【対談】中編:マーケティングオートメーションのメリット・デメリット

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「非対面コミュニケーション+買い手主導の時代」のマーケティングツールとして、多くの企業が導入しているマーケティングオートメーション。実際に導入するとなると、どんなメリット・デメリットが想定されるのでしょうか。今回の対談テーマは、マーケティング担当者なら知っておきたい「マーケティングオートメーションのメリット・デメリット」です。(前回の対談「マーケティングオートメーションとは?」はコチラです)

対談参加メンバー

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 代表取締役
    植山浩介
  • SATORI株式会社
    Co-Founder 取締役
    太田祐一
  • SATORI株式会社
    プロダクト事業部
    データストラテジスト
    室園拓哉

マーケティングオートメーションの第1次ブーム

植山

マーケティングオートメーションは1999年に初めて登場し、現在、米国ではすでに200以上ものベンダーがしのぎを削っています。対して日本は、今まさにマーケティングオートメーションの第1次ブームを迎えたばかり。当然ながら「マーケティングオートメーションとは何か?」「導入によってどんなメリットが得られるのか?」という声もが、まだ多く聞かれます。
そこで今回は、導入を検討中の方に向けて「マーケティングオートメーションのメリット・デメリット」について、お話しできればと思います。

SONY DSCまず前回のテーマ「マーケティングオートメーションとは?」について、簡単におさらいしておきましょう。
従来のマーケティングオートメーションとは、主にメールアドレスを獲得した見込み顧客(リード)に対してメルマガなどを自動的に配信し、リード育成によって商談化を実現するためのツールでした。そのため導入側の企業でも、マーケティング活動というのは対面で名刺交換をしたりメールアドレスを獲得したりすることからスタートすると考えているケースが依然として多い気がします。

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しかし時代とともに、企業と顧客とがデジタル上で接点を持つ機会は飛躍的に増えており、今は自社のサイトを訪れる人のほとんどが、メールアドレスが不明な匿名のユーザーだということが分かっています。SATORI導入企業様の場合はサイト訪問者の9割以上が匿名ユーザーですし、さらに、外部の商品比較サイトや関連ニュースを扱うサイトなどを訪れた人も潜在層とみなせば、企業がマーケティング活動の対象にすべき顧客は、メールアドレスが分かっている顧客の何倍も存在しているということになります。

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これからマーケティングオートメーションを利用しようという人は、このことを理解して使うことが大事ですし、そうすることで、得られるメリットも最大化していくことができるはずです。

室園

僕は、マーケティングオートメーションを導入することで、データの集め方・集まるデータの質が劇的に変わることがポイントだと思っています。
MA対談1 - 室園2導入する前は、メルマガを送るためのCRM(顧客管理)データがこれです、自社サイトのアクセス解析をしたデータはここです、広告を出したときのクリックデータもあります、といった具合に全部がバラバラです。これをマーケティングオートメーションに格納すると、とくにSATORIでは外部サイトや広告のデータも含めて全てが一箇所にまとまります。導入後はまずそこをメリットとして感じてもらえると思います。

太田

そうですね。SATORIにはあらかじめDMPを内蔵しているので、自社の顧客データと、自社や外部サイトのcookieデータを統合して紐つけたデータを格納することができます。そしてDMPのデータをもとに、顧客の行動や関心を切り口にセグメント分けして、ウェブ広告などのマーケティングアクションを効果的に行うことが可能です。SONY DSC
すると自社サイトには来ていない、まだ外部サイトにいる潜在層に対しても早い段階からアプローチできるため、集客数・集客効率・成約率のアップにつなげることができる。これがSATORIの特徴であり導入企業様に提供できるメリットです。

  • DMP(Data Management Platform):社内外の多様なデータを一元管理・分析するための プラットフォーム。SATORIにはプライベートDMPが内蔵されているので、外部サイトのユ ーザーデータを自社の顧客データなどと組み合わせて自在に活用することができる。

自社の勝ちパターンを見つけよう

植山

マーケティングオートメーションの導入によって、これまで把握できていなかった潜在層まで把握できるようになると、新たな発見がきっとあるはずです。隠れていたマーケティング課題も明らかになってきます。
継続していくと、「マーケティングオートメーションで自社の勝ちパターンを見つけることが出来る」のが大きなメリットだと思います。

我々もマーケティングオートメーションを活用していますが、次々に新たな発見があります。半年間運用して、リード獲得からアポイント取得、商談から受注といったパイプライン(勝ちパターン)が見いだせました。まだまだ面白い取り組みが出来そうです。

室園

本当に、勝ちパターンというのはありますよね。それを見つけるには、たとえ月間の問い合わせ数が20件くらいしかない規模の企業様でも、まずその20人の動きをデータ上で見えるようにして、追っかけることから始めるといいと思います。

