【対談】後編:マーケティングオートメーションの失敗事例

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マーケティングオートメーションを導入後、運用する段階になってつまずいたり、難しさを実感したりすることは少なからずあるものです。そこで今回は、誰もが陥りがちな「マーケティングオートメーションの失敗事例」と解決策についてお話しします。失敗例に学び、スムーズに運用していくためのヒントを掴みましょう。(前回の対談「マーケティングオートメーションのメリット・デメリット」はコチラです)

対談参加メンバー

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 代表取締役
    植山浩介
  • SATORI株式会社
    Co-Founder 取締役
    太田祐一
  • SATORI株式会社
    プロダクト事業部
    データストラテジスト
    室園拓哉

MAの失敗事例1「リード数が少ないから上手くいかない」は本当か

植山

マーケティングオートメーションをどのように活用していくか、ということについては色々な考え方をする人がいます。つまり、これくらいの企業規模ならこういう使い方をするべき、というのが固定されているわけではなくて、SATORIの導入先企業を見ていても、色々な使い方をされているなと思います。

太田

各社のやりたいことは、結構バラバラですよね。今回のテーマは「マーケティングオートメーションの失敗事例」ですけれど、やろうとすることが違うから、失敗事例もそれぞれです。

植山

そのなかから、割と誰もがやってしまいがちな失敗事例をいくつか取り出してみましょうか。自社のケースに照らし合わせて参考にできる部分もあると思うので。

SONY DSCまず…「そもそもリード数が少ない」ということでつまずく担当者は多いんじゃないかな?
リードとは自社と何らかの接点があって、すでにメールアドレスを獲得している見込み顧客のことですが、数が少なすぎると「このリードを育てるのに、マーケティングオートメーションを使う価値ってあるの?」となって、モチベーションが下がってしまう人が多い。

でも、「BtoBの取引において、追うのをやめた見込み顧客のうち80%は、2年以内に競合から購買してしまう」といったデータもあることですし、リードの数が少なくても、きちんと追い続けていくことが重要です。

太田

当然、リードが少ないときは、リードジェネレーション(獲得)を頑張ろうというのが基本的な考え方になってくると思います。

植山

前回の「マーケティングオートメーションのメリット・デメリット」の冒頭でも話したように、企業が保有しているリード数よりも、自社のWEBサイトを見ているだけの潜在ユーザー(アンノウンユーザー)のほうが圧倒的に多いですからね。

室園

しかもアンノウンユーザーというのは数が多いだけではなくて、わざわざ探してウェブサイトに到達してくれたわけですから、リードと同等、もしくはそれ以上に自社に興味を持ってくれたり、製品の購買意欲があったりと、自社にとっていいお客さんがたくさん含まれると思います。

太田

たとえば、一度はサイトを訪れて資料請求や問い合わせの一歩手前まできたのに、去ってしまった人とか。ECサイトでは、カゴ落ちした人とかがそう。もっというと、「まだカゴに入れてないけど、入れた人と同じくらいモチベーションが高い人」というのも、データから分かってくるので、これもリード化していくことができるはずです。

植山

そうですね。だから「リードが少ない」ときの解決策としては、マーケティングオートメーションを使ってリードを追いかけることと並行して、メールアドレスがなくてもできるアプローチを、アンノウンユーザーに対して行うことが大切です。そうすればリードを増やしていくことができます。

SONY DSCちなみにSATORIの場合、アンノウンユーザーをリード化していく方法は主に2つあります。一つは外部サイトを訪れて自社や競合他社の製品を検討している可能性が高いユーザーに向けてディスプレイ広告を出すこと。もう一つは自社サイトにおけるユーザーの閲覧行動によって、コンテンツの表示などを変えていくということです。
後者だと、非対面のコミュニケーションツールとして「チャットツール」の注目度も高まっていますね。最近は、チャットツールとSATORIとの掛け合わせでリード集客やコンバージョンの成果を出している事例もあって、セミナーなどでもご紹介しています。

MAの失敗事例2「個人情報とCookieの紐付けに失敗」その理由とは

太田

企業の担当者と接していると、「個人情報とCookie情報をいかに紐付けるか」ということも、マーケティングオートメーションを使いこなす上で大きなポイントだと感じます。

室園

要は、ある顧客のメールアドレスといった個人情報と、匿名の誰かが自社サイトを閲覧したときのCookie情報は、最初は別のものとして存在しているので、それらをマーケティングオートメーションのなかで同一人物の行動として紐付ける、そういう作業ですよね。

太田

やり方は、各社色々ですけど。皆さん試行錯誤されていて、失敗事例も結構あるように思います。

植山

一番オーソドックスなやり方が、メールですね。メールを送信して開封してもらって、メール中のURLをクリックして自社サイトに飛んでもらうことができれば、そこで個人情報とCookieが紐付きます。

一方で、企業が把握している見込み顧客のメールアドレスのうち、毎年約25%が使えなくなっていることや、送ったメールの約70%は開封されないままになっているということも指摘されています。そのため「一生懸命メールマーケティングをやっているのに、読んでもらえないばかりか、リードが減ってきた」という失敗事例が発生しがちです。

