マーケティングを展開する上で、もはやなくてはならないと言っても過言ではないメール配信。専用のメール配信ツールとして導入するほかに、マーケティングオートメーションツール(以下、MA)を活用して実現することも可能です。MAはメール配信だけでなく、マーケティングを自動化・最適化するための様々な機能が搭載されています。
この記事では、メール配信ツールの選定と導入・MAツールへの乗り換えを検討されている方に向けて、メール配信ツールとMAツールの違い、ツール選定時のポイントなどを分かりやすく解説します。
メール配信ツールとMAの違い
はじめに、メール配信ツールとMAの違いを明確にしておきましょう。
メール配信ツールはその名の通りメール配信に特化したツールで、メールマガジンの配信やステップメール(※1)など、いわゆるメールマーケティングに特化した機能で構成されます。
一方MAツールは、リードジェネレーション、リードナーチャリングからリードクオリフィケーションというマーケティングの一連の流れを自動化し、効率よく進めるための総合的なツールです。
マーケティングを自動化する上で、リードに向けてメールを送る機能は半ば必須と言っても過言ではありません。このため一般的なMAには、メール配信に関する基本的な機能が搭載されています。
なお、MAに含まれるメール配信機能の内容は、ツールによって違いが見られます。メール配信ツールからMAに進化した背景を持つツールには多彩なメール配信機能が搭載されていることが多いですが、リードにコンタクトするための最低限の機能のみ搭載しているツールも少なくありません。
※1)ステップメール:あらかじめ用意したシナリオに沿って、1~複数通のメールを自動送信する仕組み
メール配信ツールとMAを徹底比較
メール配信ツールとMAの違いをより深く理解するために、下記の図と表を見ながら両者を比較してみましょう。
機能比較表
機能 | メール配信ツール | MA |
---|---|---|
リード管理 | △ | 〇 |
ステップメール作成・送信 | 〇 | 〇 |
ターゲティングメール送信 | △ | 〇 |
HTMLメール作成 | 〇 | 〇 |
メルマガ効果測定 | 〇 | 〇 |
リード行動に連動したメール送信 | × | 〇 |
メールマガジン登録・解除機能 | △ | 〇 |
バックナンバー管理 | 〇 | △ |
メール配信以外の機能 | メール配信ツール | MAツール |
登録フォーム作成・ABテスト | △ | 〇 |
ポップアップによるフォーム誘導 | × | 〇 |
プッシュ通知によるフォーム誘導 | × | 〇 |
【凡例】○できる △できるが使いづらい ×できない
一般的なメール配信ツールには、配信先リスト(リードリスト)を管理する機能、および配信先リストに対してメールを送信するような機能が備わっています。また、HTMLメール作成、バックナンバー管理、メールマガジン登録・解除といったメールマーケティング固有の機能の充実度では、やはりメール配信ツールに軍配が上がります。
特定の属性で絞り込んだリードに対してメールマガジンを一斉送信する機能(ターゲティングメール)は、MA、メール配信ツールのどちらにも備わっています。ただし、どのようなターゲティングができるのかは、ツールによって差が出るところです。
メール配信ツールに比べてMAが優れているのは、リードの行動属性とメールマーケティングを連動させられるという点です。マーケティングプロセスを自動化するためのツールであるMAには、リードの属性や行動履歴などを管理し、これに応じたアクションを取るための仕組みが備わっています。例えば、閲覧履歴からポップアップ表示してメルマガフォームに誘導することで購読者を増やす、などの施策もMAツールを使えば可能になります。この仕組みとメール配信機能を組み合わせることで、たとえば特定の行動を取ったリードに対してメールを送信したり、逆にリードの行動をトリガーとしてステップメールのシナリオを途中で停止したりといったことが可能となるのです。
メリット&デメリット比較表
次に、MAとメール配信ツールのメリット・デメリットを比較してみましょう。
比較項目 | メール配信ツール | MA |
---|---|---|
コスト | 比較的安い | 比較的高い |
導入の難易度 | 比較的低い | やや高い |
メリット | メールマーケティング関連の機能が豊富 | マーケティングのすべてのフェーズに渡って活用できる |
デメリット | メールマーケティング以外には使えない | メールマーケティングに特化した機能はあまり豊富ではない |
メール配信ツールは導入・運用コストともMAに比べて安く、導入難易度も低めです。また、メールマーケティングに特化したツールであるだけにその関連の機能は豊富で、かつ使い勝手等も考慮されています。
MAはメール配信ツールに比べて導入・運用コストは若干高めなものが多いようです。また、メール配信機能自体にフォーカスすると、メール配信ツールよりも充実度はやや低めといえるかもしれません。
一方で、メールマーケティングを含めてマーケティング全体をトータルで管理できるのは、MAの強みと言ってよいでしょう。導入難易度はメール配信ツールよりも高くなりますが、この問題はサポート体制の充実したツールベンダーを選定することでクリアすることができます。
どちらを選ぶ?導入の際に検討すべきこと
では、これから導入するのであれば、メール配信ツールとMAのどちらを選ぶのがよいのでしょう?
