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2022.06.16

5分で理解!インバウンドマーケティングとは?手法を事例でわかりやすく解説

5分で理解!インバウンドマーケティングとは?手法を事例でわかりやすく解説

インバウンド・マーケティングとは、消費者の自発的な行動をターゲットにしたマーケティング活動を意味します。アウトバウンド・マーケティングの対義語であり、一言でいうと「売り込まない」手法全般を指します。こちらでは、概要と注目される事例をわかりやすくまとめておりますので、ぜひご覧ください。

インバウンド・マーケティングとは?

インバウンド・マーケティングとは、見込み顧客と自然に出会い、購買意欲を育成していくマーケティング活動です。マス広告やDM、テレマーケティングなどを通じて消費者の認知や関心を引きだし、購入などの行動に結びつけていく従来型のアウトバウンド・マーケティングとは対局にあるマーケティング手法を総称したものです。それぞれのマーケティングに用いられる具体的な手法を対比すると、以下のようになります。

アウトバウンド・マーケティングとインバウンド・マーケティングの対比
アウトバウンド・マーケティング インバウンド・マーケティング

・テレビCM
・広告
・DM
・テレマーケティング

・コンテンツマーケティング
  (メルマガ、ブログ運営等)
・SEO
・SNSマーケティング
・ダウンロードコンテンツ
・イベント&セミナー
・動画コンテンツ
・アクティブサポート 等

訪日外国人旅行(インバウンド)と混同しない

インバウンドは訪日外国人旅行という意味も持ち、訪日外国人旅行者向けのマーケティングと勘違いされる方もいらっしゃいますが、インバウンド・マーケティングとは訪日外国人向けのマーケティングを指す言葉ではありません。ここでは、訪日外国人旅行とは関係のないマーケティング施策の話となります。

インバウンド・マーケティングが必要となった背景

インバウンド・マーケティングが注目されるようになった背景は、第一に、顧客の行動が変化し、従来型のウェブ広告や検索連動型広告の効果が効きにくくなってきたことや、テレワーク・デジタルマーケティングの加速により、企業がWebサイト運用に力を入れるようになったことが挙げられます。

1)アウトバウンドの限界

2021年、インターネット広告の売上がマス4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)広告の売上を越え、拡大を見せる反面、デジタル広告が信頼できると答えた人はわずか13%。広告閲覧後に明確なアクションを起こす人は1割。短期的な広告による訴求では、消費者の記憶に残ることは難しいことがわかっています。

出典:
2021年 日本の広告費 https://dentsu-ho.com/articles/8090
デジタル広告は信頼できる? https://www.is.nri.co.jp/report/short-research/2018/000243.html

2)顧客行動の変化

内閣府「消費動向調査」によれば2022年3月時点のスマートフォンの世帯普及率は世帯主60代以下では90%を超え、70歳以上でも76%に達しています。また、総務省統計局「家計消費状況調査」によれば2021年の1年間においてインターネットを通じて注文をした世帯は65歳未満の世帯では半数を超えており、購入に使用した機器についても世帯主、世帯主の配偶者のスマートフォンの順に多くなっています。

このようにスマートフォンを用いたインターネットによる購買行動は定着しつつあることから、インターネット検索の結果が購買の意思決定に多大な影響を与えていることは想像に難くありません。

例えば自転車購入でさえも93%はインターネット検索から始められており、検索結果で上位に挙がらなければリーチは困難です。実際にGoogle広告は80%が無視されており、75%のユーザーは検索結果の2ページ目以降を閲覧しません。また、関連するマーケティングメッセージを見つけるために、人々は10秒しか費やさず、すぐに離脱してしまうことがわかっており、SEOの重要性は明白です。