太田

ほかには…QRコードを使ったときの失敗事例もありました。ある企業で、イベントの来場者に配るグッズにQRコードを印刷して、それを読み取ってアンケートに答えてもらうことで、個人情報もCookie情報もいっぺんに獲得しようと企画したんです。でも、そのイベントに来る人は年齢層が高くて、そもそもQRコードの読み方を知っている人が少なかったので、アンケートに答えた人もごくわずかという、残念な結果でした。

SONY DSC本当は、マーケティングオートメーションを使って、その先にやりたいことがもっとあったんです。アンケートの回答内容とその人の自社サイト上の行動が合致するのか分析してみようとか、その人が離脱して外部サイトにいったら、リターゲティング広告を表示してちゃんと追っかけていこうという考えもありました。やろうとしていたことは面白かったのに、入り口でつまずいてしまいました。

室園

同じようなことは、他社でもありましたよ。じゃあ失敗しないためにはどうするか、というのは難しいですけど。

植山

BtoC だと、クーポンを付けたり、プレゼントを用意したりすることで、メールの開封率やキャンペーンへの参加意欲を高める対策をしているところがありますよね。

BtoB の場合は、例えば展示会で獲得した名刺へのメール配信は、地味に「他の企業よりも一番初めに御礼メールを送る」という方法が一番効果があります(笑)。プレゼントの代わりに、相手のビジネスに有益な情報を、他社に先駆けてすぐに送るんです。結構展示会現場でのオペレーションが大変なのですが、とても効果があります。

オンラインで上手にやろうとすると、サイト上の行動履歴をからどんな情報を欲しがっているかを判断し、ちょうどいいタイミングで資料ダウンロードのバナーや広告を出す。それと引き換えに個人情報をいただいてCookie情報とも紐付けるといったことができると思います。

MAの失敗事例3「トラッキングタグの貼り忘れ」を甘くみてはいけない

室園

そうだ、結構よくある失敗事例で強烈なものが一つ、ありました。
“マーケティングオートメーションのタグをWEBサイトに貼り忘れる”ケースです。

太田

それは…技術的な失敗というか設定ミスというか(笑)。

室園

SONY DSCそう(笑)。本来は、SATORIのトラッキグ用タグはWEBサイトのトップページだけではなくて、全ページに貼って欲しいです。とくに見落としやすいのが、キャンペーン用に特設したページや問い合わせフォームのページですね。そこからリンクしている先のページにも全てタグを貼ってもらう必要があって、これを忘れてしまうと、そこだけアクセスや閲覧の履歴が分からなくなる。後でデータ分析をしようと思っても、ユーザーの動線が切れ切れの状態でしか見えてこないんです。

植山

確かに、それは勿体ない(笑)。自社サイトは10個あるのに、1個にしか貼ってないみたいなこともあるかもしれない。

室園

ランディングページやコーポレートサイト、ブログサイトなど、オウンドメディアが複数あるときも要注意ですね。
タグの貼り忘れは後々の影響が強烈ですから、侮れないですよ!

MAの失敗事例4「アクティブユーザー以外はそっちのけ」はロスが大きい

太田

全てのページにタグを貼るという話で思い出しましたけど、トラフィックが膨大なサイトを運営している企業では、そこが問題になったりします。全ページにタグを貼るとコストがかかるから…ということで、一部のページに限定してタグを貼ってしまった結果、「あれ? このデータ量じゃ何も見えてこないぞ」ってなる可能性があります。

室園

大手だと、ランニングコストを抑えようと考えたときに、マーケティングオートメーションに登録するメールアドレスはアクティブユーザーだけにしておこうかな、という発想も出てくるかもしれないです。

植山

でも我々としては、そうやって狭める方向に行くのは本末転倒だと考えています。とにかくできるだけデータを取ってもらいたいです。我々も頑張って、データ従量課金を激安に設定しています。他社ツールと比べても、異常なほど安い。それはなぜかというと、ずっと話に出ているように、やりたいのは全てのデータを徹底的に活用することです。特にアンノウンユーザデータは膨大。アクティブじゃない人のデータを取って、アクティブに変えるための施策もどんどん打っていくべきと思います。

室園

アクティブじゃないユーザーとしては、休眠ユーザーなんかもそうですよね。BtoC の大手企業では、休眠ユーザーの引き上げをどうやって行うかが課題になっていることも多いようです。
ただその場合も、社内で優先順位を検討した結果、やっぱり休眠ユーザーに対する施策よりもアクティブユーザーに対する施策のほうが大事だよね、となりがちです。

でもそれって大きなチャンスロスなんじゃないかなと。結果的に損切りしてもいいから、まず持っているデータを活性化しましょうよ、っていう考え方をしてみて欲しいです、もっと。休眠ユーザーにはメールを打つぐらいしかこれまでできなかったけど、今のマーケティングオートメーションに入れてみたら色々な施策が考えられて面白いと思いますよ。

