DSPはDemand-Side Platformの略称で広告主に用意されたプラットフォーム。それを通じで広告を配信することも「DSP広告」と呼ばれるようになってきました。これから運用を検討される方に、仕組みから配信方法、注意点などを詳しく解説します。
DSPの仕組み
DSPとは?
DSPはDemand-Side Platformの略で、広告主の広告効果最適化を目指すプラットフォームです。広告枠の買い付けや配信、クリエイティブ分析までを自動で行い、最適化を行います。DSPは、SSPと呼ばれる媒体側のプラットフォームと連携して初めて機能します。どちらか片方だけでは、広告を配信することはできません。
DSP誕生は、2008年米国ニューヨークで起きたリーマンショックまでさかのぼります。それまで金融業界で働いていた金融工学エンジニアたちが世界的恐慌で失業し、広告業界に転職したことがきっかけと言われています。日本では、2011年にFreakOutが初めて導入して話題になりました。
DSPの特徴
DSPの登場により、それまでとは異なる広告配信手法が爆発的に広がりました。既存の広告配信手法とは異なるDSPの特徴を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
【オーディエンスターゲティング】
Cookieに基づく個人を特定しない属性情報の集まりをオーディエンスと呼びます。今までの行動履歴や購入履歴、位置情報に基づいて「興味関心」やデモグラフィックを推測、カテゴライズされます。カテゴライズされたユーザー群は広告配信対象と想定され、これらのユーザーを巡り入札競争が繰り広げられます。
【RTB】
オーディエンスデータに基づいたターゲットユーザー群に対してリアルタイムで入札できる仕組みです。広告枠ごとに入札競争が発生するため、無駄な入札価格の高騰を防ぐことができます。
【DMPとの連携】
DMP(Data Management Platform)と連携し、特定ユーザーに対して広告配信をすることができます。DMPと連携すると、自社サイトのログデータや他社ビッグデータに蓄積された行動(購買)履歴に基づいた精度の高いターゲティングが可能となります。
RTB(Real Time Bidding)とは?
RTBとはReal Time Biddingの略称で、広告枠ごとに発生する入札競争に対応する仕組みです。DSPやSSP、アドエクスチェンジ間で利用されます。
→RTB(Real-Time Bidding)について
→SSP(Supply-Side Platform)について
DSPがRTBで広告を配信するまでの簡単な流れを以下にまとめました。
- 媒体からインプレッション発生情報がSSPに届く
- SSPがオーディエンスなどの情報とともに、入札リクエストをDSPに送信
- DSP内で配信条件に合致した広告主の選定を開始
- DSPが最高入札額を提示した広告主情報をSSPに送信
- SSPが最高入札額を提示したDSPを選定し、媒体に該当広告主の広告情報を送信
- 広告配信
これらの一連の取り引きは0.1秒以内に行われるため、一日で行われるトランザクション数は天文学的な数字になります。
国産DSP一覧とその特徴
国内の中でも特に人気が高く、運用を行っている企業が多いDSPの特徴をまとめました。
DSP名 | UNIVERSE Ads | FreakOut | MarketOne | ScaleOut |
---|---|---|---|---|
対応デバイス | PC/スマートフォン/タブレット/ConnectedTV | PC/スマートフォン | PC/スマートフォン | PC/スマートフォン |
接続先 | MicroAd COMPASS Google Ad Manager D2C TVer fluct Ad Generation boundless SPOTX media.net OpenX | MicroAd COMPASS OpenX doubleclick ad exchange Pitta! Geniee YieldOne 忍者AdMax Fluct Xrost Microsoft Advertising Kauli OpenX AdLantis adstir GMO SSP AD GENERATION 他 | YieldOne doubleclick ad exchange Fluct Geniee Kauli FacebookExchange iMPACT ADJUST RIGHTMEDIA Advertising.com MicroAd 他 | mediba ad Fluct Geniee Kauli AD GENERATION 忍者AdMax AdLantis GMO SSP adstir OpenX xrost YieldOne 他 |
DMP連携 | 〇 ※マイクロアドの「UNIVERSE」に連携し、210社を超すデータ活用が可能 | 〇 | 〇 | 〇 |
課金形態(※) | インプレッション課金 | インプレッション課金 | インプレッション課金/クリック課金 | インプレッション課金 |
特徴 | ・日本最大級の配信在庫で2,000億/月を保持 ・導入アカウント数2,700社突破 ※2021年1月~2022年10月 ・購買データ、位置情報データ、専門メディアデータなどを活用し、業界・業種のニーズに合わせた広告配信ができる | ・Google Analyticsとの連携による分析機能強化 ・カスタマイズ提供可能 ・アトリビューション分析などの多彩なレポーティング | ・同社が提供するDMP「AudienceOne」との連携によるCRM強化 ・CPC入札制度 ・CPA自動最適化 | ・カスタマイズ提供可能 ・第三者配信サーバーやタグマネジメントなどの機能提供も可能 |
(※)
インプレッション課金:配信されたインプレッションによる課金形式。CPM課金。
完全予約課金:消化した分のみ請求する形式。
クリック課金:クリックによる課金形式。
(※)2022年12月時点(もし間違いがありましたら、ご指摘ください)
DSP運用における注意点
大規模なトラフィックを確保しながら最適化も行うDSPですが、運用に際して注意しなければいけない点があります。以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
ターゲティングの重複
同一広告キャンペーンを複数DSPで掲載する場合、同類オーディエンスへの広告配信は避けましょう。自社広告同士で入札競争を激化させてしまう可能性があります。もちろん、ターゲットが重複しない場合は、複数DSPで入札を行っても入札競争が起きることはありません。
複数DSPで類似オーディエンスに広告を配信すると、より多くのターゲットユーザーにアプローチすることができる…と考えがちですが、実際はコスト効率の悪化を招いてしまいます。
定期的な広告効果の確認
DSPは最適化を自動で行いますが、最適化機能が思うように働いてくれないことがあります。特に、キャンペーン開始直後や、外的要因によるKPIの急激な変化がある場合は、安定した広告効果を出せないこともあります。配信に異常値が見られないか、定期的にKPIをチェックする習慣をつけ、迅速に対応できるようにしましょう。
DSPを含むアドテクノロジーは常に進化しています。毎日のように何かしらの機能強化が行われ、より専門的なノウハウが必要な場合も多くなっています。運用に際し、分からないことや不安なことがある場合は、専門的な知識を持つ代理店や事業者に相談してみてはいかがでしょうか。
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