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2016.09.20

事例から学ぶオウンドメディア成功のカギはコンテンツ!

事例から学ぶオウンドメディア成功のカギはコンテンツ!

2015年頃より、さまざまな企業がオウンドメディアによるマーケティング活動を本格的に開始しています。今回は、これからオウンドメディアの運用を開始する、あるいは運用を始めたばかりの方に向けて、オウンドメディア運用で期待できる効果、成功させるためのコンテンツ制作、運用上のポイントを事例とともに紹介します。

そもそもオウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、自社で所有(Owned)するメディアのこと。自社で所有しているメディアであれば、自社サイト、ブログ、ECサイト、コミュニティサイトなどもオウンドメディアに分類されます。
広告など費用を支払ってコンテンツを掲載するペイドメディア、ソーシャルメディアなどのアーンドメディア(獲得されたメディア)とあわせて、トリプルメディアと言われています。マーケティング戦略においては、これら3つを組み合わせて活用することが重要です。
オウンドメディアの場合、他の2つのメディアとは違い、コンテンツの制作、内容、掲載などすべて自社で管理することができます。またそのコンテンツを財産として蓄積することもできます。

関連記事:オウンドメディアの意味とは?ホームページとの違いを事例で解説

マーケティング戦略での位置づけ

オウンドメディアを運用する場合、マーケティング戦略においてどういう位置づけに置くかを決めることが重要です。戦略とは、オウンドメディアによって達成するべきゴールを明確にすることでもあります。
例えば、BtoBの場合であれば、集客の前の認知獲得、リードジェネレーションにつなげるための信頼感の育成、ファンに育成などのゴール設定ができます。

マーケティング戦略における、オウンドメディアの位置づけ(BtoB)

BtoCの場合も同様ですが、購入のあとのリピーター、ファン育成でオウンドメディアを活用するということも考えられます。
オウンドメディアで収集したデータは、集客、誘導などのフェーズのマーケティング活動で活用できるでしょう。

マーケティング戦略における、オウンドメディアの位置づけ(BtoB)

マーケティングファネルから、ゴールの位置づけを整理し、それぞれの位置づけごとにオウンドメディアの事例を紹介します。

認知獲得

自社、サービス、製品、あるいは提供する価値などについて認知を獲得するために、コンテンツを用意します。特に新しい概念、考え方、技術などの場合は、そのものを伝える努力をしないと、認知されることはなく、存在しないも同然になってしまいます。どんな課題を解決するのか、どういうメリットがあるのか、いろいろな切り口から情報を発信して、まずは市場を作っていかなければなりません。

事例:サイボウズ式(サイボウズ株式会社)

BtoBの顧客以外のユーザ認知獲得のため、企業コミュニケーション手段として、オウンドメディアを採用したとのこと。サイボウズ式で会社を知り、採用面接に来た人がいるなど、顧客以外の認知獲得に成功しています。

信頼感の醸成

学びがあり、事実に則しており、しかもわかりやすいコンテンツを発信し続けることは信頼感の醸成につながります。誰もが書けることではなく、特定分野についてのプロフェッショナルであるからこそ発信できるようなコンテンツを用意することが重要です。

事例:経理プラス(株式会社ラクス)

経理担当者向けのサービスを提供していることから、経理業務に関する情報、ニュースなど経理担当者にとって有益な情報を配信しています。経理担当者から記事のリクエスト、お悩み相談などを受けることも多く、信頼を獲得していることが伺えます。

ファン育成

信頼感を得られたメディアにはファンがつきます。あの人が書いている記事なら読みたい、あのメディアの記事なら読みたいと思われれば、ソーシャルメディアなどでのフォロワー獲得にもつながり、より届けたい情報が届きやすくなります。

事例:YEs!MAGAZINE(サッポロビール株式会社)

第三者視点からのコンテンツを配信するWebマガジンにより、広告では実現できない生活者とのコミュニケーションを行い、ヱビスビールのファン育成に取り組んでいます。ヱビスビールのFacebookページのコアファンが情報の一次拡散をしてくれているとのこと。

データの活用

オウンドメディアは自社サイトですから、そこから得られたデータはすべて自社のものです。ユーザの検索行動、コンテンツアクセスの傾向などから、ユーザニーズを把握し、それを販促や広告のメッセージなどに活用することができます。

事例:Lidea:ライオン株式会社

ライオンが抱える研究者(マイスター)たちの専門的な知識をわかりやすく伝えており、信頼感の醸成、ファン育成につなげています。しかも、それだけではなくコンテンツへのアクセスキーワード、タイミングなどから、ユーザニーズを探りそれを広告のメッセージなどに活かしています。
※参考:データ活用をデジタル領域にとどめてはいけない、ライオンが目指す「Data To Offline」

事例で見るオウンドメディアの成功パターン

オウンドメディアを成功したかどうかは、ゴールが達成できたかどうか、ということになります。ただ、なかなか「認知度」「信頼度」などは、数値にしにくいのも事実です。
そこで、戦略に基づいたオウンドメディアの運用の結果、問い合わせ獲得や受注、売上、さらにはメディアそのものの収益化に成功している事例を紹介します。

