「そのうち客」とどのように向き合うのか。休眠・低スコア顧客と積極的にコミュニケーションを行うSATORIが全て解説します。目的から企画・実施まで。
「そのうち客」と呼ばれる休眠・低スコア顧客と積極的にコミュニケーションを続けているSATORIが、マーケティングオートメーションを運用する企業のマーケティング担当者に向けて、その目的・企画・実施のコツなどを解説します。特に、「すぐに成約する顧客ばかり追い求めても限界がある。休眠顧客を掘り起こしたい。定常的に案件を生み出したい。」と考えている方には参考にして頂けるノウハウを記載しています。
なぜ「そのうち客」である休眠・低スコア顧客が大事なのか?
こんにちは、SATORI株式会社の植山です。
もし皆様がマーケティングオートメーション(MA)を運用するマーケティング担当者であれば、「すぐに成約する顧客ばかり追い求めても限界がある。休眠顧客を掘り起こしたい。定常的に案件を生み出したい。」とお考えではないでしょうか。
MAといえば「スコアリング機能を使って、確度の高い顧客をあぶりだすこと」と考えている方は少なくありませんし、実際に「スコアリング」が上手に稼働すれば、営業を圧倒的に効率化することが可能です。
いますぐ客のあぶりだし方(究極のスコアリング手法についてはこちらの記事をご覧ください。)
一方で、スコアが低い≒案件化しそうにない、いわゆる“休眠・低スコア顧客”とはどのようにコミュニケーション取るべきか、どのようにして掘り起したり育成したりすべきか?という課題も同時に解決しなければいけません。
仮に”休眠・低スコア顧客”から案件発掘やマネタイズが可能であれば、企業にとっては資産の有効活用ですが、実はこの「案件発掘」は単なる資産の有効活用どころではなく、そもそもMAを成功させるために必要な要素であるということを本記事では説明していきたいと思います。
「顧客開拓の仕組み化」こそがMAの目的 ~「そのうち客」という考え方
MAをそのまま訳せば、「マーケティング(顧客開拓)」の「オートメーション(仕組み化)」です。
つまりMAを成功させるということは、今ある顧客リストの中から、すぐに購買してくれそうな確度の高い顧客(以下、「今すぐ客」と呼ぶことにします)をあぶり出すことだけではダメで、「定期的かつ恒常的に今すぐ客を作り出し続けること」が出来て、はじめて、MA(顧客開拓の仕組み化)が成功したと言えます。
如何にそれを実現するのか?実は”休眠・低スコア顧客”に対する「発掘活動」の中にその答えがあります。
仮に、”休眠・低スコア顧客”を「買ってくれないお客様」と考えるのではなく、「将来の見込顧客」と考えてみましょう。もし充分な数の「そのうち客」を母集団とすることができ、そこから計画的に「今すぐ客」を生み出すことができれば、これこそが「顧客開拓の仕組み化」と言えるのではないでしょうか。
つまり「そのうち客」が、実は「顧客開拓の仕組み化」のスタート地点になる、「そのうち客」という母集団がないことには、計画的に「今すぐ客」は生まれてこないということに気付くことができます。我々SATORIが、”休眠・低スコア顧客”を「そのうち客」と呼び、積極的に集め、積極的にコミュニケーションしているのはその理由です。
ここからはSATORIの事例も踏まえながら、「そのうち客」とのコミュニケーションを実現するための具体的な考え方とアクションプランについて書いていきます。
「そのうち客」への具体的な考え方とアクションプラン
具体的な考え方とアクションプランについて、”休眠・低スコア顧客”を、「1.そのうち客として将来の顧客であると認識すること」「2.そのうち客を積極的に集めること」「3.計画的にコミュニケーションを行い、購買意欲を育てること」という手順にしたがって説明していきましょう
1.そのうち客は将来の顧客であると認識すること
「そのうち客」はすぐに購買してない…と考えると、営業現場ではまるで価値のない顧客に思えてきます。しかし「マーケティングの仕組み作り」という視点では、6ヶ月~3年かけて成約する将来の顧客「そのうち客」であり、大きな宝の原石であると考えるようにしましょう。
よくお客様から「当社の商品はニッチで見込客が少ない」「広告を出しても対象が少なくて響かない」という悩みを頂きます。その場合には、顧客ターゲット(ペルソナ)を緩め「そのうち客」と定義することで、マーケティング対象を広げることができます。
このように考えることで、これまでは一見すると見込顧客にならないと考えていた、ターゲットも「そのうち客」に含まれることが分かるでしょう。