実際に、SATORIのとある顧客企業では、自社サイト上でこんな顧客にコンバージョンして欲しいという目標を設定していましたが、コンバージョンした人たちが自社サイトに来る手前でどんな行動をとっていたのか知る方法がなく、狙い通りの顧客が来ているのかどうか把握できていませんでした。別個にとったアクセス解析のデータを統合して紐づけたとしても、そこまでは見えてこないものなのです。
でもSATORIを導入して1カ月経った頃に、「データが全部つながって顧客の動線が見えてきたことが、以前とは全然違う」という感想をいただきました。

SONY DSCさらに言えば、コンバージョンする可能性が高い潜在ユーザーは、自社サイト上だけではなく、外部の比較サイトやニュースメディアなどにもたくさんいます。そこに対しては外部データを活用して、SATORIからウェブ広告といったアクションを起こしていくと効果的だと思います。

植山

具体的に、マーケティングオートメーションと外部データを活用して得られたメリットの例を挙げてもらえますか?

室園

前回の対談でもお話ししましたが、ウェブ広告のコンバージョン単価が大幅に下がったケースがあります。
SATORI製品サイトでもご紹介している、マンションデベロッパーを支援する不動産関連企業での成功事例です。他社が運営する分譲マンションの口コミサイトのユーザーデータを購入してSATORIのDMPに格納し、ユーザーの閲覧履歴などをもとにウェブ広告を打ったところ、データ連携前と比較してCPAが50%もダウンしました。ウェブ広告を漫然と打つのではなくて、潜在ユーザーの行動から購買意欲がより高い人達を割り出して顧客セグメントをつくり、そこに対してリターゲティング広告を打った結果、CPAを大幅に削減することができました。

SONY DSCほかにも、購買意欲が高い潜在ユーザーが多く集まるサイトといえば、商品比較サイトがあります。SATORIの場合は、自社ウェブサイトでの資料ダウンロードを中間コンバージョンとして計測しているのですが、その一つ前の行動で一番多かったのが「比較サイトを見た」でした。そういう特徴的な傾向を掴むと、たとえば、以前からリードとして存在している顧客にメルマガを送ったりイベントに招待したりするよりも、比較サイトからアプローチする方法を考えたほうが効果的ではないか、といった仮説を立てたり、次の一手を考えたりしやすくなります。

植山

前回の対談でも取り上げましたが、外部データを使うことでインサイドセールスでのアポ率を80%まで引き上げることができたり、ソーシャルメディア(Facebook)データも更に組み合わせてCVR20倍を実現したり。自社内外のデータと、一つ一つのマーケティング施策とを組み合わせると、多種多様な施策が実現できると思います。

MAはアクセス解析ツールでもメール配信ツールでもない

植山

ではマーケティングオートメーションのデメリットについては、どうですか?

太田

これは導入以前の話になりますが、まず自社のマーケティング活動のゴールが何なのか、ちゃんと決まっているかどうかは重要だと思います。
たとえば、日々のマーケティング活動を自動化できそうだから、マーケティングオートメーションを入れてみることになったとします。そのときに自社のゴール設定が出来ていなければ、とりあえず既存の顧客に一斉メールを送ることになって、なんとなく履歴を眺めて…というところまでで終わってしまいがちです。
それだけなら、アクセス解析ツールで代用できてしまうので、SATORIはもちろんのことマーケティングオートメーション自体をを使うメリットが見出せません。

アポ率の向上、お問い合わせ件数増加、商談件数の増加、CTR最適化など、ニッチな成果でも構わないので、「どんな成果を求めているのか」を明確にしてほしいと思います。

植山

せっかくマーケティングオートメーションを導入しても、アクセス解析ツールで代用できるような使い方をしたら、投資が無駄になってデメリットのほうが大きくなってしまう可能性がありますね。

SONY DSCそれに顧客の育成をメールマガジン中心でやろうとする発想がある場合は、そこも見直したほうがいいですね。
メールマガジンだけで顧客育成をするのには限界があります。メールを開封しない人もたくさんいるし、メールが送られてきた順番通りに開封するわけでもない。顧客の意思決定プロセスはもっと複雑なものなので、分岐プログラムを使ってメールを自動配信するという施策だけを行っても、効果をあげることは難しくなっています。

見える化でマーケティング担当者の負担が増大する

室園

今の話とも関連しますが、マーケティングオートメーションのデメリットとして、“導入しても使い方が難しい・かえって仕事が増える”というイメージがありませんか?