また2020年、Googleは新たな購買モデルとして「バタフライ・サーキット」を提唱しました。従来、購入前の消費者は目的に沿って最適な情報にたどり着くための直線的な検索を行っていました。しかし、スマートフォンやアプリの普及によって、強い目的意識が無くても情報検索する行動が定着。「バタフライ・サーキット」は「さぐる」「かためる」という2つのモチベーションを元に、消費者が蝶のように行き来する情報探索行動の構造を指します。

つまり、現在の情報検索行動は、消費者側でもまだニーズが言語化されていないうちから行われ、有益な情報に出会い必要性を感じた結果、購買まで一気に進むことも少なくないのです。

これらの事実からも、潜在的なニーズを抱えた消費者に寄り添えるようなインバウンド・マーケティング重要性が増しています。

出典:
http://www.ironpaper.com/webintel/articles/inbound-marketing-statistics/
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111100.html
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/search/butterflycircuit/

3)コロナ禍で加速する企業活動のデジタル化

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、企業の営業・マーケティング活動における行動は大きく変化しました。大型イベントへの出展や対面での営業活動を控え、Webサイト運用に力を入れる企業が増加しています。コロナ収束後もテレワーク環境維持を表明する企業の多さから、今後もこの傾向にかわりがないことが予想されます。

コロナ後における在宅勤務の実施意向

Webサイトに訪問した見込み顧客に対して、対面営業・対面販売と同等のコミュニケーションを実現するには、インバウンド・マーケティング戦略が重要なカギとなることでしょう。

出典:令和3年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/index.html

以上3つの点から、広告だけに頼り切った宣伝活動では、目指した成果に到達できない時代となっていることは明白です。コンテンツを介した接触やコミュニケーションをベースとしたインバウンド・マーケティングの価値を理解し、広告施策と合わせて実施する必要があります。

インバウンド・マーケティングのメリット

インバウンド・マーケティングは低コストで高い成果を実現できるといわれており、実際に効果もあがっているようです。

1)従来の手法と比べて、1ドルあたり3倍のリード獲得

マーケターの82%は、インバウンド・マーケティングに対してROI(投資収益率)の増加を体験しており、従来のマーケティングと比較して、1ドルあたり3倍のリード獲得ができることが報告されています。

出典:https://www.wsiworld.com/blog/what-is-inbound-marketing

2)圧倒的なコストダウンと費用対効果

79%の企業が、インバウンド・マーケティングのROIが従来の手法と比べてプラスであると報告しています。インバウンド・マーケティングで獲得したリードに対するコストは、アウトバウンド・マーケティングで獲得したリードより61%も低いことがわかっています。

出典:https://www.invespcro.com/blog/how-effective-is-inbound-marketing/

このように、従来型のマーケティング手法に限界が見えつつあるなか、より高いROIの実現が見込まれるインバウンド・マーケティングを組み込むことで、新しい潜在顧客と接触し、リード獲得につながることがわかっています。

コンテンツマーケティングとの違い

インバウンド・マーケティングの手法として、コンテンツマーケティングがあります。ブログやSNS、動画など、有益な情報を発信することで、見つけてもらいやすくし、見込み顧客や顧客とコンテンツを介してコミュニケーションを行う施策です。インバウンド・マーケティングには、コンテンツマーケティング以外の手法もありますので、両者は同じ意味ではありません。

コンテンツマーケティングの位置づけ

具体的な手法を事例で理解する

ここからは、具体的な手法を知ることでインバウンド・マーケティングを理解していきましょう。事例を挙げてわかりやすく解説します。

パナソニック「Vieureka」チームが行ったインバウンドの事例

パナソニック「Vieureka」チーム

昨今さまざまな現場でのニーズが拡大しているAIカメラ。パナソニックが手がける「Vieureka(ビューレカ)カメラ」とその管理システム「Vieureka Manager」においても、認知拡大・販売促進にインバウンド・マーケティングが一役買っています。カスタマージャーニー・マッピングによる戦略設計を行い、タッチポイントとなるコンテンツを作成。Webサイトに訪問した見込み顧客に対しポップアップでのオファー、ホワイトペーパーの提供、メルマガなどのコンテンツ配信を実施しています。これらの施策を導入した結果、オンラインからのリード獲得を4倍にするという高い成果を納めています。