2.そのうち客を積極的に集めること
そのうち客が将来の売上の原石だとすれば、積極的に集めない理由はありません。商品がニッチであっても、ペルソナを緩めれば集客ターゲットは無限です。
具体的な活動の例としては「展示会」「記事広告」「ダウンロード資料」「コンテンツマーケティング」「リスティング広告/Facebook広告の活用」などがあります。
例えば「展示会」では、「商談数」でなく「獲得名刺数」を目標にすることになります。多くの会社では「商談数」「獲得名刺数」を両方とも追い求めて、どっちつかずの結果になる例を見ています。「商談数」を追い求めようとすると、「展示会で情報収集している人の属性(名札の色など)を判断して声をかける」「一人一人と密にコミュニケーションする」「商談アポイントシステムで事前アポを獲得する」等を工夫することになります。それが必ずしも悪い結果につながるとは思いませんが、当然ながら人員リソースも多くかかりますし、「獲得名刺数」は限られてきます。
SATORIの場合、展示会のKPIはあくまで「獲得名刺数」に絞っています。SATORIという商品の特性上、展示会当日の商談で成約することは考えにくいため、展示会では割り切って「獲得名刺数=母集団確保」に絞っています。結果、例えばJapan IT Week 2016 秋では、3日間で9,000枚近くの名刺を獲得し「そのうち客」の母集団形成に繋げました。その母集団から定期的にセミナー誘導を行うことで、計画的なコミュニケーション(後述の「3.計画的にコミュニケーションを行い、購買意欲を育てること」で説明します)を行っています。なお「どのようにすれば展示会でそれほど多くのリード獲得ができるのか」については、また折を見て説明したいと思います。
その他、例えば「記事広告」や「ダウンロード資料」も、「商品の訴求をする」ことではなく、「マーケティング担当者に役立つ情報の提供」という視点で作ることになります。例えば、SATORIの場合では、「マーケティングハンドブック」「国内BtoB企業におけるマーケティング活動 実態調査レポート」などといった一般的な「マーケティング担当者=そのうち客」向けの資料をつくり、これらを外部に積極的に露出するようにしています。
コンテンツマーケティングでも、SATORIの場合は「メルマガ開封率」「オムニチャネル事例」「マーケティング資格」など、一般的なマーケティング情報を積極的に記事にして、検索エンジン上位に表示されるような施策を続けており、将来の顧客候補を集めるようにしています。(2017年1月末時点ですが、いずれもGoogle検索で1位もしくは2位に表示されているかと思います。)
その他、リスティング広告やFacebook広告を活用した「そのうち客」の集め方もありますが、こちらはまた折を見て説明したいと思います。
3.計画的にコミュニケーションを行い、購買意欲を育てること
「そのうち客」の母集団を充分多く獲得できれば、あとは計画的にコミュニケーション活動を行い、購買意欲を高めることが最終段階になります。
そのうち客が今すぐに購買しない理由は多岐にわたります。「そもそも商品を良く分かっていない」「分かっていてもニーズが無い」「やりたいけども予算がない」「運用する体制がつくれない」「そもそも担当者じゃない」など、様々な理由で皆様のサービスから遠ざかっています。
営業担当が、いつ購買してくれるかわからないそのうち客一人一人を訪問し、コミュニケーションし続けることは、不可能ではありませんが、営業マン個人の能力に随分と依存しますし、営業効率を高めることは難しいでしょう。
そこでマーケティング担当者が、非常に多くのそのうち客に対して、計画的かつ効率的にコミュニケーションを取り続け、顧客に購買意欲に働きかける役目を果たすことになります。
具体的な活動の例としては、「無料セミナー」「リターゲティング広告」「メルマガ」「インサイドセールス」などがあります。
例えば「無料セミナー」の場合、決して購買意欲の高くない顧客層に対して行うことを前提に、セミナーの内容を工夫する必要があります。当然、自社のサービスの商品説明セミナーは”論外”であり、理想的には「そのうち客が足を運びやすく、役に立つ内容であり、結果的に自社のサービスに興味を持ってもらえる」内容にする必要があります。例えばSATORIであれば「2017年最新マーケティング事例を90分でひとまとめ。~集客・育成・データ分析まで~」「商談創出&営業効率化セミナー」といった共同セミナーがその位置づけとなっています。こういったセミナーでは、内容の95%はSATORIの商品訴求とは無関係です。あくまでMA=顧客開拓の仕組み作りの事例を淡々とご提供して、MAという業界に興味を持ってもらうことを目的とした内容となっています。またセミナー会場もアクセスの良い立地で、足を運びやすい環境を提供するように心がけています。