植山

日本の企業の場合だと、仕事が増える可能性は高くなるんですよね。海外企業の場合は多様なマーケティング活動をやってきていますから、それを効率化したり自動化したりするためにマーケティングオートメーションを入れよう、となるけれど、日本の場合はそれほどマーケティング活動にボリュームが無いから、新しいツールを入れることがイコール「今後はマーケティングに本腰を入れるぞ」ってことになる。

それに“費用対効果が分かり過ぎてしまう”ということもデメリットかもしれない。

太田

確かにマーケティングオートメーション先進国のアメリカでは、マーケティング活動にこれだけ投資した結果、利益率がこうなったという指標、いわゆるROMI(Return On Marketeing Investment)が重要視されています。費用対効果について上司から厳しく追及されて、マーケティング担当者の評価にも大きく影響する可能性があるから、担当者にとってはデメリットというか、負担が大きくなるかもしれないですね。

特に、マーケティングオートメーションの運用が軌道にのるまではどうしても、費用対効果が悪くなってしまう傾向もあると思います。

植山

仕事量にしても費用対効果にしても、マーケティングオートメーションの導入によって担当者の大変さが増す可能性は大いにあると思います。ただ一つ言えるのは、それまで作業「量」に対して苦労していたのが、導入後は費用対効果という「質」に対して苦労することになるということです。そこをどう捉えるかですよね。

企業はいつMAを導入すべきか

室園

マーケティングオートメーションって、どういうタイミングで導入するのが良いのでしょうか。各企業はMAについて認知はしつつも、導入に向けて足踏みしている感があります。

植山

現時点で、マーケティングオートメーション自体の定義や、具体的な費用対効果が、非常に曖昧だと思います。よって検討されている担当者様は、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」「いくら金額をかけて」「どんな成果がでるのか」のイメージが全くつかない状況なのではないでしょうか。
さきほど太田が言っていた通り「マーケティング活動のゴール」これを設定することが、簡単なようで難しいのだと思います。

SATORIを活用いただいている会社様には、180日以内に達成したいゴールやKPIを設定して、そのための施策とコストを見積もって、プロジェクトをスタートして頂いています。大きな目標を立てる前に、スモールスタート、そして小さな成功を積み重ねることが大事だと思います。

室園さんがさっき「データを徹底的に”ニッチ”に活かす」と言ってましたが、まさにそういうスタートの仕方が一番です。アポ率の向上、お問い合わせ件数増加など、どんな小さなことでも、現場ベースでいち早くスモールスタートして結果を残せれば、それを元に組織全体としてマーケティングオートメーションに取り組めるようになり、大きな成果を達成出来るのではないでしょうか。

太田

SATORIは日本のマーケティング環境に合わせて、国内・自社内で開発したマーケティングオートメーションです。そのため管理画面の使いやすさも工夫していますし、顧客の要望を汲み取りながら新しい機能も追加していっています。
ただ現段階で、マーケティング担当者にとって一番大変だと思われる点をあえて挙げるとすれば、その目標設定とそれに向けた「いつ誰に対してどんなマーケティング活動をどうやって行うか」というシナリオ設定の部分ではないでしょうか。今のところ、目標に合ったシナリオは人が考えて、自分で設定する必要があります。
しかし将来的には、シナリオ設計の際に役立つようなリコメンド(アドバイス)機能を強化して、自動化できるところは自動化していきたいと考えています。SONY DSC

植山

マーケティングオートメーションの利用企業は、魅力的な製品とコンテンツとさえ用意してもらえれば、システムがデータを分析して、自動的にマーケティングシナリオが起動するような、そんな環境にしていきたいですね。


以上、第二回「マーケティングオートメーションのメリット・デメリット」をお送りしました。次回のテーマは「マーケティングオートメーションの失敗事例」を予定しています。

対談参加メンバーのプロフィール

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 代表取締役
    植山浩介

    デジタルマーケティング業界にて20年に渡り、エンジニアリング・マーケティング・会社経営に従事。2015年9月より 「全ての組織にマーケティング活動を根付かせる」ことをビジョンとしたSATORIを設立。代表取締役としてマーケティング業務を担当している。

  • SATORI株式会社
    Co-Founder 取締役
    太田祐一

    筑波大学、マネックス証券、独立起業を経て、株式会社アドクラウドにて、日本初のDMPのサービスをローンチ。2015年9月SATORI株式会社を設立。プロダクト責任者としてサービス設計から開発運用まで指揮を執る。

  • SATORI株式会社
    プロダクト事業部
    データストラテジスト
    室園拓哉

    サイバーエリアリサーチ株式会社において、8年間サービス開発およびセールスマネージャーを経験。技術的な知識と、多様なお客様の業界経験から、SATORIではお客様サポート責任者として全顧客サポートの指揮を執る。人を大切に、即時課題解決することをモットーに邁進している。

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