具体的な手法

  • Webコンテンツ
  • ポップアップ誘導
  • メールによるナーチャリング
  • ホワイトペーパー
  • ウェビナー

マーケティングオートメーション(MA)の導入がきっかけとなり、オンラインによるインバウンド・マーケティングに加え、営業プロセスも見直し、適宜調整を繰り返す姿勢が成功につながった素晴らしいケースです。

0からのマーケ立ち上げ、3ヶ月でリード獲得4倍に!「SATORI」を起爆剤にマーケ・営業の意識改革へ

SATORIのインバウンド・マーケティング

このブログを運営するSATORIもインバウンド・マーケティングによるリード獲得・ナーチャリングを行っています。マーケティング・営業に関するお役立ち情報の提供を目的とした「SATORIマーケティングブログ」の運営に加え、さまざまなフェーズの見込み顧客に対するホワイトペーパー・セミナーコンテンツの提供でリードを獲得。メルマガとコンテンツ提供を繰り返し、マーケティングオートメーションへ興味関心が高まった見込み顧客に対してインサイドセールスから架電を行います。

SATORIマーケティングブログ
SATORIホワイトペーパー

具体的な手法

  • ブログ運営
  • メルマガ
  • ホワイトペーパー
  • イベント・セミナー(ウェビナー)

マーケティングオートメーションの必要性が出てくる以前の、マーケティング戦略・各施策の課題に対して参考となるコンテンツを提供しています。どのようなフェーズの見込み顧客にも価値ある情報を提供することで、早期から「SATORI」との関係を開始してもらえるようにコミュニケーションの設計を施しています。

インバウンド・マーケティングおすすめの本

インバウンド・マーケティングに取り組むには、まず書籍を通じて基礎的なフレームワークの理解を深めておくことが肝要です。書籍を通じて様々な手法・フレームワークを理解しておくことで、企業事例から様々な応用の可能性を読み取ることができるようになるでしょう。

ここでは、インバウンド・マーケティングの基礎的な考え方や実践の方法について、教科書として使える代表的な本をご紹介します。

インバウンドマーケティング

高広 伯彦(著

インバウンドマーケティング_高広 伯彦(著)

歴史的な経緯を含めて、インバウンド・マーケティングが求められるようになった背景や方法論についての体系だった説明、実践にむけた手順までを網羅的に解説されたものです。インバウンド・マーケティングに取り組むにあたって必要な実践的な知識を入手する上で、非常に参考になる一冊といえるでしょう。

【増補改訂版】インバウンドマーケティング

ブライアン・ハリガン (著), ダーメッシュ・シャア (著), 前田健二 (翻訳)

【増補改訂版】インバウンドマーケティング_ブライアン・ハリガン (著), ダーメッシュ・シャア (著), 前田健二 (翻訳)

インバウンド・マーケティングを語る上で、外すことができないハブスポット社の共同創業者2人による解説書です。2009年出版から8年後の2017年に増補改訂版が発売されています。インバウンド・マーケティングの考え方や具体的な方法論を含めた包括的なテキストとして非常に完成度の高い本となっています。最新事例はWeb検索などでも入手可能ですが、企業事例を正確に理解し、実践につなげていく上で、必読の書といえます。

インバウンド・マーケティングの成功のポイント

インバウンド・マーケティングの具体的な手法を学び、実践につなげていく上では、できるだけ多くの成功事例に触れることが肝要です。国内でも、インバウンド・マーケティングを導入し、成果につなげている会社も増えてきました。ですが、海外の方がインバウンド・マーケティングへの取り組みは先行しており、優秀な事例も多く、大きな成果につなげる会社も多くなっています。これら国内・海外の成功事例は関連記事でもご紹介していますので、ぜひお読みください。

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