事例で見るオウンドメディアの成功パターンのイメージ

受注獲得に成功

事例:電通報(株式会社電通)

電通内外の広告・宣伝・マーケティング関連のトピックについて掘り下げた記事を公開しています。専門性をアピールするとともに、社員が顔出しで登場し、インタビューを公開することで社員のブランディングにもなっています。記事からの問い合わせ、案件獲得にもつながっているとのことです。

オウンドメディアの収益化に成功

事例:マンション・ラボ (株式会社つなぐネットコミュニケーションズ)

マンション居住者のための情報サイトで、マンションならではの課題、疑問などに答えるコンテンツを配信しています。1万6千人の会員がおり、会員対象のアンケート調査等も実施しています。他社からのリサーチ依頼を受けることもあり、それが収益源にもなっているそうです。オウンドメディアの場合、広告などの収益源を考えますが、会員制のサイトでファン育成ができれば、リサーチパネルとして協力してもらうこともできるということが分かる事例です。
参考:ソーシャル×オウンドメディアの力でコンテンツを拡散、ファンの心をつかむバランス感覚とは/マンション・ラボ

商品購入に成功

事例:ニキペディア (ガシー・レンカー・ジャパン)

ニキビの悩みなど検索経由で来訪した人をピンポイントのコンテンツに誘導しています。以前はコンテンツ誘導までの施策しかとれず、なかなか売上貢献までつなげることができなかったそうですが、コンテンツ内に関連する動画を再生できるようにしたところ、自然に商品サイトに流入し、オウンドメディアからの商品購入に結びつけることに成功しました。これは、オウンドメディアだけではなく、動画マーケティング、Web接客を加えることで商品購入に成功した事例です。

よいコンテンツを作成するために必要なこと

コンテンツ制作の流れを押さえる

コンテンツ制作は、一般的に以下のような流れで制作します。誰がどのような役割を担うのか、それぞれどれくらいの期間がかかるのか、予め決定しておきます。

企画

コンテンツの企画として、テーマ、ターゲットユーザ、趣旨を整理します。この企画の段階で、戦略に即した企画かどうかが重要になります。戦略に即した企画ができないと、その後のコンテンツ制作がうまくいき、結果としてバズったとしても、マーケティングとしてのゴールが達成できないことになります。

骨子

企画をもとに骨子を作成します。制作においてどのような人、素材、手段が必要なのか、制作期間はどれくらいかかるか、費用はどれくらいかかるかもこの時点で明確にしておきましょう。

制作

骨子にしたがって、記事制作を行います。取材、記事制作、画像の用意など、実際に手を動かして制作しているステップになります。

編集

企画や骨子に基づいて制作できているか(=戦略に即した内容になっているか)、内容に誤りはないか、といったことをチェックします。また、読者に読みやすい記述、文章になるように調整します。制作した人とは別の人が担当することが理想です。

コーディング

Webサイトに公開できるように、コーディングを行います。

承認

最終的な記事の承認を得ます。

公開

記事を公開します。公開後は、ソーシャルメディアなどを使い記事の拡散を行います。

公開後の作業

検索エンジンで、想定したとおりに表示されているか(タイトル、ディスクリプションなど)を確認します。テクニックとして、検索エンジンでの表示タイトルとソーシャルメディアでシェアした時のタイトルを変更するということもあります。例えば、検索エンジンでは、コンテンツの内容がタイトルでわかるように、ソーシャルメディアではコンテンツの内容に沿った内容でありながら思わずクリックしたくなるようなタイトルにするという工夫があります。
公開後は、アクセス解析を行い、コンテンツへのアクセス数、流入キーワード、ソーシャルメディアでの拡散状況などを分析するとよいでしょう。

コンテンツ制作の事例

BookOff Online Column(ブックオフオンライン株式会社)

オウンドメディアの目的は、ファンづくりと自社サイトへの誘導です。
目的と事業内容から記事のテーマを3つ設定しました。そして、そのテーマごとに企画案をエクセルシートで管理しています。社員である専属のライターがそのリストから企画案を選定し、記事を制作します。管理者が最初に戦略を明確にします。そこから3つのテーマを設定し、企画の管理も実施しています。管理者とライターの役割を明確にすることで、戦略からぶれないコンテンツ制作を実現しています。
参考:ライター経験なしで始めたコンテンツマーケティング、ブックオフオンライン流のコツを聞いてきた

まとめ:オウンドメディアの肝になるのがコンテンツ

オウンドメディアのコンテンツ制作について、事例を交えながら紹介してきました。コンテンツはオウンドメディアの肝となるもので、目的を達成するために欠かせないものです。
今回紹介した事例は、これまで筆者が取材や制作協力などを通してその運用の実態を聞いたものばかりです。ぜひとも参考にしてみてください。

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