この問いに対する答えは一つではありません。重要なのは、自社の抱える課題やニーズに合ったツールを選定するということです。
以下、いくつかのケースに分けて選定ポイントを見ていきましょう。
一斉メルマガ配信だけの場合は「メール配信ツール」
自社のニーズが「獲得したリードに対して一斉にメールマガジンを送りたい」ということだけであれば、メール配信ツールを採用することをお勧めします。
ただし、「メルマガ内の特定のリンクをクリックした人にインバウンドコールする」といった行動属性に連動した施策を打ちたい場合、メール配信ツールだけでは実現が困難です。こうした施策を打ちたくなったら、MAへの乗り換えを検討してみてください。
読者に合ったメールを配信したい場合は「MA」
リードの属性に応じてセグメントを分け、特定のセグメントに対してターゲティングメールを配信する機能は、MA、メール配信ツールのどちらにも備わっています。ただし、リードの行動履歴や検討度合いによるターゲティングを行いたいのであれば、MAの導入をお勧めします。
MAを使えば、「過去に資料請求をした人」「特定のページを閲覧した人」といった行動に応じたターゲティングが可能となるほか、スコアリング機能(※2)と連動させて、リードの検討段階をターゲティングの条件として使用することも可能となります。
※2)スコアリング機能:顧客の属性や行動に応じてスコア付けを行い、検討の進み具合を可視化する機能
Web接客ツールも使いたい場合は「MA」
リードとのコミュニケーション手段はメールだけではありません。たとえば、サイト来訪中のチャットツール、ポップアップ機能といったWeb接客ツールをあわせて活用することで、より幅広いコミュニケーションを実現できるようになります。こうした施策を打ちたい場合は、メール配信とWeb接客、双方の機能を備えたMAの導入をお勧めします。
マーケティング全体のブラッシュアップを行うなら「MA」
「現在はメルマガ送信による一方通行のマーケティングを行っているが、メールやWeb接客などを通じて顧客との信頼関係を構築し、受注後の関係性維持にも役立つ仕組みを構築したい」――そんなニーズをお持ちであれば、断然MAをお勧めします。
MAを導入すれば、メールマーケティングにとどまらず、マーケティング全体をトータルで見てブラッシュアップしていくための土台を作ることが可能です。
【参考】メール配信ツールからMAへの乗り換え事例
ここで、メール配信ツールからMAへの乗り換えで成功されたSATORIのお客様の事例をご紹介します。
エッジテクノロジー株式会社様: https://satori.marketing/case/edge-tecnology/
エッジテクノロジー様は人工知能、機械学習などの先端技術に強みを持つ企業で、主に人工知能営業支援システム「GeAIne(ジーン)」のマーケティングを底上げするためにSATORIを導入されました。
AIでアポ獲得活動の高速化を実現する営業ツールであるGeAIneを開発・販売しておられる企業だけに、リードの獲得に関するノウハウは十分にお持ちでしたが、獲得したリードに対するきめ細やかな対応が行えず、課題を感じていらっしゃいました。
「SATORI」導入以前はメール配信に特化したツールを活用しておられましたが、同ツールでは主にメールの開封率とURLのクリック率しか観測することができず、配信後の行動履歴を追えない、せっかく集めたリードを活かしきれない、という状態でした。そこで、効果的にリードを活用できる仕組みを構築する必要があると判断し、MAの導入に踏み切られたのです。
