつながりやすい導線を構築します。MAを使えば、自社サイトに訪れる見込み顧客の属性を把握し、資料請求やセミナー参加など次のアクションを促すことができるのです。
見込み顧客の育成
MAの2つ目の役割は、見込み顧客の育成です。ここでの「育成」とは、獲得した見込み顧客と継続的に関係を持ち、購買意欲を上げるために情報提供するアプローチのことです。MAを使えば、見込み顧客の興味・関心を可視化することができるため、適切なフォローおよび育成につながります。
見込み顧客の管理
MAの3つ目の役割は、見込み顧客の管理です。MAを使うことで、たまった名刺情報を活用して一元管理できます。また、見込み顧客へ連絡すべきベストなタイミングを把握したり、実施したマーケティング施策の成果を可視化したりすることも可能です。
MAの代表的な6つの機能
MAには、マーケティング活動を効率化・自動化できる機能が数多くあります。MAに搭載されている機能の中から、代表的な6つを紹介します。
セグメント
セグメントとは、自社サイトに訪れた人のWeb上の行動を検知し、グルーピングする機能です。例えば、「自社サイトを週に5回訪問した」「1ヵ月に1回、製品資料のダウンロードページを見ている」など、見込み顧客の行動をグループ化します。
「導入事例集と料金ページを見ているが、問い合わせはまだ」など、行動を組み合わせることで、見込み顧客を細かく絞り込むこともできます。
ポップアップ表示
ポップアップ表示とは、ディスプレイの画面上の右下や真ん中などに、新たに別の画面を表示させる機能です。表示させる内容は、先程説明したセグメントに応じて出し分けることもできます。
例えば「問い合わせを促すバナー」と「製品資料ダウンロードを促すバナー」を用意し、見込み顧客の行動によって出し分けるといった設定が可能です。
ホットアラート通知、ステップメール
ホットアラート通知とは、受注や購入につながると推測できる有望なユーザーを検知し、社内で通知する機能です。通知の条件をMA上で設定しておけば、人力で探し出さなくても自動で通知することができるため、発見から営業活動までのタイムラグを減らせます。
SATORI株式会社が提供しているMAツールの「SATORI」には、「シナリオ」という機能があります。その「シナリオ」機能を活用すれば、ホットアラート通知をはじめとした社内通知や、顧客へのステップメールを送ることができます。ステップメールとは、何らかのアクションを起こした顧客に対し、あらかじめ用意しておいたメールを段階的に送信する仕組みのことです。
例えば、「問い合わせページを訪問しているが、まだ問い合わせには至っていない」というセグメントに該当したらメールを3通送る、といったシナリオが組めます。そこで問い合わせやセミナーへの参加を促すメールを段階的に送れば、受注および購入の確度が高まるでしょう。
スコアリング
スコアリングとは、見込み顧客の行動に合わせて加点や減点をし、スコアを付けていく機能です。スコアが高いと商談や受注に近い、逆にスコアが低いと育成が必要、といった判断ができます。
具体的には「事例紹介ページを閲覧したら5点プラス」「資料をダウンロードしたら10点プラス」「問い合わせをしたら50点プラス」という形でスコアリングしていきます。スコアのルールは、自社の特性に合わせてカスタマイズが可能です。
メール配信
メール配信とは、MAに登録されている見込み顧客に対して、HTMLおよびテキストのメールを配信する機能です。主にメールマガジンや個別のOne to Oneメールを予約配信する形で使われています。
Webページ制作、フォーム作成
専門知識がなくても、MAを使えばWebページを作成・編集できます。新規作成はもちろん、自社で管理するWebページをひな型とすることも可能です。
フォームとは、氏名やメールアドレス、電話番号などを入力してもらう画面のことです。MAを使えば、問い合わせやセミナー申込みなどのフォームを簡単に作成できます。また、入力された情報はMAに自動的に連携されます。
Webページやフォームを一から作るのは手間がかかりますが、MAを使えば効率的に作成可能です。