MAの失敗事例5「スコアの点数を鵜呑みにする」のはやめよう

植山

あとは、こんな話もありました。「スコアの点数に頼りすぎて失敗する」という話。開発側としても気になっています。マーケティングオートメーションの管理画面で、リードごとに現状のスコアが表示されているけれど、その点数が高いほどコンバージョン・成約するかというと、そうとも言い切れない。

室園

データベース的にはずっとリードとして存在し続けていたものの、何年間もスコアがほぼ0点の人っているじゃないですか。メールを送ったけど一度も開封しない、自社サイトも見に来ない、イベントに無料で招待しても来ない…。そんな0点状態だった人が、ある日、急にコンバージョンしたことがありました。どうしてそうなったのかというと、その人が外部サイトの製品比較記事を見たことがきっかけで、外部リンクからうちのサイトに飛んできて問い合わせに至ったんです。そういうことが、実際に起きてしまっています。

植山

今のマーケティングオートメーションって、メールを開いて見るたびにスコアが何点増えるとか、無料トライアルを申し込んでくれた人は成約しやすいからプラス何点付くとか、だいたいそういうスコアリングの設計になっています。注意したいのは、どの企業にもそのパターンが当てはまるわけではないってことですね。

もちろん、スコアリング機能がより役立つ指標となるように開発側で工夫していくことも必要です。ですが、マーケティングオートメーションを上手く活用するためには、スコアを単に鵜呑みにするのではなく、参考にしながら、「うちの場合はどういう傾向があるのだろうか?」という視点でデータを分析していって欲しいと思います。

マーケティングオートメーションで失敗しないために

植山

よくある失敗例をみ見ていくと、マーケティングオートメーションを運用していくなかでも初動に関わるものが多いと言いえそうです。出だしでつまずいて、その後のマーケティング活動を鈍化させることがないようにしたいですね。

今回挙げた例を簡単にまとめておきますので、対策する際の参考にしてみてください。

  • リードが少なすぎる
    • →リードが少なくてもMAを運用する価値はある。
    • →メールアドレスの分かっている顧客だけが有望なリードとは限らず、アンノウンユーザもを意識して、自社のリードを捉え直してみましょう。
  • 個人情報とCookieの紐付けが上手くいかない
    • →紐付ける手段はメールが主となりますが、メール内容や送信タイミングを工夫しましょう。
    • →紐付ける手段がメール一辺倒になっていませんか?ウェブ広告等を活用して、他ほかにどのような接点が持てるのか考えてみましょう。
  • トラッキングタグを貼り忘れる
    • →マーケティングオートメーションはリードの集客から育成までカバーできますが、データが十分でないと機能が活かしきれません。タグは全てのサイトの全ページに貼りましょう。
  • アクティブユーザー以外は放置している
    • →アクティブユーザーへの施策はもちろん重要ですが、現在アクティブでないユーザーをアクティブに変えていくことで、新たなリードを増やし育てることができます。
  • スコアの点数を鵜呑みにしている
    • →スコアリング機能は、リード育成の進捗やアプローチのタイミングを知るのに役立ちますが、点数は企業や顧客に応じて適切に判断していく必要があります。

最後に、マーケティング担当者が試行錯誤を重ねるなかで、失敗は必ず起こりますし、多くの場合その経験は無駄にはなりません。
とはいえ、誰でもできることなら失敗は回避したいと願うものです。ではそのために最も重要なこととは、何でしょうか?
その答えを知るには、もっと根っこのほうに目を向けることが大切です。

根っことはつまり、「今なぜマーケティングオートメーションを使う必要があるのか」「自分はどのように使っていくのか」といった部分です。そこが明確でないと、マーケティングオートメーションというツールをは使いこなせず、そうとしても、実際はツールに振り回されるだけでる格好になってしまい、実際には上手くいかない部分が出てくることでしょう。

そのあたりの、マーケティングオートメーションの必要性とマーケッターとして心にとめておくべき事柄、そして導入における課題と対策に関しても詳しいことはこちらの記事『マーケティングオートメーションの課題と未来(2016年度版)』で詳しく解説しています。お時間許しましたら、ぜひご一読ください。

以上にて、全三回の対談記事を終えたいと思います。ありがとうございました。

対談参加メンバーのプロフィール

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 代表取締役
    植山浩介

    デジタルマーケティング業界にて20年に渡り、エンジニアリング・マーケティング・会社経営に従事。2015年9月より 「全ての組織にマーケティング活動を根付かせる」ことをビジョンとしたSATORIを設立。代表取締役としてマーケティング業務を担当している。

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 取締役
    太田祐一

    筑波大学、マネックス証券、独立起業を経て、株式会社アドクラウドにて、日本初のDMPのサービスをローンチ。2015年9月SATORI株式会社を設立。プロダクト責任者としてサービス設計から開発運用まで指揮を執る。

  • SATORI株式会社
    プロダクト事業部
    データストラテジスト
    室園拓哉

    サイバーエリアリサーチ株式会社において、8年間サービス開発およびセールスマネージャーを経験。技術的な知識と、多様なお客様の業界経験から、SATORIではお客様サポート責任者として全顧客サポートの指揮を執る。人を大切に、即時課題解決することをモットーに邁進している。

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