「SATORI」導入後はランディングページの制作からメール配信、解析まで、様々な作業を内製化できるようになり、対応がスピードアップしたといいます。また、「SATORI」を使うことで、これまではバラバラに記録されていたリードの属性や行動履歴が紐づき、「人物像」として浮かび上がるようになり、ステータス管理が容易に行えるようになりました。これはメール配信ツールでは行えなかった点として、導入の成果を感じておられます。
エッジテクノロジー様の導入事例は、下記のページで詳しくご紹介しています。ぜひこちらもあわせてお読みください。
参考:「SATORI」の導入でセミナー集客数が倍増。営業支援の“目利き”が選んだMAツール
必要な機能を明確にした上でツールを選ぼう
以上、この記事ではMAとメール配信ツールの機能を比較し、導入時の検討ポイントをご紹介しました。
ツール導入時に大切なのは、自社の課題を把握し、それを解決できる製品を選定するということです。これからメール配信のためのツールを導入しようと考えている方は、ぜひ一度自社の課題を明確にした上で、これから実践しようとしている施策に必要な機能を洗い出してみてください。その上で、求める機能を過不足なく備えているツールを選定しましょう。
なお、本文中でもご紹介したように、MAはメール配信機能だけでなく、マーケティングの全フェーズに求められる機能を幅広く備えています。「メールマガジンを送る」だけではなく、自社のマーケティング活動を全般的に最適化する時期だと思われる場合は、ぜひMAの導入をご検討ください。
この記事が気になる方へ!おすすめの資料はこちら
レビューから考える「自社に最適なMAツールの選び方」
多くの企業が活用している「マーケティングオートメーション(MA)」。MAを評価する声も多い一方、導入前後のギャップから不満を抱える方もいます。
本資料では、MAの利用者の声から導き出した失敗しないMA選びの視点をご紹介いたします。法人向けソフトウェア・クラウドサービスのレビューサイトである「ITreview」に投稿されたレビューを集計しました。
MAツールとメール配信ツールの違いを簡単理解!
MAツールは、マーケティングの一連の流れを自動化し、効率よく進めるための総合的なツールです。一方メール配信ツールはメール配信に特化したツールで、メールマガジンの配信やステップメールなど、メールマーケティングに特化した機能で構成されます。
メールマーケティングを含めてマーケティング全体をトータルで管理できる点がMAツールの強みです。導入・運用コストは若干高めなものが多く、メール配信機能自体にフォーカスすると、メール配信ツールには劣ることもあるようです。
メール配信ツールは導入・運用コストとも安く、導入難易度が低めです。また、メールマーケティングに関連した機能は豊富で、かつ使い勝手等も考慮されています。ただし、メールマーケティング以外の利用用途がないのがデメリットとして上げられます。
システムエンジニア/フリーライター/BtoBマーケターの3つの顔を持つワーキングマザー。
BtoB商材を扱うIT企業に在籍し、課題解決ブログの立ち上げ・SNS活用を始めとしたコンテンツマーケティングの導入に取り組んだ経験を持つ。
ライターとしては20年を超える経験を有し、『小さな会社のAccessデータベース作成・運用ガイド』(翔泳社)をはじめ、プログラミング関連の著書多数。
現在はIT企業にてシステム評価に携わりつつ、IT、マーケティング分野を中心に精力的に執筆活動を展開中。
MAツール「SATORI」のご紹介
匿名の見込み顧客へもアプローチできるMAツールです。
「SATORI」は、“名前のわかる見込み顧客”だけでなく、“匿名の見込み顧客”にも接点を創出することができる国産のマーケティングオートメーションツールです。Webサイト内の行動履歴を把握、興味関心の高い見込み顧客を発見し、アプローチすべき最適なタイミングをご担当者さまへお伝えいたします。