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AISASとは?AIDMAとの違い、具体的な活用例

AISASとは?AIDMAとの違い、具体的な活用例

AISAS(アイサス)は、AIDMA(アイドマ)などと同様の消費者行動のプロセスモデルです。「注意(Attention)」「興味・関心(Interest)」「検索(Search)」「行動(Action)」「共有(Share)」の5つから構成されており、顧客とのコミュニケーション戦略立案に役立ちます。

ここでは、AISASの意味やAIDMAとの違い、具体的な活用例、類似の消費者行動モデルなどについて解説します。

AISAS(アイサス)の意味とは?

AISAS(アイサス)とは、消費者がある商品やサービスを購入するまでのプロセスを以下の5つの段階に分けた行動モデルです。

  1. 注意(Attention)
  2. 興味・関心(Interest)
  3. 検索(Search)
  4. 行動(Action)
  5. 共有(Share)

それぞれの段階にある消費者とのコミュニケーション戦略に用いられ、「AISASの法則」「AISAS理論」「AISASモデル」などと呼ばれます。AISASは、インターネットの普及により消費者が能動的に情報収集を行うようになったことを反映した行動モデルとして、2005年に電通によって提唱されました。

AISASのイメージ

AIDMA(アイドマ)との違い

AIDMAは、AISASと同様に消費者がある商品やサービスを購入するまでのプロセスを5つの段階に分けた行動モデルで、消費者とのコミュニケーション戦略に用いられます。

AIDMAのイメージ

しかし、AIDMAは1920年代にアメリカの経済学者サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱されたもので、現在では一般的となっている消費者のインターネット利用が反映されていません。

AISASは、商品やサービスの存在を発見し(Attention)、興味を持つ(Interest)までのプロセスはAIDMAと同じですが、その後はインターネットで関連する情報を検索し(Search)、その検索結果を基に購入し(Action)、SNSなどで共有する(Share)というプロセスに進みます。

関連記事:AIDMAとは?意味と具体例、類似モデルとの違い

消費者行動プロセスの具体例と施策例

ここで、新しく発売するパソコンのマーケティングを例として、AISASに沿った消費者の行動プロセスの具体例と企業の施策例をご紹介します。

1. 注意(Attention)

自社商品の存在を消費者に認識してもらう必要があります。そこで、パソコンの購入を検討していそうな消費者をターゲットとして、リスティング広告を出稿しました。

2. 興味・関心(Interest)

リスティング広告からの遷移先として、商品のランディングページ(LP)を用意します。LPには商品のコンセプトや特徴、スペックなどを写真や動画とともに掲載し、閲覧者が商品について理解できるようにしています。また、購入後の利用シーンをイメージできるようにすることで、興味・関心を引き立てます。

3. 検索(Search)

消費者は競合商品を調べたり、口コミサイトや比較サイトを見たりして、購入する商品を比較検討します。そのため、企業は競合商品との差別化要素や優位性を、詳細な商品情報とともにわかりやすくホームページなどに掲載する必要があります。比較の結果、「なぜこの製品を選ぶべきか」の理由付けができれば、具体的な購入へと進む可能性が高まるでしょう。

4. 行動(Action)

実際にパソコンの購入へ進む段階でも、たとえば「決済方法」「到着時期」「配送方法」などについて消費者は疑問や不安を抱きがちです。これらが解消されない場合、購入を途中で取りやめてしまう可能性があります。そのため、購入までのステップを明確に提示し、不安や疑問に応えられる情報を提供することが重要です。特に購入フローが簡単で、決済方法が豊富であることなどは、消費者の購入を後押しする要素となるでしょう。

5. 共有(Share)

購入した商品を消費者が評価し、SNSや口コミサイトなどで共有する段階です。これにより、他の消費者が購入を検討する際の判断材料となり、パソコンの売上に影響を与える可能性があります。たとえば、商品の到着が遅れたり、サポートが不十分だったり、またはイメージと実際の使用感が異なったりする場合、マイナスの評価が他の消費者に広がる可能性があります。

活用事例

実際にAISASを活用している事例を2つご紹介します。

スターバックス

スターバックスは、以下のようなプロセスでAISASを活用しています。

<注意(Attention)>

スターバックスはテレビCMやインターネット広告を使用せず、おもにSNSで消費者からの認知を得ています。たとえば、Xの公式アカウントは870万人以上のフォロワーを持ち、新商品について写真や動画とともに投稿しています。また、スターバックスの商品の写真を投稿するSNSユーザーも多く、これが商品の認知拡大につながっています。

<興味・関心(Interest)>

SNSや口コミで得た情報、あるいは公式ホームページなどを通じて消費者は商品に興味を持ちます。これに対して、スターバックスは消費者の興味や関心を引くような商品に関するコンテンツを用意するなどの工夫をしています。

<検索(Search)>

スターバックスの利用者には、XやInstagramなどのSNSで投稿する人が多く、ハッシュタグを使って関連投稿を検索する傾向があります。これにより、投稿から商品情報はもちろん、商品に対する評価や口コミなども調べているのです。