次に「リターゲティング広告」を活用する際には、同様に「商品訴求」は全く意味がありません。お気づきの通り、殆どの企業がウェブサイトを閲覧した全てのユーザに闇雲に「商品訴求」リターゲティング広告を行っています。これでは殆どの「そのうち客」は迷惑だと思うだけです。本来するべきコミュニケーションは、「無料セミナー」と同様に、「そのうち客が興味を持ちやすく、役に立つ内容であり、結果的に自社のサービスに興味を持ってもらえる」内容であるべきですから、「商品訴求」ではなく「お役立ちコンテンツの訴求」になります。一見、「成果に繋がるわけではないコンテンツを、わざわざお金をかけてまで露出をする」こと自体に、違和感を持つ方がいるかもしれませんが、仮に営業担当が一人一人の「そのうち客」に足を運ぶ手間を考えれば、広告費などは安い支出だと考えるべきです。例えばSATORIでも、全広告費の70%は、「そのうち客」とのコミュニケーションに投じています。
その他「メルマガ」「インサイドセールス」を活用した、「そのうち客」の育成方法は多岐にわたります。皆様でも考えてみてください。こちらはまた折を見て説明したいと思います。
参考値:「そのうち客」と積極的にコミュニケーションを行うSATORIの事例
参考までに、「そのうち客」からどれくらいの割合で「今すぐ客」を創出できるのか?という具体的な数字をお見せしたいともいます。
まずSATORIでは、2016年12月末時点で、「いますぐ客」の数:「そのうち客」の数=1:43.7 であり、非常に多くの「そのうち客」を抱えています。
実際、SATORIでは「今すぐ客」は積極的には集めておらず、「そのうち客」をいかに効率的かつ多量に集めるか…ということばかりを考えています。(「今すぐ客」を集めていない証拠に、SATORIは「マーケティングオートメーション」というキーワードでリスティング広告を出していません。)。2016年12月末時点では、月間2,500の「そのうち客」を獲得しています。獲得コストは1件あたり、200円(オンライン)~500円(オフライン)です。
そして「そのうち客」には「無料セミナー」「リターゲティング広告」「メルマガ」「インサイドセールス」を活用して、毎月0.1%~0.2%の「今すぐ客」を創出し商談に繋げています。2016年12月末時点では、4万強のリードを保持していますが、つまるところ、月間40~80商談を行っているという計算になります。月間「そのうち客」獲得数との比率で言えば、1.6%~3.2%ですね。
というわけで、月間100商談を生み出したい方は、月間3,125~6,250の「そのうち客」を獲得する必要があります。ではいかにその量の「そのうち客」を妥当なコストで獲得できるか?ということで投資判断が決まっていきます。なお、これは、業界や製品によって違う数字となりますので、あくまで参考値ということでご理解ください。
まとめ:休眠・低スコア顧客を「そのうち客」とみなして、顧客開拓を仕組み化しよう
以上、休眠・低スコア顧客が「そのうち客」として大事な理由、「そのうち客」への具体的なアクションプランなどを説明してきました。MA成功=顧客開拓の仕組み化のためには、計画的な「そのうち客」の獲得&育成が必要であるということをご理解頂けましたでしょうか。
ぜひ皆様でも「そのうち客」との積極的なコミュニケーションを計画してみて頂ければと思います。
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マーケティングオートメーション(MA)を活用すれば、見込みの高い顧客を見つけ出し、購買意欲を高める適切なコミュニケーションが可能になります。
マーケティングオートメーションを使って、“一歩先の顧客育成”を実現してみませんか?
東京大学卒業後、デジタルマーケティング業界にて20年。エンジニアリング・営業・マーケティング・会社経営に従事。2015年9月より現職。「マーケティングオートメーションに関する講師」として、過去半年間で、セミナー50回、計1,000名以上の参加者を迎えている。
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