MAをうまく活用するポイント
MAをうまく活用するポイントの一つが、「自社のマーケティングについて振り返ること」です。どのような課題があるのか、MAによって課題をどのように解決したいのか、明確にしておきましょう。また、MAを導入しただけですぐ効果が出るわけではありません。誰がコンテンツを作成するのか、誰がデータを分析するのかといったことなど、運用体制を構築しておく必要があります。
目的やビジネス規模に合ったMAを選定することも重要なポイントです。多機能で高額なMAを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。目的を明確にし、自社の予算に合ったMAを導入しましょう。
MA導入の際によくある失敗
MAを導入すれば必ずマーケティング業務を効率化できるわけではありません。うまく活用できなければ失敗してしまうこともあります。初めてMAを導入した企業でよくある失敗としては、下記のような項目が挙げられます。
・目標をきちんと決めていない状態で、なんとなくMAを使用してしまう
・MAに関する知識や使い方のノウハウ不足で行き詰まる
・運用フェーズのことまで考えておらず、最低限の機能しか使いこなせない
・マーケティング部門と営業部門の連携が不足しており、組織全体で活用できない
MAを活用した企業の成功事例
MAを導入することで、これまでの営業課題の解決とマーケティング業務をサポートできるようになります。ここでは、MAのSATORIを活用することで大きな成果を上げた企業の事例を2つ紹介します。
数千万円規模の大きな案件の受注につながった:マルホ発條工業株式会社
ばね製品群をはじめ、自動包装機や省力機器、医療機器の製造・販売を手掛けているマルホ発條工業株式会社。BtoBの商材のため、展示会での案内や対面営業を中心に行っていましたが、顧客情報は営業担当者がそれぞれExcelで管理しており属人的な状態でした。
そこでMAを導入し、顧客情報を一元管理することにしました。セグメントやスコアリング機能を使い、事業部をまたいだ会議の中で分析データを共有。その結果、具体的な商談が8件発生し、数千万円規模の大きな案件の受注にもつながりました。
詳しくは、下記の事例記事をご覧ください。
京都の老舗メーカーがマーケティング施策を0からスタート!ホームページ経由で案件受注を決めるまで
確度の高い見込み顧客件数が1年で2倍以上に:株式会社アスマーク
2001年の設立から市場調査を手掛け、5,300件の年間調査実績を誇るのが株式会社アスマークです。同社の強みのひとつが「営業力」であり、順調に事業を拡大していました。しかし、足を使った営業だけでは限界があると考え、MAを使ったマーケティングを実施することにしました。
MAを導入し、見込み顧客の分析や育成に取り組んだところ、アプローチできる顧客は1年で2倍以上と大幅に増加。また、以前は「100件に電話して1件アポ獲得」のペースでしたが、MA導入後は「数件アプローチすれば1件のアポが獲得できる」と、営業の効率化に成功しました。
詳しくは、下記の事例記事をご覧ください。
高確度のリード件数が1年で2倍以上に!MA活用で顧客管理からウェビナー施策までを成功させた裏側
自社のビジネスに合うMAを導入し、売上アップを目指そう
「自社はそこまで大きな規模のビジネスではないから、MAは必要ないだろう」と考える中小企業が少なくありません。しかし近年は、大企業だけでなく多くの中小企業がMAを導入し、成果を上げています。また、サポート体制が充実しているMAも増えてきました。
MAを使えば、顧客のニーズに合わせた、質の高いマーケティング施策を継続的に実行することができます。自社のビジネスにマッチしたMAを導入し、営業効率化と売上アップを目指しましょう。
SATORI株式会社が提供しているMAの「SATORI」は、見込み顧客の獲得・育成を促進することで営業課題の解決とマーケティング業務をサポートするMAです。MAの導入をお考えの方は、ぜひ「SATORI」をご検討ください。