<行動(Action)>

スターバックスでは新商品が発売されると、店舗に行列ができることも少なくありません。新商品に興味を持ち、十分に調べたあと、消費者は実店舗で商品を購入します。

<共有(Share)>

スターバックスの利用者はSNSユーザーが多く、また商品の多くは映えるため、商品の評価などがSNSで広く共有されます。投稿時にはハッシュタグを付けるケースが多く、これがさらなる顧客拡大につながっています。

RIZAP(ライザップ)

パーソナルトレーニングジムを展開するライザップは、AISASを以下のようなプロセスで活用することにより成果を上げています。

<注意(Attention)>

ライザップは著名人を起用したテレビCMによって広く認知されるようになりました。印象に残りやすいBGMに加え、ビフォーアフターが分かりやすいため、費用対効果の高い広告となっています。

<興味・関心(Interest)>

競合他社との差別化を図るために、「結果にコミットする」というメッセージを強く打ち出しています。このメッセージが、本当にダイエットに悩んでいる、変わりたいと考えている消費者に強く響き、強い興味を引き立てる結果となったのです。

<検索(Search)>

ライザップはアフィリエイトを活用し、インターネットで検索するユーザーに対して、ライザップの前向きな情報が掲載されたページが多く表示されるよう施策を行いました。アフィリエイトとは、他のWebサイトやブログが自社の商品やサービスを紹介し、そのリンクからの購入や問い合わせがあった場合に報酬を支払う仕組みです。

<行動(Action)>

ライザップは比較的高額なサービスですが、「30日間の全額返金保証」を設けることで、「実際に痩せなかったらどうしよう」といった消費者の不安を軽減し、契約のハードルを下げることに成功しています。

<共有(Share)>

ライザップが提供するトレーニングプログラムは決して楽ではありません。だからこそ、結果を得た利用者は、その喜びを広く他者とシェアしたいと考えます。SNSでのシェアに加え、ダイエットや身体づくりの結果は見た目に現れるため、リアルな場でも自然と周囲への共有につながります。

類似の消費者行動モデル

AISASと類似した消費者行動モデルについて、違いを踏まえながら特徴をご紹介します。

AISCEAS(アイセアス)

AISCEAS(アイセアス)は、インターネットが当たり前になった社会に適応する消費者行動モデルです。商品やサービスを購入するまでのプロセスを以下の7段階に分けて分析します。

  1. 注意(Attention)
  2. 興味・関心(Interest)
  3. 検索(Search)
  4. 比較(Comparison)
  5. 検討(Examination)
  6. 行動(Action)
  7. 共有(Share)

AISASと同様にインターネットにおける行動モデルではありますが、AISCEASには「比較(Comparison)」「検討(Examination)」というプロセスが加えられています。そのため、AISASよりも細かく、かつ慎重な購入プロセスでの分析方法といえるでしょう。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)は、ソーシャルメディア(SNS)に特化した消費者行動モデルとして2011年に提唱されたもので、消費者行動のプロセスを以下の4段階に分けて分析します。

  1. 共感(Sympathize)
  2. 確認(Identify)
  3. 参加(Participate)
  4. 共有・拡散する(Share&Spread)

AISASと同様にインターネットにおける行動モデルではありますが、触れた情報に共感する(Sympathize)ことから始まる点や、商品やサービスの購入に限らず、購入を伴わない「いいね!」ボタンを押す行為やレビューの投稿なども「参加する(Participate)」として定義する点など、SNS特有のプロセスを反映しているのが特徴です。

SIPSのイメージ図

関連記事:SIPSとは?意味・使い方の解説

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は、コンテンツマーケティングにおける消費者行動モデルとして2015年に提唱されたもので、商品やサービスを購入するまでのプロセスを以下の5段階で分析します。

  1. 発見(Discovery)
  2. 関係構築(Engage)
  3. 確認(Check)
  4. 購買(Action)
  5. 体験(eXperience)

AISASが企業視点での行動モデルであるのに対して、DECAXは消費者側の視点から分析する行動モデルです。

RsEsPs(レップス)

RsEsPs(レップス)は、インターネットやSNSの登場を背景とした消費者行動モデルです。2019年に一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会が提唱した新しいモデルで、商品やサービスを購入するまでのプロセスを以下の3フェーズに分けています。

  1. 認識(Recognition)
  2. 体験(Experience)
  3. 購買(Purchase)

AISASは一方向で段階的にプロセスを踏みますが、RsEsPsは各フェーズで双方向に「検索(Search)」「共有(Spread)」「拡散(Share)」が発生するものとしています。

行動モデルの活用でマーケティングを成功させよう

インターネットの普及した昨今に適応する消費者の行動モデルとして、AISAS(アイサス)をご紹介しました。AISASは顧客とのコミュニケーション戦略立案に役立つフレームワークであり、実際に大きな成果を上げている企業も少なくありません。

しかし、マーケティングに役立つフレームワークは多様です。状況や課題に応じた使い分けや組み合わせによって、より大きな成果が期待できます。以下に、シーン別に有効なフレームワークを解説した資料をご提供していますので、ぜひご活用ください。

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